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2014年8月6日水曜日

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から④

「アスリートの魂」

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レゼンデ監督が受け継いだ〝猫田魂〟

✓ 〝(猫田さんに)常に言われたのは
  「全力で跳べ」ということ。
  トスを見たり、高いところを見定めて助走を開始すると
  ワンテンポ遅れてしまう。
  そうではなくて、
  「とにかく、お前がいい時に入ってこい、それに合わせるから」
  と言ってくださいました。
  そしてその言葉通り、きっちりトスが来たものです〟
  (青山 信夫)

✓ 「基礎的なものをすべて日本から学んだ」
  と語るレゼンデ監督が、
  日本のバレー界から忠実に受け継いだものは、
  紛れもなくこの〝猫田魂〟そのものだったのです。

(『JTサンダーズ・80周年記念誌』より)


戦術の変遷から見た、セッターに要求されるプレー

✓ 組織的リード・ブロック戦術が世界標準となって以降、
 「セッターが放り上げる〝トス〟にアタッカーが合わせて打つ」
  というセッター起点の
 【セカンド・テンポ】のコンセプトでは、
  ブロック側有利の構図が切り崩せなくなりました。

✓ 再びアタック側有利の構図を生み出すには、
  セッターが攻撃の主導権をアタッカーに譲り、
   アタッカーの持ち味を最大限に活かす
  「お膳立て( = 〝セット〟)」に専念する
という  【ファースト・テンポ】のコンセプトが、
   理にかなっていたのです。



今こそ〝トス〟から〝セット〟へ!

✓ セット動作を専門にするプレーヤーを
   かつて「トサー(tosser)」と呼んでいた
   日本のバレー界ですが、
   現在では「セッター(setter)」という用語が
   すっかり定着しました。
   その一方で、「セット」という用語は浸透せず、
  「〝セッター〟が〝トス〟を上げる」という、
   ある意味矛盾した表現が一般化してしまっています。

✓ 「攻撃の起点であり主導権を握るのはセッターである」
    という固定観念が幅を利かせる日本のバレー界では、
    アタッカーのための〝お膳立て〟をするという
    意味の「セット」という用語が、
    浸透しなかったのではないでしょうか?

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ブロッカーが振られる本当の理由は?

✓ 今のの動画から、ブロッカーが振られるかどうかは
   セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間
   とは無関係である
、   という真実がおわかり頂けるかと思います。

✓ リードで対応しているはずのブロッカーが、
   どうしてこのように見事に振られるのか?
   を理解するには、
  リードで対応するブロッカーがどのようにして、
   相手のセッターの出方やボールの行方に反応しているのか?
   を理解しておく必要があります。

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トム・ローガン選手は、なぜネットから離れたのか?

✓ ディグされたボールが高く上がったため、
   倒れ込んでいた江畑選手含め他のアタッカー陣も、
   時間的余裕が十分にありますが、
   自分自身にセットされることを意識して
  プレーしているアタッカーは木村沙織選手しかいません。

✓ これは、アタッカー全員が佐野選手のアンダーハンド・パス
   によるセット動作を見て、誰にセットされるのかを
   セット・アップ前に無意識に感じ取っているから
です。   そのアタッカーの動きや佐野選手のセット動作を観察し、
   トム・ローガン選手はボールがセットされるよりも前に、
   自身が反応すべき選択肢を減らすことが可能だった
のです。
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セット動作における〝あたりまえ〟のプレーとは?

✓ セッターは、自身に要求される「正確さ」を損うことなく、
   セット・アップの瞬間ギリギリまで、
   セットできるアタッカーの選択肢を複数確保することが
   可能
だからこそ、   オーバーハンド・パスを用いてセット動作を行うのです。

✓ セッターがオーバーハンド・パスを用いて
   セット動作を行うのはなぜか?・・・
   その理由を紐解いていけば、
   レゼンデ監督が要求する
  「手や体の動きからトスを相手に読まれないように」
   というセット動作
が、  セッターに要求される〝あたりまえ〟のプレー
   であるのは明らかでしょう。







【シンクロ攻撃】は高度なアタック戦術なのか?!

✓ 現在の世界標準である、組織的リード・ブロック戦術に対して
   最も効果的な【シンクロ攻撃】でさえも、
   アタッカーならびにセッターのプレーを
   一つ一つ紐解いてみれば、
   各自に要求される〝あたりまえ〟のプレーを
   行っているに過ぎません

✓ ですから、その本質さえ理解していれば
   特別な身体能力が備わっていない女子中学生であっても
   〝あたりまえ〟のように【シンクロ攻撃】を繰り出すことが
   可能です。
   ましてや、身体能力に優れた選手ならば、
   バレーボールの経験年数が少なかろうとも、
   簡単に達成できるはずです。


【シンクロ攻撃】=【〝同時多発〟位置差攻撃】

✓ 【シンクロ攻撃】に代表される、
   現在の世界標準のアタック戦術の本質は、
   セット・アップからボール・ヒットまでの
   〝経過時間の短さ〟ではありません。

✓ 4人のアタッカーが主導権を握って、
   セット・アップ前にスパイクを打つ気満々で助走し、
   実際に誰がスパイクを打つのか、
   ボールを打つ瞬間までアタッカーすらもわからないような
  〝同時多発性〟を作り出すことで、
   相手のブロッカーの選択反応時間を長くすることが本質なのです。

✓ 【シンクロ攻撃】に対してブロッカーが対応できないのは、
   〝不意打ちのように〟
   繰り出されるスパイクだから
であり、   その本質は〝速いバレー〟や〝高速バレー〟
   という言葉で表現できるようなものではないのです。


資 料 提 供・協 力
本日の講演内容に、資料提供や図案作成などに関して、
ご協力頂いた皆様(敬称略)をご紹介します。
@ayanami2015, @P_206RC, @taknuno55, @PFH38th,
@ux3blust, @corapiston, @chochobibi, @toruvoov,
@hatsuharuya, @tamtam_twtr
その他、#vabotter(ハッシュタグ・ばぼったー)
で発言されてらっしゃる、大勢の皆様に感謝申し上げます。
・・・これからバレー界に必要とされる情報戦という
のは、ツイッターなどのSNSをいかに上手く有効活用で
きるかどうかを意味しています!!!

(資料紹介おわり)


(2012年)

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