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2014年8月9日土曜日

DVDの「世界標準」って何?~その⑦

5月にジャパンライムという所から発売されるという、バレーボールに関するDVDについて、内容が従来にない切り口である点が注目で、しかもその一端が見えるPR動画もあったことから、みなさんで議論が広がってほしいという思いで、記事を連載しています。その7(最終)です。
これでアップされていたPR動画もすべてです。

ほんのちょっとの動画を介してでも、これまでだけでも、論じることのできる話題や視点がたくさんあることがわかりますね。
また、短い動画ではあるものの、どうやら従来のプレーの感覚や練習の考え方とは、大きく違った新鮮なものであるような気もします。
少し考えさせられたことは、このDVDが発信するターゲットは、どんな人たちなんだろう?ということです。選手にとっても大事だろうし、指導者にとっても大事だろうし。中学生にも観させたい気もするし、でも少々中学生には難しい気もするし。
個人的には立場やカテゴリ、経験値を問わず、バレーボールに携わる人ならみんな観て、ああだこうだを話し合ってみるのがイチバンだと思います。
ただ、間違いなく言えることは、内容的には、
「このメニューがおすすめ」
「このドリルをすれば上手くなる」
「これさえあれば勝てる」
などといった、ハウツーものではないということです。
それを期待して観てしまうことは避けた方がいいかもしれません。
むしろ、「内容がよくわからない」といった疑問の意見は貴重だと思います。
でもただ単に「わからん」で一蹴するのではなく、
わからないのはどこで、みんなどう思っているのか?
と挙げていただくとDVDの価値は出てくると思います。





立場やカテゴリを超えて観た方がいい・・・
ということは、小中学生バレーの指導現場にも深くコミットする課題が見えてきそうです。
このDVDが出てきたきっかけは、長年低迷してきた日本のバレーボールが、
もう一度世界の舞台で活躍するためにあらゆる視点でものごとを見つめ直そうという
課題を投げかけているのだと思います。
ですから、実は小中高校のジュニア世代の指導の影響が大きく、
従来の子どもへの指導として行われてきた、当たり前の話や練習方法、理屈を、もう一度見直し、これからあるべきプレー観や練習アプローチ、選手の指導、育成、強化・・・をみんなで再構築することが求められているのだろうと思います。
最後の動画では、そういった練習のアプローチに対する疑問が投げかけられていると思います。
ブロックという一連の目指すスキルがあったとして、
指導者は、その全体像や完成形をある程度イメージしています。
ですから、部分的な要素を習得させて、
最終的に選手がスキル習得ができるように、
「段階」を踏んだ練習をしようとします。
「スモールステップ」というものがそれです。
ただ、これが弊害を生んでいる側面もあると思われます。
つまり、人間の運動を、そう簡単にパーツ化したり、
細分化してつなげて、運動が成立するかという問題です。
座って手の練習をして、
立ち膝で上腕から手の練習をして、
立って練習をして、
動きの中で練習をして・・・
一つのスキルの練習にこれほど膨大な時間を費やすべきなのでしょうか?
加えて、座ってできていても、立ち上がった瞬間に前の練習ができなくなる。
そんな運動の移行もきわめて弱い点も指摘しておかねばなりません。
「スモールステップ」というのは、指導者寄りの視点で、選手主体の視点に立っていません。
つまり若干余計なお世話が入っていると思います。
多少失敗や雑な所があっても、子どもたちは、運動やプレーの全体像を試しながら、
自分自身と語り合い、自己分析してスキルアップをしていくと思います。
そんな練習アプローチにも、話題が及んでいそうです。

ぜひ、このDVDを共通の話題にして、
全国でバレーボールの議論が広がることを期待しています。
(連載 了)


(2014年)

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