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2014年8月9日土曜日

バレーボールDVDレビュー(感想・雑感など)


バレーボールに関するDVDを手に入れました。
20代のころ、わけもわからず、VHSの教材ビデオを
購入して以来のことでした。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

まずは、バレーボールに携わっているコーチや選手の
一人でも多くの方々にぜひ一度観ていただきたいと思いました。
そしてただ一人で観て終わるだけじゃなく、
観た人同士でディスカッションや実践的なセッションを
してもらうと、より価値が増すんじゃないかと思います。
「そこまで難しく考える必要なんてないよ」
「ふだんあまり深く考えてやらないし、やらなくていいし」
という人ほど、ぜひ一回観ていただきたい内容だなと思います。

これまでのバレーボールでのコーチングとか練習では、
指導者のいわゆる「指導力」という名のもとでの
強力なリーダーシップや求心性によって行われていることが
多いんじゃないかと思います。
それがいつしか選手たちは、コーチに対する依存度が強まり、
自ら思考したり、試行錯誤をしたり、工夫をしたり
することが薄れていっているんじゃないかということを
このDVDを観て感じられるのではないかと思います。

また、コーチングにおいては、
コーチ自らの経験(プレー経験)に基づいた感覚的な指導
がなされることが多く、
その感覚上、経験上において、「させたくはない」ことに
焦点化されることで、本来目指すべきプレーや戦術が
見失われてきた側面も露呈してくると思います。

例えば、ブロックではいわゆる「吸い込み」を嫌います。
そして2枚~3枚の不揃いを嫌います。
そうすると、練習ではそれらををしないよう、
ネットに近づき、その場で相手に正対して揃えてから
垂直的にジャンプするようなフロントしてハンズアップからの
ブロックが当たり前となり、
スイングブロックというものが広がりませんでした。
スイングブロックという概念がないので、
当然「リード・ブロック」というものへの理解も
浸透しにくくなった側面もあると考えられます。

このように、「練習」が「~しないように」という、
局所的な問題をなくしていく「問題指向型アプローチ」
でなされるようになっていったのです。
ブロックとは、
本来は強力な相手スパイクに対するものであって、
「吸い込みしない競争」
「きれいに揃っているコンテスト」
ではありません。

こういった例を挙げれば、
DVDを観ていくとどんどん出すことができるんじゃないか
と思います。

例えば、「はやい」攻撃というのは、
日本人はフィジカル面で劣るという理屈が土台となって、
求められてきました。
その結果、ゲームの局面の至る所で、「はやさ追求」に
なってしまい、その他の大事なポイントが犠牲になってきた
ことも見えてきます。
しかも、その流れは、世界のバレーボールの戦術の変遷とは
リンクしていない「ガラパゴス化」したものであり、
どうやらオリンピックなどでの結果の低迷にそれが
結びついているように思えます。
「はやい攻撃」をすべしが前提になり、
 ・Aパス至上主義
 ・セット(トス)がネットに近い
 ・セッターへの返球が低くはやい
 ・セッター位置がネットに近い
 ・スパイクの最大の効果(最高打点フルパワー)
  が犠牲になった
 ・ブロック戦術の低迷
 ・バックアタックの標準化の遅れ

など、
あらゆる方向性にその影響が蔓延してしまったのだと
気づかされます。

DVDの内容は、ちょっと実践から離れた概念的な
レクチャーが多いので、
なかなかとっつきにくく思える人もいるかもしれません。
でも、個人的にはみなさんでこの内容をシェアし、
ディスカッションするには大切な内容だと思うし、
これからの日本のバレーのプレーやコーチングの
「当たり前」を変えるきっかけになると思います。
私は、この内容をエッセンスとした、
より実践的な取り組みや伝達をこれからも
模索していこうと思います。
それが次なる課題だと思っております。

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DVDの中身の目次は以下の通りです。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

【第1巻 ~なぜ、今「 スロット 」と「 テンポ 」なのか?~】

■イントロダクション
■アイスブレイキング "ヘリウムフープ"
■問題指向型アプローチと目標指向型アプローチ
  *《問題1》コーヒー好きなあなたが、紅茶好きの彼(彼女)とうまく付き合うにはどうすればよいか?
  *《問題2》従業員のゴーグル着用率を100%にするために、経営者としてするべきことはいったい何か?
■Evidence-based Volleyball(EBV)
  *《問題3》サーブ・レシーブ成功率とアタック決定率との関係は?
■【スロット】の概念
■【スロット】の概念を用いたクイック練習《オンコート実践》
■【テンポ】の概念
■和井田剛史選手(東京ヴェルディ)インタビュー

【第2巻 ~コンビ ・ バレーはもう古い!
 最もシンプルで相手に効果的な " 同時多発位置差攻撃 "~】

■「2対2」ビーチバレー形式の練習《オンコート実践》
  *両チームの "作戦" を振り返る
 ■ブロック側とアタック側の "かけひき" によるバレーボールの戦術変遷
  *1960年代【コミット・ブロック】対【ファースト・テンポ】
  *1970年代【コミット・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
  *1990年代【リード・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
 ■【リード・ブロック】に効果的なアタック戦術とは?
  *《問題4》俊敏な動きができない長身選手にクイックを打たせるには?
 ■ファースト・テンポの本質 "頂の景色(いただきのけしき)"
 ■【リード・ブロック】に効果的な〝はやさ〟とは?
  *選択反応時間を体感《アクティビティ》
  *ヒックの法則
  *2000年代【リード・ブロック】対【同時多発位置差攻撃】
 ■【シンクロ助走】を体感《オンコート実践》
 ■まとめ&振返り
  *《2011年全日本インカレ女子準決勝》「東海大学 対 嘉悦大学」のプレー解説

【第3巻 ~世界標準を指導する上で知っておくべき考え方および " 定石 ( セオリー )"~】

■オープン・スキルとクローズド・スキル

  *《問題5》初心者がいるチームでどうやって勝ち進むか?

  *初心者段階から導入すべきクローズド・スキル

 ■練習の組み立て方および考え方(ディープ・プラクティス)

 ■ルール上の前提知識

  *【ラインナップ】と【ポジショナル・フォールト】

  *【フロント・オーダー】と【バック・オーダー】

 ■エビデンスに基づいたサーブ戦術の "定石(セオリー)"

  *《問題6》威力のあるサーブを打てないあなたが、格上チーム相手にサーブでなすべきことは何か?

 ■セルジオ選手(ブラジル男子)に学ぶ、リベロの "あたりまえ"

 ■太田有紀選手・白川雅貴選手(兵庫デルフィーノ)インタビュー

【第4巻 ~" トス " を上げずに " セット " する‼ 世界標準を達成するために必要な " あたりまえ " とは? ~】

■【トータル・ディフェンス】におけるブロック戦術の考え方
■セッターに要求される "あたりまえ" のプレー①:「お膳立て」
  *スロット5の位置にテニスボールをどのように届けるか?《アクティビティ》
  *【ダイレクト・デリバリー】と【インダイレクト・デリバリー】
  *2010年代のトレンド: "コミットしても止まらない11"
■【インダイレクト・デリバリー】セット&スパイク練習《オンコート実践》
■ セッターに要求される "あたりまえ" のプレー②:
  「セットする瞬間まで、どこにセットするかの手がかりを与えないプレー動作」
■【サイド・セット】《オンコート実践》
■まとめ&振り返り
■組織論 ~うまくいかない時に考えるべき視点~
  *世界標準を達成するために必要な "信頼" とは?

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)


(2014年)

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