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2014年8月14日木曜日

世界のバレーボール選手たちに注目しよう②

みんなで世界のバレー選手を知ろうという3回目。
リベロとかセッターもとても重要です。

リベロは何と言ってもこの人です。
ディグだけでなく、セットの素晴らしさにも注目。

セルジオ(ブラジル)




世界のセッターはブラジルが牽引。
ガルシアは、カリスマ的存在です。
90年代からブラジルには、マウリシオ・リマ
というセッターがおりまして、
それ以来、世界のセッターのけん引役を
ブラジルがはしってきたように思えます。

ガルシア(ブラジル)


レゼンデ・ブルーノ(ブラジル)


プジョル(フランス)


トラビカ(イタリア)


マルーフ(イラン)



デセッコ(アルゼンチン)



21世紀に入ると、ブラジルのバレーが世界を席巻します。
コート上のすべての選手が、攻撃・守備において
高いスキルを発揮し、セッターもそれらの強みを十二分に引き出します。
リベロはセカンド・セッターの役割も担うようになりました。
バックアタックも当たり前となり、
ファースト・テンポの要素が入った攻撃に発展しました。


ダンテ(ブラジル)


ムーリオ(ブラジル)


ルーカス(ブラジル)


ビソット(ブラジル)


個人的に、デソーザは、ロンドンオリンピックで、
とてもよく頑張っていた姿が印象的で、
とても好きな選手です。↓↓↓

デ・ソーザ(ブラジル)



(2012年)



世界のバレーボール選手たちに注目しよう①

ゲーリサトウ監督は、日本のバレーボール全日本史上初の外国人の監督となりましたね。
長年低迷が続いている男子なので、何とか、いろんな変化が起こってくることを願いたいです。
全日本サトウ監督の就任インタビュー

これからの期待もこめて、これから日本の男子バレーが変革、発展していくことを願い、今の世界の第一線で活躍する選手たちを、観てもらいたいと思います。
身の回りには、いろんなカテゴリや形態をふくめて、本当にたくさんのバレーボール愛好家がいらっしゃいます。しかし、メディアへの登場が少ないこともあり、バレー選手を知っている人は結構少ないと思います。

野球では、メジャーのロドリゲスがすごいとか、サッカーでは、メッシがどうのとか、バレーでもそういう会話が増えてくれたらいいなと思います。バレーも2013年も世界大会がたくさんあります。
夏には日本でも、札幌でも開催されます。みんなで注目して盛り上げていきましょう。

ミハイロフ(ロシア)


バルトマン(ポーランド)


コンテ(アルゼンチン)


ラスコ(イタリア)


ザイツェフ(イタリア)


アンダーソン(アメリカ)



視聴者やファンも、いろんな選手たちを観ることで、会話の幅が広がったり、観る眼がレベルアップしたり、目指すプレー像ができたりと、いい面がたくさんあると思います。

ロシアのムセルスキーは身長が2M18。ロンドン・オリンピックの金メダルの立役者のひとりで、
ブロックはもちろん、サーブや守備でも力を発揮。オリンピック決勝では、ミドルからオポジットに代わって、逆転のキーマンになりました。これからも注目です。

ムセルスキー(ロシア)


クレク(ポーランド)


スタンリー(アメリカ)


アレクシエフ(ブルガリア)


サバーニ(イタリア)



レオン(キューバ)


シモン(キューバ)



(2012年)

2014年8月12日火曜日

オリンピックで見える変遷

やっぱり日本にいてバレーを楽しんでいるみなさんには、もっと世界のバレーに目を向けていただけたら、もっと楽しくなるのになぁと思っています。
サッカーや野球では、それぞれやったことがない人でも、外国の有名選手の名前は出てきますよね?メッシ、C.ロナウドとか、ジーターとかロドリゲスとか。
でもバレーを一生懸命やっているのに、ブラジルやロシアの選手一人も知らないのはもったいないなと思います。

どのスポーツ競技もそうですが、バレーボールも「オリンピック」がいろんな意味でのターニングポイントや観る目の試金石となり、その前後の歴史を紐解きながら改めて観ると、大変興味深いです。
また近年では日本でも、バレーでもテクニカルな議論が活発になっているので、そういった視点で見直してもとても面白いです。

下に5試合紹介しています。
 最初の、日本―アメリカの試合なんかは、両チームともそうそうたるメンバーで、しかもプレーの質もすばらしい。
 アトランタオリンピック決勝でのイタリア―オランダの試合は、イタリアの豪華メンバーのすごさと、
激戦以上の激戦で歴史に残る大勝負。
 シドニーオリンピックでは、魂あふれるユーゴスラビアが金メダル。
 ペキンオリンピック決勝でのアメリカ―ブラジルは、21世紀最強と言われたブラジルバレーを
どのように打ち破ったのか、大変興味深い試合となりました。
 そしてロンドンオリンピック決勝でのロシア―ブラジルは、北京からの流れを集大成したかのように、それぞれの国でブラジルバレーのエッセンスを標準化し、それに加え、選手トータルのチーム力をどうコーディネートしたか・・・。

どれも、バレーを知る上ではとてもいい刺激になると思います。








Brazil - USA Olympic Games, Beijing, Final part II 投稿者 raylight234




(2013年)

2014年8月9日土曜日

バレーボールDVDレビュー(感想・雑感など)


バレーボールに関するDVDを手に入れました。
20代のころ、わけもわからず、VHSの教材ビデオを
購入して以来のことでした。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

まずは、バレーボールに携わっているコーチや選手の
一人でも多くの方々にぜひ一度観ていただきたいと思いました。
そしてただ一人で観て終わるだけじゃなく、
観た人同士でディスカッションや実践的なセッションを
してもらうと、より価値が増すんじゃないかと思います。
「そこまで難しく考える必要なんてないよ」
「ふだんあまり深く考えてやらないし、やらなくていいし」
という人ほど、ぜひ一回観ていただきたい内容だなと思います。

これまでのバレーボールでのコーチングとか練習では、
指導者のいわゆる「指導力」という名のもとでの
強力なリーダーシップや求心性によって行われていることが
多いんじゃないかと思います。
それがいつしか選手たちは、コーチに対する依存度が強まり、
自ら思考したり、試行錯誤をしたり、工夫をしたり
することが薄れていっているんじゃないかということを
このDVDを観て感じられるのではないかと思います。

また、コーチングにおいては、
コーチ自らの経験(プレー経験)に基づいた感覚的な指導
がなされることが多く、
その感覚上、経験上において、「させたくはない」ことに
焦点化されることで、本来目指すべきプレーや戦術が
見失われてきた側面も露呈してくると思います。

例えば、ブロックではいわゆる「吸い込み」を嫌います。
そして2枚~3枚の不揃いを嫌います。
そうすると、練習ではそれらををしないよう、
ネットに近づき、その場で相手に正対して揃えてから
垂直的にジャンプするようなフロントしてハンズアップからの
ブロックが当たり前となり、
スイングブロックというものが広がりませんでした。
スイングブロックという概念がないので、
当然「リード・ブロック」というものへの理解も
浸透しにくくなった側面もあると考えられます。

このように、「練習」が「~しないように」という、
局所的な問題をなくしていく「問題指向型アプローチ」
でなされるようになっていったのです。
ブロックとは、
本来は強力な相手スパイクに対するものであって、
「吸い込みしない競争」
「きれいに揃っているコンテスト」
ではありません。

こういった例を挙げれば、
DVDを観ていくとどんどん出すことができるんじゃないか
と思います。

例えば、「はやい」攻撃というのは、
日本人はフィジカル面で劣るという理屈が土台となって、
求められてきました。
その結果、ゲームの局面の至る所で、「はやさ追求」に
なってしまい、その他の大事なポイントが犠牲になってきた
ことも見えてきます。
しかも、その流れは、世界のバレーボールの戦術の変遷とは
リンクしていない「ガラパゴス化」したものであり、
どうやらオリンピックなどでの結果の低迷にそれが
結びついているように思えます。
「はやい攻撃」をすべしが前提になり、
 ・Aパス至上主義
 ・セット(トス)がネットに近い
 ・セッターへの返球が低くはやい
 ・セッター位置がネットに近い
 ・スパイクの最大の効果(最高打点フルパワー)
  が犠牲になった
 ・ブロック戦術の低迷
 ・バックアタックの標準化の遅れ

など、
あらゆる方向性にその影響が蔓延してしまったのだと
気づかされます。

DVDの内容は、ちょっと実践から離れた概念的な
レクチャーが多いので、
なかなかとっつきにくく思える人もいるかもしれません。
でも、個人的にはみなさんでこの内容をシェアし、
ディスカッションするには大切な内容だと思うし、
これからの日本のバレーのプレーやコーチングの
「当たり前」を変えるきっかけになると思います。
私は、この内容をエッセンスとした、
より実践的な取り組みや伝達をこれからも
模索していこうと思います。
それが次なる課題だと思っております。

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DVDの中身の目次は以下の通りです。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

【第1巻 ~なぜ、今「 スロット 」と「 テンポ 」なのか?~】

■イントロダクション
■アイスブレイキング "ヘリウムフープ"
■問題指向型アプローチと目標指向型アプローチ
  *《問題1》コーヒー好きなあなたが、紅茶好きの彼(彼女)とうまく付き合うにはどうすればよいか?
  *《問題2》従業員のゴーグル着用率を100%にするために、経営者としてするべきことはいったい何か?
■Evidence-based Volleyball(EBV)
  *《問題3》サーブ・レシーブ成功率とアタック決定率との関係は?
■【スロット】の概念
■【スロット】の概念を用いたクイック練習《オンコート実践》
■【テンポ】の概念
■和井田剛史選手(東京ヴェルディ)インタビュー

【第2巻 ~コンビ ・ バレーはもう古い!
 最もシンプルで相手に効果的な " 同時多発位置差攻撃 "~】

■「2対2」ビーチバレー形式の練習《オンコート実践》
  *両チームの "作戦" を振り返る
 ■ブロック側とアタック側の "かけひき" によるバレーボールの戦術変遷
  *1960年代【コミット・ブロック】対【ファースト・テンポ】
  *1970年代【コミット・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
  *1990年代【リード・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
 ■【リード・ブロック】に効果的なアタック戦術とは?
  *《問題4》俊敏な動きができない長身選手にクイックを打たせるには?
 ■ファースト・テンポの本質 "頂の景色(いただきのけしき)"
 ■【リード・ブロック】に効果的な〝はやさ〟とは?
  *選択反応時間を体感《アクティビティ》
  *ヒックの法則
  *2000年代【リード・ブロック】対【同時多発位置差攻撃】
 ■【シンクロ助走】を体感《オンコート実践》
 ■まとめ&振返り
  *《2011年全日本インカレ女子準決勝》「東海大学 対 嘉悦大学」のプレー解説

【第3巻 ~世界標準を指導する上で知っておくべき考え方および " 定石 ( セオリー )"~】

■オープン・スキルとクローズド・スキル

  *《問題5》初心者がいるチームでどうやって勝ち進むか?

  *初心者段階から導入すべきクローズド・スキル

 ■練習の組み立て方および考え方(ディープ・プラクティス)

 ■ルール上の前提知識

  *【ラインナップ】と【ポジショナル・フォールト】

  *【フロント・オーダー】と【バック・オーダー】

 ■エビデンスに基づいたサーブ戦術の "定石(セオリー)"

  *《問題6》威力のあるサーブを打てないあなたが、格上チーム相手にサーブでなすべきことは何か?

 ■セルジオ選手(ブラジル男子)に学ぶ、リベロの "あたりまえ"

 ■太田有紀選手・白川雅貴選手(兵庫デルフィーノ)インタビュー

【第4巻 ~" トス " を上げずに " セット " する‼ 世界標準を達成するために必要な " あたりまえ " とは? ~】

■【トータル・ディフェンス】におけるブロック戦術の考え方
■セッターに要求される "あたりまえ" のプレー①:「お膳立て」
  *スロット5の位置にテニスボールをどのように届けるか?《アクティビティ》
  *【ダイレクト・デリバリー】と【インダイレクト・デリバリー】
  *2010年代のトレンド: "コミットしても止まらない11"
■【インダイレクト・デリバリー】セット&スパイク練習《オンコート実践》
■ セッターに要求される "あたりまえ" のプレー②:
  「セットする瞬間まで、どこにセットするかの手がかりを与えないプレー動作」
■【サイド・セット】《オンコート実践》
■まとめ&振り返り
■組織論 ~うまくいかない時に考えるべき視点~
  *世界標準を達成するために必要な "信頼" とは?

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)


(2014年)

DVDの「世界標準」って何?~その⑦

5月にジャパンライムという所から発売されるという、バレーボールに関するDVDについて、内容が従来にない切り口である点が注目で、しかもその一端が見えるPR動画もあったことから、みなさんで議論が広がってほしいという思いで、記事を連載しています。その7(最終)です。
これでアップされていたPR動画もすべてです。

ほんのちょっとの動画を介してでも、これまでだけでも、論じることのできる話題や視点がたくさんあることがわかりますね。
また、短い動画ではあるものの、どうやら従来のプレーの感覚や練習の考え方とは、大きく違った新鮮なものであるような気もします。
少し考えさせられたことは、このDVDが発信するターゲットは、どんな人たちなんだろう?ということです。選手にとっても大事だろうし、指導者にとっても大事だろうし。中学生にも観させたい気もするし、でも少々中学生には難しい気もするし。
個人的には立場やカテゴリ、経験値を問わず、バレーボールに携わる人ならみんな観て、ああだこうだを話し合ってみるのがイチバンだと思います。
ただ、間違いなく言えることは、内容的には、
「このメニューがおすすめ」
「このドリルをすれば上手くなる」
「これさえあれば勝てる」
などといった、ハウツーものではないということです。
それを期待して観てしまうことは避けた方がいいかもしれません。
むしろ、「内容がよくわからない」といった疑問の意見は貴重だと思います。
でもただ単に「わからん」で一蹴するのではなく、
わからないのはどこで、みんなどう思っているのか?
と挙げていただくとDVDの価値は出てくると思います。





立場やカテゴリを超えて観た方がいい・・・
ということは、小中学生バレーの指導現場にも深くコミットする課題が見えてきそうです。
このDVDが出てきたきっかけは、長年低迷してきた日本のバレーボールが、
もう一度世界の舞台で活躍するためにあらゆる視点でものごとを見つめ直そうという
課題を投げかけているのだと思います。
ですから、実は小中高校のジュニア世代の指導の影響が大きく、
従来の子どもへの指導として行われてきた、当たり前の話や練習方法、理屈を、もう一度見直し、これからあるべきプレー観や練習アプローチ、選手の指導、育成、強化・・・をみんなで再構築することが求められているのだろうと思います。
最後の動画では、そういった練習のアプローチに対する疑問が投げかけられていると思います。
ブロックという一連の目指すスキルがあったとして、
指導者は、その全体像や完成形をある程度イメージしています。
ですから、部分的な要素を習得させて、
最終的に選手がスキル習得ができるように、
「段階」を踏んだ練習をしようとします。
「スモールステップ」というものがそれです。
ただ、これが弊害を生んでいる側面もあると思われます。
つまり、人間の運動を、そう簡単にパーツ化したり、
細分化してつなげて、運動が成立するかという問題です。
座って手の練習をして、
立ち膝で上腕から手の練習をして、
立って練習をして、
動きの中で練習をして・・・
一つのスキルの練習にこれほど膨大な時間を費やすべきなのでしょうか?
加えて、座ってできていても、立ち上がった瞬間に前の練習ができなくなる。
そんな運動の移行もきわめて弱い点も指摘しておかねばなりません。
「スモールステップ」というのは、指導者寄りの視点で、選手主体の視点に立っていません。
つまり若干余計なお世話が入っていると思います。
多少失敗や雑な所があっても、子どもたちは、運動やプレーの全体像を試しながら、
自分自身と語り合い、自己分析してスキルアップをしていくと思います。
そんな練習アプローチにも、話題が及んでいそうです。

ぜひ、このDVDを共通の話題にして、
全国でバレーボールの議論が広がることを期待しています。
(連載 了)


(2014年)

「世界標準」って何?DVDで議論を(サーブ)~その⑥


発売される「世界標準」なるDVDはどうなのか?その6です。

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どんなことにも、
「inside and outside」「two‐faced」などといった表裏の関係、
さらにはどんなことにも、因果関係やリンクが存在します。
バレーボールだってまさにネットを挟み、
相手と自分たちのそういった状態にあるわけで、
どちらか一方だけからの視点では解決しないことが
ほとんどなんだろうと思います。 
このPR動画では、サーブの意図について触れられているようです。
これだけを見ても、身の回りで言われている、
サーブの考え方が、いかに部分的なものであるかを、伝えたいのだと思います。



サーブでは、相手の弱点を狙うということはよく思いつきます。
でも「弱点」を狙って、どうしたいのか?となると、
またいろんな考えが出てきそうです。
サービスエースを獲りたいのか、
セッターのセットを妨害したいのか、
相手の特定の攻撃を封じたいのか・・・。
そういった部分まで考えてゲームを行うことって、
ひょっとしたらあまりなかったのかもしれませんね。
さらに考えを巡らせていくと、
セッターを妨害するってどういう状況をつくればいいのか、
相手の攻撃を封じるためにはどういう状況を生み出せばいいのか、
さらにセッターや攻撃を妨害したら、
次に自分たちがやるべきこと、打つべき手は何か?・・・
そうやって考えていくと、
8秒の間に打たねばならないサーブというのも簡単ではないなと
思っちゃますね。だから練習はもっと練らなきゃいけないのだと思います。
ちょっとクローズドスキル的な話になっちゃいますが、
サーブ練習の性質ひとつを考えても、
対象物(人)を狙ってサーブを打つ、
対象物(人)に動きの負荷を与えるサーブを打つ、
対象物(人)がいないスペースを狙ってサーブを打つ、
というのは、ちょっと感覚的な違いがあって、
どれか一つできたからといって、すべてが狙えるというものでは
ないように思えます。
だから、サーブ練習もいろんな意味で大事ですね。

このDVDがどこまで触れられているかは、
このPR動画だけではすべては分かりませんが、
個人的には、サーブの練習方法のこれからの在り方や、
「サーブ&ブロック」戦術の必要性、さらには、サーブを考えることで、
自分たちのレセプションのシフトの在り方を見直す・・・
そういったことにも思考が及んだらいいなと思っています。
先ほど書いたように、「表と裏」の関係があるのですから。


(2014年)

「世界標準」って何?DVDでみんなの議論を⑤ ~概念の違いかなぁ


DVD「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
の5月連休明け以降の発売をきっかけに、
バレーボールへの議論が、いろんな形で盛り上がればいいなと思い、
この話題がきっかけになればいいなと記事を書いてのその5。
今回のPR動画から垣間見れることは何でしょうか?

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私は、練習において、プレーの精度を上げる目標の練習は、
必要だと思いますし、どのコーチもそういう練習を考えておられると思います。
その最たる例が、レセプション(サーブレシーブ)や
ディグ(パスやレシーブ)というものを、
セッターが待っている定位置に確実に返球できるかどうかというターゲットです。
これを、ちまたでは「Aパス」とか「Aカット」と言うそうです。
セッターがあまり動かない位置に返球できればA、
セッターが一歩か二歩、または1~2Mの範囲であればB、
セッターがアウト・オブ・タイム状態になればCといった
ところでしょうか?
ですから、ファーストタッチ(セッターへの返球)の精度を上げるとなれば、
自らのコントロールによって、「Aパス」を目指そうということにつながるわけです。

ここまでは何ら疑問点はないかもしれません。
ですが、問題は「Aパス」を要求しすぎたことによって、
本来あるべき状態を見失ってきたんじゃないの?
ということをこの動画で説明しているんだと思います。
つまり、「Aパス」を目指そう
    「Aパス」じゃなきゃいけない
    「Aパス」じゃないとセットできない
    「Aパス」じゃないと攻撃が成り立たない
    「Aパス」じゃないと勝てない
と、どんどん視点が脱線して、
頑張るべきものを見失ってきたんだと思います。



「頑張るべきもの」とは何か?
それは、ボールを床に落とさないことと、
何でもいいからスパイクヒットにつなげ、そこからできるベストな攻撃を生み出すこと
じゃないかなと思います。
よく「トスが乱れる」という言葉がありますが、
それにも実は許容範囲の幅が随分違うのだと思います。
「Aパスじゃなきゃいけない」と練習してるチームは、
その分要求ハードルが上がりますから、
「トスが乱れる」場面が増えます。
でも、Aパス以外からの攻撃オプションを備えたチームは、
仮にAパスじゃなくても、積極的攻撃を繰り出せますから、
「トスが乱れる」場面は少なくなります。
これらの課題のキーとなってくるのが「バックアタックの標準化」です。

ここまで話が進んでくると、
もはやバレーボールのスキルというのは、
Aパスがどうのとか、言ってられないと思います。
・バックアタックの標準化
・脱はやいひくい信仰
・脱Aパス強迫観念
・ファーストタッチの返球の在り方
・攻撃の主導権はセッターではなくアタッカーである
などなど、
「スキルチェーン」でのマクロな発想が、
これまで以上に求められるのだと思います。

「Aパス~%以上を目指そう」
限りなくパーセンテージの高い選手はやはり有能なんだと思います。
でもパーセンテージが高くても、
その後の展開や、Aパスじゃなかった時に何もできなければ、
そのスキルも無駄になってしまいます。
また、常に「Aパス」を意識しすぎるがために
起こる現象もあろうかと思います。
それは、相手からダイレクトをやられたり、
セッターに返球しようとしたボールが相手のブロックのえじきになったり、
セッターのタッチネットやペネトレーションフォルトになったり。
そういったものにも影響があるということに、
もっと視野を広げないといけないのかもしれませんね。


(2014年)

DVDについてその④~「ジブンタチノバレー」 と 「はやいひくい」

「セカイヒョウジュン」なるタイトルで、
従来の日本のバレーボールに一石を投じようとして発売されるDVD
「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
これに関心を寄せつつ記事はその4となっていますが、
このDVDの特徴は、従来の「ハウツー」ものでもなく、「こうすれば勝てる」ものでもない、
みんなで考える、議論できる構成になっていることは、その1で書きました。
個人的には関心があるだけじゃなく期待を持っています。
そして、選手の思考力にフォーカスした視点や、「ジブンタチノバレー」症候群?について書きました。
しかしPR動画を見ると、より具体的なスキルの話題にも触れられているようです。

今回の記事はスパイクについてです。
日本は海外に比べて高さとパワーに劣る。
それはもはやどうにもできないことであって、
その差を埋めるためには別の要素で対抗しないと勝てない。
と、みんな言っていますが、本当でしょうか?
そして高さとパワーに対抗しうるものが、「はやさ」「スピード」だというのです。
私は、この点にはずっと疑問を持っていました。
そもそもナショナルチームのパワーや高さにおいて、
そんなに「絶望的な差」が日本と海外にあるのでしょうか?
次に、「高さとパワー」VS「はやさ、スピード」
というものが対立軸になりうるのでしょうか?
身の回りでは、さも、「はやい攻撃」が難易度の高い必殺技のようにもてはやされていますが、果たしてどうでしょうか?
よくよく観ていると、「はやいバレー」を標榜しているのに、スパイクが合わずに打ちきれなかったり、簡単に相手ブロックに触られて、スパイク決定できていなく、無駄に長いラリーをして消耗していることが少なくありません。
これが小中高校から一般まで繰り広げられています。
確かにはやい攻撃や複雑なコンビは、「攻め手側」からすると難易度は高いですが、
それが同時に「相手」にとって防御が難しいかと言えば・・・?
言いきれないと思います。
ブロックシステムが構築されブロックの選手に思考力があれば怖くありません。
それ以前にサーブなどで戦術を確かなものにすれば封じることだってできます。
ですから、従来の「はやい攻撃」を見直すことが必要です。
自分は、「何が正しいか」という唯一無二的な発想ではなく、
選択肢を一つでも増やすこと、そこから選択判断できること、
これが、相手にとっては一番嫌であり、
「はやさ」というのは、こちら側(攻め手)の計測的な「はやさ」ではなく、
結果的に相手ブロッカーが感じる「はやさ」、
つまりは相手ブロッカーの選択判断を遅らせるような状態をつくること
で生れる「相対的なはやさ」がそうなんだろうと考えます。





今回のPR動画では、
このDVDが「考え方」のアップデートからはじまり、より具体的なスキルや戦術にも言及していて、
それが「スパイク」の「はやさ」からもよくわかるということなのだろうと思います。

スパイクはなぜ攻撃手段の決定的な姿となりうるのか。
たまにこう言う指導者に出会います。
フェイントもプッシュも1点は1点。
だから打てなくてもはやい攻撃で攻めることを目指そうと。
ですが、そのようなチームの顛末はだいたい、
ここ一番ではプレッシャーがかかったり、崩されて、目指すはやいバレーができずにいます。
それに指導者は「単調になって負けた」と振り返る。
そんなことが今までずっと続いてきました。
これも「ジブンタチノバレー症候群」だと感じています。
ですが、「はやさ」についての考えを見直してみると、
それまでの疑問がクリアになってくることも出てきます。
そうすると、いくら得点差がもつれた場面であっても、
いわゆる「Aパス」じゃない状況でも、
積極的に「はやい攻撃」を用いることができるようになります。
スパイクが攻撃手段の最たるものになっているのは、
スパイカーの最高打点が確保でき、十分に打ちこむことができるからです。
だからそのための十分な助走とジャンプ、
そして空中で打ち切れ、打ち分けられる状況が必要なんです。

そういった従来のコンセプトである、
「はやいバレー信仰」とそれしか目指せない「ジブンタチノバレー」
に対し、より具体的なスキル論に立っても、
説明されているのかな?という気がします。
実は、毎週日曜日夕方からTV放映されている、アニメ「ハイキュー!!」
先週の第4話のタイトルは、「頂の景色」。
PR動画と同じタイトルですね。
先週の第4話は、この話題がわかりやすく見事に表現されていると
思いながら自分は観ていました。
「ハイキュー!!」とDVDの内容のリンクにも注目していくと面白いかもしれませんね^^


(2014年)

「世界標準」って何?みなさんの疑問・意見を出してみよう③


DVD「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
をきっかけに議論をしてみましょう、というテーマの記事のその3です。

短期間で確実に成功できるダイエット方法は?
効率よく習得できる英語学習方法は?
ピアノって短期間でマスターできるの?
どうやたらお金がたまるの?
どうやったらテストの点数が上がりますか?
成績を上げる方法は何ですか?

こういったことは、いい年になった大人になってからもしばしば考えちゃうことです。
でも、考えてみると、正解があるわけではありません。いろんな人に相談しても、方法は様々。
ダイエット方法なんて面白いですよね。毎年毎年、実に次から次へといろんな方法が出てきて、もはやそれは流行の域となっていること・・・りんごダイエット、トマトダイエット、何とかキャンプ、ロングブレス、炭水化物制限・・・まあまあ無数にありますよね。でも、今もまた新しいダイエット商品が宣伝されているわけです。
私たちって、何か成功が保障されるようなものを、求める傾向が強いのだろうと思います。
そりゃ当然で、成功するか損失を生むかわからないものより、これをやれば、確実に成果を得ることができるとわかれば、安心して取り組めますからね。
でも、私たちは気づくべきだと思います。
唯一無二、無二無三なものなど、そうそうはないということです。
だったらコロコロとダイエット方法は出てこないわけです。
それが運動スキルの習得となればなおさらです。

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ところが、スポーツの指導をしていても、何かいい方法は?を求めるあまり、
思考を伴わない、表面上の「ハウツー」ばかりを選ぶようになり、
そこから「これさえやれば上手くなる」「これをやらせれば勝てる」
という思考になっていきます。
そういった指導を毎日受けている選手たちも、
当然そのように思いこんでいくことになり、
自分の感覚や感性、疑問や思考錯誤といった過程を介さない、
練習や試合経験となっていきます。
ですから、やっていることの根底にある、
自分の意志、判断、決断は、自分の外から与えられたものになっちゃう
ということも言えてくるのだろうと思います。

よく選手やコーチたちは、
「自分たちのバレーをすれば勝てる」とか、
「自分たちのバレーができなかったから負けた」とか、
言うことを耳にします。
それは、実力を上手く発揮できなかった、メンタル的に自分らしさを維持できなかった、
という意味での振り返りであると理解したいですが、
一方で懸念されるのが、
「ジブンタチノバレー」というのが、
指導者から与えられたものをただ遂行し、それがどんな局面や情勢の変化にあっても、
気づかず対応や小さな変化もしようともせず、盲目的に外から言われていることを再生しようとする、練習形態やプレースタイルといったものが、結びついているんじゃないかということです。
相手がライトからの攻撃の気配がないのに、ブロックが一枚ライト寄りに立っていたり、
常時コミットブロックを跳ばせるようなワンパターンなブロックシステムだったり、
レセプションのシフトが、どんなローテやどんな試合でも5W型をとっていたり、
守備ができないミドルブロッカーだったり、
相手のブロックが動きもせず待ち構えている所に時間差をかけて攻撃してきたり、
味方のスパイカーが打ちにくく決まっていないのに、はやくて低いトスで、見方も相手も振りまわすトスを上げていたり。
こういうのは、とても残念な現象であり。
これはそういう思考にさせてしまっている現状が
あるということだと思います。





じゃあ、アナタの「ジブンタチノバレー」って何ですか?
と訊かれたら、そういった選手や指導者はどう答えるのでしょうか?
守りのチーム?高さとパワーのチーム?
速攻バレー?コンビバレー?粘りのバレー?
はたまた心のバレー?
そういった「局所的」な答え、または漠然としたものが多くなるだろうと思います。
だからこれって、結局「いいダイエット方法は?」というのと同じレベルになるということです。
粘りって何でそうなんでしょうか?
レシーブさえがんばって練習すればいいのでしょうか?
拾えたって、攻撃をもぎ取れなければどうなるのでしょうか?
さらには「気合い」「精神力」だけで成果が出るのでしょうか?
その時点で、「ジブンタチノバレー」というのは、
日常の練習アプローチからはじまり、選手の思考レベル、
そしてゲームの質などに大きく関与しているのだと思います。
選手一人ひとりの思考やモティベーションなどの内面から生み出されたプレー観ではなく、あくまでも、「そう教わったから」「それをすれば勝てると思う」といった、ハウツー指向的な考え、空気が、いろんな課題となって表面化しているように思えます。
これから求められるのは、
戦い方や戦術、プレーの選択決断は、選手自身の内面から生み出され、創りだされるものであって、それをさせるためには、思考を育むような練習をしていかねばならないと思います。
「だから!~しろって言ったでしょ!」
こういったものから離れて、時間が多少はかかっても、本当の「ゲーム」をさせてやるように仕向けることが必要かもしれませんね。
みんなに惜しまれ解任された、ゲーリー・サトウ元全日本男子バレー監督は、「Grow the Game」と言ってたわけです。
それって「ジブンタチノバレー」に対するアンチテーゼだったんじゃないでしょうか?


(2014年)

「世界標準」って何?みなさんの疑問・意見を出してみよう②

「セカイヒョウジュン」なるDVDの話題をもう少し続けます。
ジャパンライムという所から発売されるようです。
PR映像には、より内容に迫るものがいくつかありました。
少しずつ触れていこうと思います。

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このDVDの内容の特徴は、「ハウツー」とか「勝つ方法」というより、
「模索していくべき"考え方"」についてサゼスチョンされている点です。
しかもその「考え方」というのは、
スキル習得や戦術面、さらには指導のアプローチに至るまで、
幅広い内容になっているようです。
今回記事にしたのは、
選手の思考力・・・思考・判断・決断の力をどのように位置づけ、
その大切さと指導や育成の方向性に提言があるようです。
パッと見、一見すると何だか適当にバレーで遊んでいて、
「練習」としてはゆるーい感じをする人もいるかもしれません。
ですが、その違和感にこそ私たちが課題意識を持たねばならない
ポイントがあるのかもしれません。





選手はロボットではありません。
プレーやゲームの主体であり、主役です。
しかし、ともすると指導者は、あたかもロボットやラジコンを操作するかのような
思考になっていはいないでしょうか?
「指導」「指示」が「命令」化し、
「指導」「指示」によって、選手の考える余地をなくし、
結果、選手は言われたことしかできない状態になってはいないか、
そういった点に迫る内容が、今回の動画にあると思います。
また、指導現場ではよく選手に向かって「考えろ!」と
大きな声で指導する場面も見受けられますが、
「何を」考えるのか、「どのように」考えるか、
そういったものが学習されていない、思考が真っ白な選手に対し、
「考えろ」と言われても、材料もツールもないわけですから、
本末転倒になってしまいます。
このように、私たちの身の回りで繰り広げられている
指導現場の光景が、ちょっと違和感をもって見えることも
出てくるんじゃないかと思います。

DVDの情報を見るに、
選手のスキルが飛躍的に向上したり、チームが試合で勝てるか、
といった視点で考えるとどうかな?という部分があります。
でも伝達される趣旨は、そうではないところにあると、
個人的には解釈、理解しているところです。
みなさんはどうお考えですか?
できれば、こういったことを材料に、
北海道や北海道の外で集まって、議論したいなと思ったりしています。


(2014年)

「世界標準」って何?みなさんの疑問・意見を出してみよう①


ここ2,3年の間で「世界標準」という言葉で、これからの日本のバレーで取り入れるべきプレーや練習の視点が議論されています。
私は個人的には「世界標準」という言葉はあまり使っていませんが、ここでの議論で言われている内容は、確かに日本のバレーボールの指導理論や選手のプレー観の、従来のものには不足していた、取り入れた方がいい内容があるように思えます。
そんな「世界標準」とわかりやすいタイトルで議論されてきた内容が、レクチャーと実演を交えたDVDが発売されるようです。
「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!! 世界標準のバレーボール」
というタイトルです。
私も個人的には注目しています。

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・日本バレーのこれまでの固定概念を変える視点があること
・確かに「今、世界で行われているバレー」に符合することが多いこと
・従来のDVDの「ハウツー論型」ではない、新たなアプローチであること
・選手、指導者を問わず、みんなでバレーを考え話し合う
 きっかけになりそうなものであること。

こういった理由で、今回はみなさんにもこの話題を知ってもらいたいと思いました。
発売は5月になってからになるそうです。
そこで、今回のDVDの一端がわかる映像がありましたので、ご紹介いたします。







個人的には、「世界標準」という言葉で表現をしなくても、
目指そうとするコンセプトが、プレーや戦術、指導の在り方のなかで
当たり前になっていけばいいのかなと思ったりします。
だから、はじめのうちは「世界標準」という表現に違和感を覚える人も多いかもしれません。
今回記事にしてみたのは、賛否を問わず、このようなDVDをきっかけに、みんなでもう一度
バレーのプレーや戦術、指導の在り方を考えたり、話しあったり、どこかで集まって研修を深めたり、そういった機会になってほしいなという願いがあります。
それから、加えて言及したいのは、この情報は、「ハウツーもの」ではないということです。
「これをやったら勝てるのか?」という次元で観ては、情報の価値が大幅に落ちると思います。
ですので、賛否を問わず、この「世界標準」なるこれまでのバレーの話題にはないテーマを、
みなさんで議論なさってみてはいかがでしょうか?


(2014年)

2014年8月6日水曜日

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から④

「アスリートの魂」

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レゼンデ監督が受け継いだ〝猫田魂〟

✓ 〝(猫田さんに)常に言われたのは
  「全力で跳べ」ということ。
  トスを見たり、高いところを見定めて助走を開始すると
  ワンテンポ遅れてしまう。
  そうではなくて、
  「とにかく、お前がいい時に入ってこい、それに合わせるから」
  と言ってくださいました。
  そしてその言葉通り、きっちりトスが来たものです〟
  (青山 信夫)

✓ 「基礎的なものをすべて日本から学んだ」
  と語るレゼンデ監督が、
  日本のバレー界から忠実に受け継いだものは、
  紛れもなくこの〝猫田魂〟そのものだったのです。

(『JTサンダーズ・80周年記念誌』より)


戦術の変遷から見た、セッターに要求されるプレー

✓ 組織的リード・ブロック戦術が世界標準となって以降、
 「セッターが放り上げる〝トス〟にアタッカーが合わせて打つ」
  というセッター起点の
 【セカンド・テンポ】のコンセプトでは、
  ブロック側有利の構図が切り崩せなくなりました。

✓ 再びアタック側有利の構図を生み出すには、
  セッターが攻撃の主導権をアタッカーに譲り、
   アタッカーの持ち味を最大限に活かす
  「お膳立て( = 〝セット〟)」に専念する
という  【ファースト・テンポ】のコンセプトが、
   理にかなっていたのです。



今こそ〝トス〟から〝セット〟へ!

✓ セット動作を専門にするプレーヤーを
   かつて「トサー(tosser)」と呼んでいた
   日本のバレー界ですが、
   現在では「セッター(setter)」という用語が
   すっかり定着しました。
   その一方で、「セット」という用語は浸透せず、
  「〝セッター〟が〝トス〟を上げる」という、
   ある意味矛盾した表現が一般化してしまっています。

✓ 「攻撃の起点であり主導権を握るのはセッターである」
    という固定観念が幅を利かせる日本のバレー界では、
    アタッカーのための〝お膳立て〟をするという
    意味の「セット」という用語が、
    浸透しなかったのではないでしょうか?

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ブロッカーが振られる本当の理由は?

✓ 今のの動画から、ブロッカーが振られるかどうかは
   セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間
   とは無関係である
、   という真実がおわかり頂けるかと思います。

✓ リードで対応しているはずのブロッカーが、
   どうしてこのように見事に振られるのか?
   を理解するには、
  リードで対応するブロッカーがどのようにして、
   相手のセッターの出方やボールの行方に反応しているのか?
   を理解しておく必要があります。

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トム・ローガン選手は、なぜネットから離れたのか?

✓ ディグされたボールが高く上がったため、
   倒れ込んでいた江畑選手含め他のアタッカー陣も、
   時間的余裕が十分にありますが、
   自分自身にセットされることを意識して
  プレーしているアタッカーは木村沙織選手しかいません。

✓ これは、アタッカー全員が佐野選手のアンダーハンド・パス
   によるセット動作を見て、誰にセットされるのかを
   セット・アップ前に無意識に感じ取っているから
です。   そのアタッカーの動きや佐野選手のセット動作を観察し、
   トム・ローガン選手はボールがセットされるよりも前に、
   自身が反応すべき選択肢を減らすことが可能だった
のです。
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セット動作における〝あたりまえ〟のプレーとは?

✓ セッターは、自身に要求される「正確さ」を損うことなく、
   セット・アップの瞬間ギリギリまで、
   セットできるアタッカーの選択肢を複数確保することが
   可能
だからこそ、   オーバーハンド・パスを用いてセット動作を行うのです。

✓ セッターがオーバーハンド・パスを用いて
   セット動作を行うのはなぜか?・・・
   その理由を紐解いていけば、
   レゼンデ監督が要求する
  「手や体の動きからトスを相手に読まれないように」
   というセット動作
が、  セッターに要求される〝あたりまえ〟のプレー
   であるのは明らかでしょう。







【シンクロ攻撃】は高度なアタック戦術なのか?!

✓ 現在の世界標準である、組織的リード・ブロック戦術に対して
   最も効果的な【シンクロ攻撃】でさえも、
   アタッカーならびにセッターのプレーを
   一つ一つ紐解いてみれば、
   各自に要求される〝あたりまえ〟のプレーを
   行っているに過ぎません

✓ ですから、その本質さえ理解していれば
   特別な身体能力が備わっていない女子中学生であっても
   〝あたりまえ〟のように【シンクロ攻撃】を繰り出すことが
   可能です。
   ましてや、身体能力に優れた選手ならば、
   バレーボールの経験年数が少なかろうとも、
   簡単に達成できるはずです。


【シンクロ攻撃】=【〝同時多発〟位置差攻撃】

✓ 【シンクロ攻撃】に代表される、
   現在の世界標準のアタック戦術の本質は、
   セット・アップからボール・ヒットまでの
   〝経過時間の短さ〟ではありません。

✓ 4人のアタッカーが主導権を握って、
   セット・アップ前にスパイクを打つ気満々で助走し、
   実際に誰がスパイクを打つのか、
   ボールを打つ瞬間までアタッカーすらもわからないような
  〝同時多発性〟を作り出すことで、
   相手のブロッカーの選択反応時間を長くすることが本質なのです。

✓ 【シンクロ攻撃】に対してブロッカーが対応できないのは、
   〝不意打ちのように〟
   繰り出されるスパイクだから
であり、   その本質は〝速いバレー〟や〝高速バレー〟
   という言葉で表現できるようなものではないのです。


資 料 提 供・協 力
本日の講演内容に、資料提供や図案作成などに関して、
ご協力頂いた皆様(敬称略)をご紹介します。
@ayanami2015, @P_206RC, @taknuno55, @PFH38th,
@ux3blust, @corapiston, @chochobibi, @toruvoov,
@hatsuharuya, @tamtam_twtr
その他、#vabotter(ハッシュタグ・ばぼったー)
で発言されてらっしゃる、大勢の皆様に感謝申し上げます。
・・・これからバレー界に必要とされる情報戦という
のは、ツイッターなどのSNSをいかに上手く有効活用で
きるかどうかを意味しています!!!

(資料紹介おわり)


(2012年)

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から③

セッターは、個々のスパイカーの持ち味、高さを生かし、引き出すことが大切ですね。
攻撃の主導権は、スパイカーにあって、スパイカーが、相手ブロッカーと勝負する。
もちろんセッターも相手ブロックの把握やかけ引きは重要ですが、味方スパイカーと、対戦する相手ブロッカーとの間に合って、味方スパイカーの勝負をコーディネートする役割もあるのかなと思います。

以下、資料の続きです。

セッターに要求される条件とは?

✓ ファースト・テンポは、アタッカーの持ち味を
  最大限に活かして
相手のブロックに打ち克ついう、   個人技勝負のコンセプトで繰り出すアタック戦術です。
   それを叶えるため、アタッカーは十分な助走距離を確保して
   全力でスパイクを打ちます。

✓ アタッカーが
   セット軌道に合わせて助走する必要がないかわりに、
   セッターが
   先に助走するアタッカーの最高到達点に向けて、
   ボールを〝正確に〟供給することが必要不可欠です。

ブラジル男子ナショナル・チームの
レゼンデ監督がセッターに求めるプレー

「ブラジルは基礎的なものをすべて日本から学びました」

と語るブラジル男子ナショナル・チームのレゼンデ監督は、
セッターに求める条件として、このように述べています。

〝最初はとにかく正確さを求め
  その正確なトスを常に平均的に
  上げられるようにします〟

『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』
(米虫紀子著・東邦出版)

〝正確さ〟の意味を、
  ボールを〝ピンポイントで〟供給するイメージで
  とらえてしまうと、
  セッターに非常に高度なプレーが要求されるように
  感じられませんか・・・?

・・・これが 【ダイレクト・デリバリー】です。



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setkido①
(写真提供:日本文化出版)
setkido②
(写真提供:日本文化出版)
setkido③
(写真提供:日本文化出版)
setkido④
(写真提供:日本文化出版)

セッターに要求される〝正確さ〟とは?

✓ ファースト・テンポにおいては、
   セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間は
   アタッカーが踏み切り動作を行う時点で決まります。
   ですから、セッターがボールのスピードや軌道を
   どう工夫しようとも、その時間がさらに短縮することはありません

✓ アタッカーがしっかり助走して
   セット・アップのタイミングを目安に踏み切るという、
   自身に課せられた役割をきちんと果たせば、
   セッターはアタッカーが自身の最高到達点付近で
   確実にボールをヒットできるように
、   丁寧なセット動作に専念するだけでよいのです。

✓ セッターに要求される〝正確さ〟とは、
   アタッカーが持ち味を最大限に発揮できるような
   「お膳立て」をするという、
  セッターに本来要求されるはずの
   〝あたりまえ〟のプレーを意味している
に過ぎないのです。
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〝はやさ〟≒ ブロック反応時間の長さ

✓ アタッカーの打点高を殺してしまうと、
  アタッカーの持ち味を活かせない上に、
   リードで対応する相手のブロッカーの反応時間が短くなるため、
   相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟が保証できなくなります

✓ アタッカーの打点高が高いほど、
   相手のブロッカーの反応時間が長くなります。
   アタッカーが自身の最高到達点付近で
   確実にボール・ヒットできるよう「お膳立て」すること
自体が、   相手のブロッカーにとっては〝はやさ〟に直結するのです。

(第2部の後半へつづく)


(2012年)

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から②

三島の2012 バレーボール ミーティングでの資料の続きです。一部、割愛させてもらっている部分がありますが、ご了承ください。ライブでの講義を聞いてなくても、たくさん勉強になるところがありますね。














ファースト・テンポの踏み切り動作に潜む〝ある特徴〟

✓ セット・アップのタイミングを目安に行う
  踏み切り動作(=狭義の【ファースト・テンポ】)は、
  「セッターに合わせてアタッカーが助走する」という、
   セッター起点の〝コンビ・バレー〟のコンセプトでは、
   達成することができません

✓ アタッカーが先に助走し、
   それにセッターが合わせるという〝コンビ・バレー〟以前の
   コンセプトに立ち返らない限り、
   リード・ブロックに効果を発揮する踏み切り動作は
   達成できないのです。

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『バレーペディア改訂版 Ver 1.2』 で提示した
【ファースト・テンポ】【セカンド・テンポ】の定義

✓ 【ファースト・テンポ】
    アタッカーが先に助走動作を行い、
    それにセット軌道を合わせる
ことで打たせるアタック          → 1960年代の〝個人技勝負〟のコンセプト)

✓ 【セカンド・テンポ】
    セット軌道に合わせて
    アタッカーが助走することで繰り出すアタック
        ( → 1970年代のセッター起点の〝コンビ・バレー〟のコンセプト)

相手のブロック戦術にどう対抗するのか?
    に関する両者のコンセプトの違いを明記しました


『バレーペディア改訂版 Ver 1.2』において
【テンポ】の定義を大幅に見直した理由

✓ 初版の『バレーペディア』(2010/05) では、
  【テンポ】 を
  「セット・アップからボール・ヒットまでの時間の長さ」
   と定義したため、各【テンポ】の違いが
  「時間の長さ」の違いでしかない、かのような誤解を招きました。

✓ セット・アップ後のプレー動作に要する経過時間さえ短縮できれば
  【ファースト・テンポ】が繰り出せる、という誤解が蔓延し、
   アタッカーの個人技で相手のブロッカーと勝負するという、
  【ファースト・テンポ】が持つ本来のコンセプトが忘れ去られる
   結果に陥ったのです。


〝1秒の壁〟〝1.1秒〟〝0.8秒〟

✓ セッター起点の〝コンビ・バレー〟の意識が根強い
   日本のバレー界では、
   セッターのトスにアタッカーが合わせる
  【セカンド・テンポ】のコンセプトから抜け出せず、
  「セッターが上げる〝速いトス〟をアタッカーが打つ」という、
   いわゆる〝はやい攻撃〟のコンセプトが生まれました。

✓ 〝1秒の壁〟〝1.1秒〟〝0.8秒〟
   という言葉に象徴されるように、
  セット・アップから何秒で打つという行為自体が〝目的化〟し、
   アタックの目的が何だったのか? が忘れ去られる事態に陥りました。

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〝はやい攻撃〟のコンセプトが招いた〝悲劇〟(その1)

✓ 助走動作を削れば、アタッカーは
   全力でジャンプすることができなくなります。
   そうやって自身の打点高を犠牲にしても、
   リード・ブロックに効果的な踏み切り動作を達成できないため、
  「得点を奪う」というアタックの目的そのものを
   叶えることができません。

✓ そのため、助走動作を削っても
   自身の持ち味を最大限近く発揮できる〝特殊な能力〟
   を持った選手
でなければ、   リード・ブロックに効果を発揮するスパイクが
   打てない状況に陥っています。




〝はやい攻撃〟のコンセプトが招いた〝悲劇〟(その2)

✓ 日本の長身選手は
  俊敏な動作を苦手とする選手が多く、
   〝はやい攻撃〟のコンセプトでは、
   助走動作に要する時間をうまく短縮できません。
   そのため、日本のバレー界では
  「長身選手は〝はやい攻撃〟が苦手である」という
   〝神話〟が生まれ、
   そのせいで過去に何人もの有望な長身選手が、
   活躍の機会を失いました。

✓ 真実は、助走動作に時間を要するなら
  それに見合うだけ助走動作を開始するタイミングを
   早くすればいい
のであって、   決して助走動作を削る必要はないのです。


〝はやさ〟とは「誰にとっての〝はやさ〟」なのか?

✓ リード・ブロックに効果的なスパイクとは、
  ブロッカーが〝速い〟と感じる攻撃のことであって、
  本当に必要とされる〝はやさ〟は、
  アタッカーにとっての〝はやさ〟ではなく、
  相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟なのです。

✓ 相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟
  を達成するには、
  ブロッカーがセット・アップを確認してから
  でないと動き出せないことを逆手にとって、
  セット・アップ前に十分に時間をかけて
  助走動作を行う
方が理にかなっています。
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アタッカーに要求される条件とは?

✓ いわゆる〝ブロックが完成する前に打つ〟とは
   ブロッカーが届かない高い位置からボールをヒットする状態
   を意味しており、
   アタッカーには、セット・アップよりも前に
   十分な助走距離を確保して全力でジャンプし、
   自身の最高到達点でボールをヒットすることが要求されます。

✓ リード・ブロックに効果を発揮するファースト・テンポを
   繰り出すためにアタッカーに要求されるのは、
   特殊な能力を持った選手しかできないプレーではなく、
   しっかり助走して全力でスパイクを打つという、
   誰もが達成可能な〝あたりまえ〟のプレーなのです。


ファースト・テンポと〝はやい攻撃〟は
全く別のコンセプトのアタック戦術である
という真実を、実感頂けたでしょうか?

(③へつづく)


(2012年)

ちょっと昔の世界のバレーをながめて

(▼ 今改めてみると、ある意味豪華な顔ぶれですね~)



(▼ 当時のソ連女子チーム シビレます)





(▼ 世界の転換点のひとつとなったアメリカ男子)


(▼90年代女子最強だったキューバ)





(▼スター軍団だったイタリア男子)




さて、2008年北京オリンピックのブラジルとアメリカの試合です。やっぱり、オリンピックはスポーツシーンでは、大きな目標であり、節目であり、ターニングポイントです。2000年代になって世界のバレーを牽引してきた、男子ブラジルのバレー。豊かな攻撃力、卓越したセッター、機能的なリベロ。個々の素晴らしい能力もさながら、その組織力は、圧倒的でした。そこに、アメリカが立ちはだかりました。そこから少しずつ、新たな歴史が動きだしたように思います。







(2012年)

2014年8月3日日曜日

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』 90号

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』
90号(今月号)の特集「東京五輪までにやるべきこと」に、
ちょっとした記事を書く機会を与えていただきました。

コーチング&プレイングバレーボール(以下CPV)は、
バレーボール・アンリミテッドが奇数月1日に発行している隔月刊誌です。
年間6回発行されます。CPVは書店での取り扱いはなく、
インターネットでの販売がメインとなっています。

バレーボール・アンリミテッド WEB SHOP

PDF版ですとより安く、すぐ読むことができますので、
ぜひこの機会にご覧になってください。

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目次

【特集】東京五輪までにやるべきこと

●五輪招致とバレーボールにとってのチャンス/荒木田裕子 2
●東京オリンピック・パラリンピックに向けて新しい時代にふさわしいコーチングを/森岡裕策 6
●スポーツ界をリードする日本のバレーボール/永井洋一 8
●基礎体力・基礎運動能力の再認識/小川良樹 11
●バレーボールの魅力再構築/佐藤直司 14
●CPVからみた日本の課題/河部誠一 16
●東京五輪までにやるべきこと 21

●データから見るバレーボール/佐藤 文彦 30
第6回 個人成績を評価する

●バレーボールの基礎トレーニング/大石 博暁 34
第22回 バレーボール選手のウォーミングアップ

●新・スポーツ栄養学/杉山 明美(すぎやま あけみ)氏 38
〜ストレスを抱えた選手への栄養改善アプローチ〜

●脳神経科学をバレーボールに活用するヒント/野 淳司 40
第15回 「サボり」を脳から見てみると

●ジュニアバレーボールの指導と実践/工藤 憲 42
第21回 リードアップコンテスト

●インフォメーション 46


(2014年)