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2020年12月31日木曜日

ありがとう2020、ありがとうHykyuu!!!(ハイキュー!!)

コロナにはじまりコロナで終わりそうな
コロナに振り回された今年2020年
バレーボールを愛するみなさんにとりましては
どんな1年になったでしょうか?

そんな今年2020年
本来は東京オリンピックが開催される
レジェンドイヤーになるところだったのに残念でした。
私は、バレーボールの話題でいえば
マンガ「ハイキュー!!」の大活躍を挙げたいわけたいです。

古舘春一さんによる累計発行部数5000万部を突破した
バレーボール漫画「ハイキュー!!」の最終巻となる
第45巻(挑戦者たち)が2020年11月4日発売されました。
烏野高校バレーボール部で出会った日向翔陽(ひなたしょうよう)と影山飛雄(かげやまとびお)を中心にに、高校バレーに青春を懸ける高校生たちの姿を描き出したマンガとなっています。

サッカーでいえば「キャプテン翼」が現代でも代名詞だし、
近年ではバスケットボール「スラムダンク」に心を震わせた人も多い。
マンガじゃないけど、ラグビー日本代表への注目もすごかったし・・・

そんな中、ずっと低迷しているいわれてきた日本のバレーボールの中にあって、このマンガの登場に幸せな気持ちになった人がどれだけ多くいることか。そして、描き方のいろんな要素によって、バレーボール愛好家やプレーヤー以外のハートもがっちり掴んだところも偉業だと思っています。感謝カンゲキ雨あられな思いです。


さて、最終巻になって「しまった」のにあたり、
これまでたくさんの喜びと感動を与えてくれたこの「ハイキュー!!」
このブログでもみなさんにお伝えするまでもなく、
多くの方が、その魅力を伝えて下さっているので、
リンクさせていただきました。みなさんありがとうございます!!

↓ ↓ ↓

徹底して「勝利」を描かないハイキュー!!は、何に挑戦していたのか


ハイキュー!!が色々と凄すぎるので、9つだけ魅力を語らせてほしい


有終の美を飾った『ハイキュー!!』 読者に示し続けた“挑戦する姿勢”の美しさ


ボールを繋げ!バレー漫画「ハイキュー!!」の面白さ徹底解説!


そこで、私も少しだけ独自の視点で書いてみようかなと思いました。

フィクションとリアルのコンビネーション

大リーグボール、魔送球、
スカイウィングシュート、タイガ―ショット・・・
一般的にマンガで描かれる事って、非現実的なことが多くて、スポーツマンガでも例えば自然科学を超越した必殺技みたいなものが登場したりするもんです。
 ですが、「ハイキュー!!」で描かれているバレーボールは、限りなくリアルなプレーやゲームの世界が描かれています。
 だから、バレーボールのプレー経験がある愛好家も、観戦ファンも、みんなすごく感情移入がしやすいんですね。

けっこうリアルにバレーボールの勉強になるよ

「ハイキュー!!」で描かれているプレーやゲーム(試合)に関する、用語みたいなものは、リアルなバレーボールのプレーで用いられているもの、もっと言えば日本のバレーボールにおける知識をアップデートした最新のものを実は取り入れています。
そして、ただ言葉を用いているだけではなく、もちろんその用語を用いるに至ったプレーや戦術の意味や考え方も、「ハイキュー!!」の中でしっかり描かれていると思います。
だから、「ハイキュー!!」は、純粋なマンガやアニメとしてもめっちゃ面白いと同時に、バレーボール、特に現代のバレーボールの今を理解する入門にもなると思います。バレーボールの勉強だと思って、もう一度読み直すのもオススメです! 

バレーボール関係者よく観るべし

 さあバレーボール関係者のみなさん(指導者や組織人やトップ選手)・・・「ハイキュー!!」は、日本バレーボールへのエール(チクリと提言)を投げかけていると思います。
 個性豊かないろんなチーム、選手、指導者が登場していきます。その中には、日本のバレーボールの伝統的なものから、これからの新しい時代に合わせて変わっていかねばならない方向性が読み取れます。
 技術論、指導論、戦術論・・・そして部活チームの在り方、選手の主体性や創意工夫の姿、試行錯誤や考えることの大切さ・・・。私は、「ハイキュー!!」は、今の日本のバレーボールのいろんな現実に、たくさんの示唆、提案、または喝や問題提起をしていると思いますし、そのようなメッセージを読み取ることができる作品だと思っています。 

みんなが主役、バレーボールに終わりはないよ

勝利完結、勧善懲悪、ハッピーエンド・・・よくあるような主人公のサクセスストーリーというひとくくりにはできない、いろんな味わい方ができると思っていて、観る人によって主人公が違ってくると言うか、「ハイキュー!!」というマンガで楽しむ人もいれば、バレーボールという競技で楽しむ人もいれば、選手目線、コーチ(指導者)目線・・・いろんなドラマがあると思います。
 そして、誰かが悪者であったり、誰かが傷つくようなことのない、ストーリーの清々しさみたいなものが感じられて、バレーボールを通して、多くの人がいろんな形での共感が得られたのではないかと感じています。私は個人的には、白鳥沢学園監督の鷲匠先生のストーリーがしみじみできて好きです^^
 私は、特に日本のアンダーカテゴリ(小中高校生のバレーボール)へ示す希望であってほしいです。
 


かつて野球では大谷翔平選手の活躍が「リアル・マンガ」だと言われましたね。
今、日本のバレーボールでは西田選手あたりがリアル「ハイキュー!!」といったところでしょうかね?
これからも、日本のバレーボールが多くの人に注目され応援されることを願いたいです。

とにもかくにも「ハイキュー!!」には感謝してもしきれない。
12月に発売された画集もゲットしてしまいました。もちろん全巻買っております。


そんなこんなの2020年もまもなく終わります。
2021年もみなさんとともにバレーボールを盛り上げたいです。
(東京五輪はどうなるのか??)
そして特に、日本の子どもたちに希望を与えたいです。
良いお年を!


(2020年)

2020年12月20日日曜日

第2回TETSUミーティング202012019 ~日本のバレーボールと技術

【TETSUミーティング】

と題し、
日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。
 今回はその第2回目の話題です。


第2回目のテーマは、
日本バレーボールの技術指導のこれからを考える」 という設定で、約30名弱の学生プレーヤーから各カテゴリの指導者、
さらには戦術系ライターやアナリスト、
レフリー(審判)、学者や教員にいたるまで 多岐の領域関わる方々に参加していただきました。

今回のミーティングのイントロダクションとして
私から、日本のバレーボールにおける従来から行われている技術指導について
プレゼンテーションいたしました。

当ブログの過去の記事の内容をもとにした
プレゼンテーションをイントロダクションとし
ディスカッションを始めていきました。
↓ ↓ ↓


それをしなくてもできること


前回、第1回目のミーティングでは、
日本のバレーボールの従来言われてきたところの
技術指導やチーム作りを見直し
近年再検討されてきた知見やグローバルスタンダードに近づく要素
による実践報告をもとにディスカッションしました。

それを受けての第2回目は、従来の日本の技術指導をどう見直すか、
こらからどうあるべき方向に向かわせるかというテーマ設定です。

・オーバーハンドパスは手首を柔らかく使って
・ハンドリングは、キャッチ&リリースの速度を速めて
・スパイクの打点は肘を下げてはならない肘を先に挙げて
・スパイクのジャンプ力を上げるため深く沈みこんで
・セッターは右軸で
・高く飛ぶためにスパイクは真上に跳べ
・とにかく「正面」でボールをとれ(ディグやレセプション)

こんなことを私も指導者駆け出しのころ
さも当たり前のようにようにレクチャー受けましたし
プレーされた方も多くの人は言われたのではないでしょうか?


それで・・・
ディスカッションを始めたのですが、
予定されていた2時間の設定の時間のほとんどは、

「オーバーハンドパス(セット)」についてで終わってしまいました。

それだけ、日本のバレーボール指導において
オーバーハンドパスやセットについては多くの課題があるだけでなく、
オーバーハンドパスの指導論を象徴として
従来の日本のバレーボール指導自体に多くの課題があることが明らかです。

乱暴になっちゃいますが、結論的なことを申し上げると、


この本をみんなちゃんと読んだか?(しっかり読めよ)
ということです。


オーバーハンドによるパスやセットの原理は、

「キャッチ→リリース」の手首のスナップ速度を速めたものではない

「手の形」を同じようにする必要もない



こういった情報だけでも、
ここ昭和から平成にかけて行われてきた
従来の日本のバレーボール指導がいかにアップデートされていないか
明白なはずです。
しかし、実態は、まだまだ従来の指導法が何の根拠や検証もなく
ただ、自分が教わってきた、自分が練習してできたという
経験とその感覚に頼った指導がなされているわけです。

ですから、日本のバレーボール選手そして子供たちは、
オーバーハンドパスが飛びません。キャッチ癖が抜けません。
柔らかい?美しい?オーバーパスができても
ヘイコウトスやクイックのセットができても
いつまでもオープントスやハイセットができない選手が多いです。

そしてこれは指導方法の問題にとどまりません。
日本のレフリー(審判)の判定の考え方やあり方
さらにはその判定に対する日本の指導者の態度
オーバーハンドパスのハンドリングに対する取扱いにおける矛盾
など
問題が複雑に絡み合っているという点にも議論がおよびます。

ハンドリングの反則(キャッチ)に対し
・判断に幅があるグレーゾーンなものなのか?
・グレーゾーンであれば反則に挑戦するようなことを指導していいのか。
・そもそもキャッチと言う反則をジャッジした審判を子どもの前で否定していいのか
・教育的配慮という名のもと、キャッチの反則を見逃していいのか

こういった風土が、技術指導に深刻な影響が与えます。

「オーバーパスは手首の柔らかなスナップで飛ばす」
「そのためのオーバーのハンドリングには筋力が必要」
「小さい子は筋力がないからオーバーは飛ばせない」
「うちのセッターはまだキャッチ気味だから反則とったら試合にならない」
「試合中反則取られ続けてその子が泣いてしまう」
「審判の判定が厳しすぎると文句を言う」
「気を遣って判定を緩める」

こんなことが、日本国中あちこちで発生しているなんて
異常なことだと思います。
そんなことで、日本代表がオリンピックでメダルと獲る日が来るのでしょうか?
(絶対くるはずがない)


 この動画をみて、日本のバレーボール指導に携わる方々は何を思うでしょうか?
 オーバーハンドのハンドリングを持つ持たないと文句言うだけで、
 研究で得られた知見をおさえることなく、誰かが言う謎理論を信じるだけで、
 いっこうにキャッチ癖が残って9M~10M~とハイセットできない選手を量産している間に、日本以外の海外の選手たちはどんどんスキルを上げているわけです。
 レフリーのみなさん、キョウイクテキハイリョという名のもと、ベンチにいる傲慢な指導者に忖度するのは終わりにしましょう。
 そして指導者は、スポーツであるバレーボールを指導する以上、「ルール」や「スポーツマンシップ」、「フェアプレイ精神」を順守すべきです。レフリーがキャッチと判定すればそれがキャッチという反則です。ダメなものはさせない、反則はさせないという「モラル」が欠如しています。
 バレーボール指導者は、よく、教育だの子どもを育てるだの言います。ところがそんな子供の前でハンドリングの判定に文句言ったり、キャッチの反則にわざわざ挑戦するようなことを教えることのどこがキョウイクなのでしょうか?

 一方でレフリーは、その試合がいわゆる「荒れる」ことへの問題意識や対策など目先のことを考えるだけではなく、例えばハンドリングのキャッチの反則に配慮や忖度をすることで、日本の選手たちがどんどん世界の中で遅れをとっていくということこそに「問題意識」をもってもらえたらと思います。
 だから、海外では小中学生などのアンダーカテゴリーでは6人制の全国大会をもたない、またはさほど重視していないわけです。むしろミニバレーや異種目のクロススポーツをさせる中で、時間をかけてバレーボールのスキルアップがより確実になるようにプログラム化しているのです。

 もう、答えは出ているはずです。

・力学などの知見による動作原理(実際何が起こっているのか)
・動作原理が達成されている場合の状態(外からどう見えるのか)
・プレーヤーの手ごたえ・実感(本人はどういう感覚なのか)

これらは、しっかり精査する必要があり
それぞれを互いに検証し合う作業がとても大事なのだと思います。

もう、~先生が言っているから、~高校がやっているから
それをそのまま鵜呑みにしたりコピーする「学び方」から
脱却しなければいけません。
私はそれは学んでいるとは思いません。指導者の怠慢です。

学びの材料はいまや、無料でインターネットからでも収集できます。
そしてディスカッションも誰でもできます。
みなさんでこれからも一緒に学んでいきましょう。
オーバーハンドパスの話題で盛り上がった第2回TETSUミーティング。
ご参加ありがとうございました。
この他にも、
・スパイクとスパイクジャンプについての見方・考え方
・ディフェンス時における構えの影響とあり方
なども話題になり
2次会も深夜までおよびました。

前回の第1回、今回の第2回のミーティングを通して
やはり私が課題意識をもっていたとおりのテーマが明らかになりました

●日本のバレーボール指導者
●何事も「世界」、「グローバル」への意識をもって
●知識理解のアップデート
●日本バレーボールのアンダーカテゴリ

これが、日本のバレーボールの発展における大きな課題です。

今後、月1回を目標に先着20名の募集で
ミーティングを行っていきます。
第3回目は1月の中旬~下旬に行う予定です。
TwitterやFacebookでも発信していますので、
要チェックお願いします。
たくさんのご参加をお待ちしています。
仲間を増やし、動きをつくり、日本のバレーボールの成長にみなさんで参加していけることが願いです。


(2020年)

2020年12月2日水曜日

バレーのつながりに寄せて~「未来を」 #バレーを語るアドベントカレンダー

  バレーを語るアドベントカレンダー2日目の記事にチャレンジさせていただきます。TETSUといいます。

 はじめましての方もいると思いますが、細々と10年以上にわたってバレーボールをネット上でも語ってきた者です。

 今年2020年もあと1か月を切り、ミキティーが主催するアドベントカレンダー(存在は知っていたが初参加)が登場すると、年末だなと感じる自分がいたりします。

 私は教師をしています。ですから、主にアンダーカテゴリーとよばれているような、つまりのところ小学生から高校生あたりまでくらいの将来ある子供たち、青少年たちのバレーボールをみることが多いです。まさに「師走」に入った今日、ちょっとはやいですが、私なりの「おっさんの主張」をさせていただきます。

 もうみなさん言わずもがな、今年は「COVID-19」に世界中が振り回され、当然日本のバレーボール界もこのコロナ禍に巻き込まれたわけです。

 「子供がかわいそうだから何とか大会を」
 「全国大会がなくなり、夢が絶たれた」

多くの人たちが、こんなことを言い悲しんでいました。
 もちろん、多くの時間と様々な犠牲や対価をかけて必死に努力してきた目標としていた大会が失われたことは、私も残念の極みですし、たまたまこんな年に巡り合ってしまった学年の子ども達には、何とか救いの手はないだろうか・・・そう思っています。

 しかし私は、むしろこの未曾有のコロナ禍における我々の経験は、未曾有であるがゆえの新しい価値観や知恵が生まれるべきだと考えてきました。

 大会がなくなったから代替大会を・・・一時期、一部の人たちの間では、ゼンコク大会をやるために「秋入学」にしようと主張していたのを目にしたとき、私は悲しい気持ちになったのです。もちろん子供たちに努力の成果を発揮できる舞台に立ってほしい・・・でも一方で、なぜ大人たちがここまでして、「タイカイ」、「ゼンコク」と騒ぎ立てるのか。
 これが、もう世間でもよく聞く言葉となった「勝利至上主義」のたまものではないかと思うわけです。

 子供たちが試合をしたいというのは自然のこと。
 でも、私たち大人は、子供たちのために何をすべきなのでしょうか?

 私は職業柄な考え方かもしれないけど、
 子供を笑顔にさせること、逆境に遭っても前を向かせること、そして学びや成長のお手伝いをすること・・・。決して「単に」子供たちに勝負をさせ、大人が一緒になって戦うことだけではない、大事なビジョンやミッション、バリューがあるはずです。

 今年は、益子直美さんの「絶対怒ってはいけないバレーボール大会」や、大山加奈さんが多方面でアンダーカテゴリの指導風土にアンチテーゼを投げかけてくださりました。

 しかし、私は日本のバレーボールが抱える問題や課題の大きな要因は、益子さんや大山さんが言っているように、子供たちとバレーボールの問題、アンダーカテゴリにおける日本のバレーボールに大きな問題があると考えます。
 そして、それは体罰、暴力、暴言、やらせ過ぎにによるバーンアウトや身体の故障・・・というみなさんが認知している問題以外にも、外には伝わりにくい様々な問題や闇があることを知っていただきたいのです。
 それらのほとんどは「大人の問題」です。指導者間のハラスメントやいじめ的な関り、支配的な指導者に逆らえない保護者、逆にモンスター化した保護者・・・。そういった大人たちのモラルの欠陥によって、子供たちが純粋にバレーボールを楽しめないアンダーカテゴリとなっているわけです。
 体罰や暴言は絶対に許されない・・・これを否定する人などいません。みんな知っています。でもまだまだ根絶できていません。それは、アンダーカテゴリの指導現場にある、ドロドロしたものが根深いからです。
 モラルだけの問題ではありません。・・・でもこれ以上書くと長くなっちゃうので、このブログの過去記事をご覧ください(笑)


 今でも印象に残る、昨年2019年のFIVBワールドカップ。
 日本代表男子チームの活躍に、低迷という長い長いトンネルの中にあって、希望の光が見えた気がして、久しぶりに日本のバレーボールわくわくしました。
 そして現在は、コロナ禍にあってもVリーグが、V1リーグのみならずV2リーグにまで注目と盛り上がりを見せるようになっています。海外からも著名な選手やコーチたちが日本に集結しています。うれしいです。
 
 代表、トップカテゴリ・・・少しずつ日本が変わってきています。

 ですが、日本の「アンダーカテゴリ」は、残念ながら取り残されたままです。歯がゆいです。
 Vリーグのチームは、アンダーカテゴリを配下に置くようになっているようですが、ただ練習やバレー教室をするだけではない、「本気の育成」をすべきです。でもまだまだそこまで手が回らない実情なのも理解できなくはありません。
 
 日本のバレーボールで頑張る子供たちには、これからも夢を追えるような、希望をもてるようなものが残っていてほしいです。ゼンコクタイカイもいいですが、それよりも大事な何か価値をもてるようなバレー界であってほしいのです。 


 みなさんはきっと、大学バレーやVリーグ、ナショナルチームの応援を通して、バレーボールの魅力を楽しんでおられるかと思います。
 ぜひ、これから先何年たっても、その魅力を味わえるようにしようじゃないですか。
 そして現状に満足せず、これから先はもっと日本のバレーボールの発展と進化をみなさんで支えていこうではありませんか。
 
 だったら、そのためには、「未来ある子供たちとバレーボール」に目を向けなければならないのです。
 ただ遊ばせるのでもなく、ただ楽しませるだけでもなく、

「日本のアンダーカテゴリのグローバルスタンダード化」
 
 を私は考えていきたいのです。

 もっともっと石川選手や西田選手みたいな選手が、そしてメディアでは多くは取り上げられてはいませんが、日本を飛び出し異国の地でがんばる日本人バレーボーラーが、さらには何歳になっても地域の体育館でバレーボールで汗をかいて笑顔で輝けるライフスタイルを・・・。

 その実現のためには、日本の「アンダーカテゴリ・レボリューション」が必須だと断言できます。
 そのために、私は2021年も何か行動できたらと思います。皆さんからもご支援やご声援いただけたらうれしいです。

 長文失礼しました。

 貴重な機会を与えてくれた、アドベントカレンダー主催のミキティーに感謝。

 みなさま素敵な年末をお過ごしください。

 TETSU

2020年11月29日日曜日

第1回TETSUミーティング20201127 ~日本バレーのアンダーカテゴリと育成を考える

 【TETSUミーティング】

と題し、

日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。

 今回はその記念すべき初回、第1回目の話題です。

第1回目のテーマ・話題は、

日本のバレーボールのアンダーカテゴリと育成」を考える

です。

初回なぜこのようなテーマにしたかというと、
多くの人が願う日本のバレーボールのさらなる発展における
課題や問題点となっている多くが、
小中高校生年代のアンダーカテゴリーにあるのではないかという
仮説とある程度の確信があるからです。

そこで、当ブログの過去の記事の内容をもとにした

プレゼンテーションをイントロダクションとし
ディスカッションを始めていきました。

↓ ↓ ↓

もしもゼロからチームをつくってみたら(2年半の総括)

(バレーボール学会)育成世代におけるこれからのあるべき指導考察


プレゼンテーションでは、従来の日本的なバレーボール指導スタイルから
可能な限りアップデートした長期スパンでの実践例を通して、
それでも確実に子ども(選手)は確実に育つ
ということに共感をいただけたと思います。

また、日本と世界との関係や比較にも話題が及び、
ポーランドの育成システムの実際やカナダの育成プログラムなどが
例として挙がり、日本では行われてないことの中に
日本のアンダーカテゴリの課題解決のヒントになることが
たくさんあることも見えてきた気がします。

●子供たちに何を経験させるのか

 ・バレーボール(スポーツ)を楽しむこと

 ・学び方を学ぶこと

 ・楽しさから学ぶこと

 ・目標やチャレンジに向かう試行錯誤


●楽しませる「有能さ」「関係性」「自律性」

 ・カナダの育成「FUNdamenntal」というビジョン

 ・ケニア女子代表の選手たちのバレーボールへの姿勢

 ・仲間がいる、人から認められる「楽しさ」

 ・上手くなった、できた時の喜びがある「楽しさ」

 ・自分(たち)で決めて主体的にトライする「楽しさ」


●日本に足りない底辺の拡大

 ・競争と選抜強化による選手のふるい落としの現実

 ・アンダーカテゴリで普及していない「リーグ制」の有用性
  (北海道釧路市の中学女子バレー「丹頂リーグ」の実践紹介)

 ・6人制にとらわれない、フレキシブルなアンダーカテゴリーのルールづくり

 ・2on2、3on3(ミニバレー等)などの有用性

 ・「システム」(4-2システムにとらわれない)発達段階の設定


●日本の技術指導への疑問

 ・ディグやレセプションの「正面指導」

 ・オーバーハンドパス、セットの「柔らかいハンドリング指導」

 ・若い年代では世界でも強いが、トップにいくほど世界に勝てない理由

 ・海外のジュニアチームのチャンピオンシップなどではオーバーハンドのキャッチぐせのセットさせることなくアンダーでセットしている


(↓動画はディスカッションになった話題に関係しそうなものを掲載)




 30名を超える参加者による、
 大変濃密なディスカッションや意見交流で、2時間あまりの時間があっという間に過ぎ去りました。ありがとうございました。
 「2次会」も引き続き設定され、深夜までバレーボールを語り合える場となったようです。

 第1回目のTETSUミーティングでは、
 やはり考えていた通りの仮説、
つまり日本のバレーボールの現状か抱える課題や問題の多くが
アンダーカテゴリーの環境や指導風土に起因していること、
そして薄々ではあっても、年々その閉塞感に気付き始めている人が
増えているということも実感できました。
「勝つ喜び」ということがよく言われているわけですが、
極端な話、些細な場面でも
例えばジャンケンで勝っても、トランプのババ抜きで勝っても、
みんな喜べるわけです。
そう考えると、楽しさや喜びはもっともっとたくさん
バレーボールのアンダーカテゴリに提供されなければいけないと思います。

楽しいからやろうとする、やろうとするから学びたいと思う、

学んでいくからスキルアップや成長をしていく

そしてその先に目標達成や勝利という何らかの結果が出る。

日本のバレーボール、特にアンダーカテゴリでは、
指導の「目的」と「目標」の混同や混乱、
「目的」のなさ、「目的」の脆弱さ、
によって、いろんな指導体質となって表出しているのだと思います。


そんな話題にまで至った第1回TETSUミーティング。
ご参加ありがとうございました。
今後、月1回を目標に先着20名の募集で
ミーティングを行っていきます。
第2回目は12月19日(土)20:00~予定です。
TwitterやFacebookでも発信していますので、
要チェックお願いします。
たくさんのご参加をお待ちしています。
仲間を増やし、動きをつくり、日本のバレーボールの成長にみなさんで参加していけることが願いです。


(2020年)

2020年6月7日日曜日

Let's defeat Coronavirus by staying at home.(#コロナに負けない)

また、みんなとバレーボールがしたいです。

でも今は、みんなと集うのは我慢して、
自分一人でがんばれることをやっていこう!

いつかまたバレーボールでみんなに会えることを
楽しみにしています。

コロナにうち克とう!

















(2020年)

2020年5月3日日曜日

ポーランド滞在記雑感

勢いで、バレーボールを観るために数日間ポーランドに飛び込んでみました。

 私の課題、テーマは、「育成」やその「システム」において、日本にはないものがポーランドにあるかもしれないということ。そしてもう一つは、ともすると、日本のバレーボールの低迷の中にあって、何でもかんでも日本はダメ、海外が素晴らしいという偏った見方ではない、日本のバレーボール界がもつ、潜在的な可能性や良さを見出せないかというものでした。


日本の良さ・・・
 やはり、施設、環境面は圧倒的に恵まれた環境にあると思います。学校をベースに、どの体育館にもバレーボールコートは作れますしボールもあります。学校が中心に少年団や部活動としてチームが存在し、しかも施設使用料や月謝みたいなものはほぼなし。コーチングスタッフも無償でやっている場合が多いです。競技人口も圧倒的に日本の方が多いですし、子供からママさん、年配の方まで、いろんな形のバレーボールスタイルで練習やゲームをしている環境が日本にはあります。またアリーナの設備も圧倒的に日本の方が整っているのは間違いないでしょう。

 日本で提供されるコーチング(指導)は、個々の指導者のバレーボールに注がれる熱意からくる、研究熱心さによるものが大きいです。さほどコーチングを学んだりアップデートできる公の機会が多くない中で、それぞれが自分の経験や人脈を駆使した研究によって、無償に近い中で提供されています。ですから受益者である選手や保護者にとっては、比較低いコストでコーチングを受けることができると思います。


ポーランドを訪問してみて・・・

 たびたび述べさせてもらっているとおり、1970年までは日本とポーランドの男子バレーはともに肩を並べて世界のトップを争いながらも、80年代~2000年代初頭はなかなか世界の頂点には立てていなかった中、ポーランドは近年、世界のトップに返り咲いています。そして日本は低迷を続けてきました。
 ですから、ポーランド国内でのバレーボールに何か日本にはないものがあるのではないか?というのが個人的な関心と仮説的なテーマだったわけです。

・国民的人気スポーツの確立とプロモート

・プロリーグの活性化と改善

・代表強化につなげるための育成

・トップから系統的に構築するアンダーカテゴリの指導システム

・コーチ(指導者)の資格、評価

・競技経験者だけじゃなく、教育、メディカル、運動学・・・多角的な分野との連携

・連盟(協会)の弛まない向上心と改善マインド

・青少年年代への配慮とモチベートの工夫

・他国の情報収集、他国指導者間のセミナーなどでの情報交流

 やはり、長期的な視点に立った、スケールの大きいビジョンと構想、そしてそれを実現すべく大きなくくりで人々を結び付け巻き込んでいく・・・そういったアクションを組織が率先して行う。組織は、代表監督やリーグ指導者の意見を取り入れながら、より良いものを追究していく。こういったものが原動力になっていることを肌で感じることができました。

 ポーランドにおける今やっている育成プログラムやシステムが動き出したのが2000年代に入ってからとのこと。偶然のようで、やはり代表強化のタイミングにも重なるような気もするのです。

 日本は、バレーボールができる空間もあり、バレーボールをやっているプレーヤーも多い。そして選手たちを導こうとするコーチング(指導)をやっている人も多い。

 しかし、残念なことに(批判的になってしまうのが本意ではないが)、個々の熱意や研究心、モチベーションは高いが、そのベクトルや目指すゴールがあまりにもバラバラであり、日本のバレーボールというものが一枚岩になっていないのは明らかな気がします。

 指導内容も体系化されたものがあるわけでもなく、全国でシェアされているシステムがあるわけでもない。個々の指導者、それぞれの学校やチーム、それぞれの都道府県・・・思惑も指導理論も、目指すバリューやビジョンもばらばら。その中で、得てして対立や摩擦を生むことも多い。各カテゴリの間が分断されており、それぞれのカテゴリが独自の進化?迷走を続けている状況が続いているように思えるのです。

 競技(愛好者)人口が多い割には、代表チームやリーグへの関心も高いわけではなく、そこに対する組織のビジョンや熱意もいまいち見えてきにくい。

 こうやって記述していくと、あれもないこれもないという無い物ねだりだったり、ああしろこうしろという他力本願的な中身になってしまうのですが、でも個々の環境でがんばるだけでは、海外には追いつけない状況になっているんじゃないかと思うわけです。

 日本には、他国に比べても、潜在的なアドバンテージや資源や条件がまだまだ残されていると思うわけです。足りないのは、それらをどのように生かし結び付け、コーディネートし組織化するか。ミクロな部分で個別にバラバラ取り組むのではなく、十分研究され練られた構想を同時多発的に日本全国で展開できるか。
 今回のポーランド訪問にあたり、何人かの海外でのプレーでがんばる選手の方とも連絡を取りました。我々が思う以上に、海外でプレーをがんばる、がんばろうとしている日本人が多いのです。そして近年では、日本国内のVリーグにも、海外選手やコーチたちが多くやってきています。
 そういったものを良き資源とし、生かし、積極的に吸収しそれを日本全国に拡散させていく必要性が、組織や指導者、愛好家やファンの中から生まれてくることを期待して止みません。

(2020年)

2020年4月4日土曜日

ポーランドへ行ってみた④

2020年2月のポーランド訪問記③

 今回の滞在の仕上げはポーランドのプロリーグ、プルス・リーガの試合観戦。
 スケジュールの関係で滞在先のワルシャワでの試合はなく、この日は首都ワルシャワからバスで2時間弱走ったところにある、地方都市ラドムでの試合。ホームとなるラドムの対戦相手にリーグ首位でアナスタシ監督率いるワルシャワの対戦でした。

 自分なりの滞在のストーリーは、アンダーカテゴリのチームの練習→U18強化の現場の練習→そしてシニアのトップチームの試合・・・という流れで見学することができる中で、何か系統性や取組の方向性を見出せたらと思っていました。
 ポーランドでは、サッカー、バレーボール、スキージャンプの3つが国民的人気スポーツだとか。その中でやはりサッカーの人気が強く、国内の大きい都市にサッカークラブのホーム、バレーボールクラブはサッカーに比べ地方にある比較的小中規模の都市をホームにしてある種の共存を図っているとか。実際、今回行けたラドムという都市も、かつて州の統合以前は州都で栄えていたそうですが、現在は州統合の影響もあり少しさみしい地方都市となっていました。アリーナも日本の小さな町村でも珍しくない普通の体育館でした。ですが、試合は地元ファンを含め、ほぼ満員状態。熱気あふれるサポーターの応援がありました。



(ヨーロッパの街並みを味わいながら少し散策)

さて、試合観戦。やはり老若男女、幅広い年齢層の人々が試合観戦をしていました。
小さなアリーナとはいえ、地方都市での試合でこれくらいお客さんが入るというのは、日本国内のリーグでもそうそうないんじゃないかなと思います。人々は、オラが地元のチームの応援を楽しみにしている空気を感じます。


この日の試合は、①25-19、➁22-25、③25-21、④25-23でセットカウント3-1で、ホームのラドムが勝利。しかも、もつれた展開が多い接戦の中、アウェーのワルシャワの方がリードすることが多い中、ホームチームのラドムが我慢の展開の中から、粘っての逆転勝利。ホームのお客さんも大喜びで、私も近くのおじさんやおばさんとハイタッチやハグを求められちゃいました。
ここでの応援の熱気はなかなか日本では味わえない空気。日本もこうなってほしいなと願うばかりです。


 注目していたゲーム内容ですが、戦い方でいうと、オリジナリティーの対決というかチーム独自の戦術対別の戦術というよりも、双方とも戦い方はどっぷり四つ。というのもブロックシステムも、攻撃のオプションも両チームともむしろ標準化されたものを駆使して、それをいかに組み合わせ発揮させるかの戦いに見えました。
 そして、育成年代の練習で見てきたようなものの延長上、完成形とも言えるようなもので試合が戦われていました。おそらくトップから系統的にアンダーカテゴリに育成や強化策が下ろされているのではないかと推察されます。


 日本では、何とか先生の何とか理論とか、何とか高校何とか大学の何だかシステムと揶揄されることが多いですが、ポーランドに来て見た限りにおいては、そんな極端なゲームやプレーのスタイルはみられないように思います。もちろんここで見られたゲームの内容や駆使されているスタイルは、国際大会でも見られる、今の世界で取り入れられているものを自然に行っている印象です。
 今回は、時間に余裕がなく、短期の滞在でしたが、日本との比較において海外の試合、練習や育成の現場を観ることは大変有意義な財産となります。


(2020年)

2020年3月22日日曜日

ポーランドへ行ってみた③

2020年2月のポーランド訪問記③

 前日は、首都ワルシャワで活動する、U18のクラブチーム様子を見学し、いわゆるアンダーカテゴリー、育成年代の練習やコーチングの一端を観ることができました。

 ポーランドのバレーボールに関して、予てから私が関心を寄せていたことは、国際的な中での強化の成功と、日本との対比についてです。
ポーランドと日本は、男子バレーにおいて、1970年代に世界のトップを走っていました。ところが1980年代以降、旧ソ連の他に、アメリカやキューバが躍進し、その後イタリアに続いてオランダやユーゴスラビアなどのヨーロッパ勢が台頭します。2000年代はみなさんご存知の通り、ブラジル代表によって現代のバレーボールシステムが確立され世界を牽引してきました。
 ポーランド男子は、そのような情勢の中で2010年前後から世界のトップに返り咲いてきました。
 残念ながらその間、1970年代にはポーランドとともに世界の頂点を争い頂点に立った日本は現在もなお世界に溝を開けられています。ここにはどのような違いがあるのか?そして私の仮説は、特にアンダーカテゴリ、育成年代といわれるような青少年への普及や育成のシステムに、ポーランドと日本に違いあることをこの目で見たかったわけです。

(スパワにあるオリンピックセンターのバレーコート)

ポーランドバレーボールのトレーニングと開発のシステムは、その基礎・土台ともなっているる「スクールバレーボールセンター(SOS)プログラム」と、ポーランドバレーボール連盟が運営するバレーボール専門の「スポーツマスタリースクール」によって支えられているようです。

「SOSプログラム」におけるトレーニングは、地元のクラブで若者をトレーニングするコーチによって運営される、小学校のスポーツクラスに基づいているようです。

 
(「SOSプログラム」に関する資料)

「スポーツマスタリースクール」というのは、いわゆる高校生にあたる年代の、国内からセレクションされた選手が集まり、寮生活をともなった学校生活をしてバレーボールのより専門的な指導を受けるものです。男子はワルシャワの南西にあるスパワで、女子はクラクフの南西にあるシュチルクにある、ナショナルオリンピックセンターで専門スタッフの指導を受けています。そして彼らは、ポーランドリーグの2部に参戦をしています。その中からプロクラブやナショナルチームへの道にもつながります。



 ここに来ると、ポーランドの男子バレーボールの歴史が凝縮されています。多くの選手たちがこの地でトレーニングをしコーチングを受けてきているのがわかります。ここからも、長期的な展望にたって、計画的に選手を育成し、組織的なコーチングをしていることがうかがえます。


 この日の練習は、リーグ戦前日の調整のためのものだったようです。
  ・体力トレーニングをともなったウォーミングアップ
  ・シングルハンド限定のミニゲーム
  ・2対2のフロントコートでのミニゲーム
  ・6対6による、レセプションからのゲーム練習


 ポーランド国内からセレクションされた生徒たちだけあって、メンバーはすべて長身選手。フィジカルもしっかりトレーニングを受けていることがうかがえます。
 バレーボールスキルは、日本の高校生と比較してそれほど驚くようなスキルの高さが顕著というわけではないものの、全員がしっかり基本スキルを身につけています。日本でしばしば見受けられる、長身なのに動きが散漫で守備ができないなどといったことはあまりないようです。


 注目したことが、ゲームにおけるプレースタイルみたいなものに、系統性を感じたということです。前日見てきたクラブチームでやっていたこととも共通性があり、その後見てきたプロチームのプレーにもつながっているようです。これらは、単なるトレンドや指導者の思い付きでやっていることではない、系統的な取組を感じます。実際前日のクラブチームでのプレーよりも、スパワのセレクションチームの方が完成度も高さパワーにも磨きがかかっていました。
・シー アンド リアクト をベースにした組織的なブロック
・センターからのバックアタックが組み込まれいる
・センターからのバックアタックは、アプローチや打つ位置にバリエーションがある
・いわゆるBクイック的なセッターから距離のあるファーストテンポが軸
・オポジットのライトからのバックアタック

このあたりは、意図的なコーチングがされているように思いました。

 練習の最後に、ヘッドコーチから質問をたずねられ、恥ずかしいことに質問に困ってしまい、慌てて「選手の思考力」についてたずねてみました。そうすると、「何を今さら当然だろ!」みたいな返答されてしまいました。
 ゲームにおいて、選手が主体的に自ら考えをもってプレーをすることは当然のことであり、それをここでは教えることではない、というような返答でした。
 むしろ、高度な展開とやろうとする戦術を各々が理解し、その達成のために、場面で瞬時に最適な判断とパフォーマンスの発揮を行うこと、そのための果敢なチャレンジやトライから逃げないこと・・・そういったあたりへの要求があったように思います。
 コーチは、静かに見守ることが多い中、消極的なプレーや原則に反するプレーには即座に強い言葉がけをしていることもあります。それは感情的に怒るといったものではなく、しかしそれでもかなり緊迫感のある場面もあったりしました。
 こういったあたりも、日本での話題や議論がまだまだ未成熟なところもあるように思います。


 お邪魔したスパワのオリンピックセンターは、ワルシャワから車(高速道路)で1時間ちょっとの小さな町の中にあり、スパワの帰りからワルシャワに入った郊外にある、ポーランド連盟のオフィスに幸運なことにお邪魔することができました。


 今回お世話になった連盟のスタッフの方とお話していると、とにかく「ポーランドはまだまだ」、「ポーランドはこのままではいけない」といった言葉がよく聞かれ、現状に満足してはいけないという気概を感じます。
 ポーランドリーグの活性化や国際大会の開催などを通して、ポーランドは成長を遂げつつ、ここ10年間は育成プログラムの整備にも着手しました。2000年代当初活躍した選手たちの多くが指導者となり活躍しているようです。また、データーソフトの自国開発にも挑戦しています。また、海外との交流も大事にしており、そこでの情報交換やノウハウの交流も成功の一因につながっているようです。
 特にヨーロッパでは、各国・各地で、コーチたちのクリニックやレクチャーなどが多く開かれているようで、それらを通した交流や切磋琢磨も成長の大きな要因になっているようです。

 ポーランド連盟のオフィスに入って驚いた光景に出くわしました。オフィス内のドアに何やら、漢字の張り紙があったのです。そこには「改善」と書かれていました。


 これは、なんと、ポーランド代表監督のヘイネンが、ポーランドでものすごく強調している言葉なのだそうです。この「改善」という言葉は、世界の中で自動車生産のリードする日本の企業理念、組織理念の考え方が、世界中に広まっているなかで、ヘイネンも大事にしている言葉なのだそうです。
 最後には、ポーランドバレーボールの会長室にも入れてもらい、会長と面会もできました。会長室には、東京オリンピック出場権を得た試合後の際に使われた、ダルマが飾られていました。


 日本のバレーボールが、ポーランドをはじめ、他国から謙虚に学ぶべきことはたくさんありそうです。(連盟のHPでしょうかいしてもらえました)



(2020年)

2020年3月8日日曜日

ポーランドに行ってみた➁


2020年2月のポーランド訪問記➁
とにかく観光よりもバレーボールを観たくて。
しかも、プロ選手よりも、育成の実際を知りたくて。
この日は、ポーランドの首都ワルシャワにある、U18に相当するクラブチーム2つを紹介してもらい、午前・午後に分けて練習を見学してきました。いずれも翌日に大きな大会があるということで、調整練習でしたが、いい刺激をもらえた気がします。

この日の午前は、
KS METRO WARSZAWA というクラブチーム。
比較的最近できたチームらしいですが、現在はこのカテゴリではトップの位置にある強さをもっているようです。

・ボールなしでの体力トレーニング
・ボールを用いたウォーミングアップ
・サーブとレセプション
・レセプションからの攻撃パターンプラクティス
・ゲーム練習(テストマッチ)

といった内容で2時間程度、という内容でした。


特に重点を置いていたように見えたのは、
・ブロック練習
・レセプションからの攻撃パターン
 →セッターから距離のある1stテンポ+レフト+ライトのバックアタック
・3~4人でセッターを回している
というあたりでした。


この日の午後は、
MOS WOLA WARSZAWA というクラブチーム。
こちらは歴史が長いようで、
長年ポーランドのスポーツ、特にバレーボールの選手育成に貢献してきたクラブのようです。多くの代表クラスの選手やコーチも輩出しているようです。


練習の見学の前には、クラブの責任者の方から熱心な説明を受けました。
ポーランドでは、学校単位でやっているバレーボールプログラムがあるようで、日本で言う部活みたいな感じなんでしょうが、それが競技システムの中心ではないようです。
それとは別に、クラブチームがあり、そのクラブチームの中にも、バレーボールに重点を置いた「センター」的な役割をするチームがあるようです。


今回の訪問時期は、ちょうど学校が冬休みに入るのと重なったため、あまり通常のアクティビティを見学できませんでしたが、それでも午後の前半はU18の女子が数名参加し、個人練習をしていました。コーチとの関係もフレンドリーで、楽しく練習を開始するも、後半はスパイクのスイング動作やブロックのステップ練習など、個人練習に特化したクローズドスキルの練習がメインでした。


午後の後半は、U18の男子チームの練習。
こちらは午前のクラブチーム同様の大会直前の調整のためのチームのようで、たくさんの選手が集まって練習をしていました。
 ・ウォーミングアップ
 ・サーブ練習
 ・スパイク練習
 ・レセプションからの攻撃パターンプラティクス
 ・ゲーム練習(テストマッチ)
といった内容でした。

この日の午前と午後で見学できたクラブチームは、ポーランドの中でも強豪チームみたいでしたので、集まって構成している選手たちは、みんな高身長なメンバーでした。
また、セッターは複数人練習しており、ゲームにおけるバックアタックは当たり前のように組み入れています。特にセンターからと、オポジットによるライトからのバックアタックは標準的に行っている印象を受けました。


日本との比較において、
教育システムも違うし文化も違う。スポーツやバレーボールの環境や組織運営も違うので、アンダーカテゴリーやU18などのバレーボールについて、日本とポーランドを比較し、一概に優劣をジャッジはできないかもしれません。
しかし、トップカテゴリからアンダーカテゴリまでの系統性や連携が感じられます。
短時間のお話の中だけでの情報でも、スポーツクラブ、学校スポーツ、それらの中核となるセンタークラブ・・・U18の年代に用意されているバレーボールの場には、それぞれの担う役割とすみ分けがなされているようです。
日本で言う小学生年代U12までは、2人制によるミニバレーをやらせているそうで、6人制でのゲームはやらさていないようです。その代わり2人制のミニバレーは、全国大会もあるそうです。
日本で言う中学生年代になってからは6人制バレーボールへの移行していくみたいで、日本みたいに地区予選や全国大会、選抜大会みたいなものもあるそうです。
ただ、「部活」が競技の主要を占める日本のバレーボールの制度とは違うので、この日の取材だけでは、ポーランドの育成年代の取組の全体像は把握しきれませんでした。
ですが、ポーランドでもいわゆる「勝利至上主義」の弊害や、「保護者のヒートアップ」、「指導者の暴走」は、念頭にあるらしく、それらへの手当ても組織としてのプログラムとして構想に組み込まれているようです。

(続く)



(2020年)

2020年2月23日日曜日

ポーランドに行ってみた①

2020年2月。
わずかな日程ではありましたが、ポーランドに行く機会がありました。
その数か月前にバレーボールを介して知り合った知人から、年明け新年早々に連絡があり、ポーランドに行くから一緒にどうか?とのお誘いを受け、時間もお金もなく迷った末、こんな機会も滅多にないだろうと、勢いで行くことを決断。しかし、海外に行くことに慣れていることもあろうはずがなく、不安だらけの旅となりました。


 私がずっと抱いていた夢の1つに、バレーボールを学ぶことを目的に旅をするということがありました。これまで、日本国内はそれなりにバレーボールのおかげで旅をさせてもらえたので、いつかは異国の地を訪ねてみたい・・・。しかし自分のキャリアには実績も地位もコネクションもないので、あきらめみたいなものもあったのは事実で、自分みたいなのが海外だの、外国だの言うのは・・・という引け目もあったのですが、そんなことははかったです。行ってよかったです。



(ポーランド・アソシエーションのオフィス外観)

(ポーランド・アソシエーションのロビー)

 ポーランドは、今バレーボールの強豪国として注目されており、古くは1970年代に、当時の日本と並んで世界の男子バレーのトップにあり、2010年代になってから再び世界のトップに立ちだしています。個人的には、男子バレーでは日本と同じような歩み・・・つまりは70年代に一度栄光をつかんで以来、約30年以上は他国の背中を追う中、ポーランドは日本を尻目に世界のトップに返り咲いたことに関心がありました。そしてその要因には、外からは見えない強化や育成の仕組みがあるのではないかと考えていました。
 今回の旅は、日本人の知人以外に、ポーランド・アソシエーションのスタッフの方にも現地コーディネートで多大な協力を得て、育成年代からトップカテゴリの様子までを見ることができました。


(ポーランドのプロリーグ「Plus・Liga」の試合 ラドムVSワルシャワ)

 観光はほとんど設定せず、隙間の時間で、宿泊していたワルシャワを散策。旧市街を観たり、おいしいグルメや買い物ができました。ポーランドの食事は、日本人にはとても合うんじゃないかと思います。どれも美味しかったです。










それでは、ポーランドのバレーボール視察記の詳細は、また別の記事にてご報告します。


(2020年)