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2019年11月4日月曜日

「バレーボール」の手前にある大事な物(ヴォレアス北海道)

2019/11/02~ バレーボール「Vリーグ」(DIVISION2)

 ヴォレアス北海道の開幕戦そしてホームゲームとなる試合を旭川に行って2日間観戦してきました。札幌からは高速道路を車で走らせること2時間くらいかかる距離です。
チーム設立までの変遷やチーム設立後の過程など、同じ北海道に居て知っていることもありましたが、直に眼にはしてこなかったので、思い切って行ってみようと思いました。
正直、いろんな意味で感服、感動することが多く、大いに楽しめる空間を過ごすことができました。
【公式】VOREAS HOKKAIDO(ヴォレアス北海道)OFFICIAL WEBSITE
https://voreas.co.jp/

ヴォレアス北海道公式ツイッター
https://twitter.com/voreas_official

 自分が勝手に観て思ったことなので、ひょっとしたらチーム関係者の思いや意図するところとは外れているかも知れませんが、今回の現地旭川でのヴォレアス北海道のホームゲームから感じたことを記録しておくことが、これからの日本のバレーボールにはいろいろ有益になるだろうと考えます。

「バレーボールの普及と発展」、「バレーボールファンの拡大」、「バレーボールの面白さを知ってもらう」・・・。そして、「くくり」、「ファン層」、「○○推し」、「○○ヲタ」・・・。
 そういったバレーボールに関する様々なテーマや、人々の区分などを超えた何かが、そういったものを超えた人々を巻き込んでいく工夫や努力がいろいろ北海道旭川のヴォレアス北海道にはあるんだと思いました。

 何といえばよいのか・・・思考の転換、発想の転換みたいなものを個人的には感じたのです。問題指向型アプローチなマネジメントではなく、目標指向型アプローチ的なマネジメントとでも言ったらよいのか。それとも減点法的プランではなく、加点加算的プランニングというか。
つまりは、日本のバレーボール界は、組織も各チームでも、これまでもそれなりに、競技人口の減少やファンの減少、競技成績の低迷などに危機感をもち、アクションを起こそうとはしたのです。しかしそれらの多くはことごとく頓挫してきています。その多くの事例は、あれは無理だの、これは合わないだの、お金がないだの、チャレンジをさせる間もなく、「できない理由」ばかりを論じてきたのが大きな要因の一つだと思っています。

 ファンが少ないから増やしたい、バレーボールへの関心が弱いから関心を高めたい・・・。そういった問題指向的なアプローチではなく、地域にバレーボールというものを広めようとする中で、まずはダイレクトにバレーボールにつながる効果を考える前に、バレーボールというものを「きっかけ」または「媒体」として、いろんな立場の人々を、一つの空間に集め、そして繋ぎとめる・・・。「バレーボールの手前にある」人々のつながりを模索する中で、バレーボールがそのシナプス(つなぎとめるもの)となって、結果、バレーボールという空間や世界を人々がシェアしていくという発想を感じ取れたわけです。どうやったらバレーボールやチームに関心を寄せてもらうか?の前に、バレーボールという空間で、「あんなこともできるのでは」、「こんなこともやってみたい」・・・そういうものの積み重ねの上に、結果的にバレーボールが人々によって盛り上げられる、目標指向的なアプローチによる発想や、「まずはやれることからやってやる」という加点加算的なチャレンジが、ホームゲーム会場の随所に見られたわけです。


会場のレイアウトは、チームカラーや選手を大々的に表現されていて、否応なしにホームゲームの雰囲気ができあがっています。


グッズも買いたくなるようなデザインに凝ったものが多く、生産側とのタイアップやコラボレーションも考えられていて、商業的にもwin-winの構築を模索しているように見えます。グッズ以外にも飲食店ブースもあって、バレーボールの試合を食べ飲みしながら楽しめるようになっています。これらの購入には、キャッシュレス化を取り入れており、かなり先進的なものを感じます。


子供たちの活躍も印象的です。ダンスとバレーボールを融合して、子供たちがダンスを通して、バレーボールの世界やヴォレアスというチームの魅力にも引き込んでいるのがわかりました。子供たちの活躍は、彼らを見守る多くの大人にも波及していきます。こうして気付けば子供から大人まで、商業関係者からスポーツ関係者までが、バレーボールの空間に集うようになっています。


DJ、MCの軽快なアナウンスは、しつこ過ぎず、しかもバレーボールや選手ファースト。あくまでもバレーボールの醍醐味を伝えるという基本線をはずさない演出が、安心してバレーボールの試合観戦を楽しめる雰囲気になっています。BGMも老若男女みんながカッコいいと思える曲をチョイスし、会場の一体感とホームの特別感を演出しています。
場内にはスクリーンが設置され、選手達が出演する観戦案内や、カッコいい選手紹介、そして試合の実況映像や、会場のファンを映し出す演出など、国際大会顔負けの演出がありました。



もちろん、チームの方も見どころ満載の魅力十分。
 研究心半端ないエドHCをはじめ、トルコや台湾から海外選手を招へいしているだけでなく、道産子選手の活躍も目覚ましい。
ここが個人的には一番感慨深くて、これまでの北海道のバレーボール界は、北の大地で育んだバレーボール選手たちが、結局最後は活躍の場が故郷にはなく、故郷を離れた所で選手生命を終えなければならない寂しさが、きっと選手本人にも、そしてバレーボール好きが多い北海道民にとってもずっとあったのだと思います。それを打ち破っているのが今見せているヴォレアスの活躍なのではないでしょうか?
 チームは、見事に開幕ホームゲーム2連勝。会場にいた多くの人々が歓喜に包まれていました。個人的には、若くして台湾からヴォレアスに入団した張育陞(チャン・ユー・シェン)選手を観たくて来ました。若さに溢れた躍動感ある動きと、キレのあるサーブやスパイクは目を引くものがりました。かつては日本代表で活躍した古田選手の得点力も健在で、こうやって北海道で、しかも地方都市で、いいものを観れるのはしあわせなことです。



 アイドルやタレントによる観客集めをしなくても、自分たちの創意工夫とともに、自分たちの手でつくり、自分たちの足をかせいで、しかも「バレーボールファースト」を外さず、地元の人々を巻き込むことで、これまで長年日本のバレーボール界が頓挫してきた壁を打ち破ろうとしているのではないでしょうか?現役選手やスタッフのみならず、元選手やOBも盛り上げ役になっているのも印象的でした。
 きっと、私には見えていない、様々な障害や厳しい展望とも戦いながら、マネジメントとプロデュースをしていると思いますが、これからもヴォレアス北海道の取組には注目したいものがありますし、日本のバレーボール界に様々なものを投げかけるインフルエンサーとなってもらいたいと期待しています。(上から目線すみません)

 北海道に住む者として最後に・・・私たち地方遠隔地にいる者としては、東京や名古屋、大坂などの大都市圏に行かないと得られないいろんなものにあこがれてきたことがたくさんあります。見たくても見れない、会いたくても会えない・・・。
 どうか、これからは、北海道外のみなさんが、バレーボールを求めて北海道に足を運んでもらえたら嬉しいです。


(2019年)