「アスリートの魂」
レゼンデ監督が受け継いだ〝猫田魂〟
✓ 〝(猫田さんに)常に言われたのは
「全力で跳べ」ということ。
トスを見たり、高いところを見定めて助走を開始すると
ワンテンポ遅れてしまう。
そうではなくて、
「とにかく、お前がいい時に入ってこい、それに合わせるから」
と言ってくださいました。
そしてその言葉通り、きっちりトスが来たものです〟
(青山 信夫)
✓ 「基礎的なものをすべて日本から学んだ」
と語るレゼンデ監督が、
日本のバレー界から忠実に受け継いだものは、
紛れもなくこの〝猫田魂〟そのものだったのです。
(『JTサンダーズ・80周年記念誌』より)
戦術の変遷から見た、セッターに要求されるプレー
✓ 組織的リード・ブロック戦術が世界標準となって以降、
「セッターが放り上げる〝トス〟にアタッカーが合わせて打つ」
というセッター起点の
【セカンド・テンポ】のコンセプトでは、
ブロック側有利の構図が切り崩せなくなりました。
✓ 再びアタック側有利の構図を生み出すには、
セッターが攻撃の主導権をアタッカーに譲り、
アタッカーの持ち味を最大限に活かす
「お膳立て( = 〝セット〟)」に専念する
という 【ファースト・テンポ】のコンセプトが、
理にかなっていたのです。
今こそ〝トス〟から〝セット〟へ!
✓ セット動作を専門にするプレーヤーを
かつて「トサー(tosser)」と呼んでいた
日本のバレー界ですが、
現在では「セッター(setter)」という用語が
すっかり定着しました。
その一方で、「セット」という用語は浸透せず、
「〝セッター〟が〝トス〟を上げる」という、
ある意味矛盾した表現が一般化してしまっています。
✓ 「攻撃の起点であり主導権を握るのはセッターである」
という固定観念が幅を利かせる日本のバレー界では、
アタッカーのための〝お膳立て〟をするという
意味の「セット」という用語が、
浸透しなかったのではないでしょうか?
ブロッカーが振られる本当の理由は?
✓ 今のの動画から、ブロッカーが振られるかどうかは
セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間
とは無関係である
、 という真実がおわかり頂けるかと思います。
✓ リードで対応しているはずのブロッカーが、
どうしてこのように見事に振られるのか?
を理解するには、
リードで対応するブロッカーがどのようにして、
相手のセッターの出方やボールの行方に反応しているのか?
を理解しておく必要があります。
トム・ローガン選手は、なぜネットから離れたのか?
✓ ディグされたボールが高く上がったため、
倒れ込んでいた江畑選手含め他のアタッカー陣も、
時間的余裕が十分にありますが、
自分自身にセットされることを意識して
プレーしているアタッカーは木村沙織選手しかいません。
✓ これは、アタッカー全員が佐野選手のアンダーハンド・パス
によるセット動作を見て、誰にセットされるのかを
セット・アップ前に無意識に感じ取っているから
です。 そのアタッカーの動きや佐野選手のセット動作を観察し、
トム・ローガン選手はボールがセットされるよりも前に、
自身が反応すべき選択肢を減らすことが可能だった
のです。
セット動作における〝あたりまえ〟のプレーとは?
✓ セッターは、自身に要求される「正確さ」を損うことなく、
セット・アップの瞬間ギリギリまで、
セットできるアタッカーの選択肢を複数確保することが
可能
だからこそ、 オーバーハンド・パスを用いてセット動作を行うのです。
✓ セッターがオーバーハンド・パスを用いて
セット動作を行うのはなぜか?・・・
その理由を紐解いていけば、
レゼンデ監督が要求する
「手や体の動きからトスを相手に読まれないように」
というセット動作
が、 セッターに要求される〝あたりまえ〟のプレー
であるのは明らかでしょう。
【シンクロ攻撃】は高度なアタック戦術なのか?!
✓ 現在の世界標準である、組織的リード・ブロック戦術に対して
最も効果的な【シンクロ攻撃】でさえも、
アタッカーならびにセッターのプレーを
一つ一つ紐解いてみれば、
各自に要求される〝あたりまえ〟のプレーを
行っているに過ぎません
。
✓ ですから、その本質さえ理解していれば、
特別な身体能力が備わっていない女子中学生であっても
〝あたりまえ〟のように【シンクロ攻撃】を繰り出すことが
可能です。
ましてや、身体能力に優れた選手ならば、
バレーボールの経験年数が少なかろうとも、
簡単に達成できるはずです。
【シンクロ攻撃】=【〝同時多発〟位置差攻撃】
✓ 【シンクロ攻撃】に代表される、
現在の世界標準のアタック戦術の本質は、
セット・アップからボール・ヒットまでの
〝経過時間の短さ〟ではありません。
✓ 4人のアタッカーが主導権を握って、
セット・アップ前にスパイクを打つ気満々で助走し、
実際に誰がスパイクを打つのか、
ボールを打つ瞬間までアタッカーすらもわからないような
〝同時多発性〟を作り出すことで、
相手のブロッカーの選択反応時間を長くすることが本質なのです。
✓ 【シンクロ攻撃】に対してブロッカーが対応できないのは、
〝不意打ちのように〟
繰り出されるスパイクだから
であり、 その本質は〝速いバレー〟や〝高速バレー〟
という言葉で表現できるようなものではないのです。
資 料 提 供・協 力
本日の講演内容に、資料提供や図案作成などに関して、
ご協力頂いた皆様(敬称略)をご紹介します。
@ayanami2015, @P_206RC, @taknuno55, @PFH38th,
@ux3blust, @corapiston, @chochobibi, @toruvoov,
@hatsuharuya, @tamtam_twtr
その他、#vabotter(ハッシュタグ・ばぼったー)
で発言されてらっしゃる、大勢の皆様に感謝申し上げます。
・・・これからバレー界に必要とされる情報戦という
のは、ツイッターなどのSNSをいかに上手く有効活用で
きるかどうかを意味しています!!!
(資料紹介おわり)
(2012年)
0 件のコメント:
コメントを投稿