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ラベル バレーでこれから求められること の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2021年1月17日日曜日

第3回TETSUミーティング20210116 ~今年のみなさんにとってのバレーボールは?

 【TETSUミーティング】

と題し、
日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。
 今回は、新年2021年になって最初、第3回目の話題です。



第3回目のテーマは、
「2021年のみんなの思い」

という設定で、約15名の主に各カテゴリのコーチングに携わる方々でミーティングできました。今回は、参加者お一人お一人のお顔とお考えや気持ちが見えやすいように、定員20名という形で行い、結果的にコーチ(指導者)中心で、かつ広く各カテゴリで活動されている方々が集まることができたので、井戸端会議的なミーティングができました。今後もこのようなスタイルの他に、定員なしのプレゼン中心のミーティング等も設定していきますので、これからもリピーター、ご新規参加問わず、よろしくお願いします。


さて、新年一発目のミーティングということで、少し遅くはなりましたが、一人一人のバレーボールに対する今年にかける思い・・・決意、抱負、目標やビジョンなどを語り合うことから始まりました。さまざまなカテゴリ、レベル、実情の中にあるコーチのみなさんのお話は、バレーボールという共通のものを、いろんな目で多角的に見ることができ、自分にはない視点や新たな気づきも多く得られたのはないかなと思いました。

十数名の参加者の、アツい思いあるスピーチを通して、それぞれが今、これから、かかわる選手(主に青少年)たちをよりよい成長や目標達成に導きたいという願いが共通してありました。指導する以上は当たり前のことかもしれませんが、それらは単に「~まで勝つ」といった到達目標だけではない、バレーボールを通した活動の目的やその先にある将来像までを見据えたい。ただ従来の仕組みやスタイルではそれが難しく、試行錯誤しながら新たなチャレンジや取組をスタートさせたいという声が多かったです。
 
ミーティングでは、みなさんが発言しやすいよう、私が進行・ファシリテーター的な役周りで進めているのですが、みなさんのスピーチから、「短期」・「中期」・「長期」の3つの視点がバランスよく話題になっていたようなので、テーマをそれぞれに絞って、ディスカッションに進みました。
「短期」・・・今年1年を通して、選手たちが定める目標をいかにして達成させるか

「中期」・・・新たな組織やクラブチームの立ち上げを通して、バレー人口の拡大やバレーボールの楽しさや魅力を知ってもらう活動をしたい

「長期」・・・今の日本のバレーボール界が抱えるさまざまな課題や弊害・・・技術論や戦術論、フィジカル面やモラルにおける課題や問題を解消し、最終的には日本代表がメダルを獲って喜びを分かち合うべく、「アンダーカテゴリー」の仕組み、体系、文化を改革できないか。

こういった視点が参加者からまとめられた議題となってきました。
・指導者が抱えるチームでの指導期間で完結しない長期育成の仕組み
・発刊された「コーチングバレーボール」の普及と、続編となる実践編を出せないか
・現状の競技システムの中で、強豪伝統校チームで結果を出すための必要な心構えと見失ってはいけないこと
・バレーボールのゲームモデルの提案と、情報共有のポータブルサイトの実現
・指導者の欲求とメンタル、エゴに対する自問自答
・育成に意義のある、異種目経験
・ママさんバレーボールとバレーボール普及の重要性
・ビーチバレーから学べることの多さ
・バレーボールクラブにおける「遊び」の模索
・諸外国における育成プログラムに匹敵する日本版プログラムをつくれないか
・バレーボール以外の種目とのコラボ、タイアップ、協力の重要性

あっという間の2時間のミーティング、そして深夜に及ぶ2次会となりました。
2次会では春高バレー男女決勝をみなさんで実況・解説しながら技術や戦術を語りました。

ミーティングの詳細は、TwitterやFacebookで、
ダイジェスト版として動画配信を期間限定で行う予定です。ご覧ください。

参加された方はわかっていただけたと思いますが、
何も堅苦しくもない、みんなが話しやすい雰囲気で行われています。
知識がない、経験がない、わからないことだらけ・・・
それで参加をためらっている方・・・心配ご無用です。
むしろ温かく相談してくださる専門家もたくさんいますので、
ぜひミーティングにご参加ください。お知り合いの方もお誘いください。

次回は2月中旬~月曜を予定しています。
次回の設定は、20人「以上」(無制限)で募集し、
プレゼンやパネルディスカッション的形式から
みなさんで意見交流をしたいと思います。
具体的なテーマは、決まり次第SNS上でご案内します。

※ポーランドは下から上までのカテゴリの育成プログラムを確立し、そのゴールとしてナショナルチームを「私たちのチーム」として盛り上げています。


※カナダでは、バレーボールに限らずスポーツの横のつながりにおいて、アスリートのあるべき育成と成長を考えたプログラムが普及、機能しています。


日本でも、このようなコンセプトやシステム、組織ができないものか。そうしたら代表チームがもう一度世界の頂点で戦うことができるのではないかという願いと、その実現にできることはないかを模索する・・・それが私が投げかけたテーマであり、参加者かからも賛同を得ることができたことです。みなさん「この指とまれ!」お願いします!


(2021年)

2021年1月15日金曜日

春の高校バレー2021女子~むしろ洗練されたゲームだとも

ジャパネット杯 春の高校バレー2021 
第73回全日本バレーボール高等学校選手権大会

今年の女子は、どこが勝ってもおかしくないような、どの試合も熱戦が繰り広げられました。決勝は、就実(岡山)と大阪国際滝井の対戦となりました。

就実は、特に深澤姉妹の攻撃力が素晴らしく、OHの深澤めぐみ選手がレフトから打ちまくり、MBの深澤つぐみ選手も多彩なスパイクを放ち、チームの得点源になっていました。
国際滝井のOH中本選手を中心にダイナミックにスパイクを打ち込んで応戦していました。


 就実と国際滝井との女子決勝では、いわゆるエースバレー、レフトからのスパイクの打ち合い、パワフルなスパイクの応酬が中心となる試合展開でした。
 高校女子バレーは従来、セッターに正確な返球をし、いわゆる「スピード重視の展開」を作るべく、ニアネット傾向から速く低めのセット(トス)による、「はやい攻撃バレー」を志向する戦い方が目立っていたように思います。
 ところが近年は、例えば東京の下北沢成徳高校が、選手のフィジカルをしっかり鍛え、戦術以前の個人のパフォーマンスや強度、しっかり跳んでしっかり打つ、しっかり上げる・・・というチームが勝つなど、少し変化も見られてきました。
 そんな中、今年の春高バレーの女子の上位チームの試合を観ても、特に決勝は、はやいバレーとか高速バレーなどというネーミングがつくような戦術やコンセプト先行の戦い方ではなく、ゲームのラリーの中で、スパイカーがその選手のもつパフォーマンスをしっかり発揮できるような展開、不必要なスピード重視によるはやい低いセットによる攻撃とコンビネーションに固執しないオフェンスシステムが中心となった展開だったと思います


ともすると、エースバレーとか単調なオープンバレーという見方をする人もいるでしょうが、私は個人的には、高校生カテゴリは、競技における強化のゴールではなく育成途上であってほしいしあるべきだと思うので、今年の春高バレーの上位チームのバレーは、個人のパフォーマンスを犠牲にした戦術ありきの展開よりも、個人のパフォーマンスをしっかり発揮しようとする場面が多いゲームに、あるべき姿を見たような気がしています。右利きのOHがレフトからスパイクを打つとき、特にオープンやハイセットなどでは、かつてはストレート方向に打ったりブロックアウトでしのぐことが多かったのに対し、しっかりクロス方向に打ちぬく選手も増えたなと思います。

果たして、今年の結果は、コロナの影響による練習時間の確保やトレーニング不足などのために、本当は複雑なコンビネーションを要するような理想のバレーボールが間に合わなかった結果だったのでしょうか?完成するはずのゲームモデルが仕上がらなかったのでしょうか?

正直、一観戦者としては判断できかねますが、私はそう考えません。

むしろ、女子決勝の就実高校、国際滝井高校がみせたバレーボールは、まだまだ成長途中にある高校生プレーヤーたちに、限られた期間の中で限定的な戦術を用いたり、それによる限定的な技術だけを要求したりせず、しっかり守ってしっかり打つ、より高くより強くなどのような、当たり前・基本を追求したのではないかと考えました。


高校女子でもバックアタックやジャンプサーブも見られるようになってきました。概して女子バレーは、男子バレーの戦術や技術の後追い的に発展していくわけですが、それにしても高校バレーでは、女子のアップデートの余地はまだまだ大きいと思っています。

「女子は筋力がない」・・・などという考え方が女子的な女子固有の戦術として生み出されたり、そのことで先行した男子のゲームやプレーの考え方やモデルが女子に浸透していきにくい要因になっていると考えています。しかし、筋力がないというのは、「男子に比べて」というだけでのことであって、女子というカテゴリ内でのゲームにおいて、男子の戦術が不可能を意味しているとは言えません。
 例えば、バックアタックや、センター付近からの攻撃に対してブロックが1枚になるという状況はなかなか女子バレーでは解消されません。バックアタック自体も特定の選手しか繰り出しておらずその発生率もまだまだ低いです。オーバーハンドによるセット(トス)はキャッチ気味なハンドリングに依存しており、ハイセット場面はアンダーハンドになることも多いです。OP(オポジット)の選手の育成も遅れていると感じています。
 今年の就実や国際滝井による決勝戦から、いろんな戦術の取り方があれども、まずは選手個々のフィジカルやスキルのハイパフォーマンスを追求するという基本に立ち返ることで、アップデートが始まっていくのではないかと思います。

(※2000年シドニー五輪の女子決勝キューバが五輪3連覇)

動画は、もう20年前のものであり、プレースタイルも古く、一見懐かしさを覚えるゲーム展開です。バックアタックもまだまだ見られません(どうしてもロシアのカルポリ監督に注意が向いちゃう笑)。
 ですが、ここで見せているキューバ女子のリベロを入れていないツーセッターシステム(6-2システム)などによるゲームのスタイルは、中学バレーや高校女子バレーの育成の在り方という観点からは参考になるのではないかと、個人的には考えています。個々の選手がしっかり跳び、しっかり打ち、より強くより高くを追究、鍛えられているのがわかります。ここから20年の間、女子でも、バックアタックやバンチ・リードブロックシステム、オポジットの育成強化の採用などと進化が続いています。
 今後の高校女子のバレーボールスタイルのアップデートに注目していきたいです。

(2021年)

2021年1月14日木曜日

春の高校バレー2021男子~育成カテゴリと戦い方

ジャパネット杯 春の高校バレー2021
 第73回全日本バレーボール高等学校選手権大会

新型コロナウイルス感染症の影響で、練習時間の不足どころか、インターハイや国体など例年行われる全国大会が軒並み中止となり、この大会の開催自体も危惧されていた中で、残念ながら男子の前回優勝校の棄権がありましたが、決勝まで行いました。

近年は、野球の甲子園に限らず、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、高校生チームスポーツの全国大会がものすごく注目され盛り上がりを見せるようになりました。バレーボールも過去は3月に行われていた春高バレーも1月の大会として定着してきました。そして今年はコロナの影響で練習、遠征、そして大会とさまざまな制約・制限を受けてきた特に高校3年生にとっての集大成の大会となっています。ですから、社会的にはいろんな意見はあるでしょうが、こうして春高バレーが開催できたのはよかったですね。

さて毎年のことながら、春高バレーの試合を観ていると(といっても全ては観れていないが)、日本のバレーボールの特にアンダーカテゴリー(小・中・高校バレー)の現状や成果や課題を読み取れるのではと思いながら、注目しています。特に今年は、多くの示唆があったのではないかと考えています。

良し悪しや是非はさておき、
日本では世界の中でも小学生から競技スポーツとしてのバレーボールがさかん(熾烈な競争)で、アンダーカテゴリの技術やチーム力は高いと言われています。そういった中での集大成、ゴールとなっているのが高校生スポーツであり、花形となっている春高バレーに集約されているのかもしれません。

男子は、東福岡が優勝しました。1枚の得点力あるエースにボールを集め、そのために様々なフォローやお膳立てを緻密に行う練習をしてきたのかなと思いました。エースも聞けば、様々な課題を努力して克服しながらのエースとしての機能を果たしてきたようです。

決勝戦で対した駿台学園は、セッターのセット(トス)が縦横無尽で、アタッカー陣も多彩な攻撃を繰り出す。ブロックも組織的に行おうとする様子がみられ、チームビルディングを思考錯誤して行ってきたのかなと感じてみていました。また試合を通してポジションを変更するなど、アンダーカテゴリでありがちな、分業固定のワンパターン編成ではないところへの対応も良いなと思いました。
 準決勝で東福岡と対戦した清風も善戦、チャレンジングなチーム作りだったと思いました。また、東福岡の柳北くん(192cm)、高松工芸の牧くん(210cm)など、これまでにない大型、長身選手が、MBでブロックやクイックだけの限定的なプレーでとどまらず、バックアタックやディフェンスにも参加しているあたりも、過去には見られなかった近年の良い傾向であり、バレーボール指導者の選手の育成に対する意識も、従来のものから脱却し、将来性を伸ばす大きく育てる指導ビジョンが芽生えてきているように感じます。


高校バレーにおける戦い方のトレンドとは?

 東福岡のバレー、駿台学園のバレー、清風のバレー・・・いろんな戦い方やスタイルに違いあります。チーム戦で競い合う以上、打ちだす策やシステムに違いがあるのは当然なことでもあります。
 中学や高校バレーではしばしば、どの策がどの戦術がふさわしいのかなどと禅問答的な議論みたいのがあって、例えばエースバレーなどのように1枚か特定の選手のスパイクに依存したスタイルが、他の選手の育成を置き去りにしているかもしれない、戦術的な思考の成長を止めているかもしれないという疑問や、特定の選手にかかる負担やオーバーワークによる将来性が狭まる懸念。
 逆に、トップカテゴリへつなげる将来性を見据え、積極的にブロックシステムやオフェンスシステムを構築構築して、思考力を高めることの大切さがある。一方でそれが勝敗のアドバンテージになるかといえば、そういう確実性を担保するものではなく、シンプル(シンプルに戦うために緻密に作られたチーム)に敗れることもよくあるわけです。
 チェーンブロック、スタックブロック、サーカスバレー、立体バレー・・・様々なネーミングのもとで、毎年勝っているチームのスタイルにはかなり違いが見られます。ですから逆に言えば、その目まぐるしく変わるスタイルというのは、トレンドとまでは至らない状況であるものであって、この高校生カテゴリでは、まだまだ育成段階の一通過点だからこそ、スタイルが何かに収束・精錬されていくことがないのではないだろうかと考えるわけです。育成途上だからこそ、それぞれの地域やチームに、チームの勝敗を左右する「変数」的な要素(人・数・能力・環境・戦術・・・)が多くあり過ぎて、何を目指せばよいか・・・という絶対的正解が見いだせない、エースバレーで勝つかも知れないし、個人に依存したシステムで勝つかもしれないし、組織や戦術の構築で勝つかも知れない、複雑な攻撃パターンで勝つかも知れないし、ディフェンシブな戦いで勝つかもしれない。
 ですから、特に小中高校バレーの指導者は、春高バレーから参考になることはたくさんあるけれども、その年の勝ったチームの、見た目のスタイルやカタチだけに注目せず、いろんな人と議論をしながら、それらの基盤にある重要性をみんなで探していくことが重要です。

選手たちのゴールについて

 春高バレーが、小中高校と頑張ってきたプロセスの大きな目標や夢の舞台、大学やVリーグや代表に向けたスタートや登竜門・・・いろんな位置づけがあってもいいのだと考えます。
 ですが、個人的に考えているのは、春高バレーがある種の最終ゴール化することで、チームの中で主力・控えの区分けが発生し、そこに経験値の差が広がり育成や成長に差が発生したり、その後バレーの道を続ける者と続けない者との差、特に高校以後バレーの道が閉ざされてしまう選手の方が多いという現状があるのではないかということです。
 指導者や保護者、メディア・・・高校生スポーツを見守る大人の問題かも知れません。バレーボールを始めて練習やプレーを頑張っている大変多くの子供たち選手層のピラミッドの頂点ばかりに目がいきがちです。とはいっても、先ほど述べたように長身選手をしっかりオールラウンドなスキル育成をさせようという機運も生まれてきていますが、それも一握りのタレントが対象になっているに過ぎないです。
 ゴールにもいろんなゴールがあっていい、でもふるい落とすようなゴールではなく、自分が目指したい方向で目指したい人は広く多く目指せるようにしてあげる環境やシステムを作らねばいけないのではないでしょうか?少なくとも、日本以外の国ではそういった取り組みがなされ、何年かかけて代表チームの成果につなげていると思います。

アンダーカテゴリやらねばならないこと

 現状、小中学バレーの指導現場の実態は、すべてではないものの、いかに指導した選手がチーム出身の選手が、春高バレーで活躍する強豪校に選手を送ったか・・・というのが、一つの実績かのように考えられており、高校としても少しでも選手の獲得のためには求めている関係性となっていると思います。
 先に述べたように、春高バレーという素晴らしい舞台のレベルであっても、まだまだ育成の発展途上であり、戦術等には普遍的な集約や定着がなされにくい。だとすれば、まずもって求められるビジョンは、「個の育成」、バレーボールのトレーニング(練習)を積む子供たちには、広く全員にオールラウンドかつ、ボールコントロールスキルだけではない、認知や判断能力、セルフマネジメントとしてのスキルアップがなされることではないでしょうか?
 何年に一度巡り合うか合わないかの大型選手や高い身体能力をもった選手を見つけた時だけオールラウンドな育成に着手するのではなく、アンダーカテゴリの重要なコンセプトの一つに、しっかりと「オールラウンドな個の育成をすべての子供たちに」を位置づけるべきだと思います。
 そうすれば、190㎝、200㎝越えの高校生がレセプションやバックアタックをしても何の驚きにもならない時代になると思うし、実際海外ではそうなっています。もはや小柄な選手は動きが機敏で巧い、大型選手は高さはあるが守れない・・・そういう時代はとっくに終わっているのです。

(217㎝のムセルスキーが難しい体勢からのナイスセット)


(リベロは子供の時から守備専門をするわけではなく・・・)


(リベロはセッターの役割も・・・ゆえにオーバーハンドのスキルも)


(バレー選手である以上スパイクはみんなできるようになってこそ・・・)


今年の春高バレーの男子高校生たちは素晴らしいバレーを随所に見せてくれましたし、新しい現代バレーに戦術や選手育成の面でチャレンジをしている指導者の方に敬意を表したいです。さらなるチャレンジと本気の育成が日本全国に広がることを願っています。


(2021年)

2020年12月2日水曜日

バレーのつながりに寄せて~「未来を」 #バレーを語るアドベントカレンダー

  バレーを語るアドベントカレンダー2日目の記事にチャレンジさせていただきます。TETSUといいます。

 はじめましての方もいると思いますが、細々と10年以上にわたってバレーボールをネット上でも語ってきた者です。

 今年2020年もあと1か月を切り、ミキティーが主催するアドベントカレンダー(存在は知っていたが初参加)が登場すると、年末だなと感じる自分がいたりします。

 私は教師をしています。ですから、主にアンダーカテゴリーとよばれているような、つまりのところ小学生から高校生あたりまでくらいの将来ある子供たち、青少年たちのバレーボールをみることが多いです。まさに「師走」に入った今日、ちょっとはやいですが、私なりの「おっさんの主張」をさせていただきます。

 もうみなさん言わずもがな、今年は「COVID-19」に世界中が振り回され、当然日本のバレーボール界もこのコロナ禍に巻き込まれたわけです。

 「子供がかわいそうだから何とか大会を」
 「全国大会がなくなり、夢が絶たれた」

多くの人たちが、こんなことを言い悲しんでいました。
 もちろん、多くの時間と様々な犠牲や対価をかけて必死に努力してきた目標としていた大会が失われたことは、私も残念の極みですし、たまたまこんな年に巡り合ってしまった学年の子ども達には、何とか救いの手はないだろうか・・・そう思っています。

 しかし私は、むしろこの未曾有のコロナ禍における我々の経験は、未曾有であるがゆえの新しい価値観や知恵が生まれるべきだと考えてきました。

 大会がなくなったから代替大会を・・・一時期、一部の人たちの間では、ゼンコク大会をやるために「秋入学」にしようと主張していたのを目にしたとき、私は悲しい気持ちになったのです。もちろん子供たちに努力の成果を発揮できる舞台に立ってほしい・・・でも一方で、なぜ大人たちがここまでして、「タイカイ」、「ゼンコク」と騒ぎ立てるのか。
 これが、もう世間でもよく聞く言葉となった「勝利至上主義」のたまものではないかと思うわけです。

 子供たちが試合をしたいというのは自然のこと。
 でも、私たち大人は、子供たちのために何をすべきなのでしょうか?

 私は職業柄な考え方かもしれないけど、
 子供を笑顔にさせること、逆境に遭っても前を向かせること、そして学びや成長のお手伝いをすること・・・。決して「単に」子供たちに勝負をさせ、大人が一緒になって戦うことだけではない、大事なビジョンやミッション、バリューがあるはずです。

 今年は、益子直美さんの「絶対怒ってはいけないバレーボール大会」や、大山加奈さんが多方面でアンダーカテゴリの指導風土にアンチテーゼを投げかけてくださりました。

 しかし、私は日本のバレーボールが抱える問題や課題の大きな要因は、益子さんや大山さんが言っているように、子供たちとバレーボールの問題、アンダーカテゴリにおける日本のバレーボールに大きな問題があると考えます。
 そして、それは体罰、暴力、暴言、やらせ過ぎにによるバーンアウトや身体の故障・・・というみなさんが認知している問題以外にも、外には伝わりにくい様々な問題や闇があることを知っていただきたいのです。
 それらのほとんどは「大人の問題」です。指導者間のハラスメントやいじめ的な関り、支配的な指導者に逆らえない保護者、逆にモンスター化した保護者・・・。そういった大人たちのモラルの欠陥によって、子供たちが純粋にバレーボールを楽しめないアンダーカテゴリとなっているわけです。
 体罰や暴言は絶対に許されない・・・これを否定する人などいません。みんな知っています。でもまだまだ根絶できていません。それは、アンダーカテゴリの指導現場にある、ドロドロしたものが根深いからです。
 モラルだけの問題ではありません。・・・でもこれ以上書くと長くなっちゃうので、このブログの過去記事をご覧ください(笑)


 今でも印象に残る、昨年2019年のFIVBワールドカップ。
 日本代表男子チームの活躍に、低迷という長い長いトンネルの中にあって、希望の光が見えた気がして、久しぶりに日本のバレーボールわくわくしました。
 そして現在は、コロナ禍にあってもVリーグが、V1リーグのみならずV2リーグにまで注目と盛り上がりを見せるようになっています。海外からも著名な選手やコーチたちが日本に集結しています。うれしいです。
 
 代表、トップカテゴリ・・・少しずつ日本が変わってきています。

 ですが、日本の「アンダーカテゴリ」は、残念ながら取り残されたままです。歯がゆいです。
 Vリーグのチームは、アンダーカテゴリを配下に置くようになっているようですが、ただ練習やバレー教室をするだけではない、「本気の育成」をすべきです。でもまだまだそこまで手が回らない実情なのも理解できなくはありません。
 
 日本のバレーボールで頑張る子供たちには、これからも夢を追えるような、希望をもてるようなものが残っていてほしいです。ゼンコクタイカイもいいですが、それよりも大事な何か価値をもてるようなバレー界であってほしいのです。 


 みなさんはきっと、大学バレーやVリーグ、ナショナルチームの応援を通して、バレーボールの魅力を楽しんでおられるかと思います。
 ぜひ、これから先何年たっても、その魅力を味わえるようにしようじゃないですか。
 そして現状に満足せず、これから先はもっと日本のバレーボールの発展と進化をみなさんで支えていこうではありませんか。
 
 だったら、そのためには、「未来ある子供たちとバレーボール」に目を向けなければならないのです。
 ただ遊ばせるのでもなく、ただ楽しませるだけでもなく、

「日本のアンダーカテゴリのグローバルスタンダード化」
 
 を私は考えていきたいのです。

 もっともっと石川選手や西田選手みたいな選手が、そしてメディアでは多くは取り上げられてはいませんが、日本を飛び出し異国の地でがんばる日本人バレーボーラーが、さらには何歳になっても地域の体育館でバレーボールで汗をかいて笑顔で輝けるライフスタイルを・・・。

 その実現のためには、日本の「アンダーカテゴリ・レボリューション」が必須だと断言できます。
 そのために、私は2021年も何か行動できたらと思います。皆さんからもご支援やご声援いただけたらうれしいです。

 長文失礼しました。

 貴重な機会を与えてくれた、アドベントカレンダー主催のミキティーに感謝。

 みなさま素敵な年末をお過ごしください。

 TETSU

2020年11月29日日曜日

第1回TETSUミーティング20201127 ~日本バレーのアンダーカテゴリと育成を考える

 【TETSUミーティング】

と題し、

日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。

 今回はその記念すべき初回、第1回目の話題です。

第1回目のテーマ・話題は、

「日本のバレーボールのアンダーカテゴリと育成」を考える

です。

初回なぜこのようなテーマにしたかというと、
多くの人が願う日本のバレーボールのさらなる発展における
課題や問題点となっている多くが、
小中高校生年代のアンダーカテゴリーにあるのではないかという
仮説とある程度の確信があるからです。

そこで、当ブログの過去の記事の内容をもとにした

プレゼンテーションをイントロダクションとし
ディスカッションを始めていきました。

↓ ↓ ↓

もしもゼロからチームをつくってみたら(2年半の総括)

(バレーボール学会)育成世代におけるこれからのあるべき指導考察


プレゼンテーションでは、従来の日本的なバレーボール指導スタイルから
可能な限りアップデートした長期スパンでの実践例を通して、
それでも確実に子ども(選手)は確実に育つ
ということに共感をいただけたと思います。

また、日本と世界との関係や比較にも話題が及び、
ポーランドの育成システムの実際やカナダの育成プログラムなどが
例として挙がり、日本では行われてないことの中に
日本のアンダーカテゴリの課題解決のヒントになることが
たくさんあることも見えてきた気がします。

●子供たちに何を経験させるのか

 ・バレーボール(スポーツ)を楽しむこと

 ・学び方を学ぶこと

 ・楽しさから学ぶこと

 ・目標やチャレンジに向かう試行錯誤


●楽しませる「有能さ」「関係性」「自律性」

 ・カナダの育成「FUNdamenntal」というビジョン

 ・ケニア女子代表の選手たちのバレーボールへの姿勢

 ・仲間がいる、人から認められる「楽しさ」

 ・上手くなった、できた時の喜びがある「楽しさ」

 ・自分(たち)で決めて主体的にトライする「楽しさ」


●日本に足りない底辺の拡大

 ・競争と選抜強化による選手のふるい落としの現実

 ・アンダーカテゴリで普及していない「リーグ制」の有用性
  (北海道釧路市の中学女子バレー「丹頂リーグ」の実践紹介)

 ・6人制にとらわれない、フレキシブルなアンダーカテゴリーのルールづくり

 ・2on2、3on3(ミニバレー等)などの有用性

 ・「システム」(4-2システムにとらわれない)発達段階の設定


●日本の技術指導への疑問

 ・ディグやレセプションの「正面指導」

 ・オーバーハンドパス、セットの「柔らかいハンドリング指導」

 ・若い年代では世界でも強いが、トップにいくほど世界に勝てない理由

 ・海外のジュニアチームのチャンピオンシップなどではオーバーハンドのキャッチぐせのセットさせることなくアンダーでセットしている


(↓動画はディスカッションになった話題に関係しそうなものを掲載)




 30名を超える参加者による、
 大変濃密なディスカッションや意見交流で、2時間あまりの時間があっという間に過ぎ去りました。ありがとうございました。
 「2次会」も引き続き設定され、深夜までバレーボールを語り合える場となったようです。

 第1回目のTETSUミーティングでは、
 やはり考えていた通りの仮説、
つまり日本のバレーボールの現状か抱える課題や問題の多くが
アンダーカテゴリーの環境や指導風土に起因していること、
そして薄々ではあっても、年々その閉塞感に気付き始めている人が
増えているということも実感できました。
「勝つ喜び」ということがよく言われているわけですが、
極端な話、些細な場面でも
例えばジャンケンで勝っても、トランプのババ抜きで勝っても、
みんな喜べるわけです。
そう考えると、楽しさや喜びはもっともっとたくさん
バレーボールのアンダーカテゴリに提供されなければいけないと思います。

楽しいからやろうとする、やろうとするから学びたいと思う、

学んでいくからスキルアップや成長をしていく

そしてその先に目標達成や勝利という何らかの結果が出る。

日本のバレーボール、特にアンダーカテゴリでは、
指導の「目的」と「目標」の混同や混乱、
「目的」のなさ、「目的」の脆弱さ、
によって、いろんな指導体質となって表出しているのだと思います。


そんな話題にまで至った第1回TETSUミーティング。
ご参加ありがとうございました。
今後、月1回を目標に先着20名の募集で
ミーティングを行っていきます。
第2回目は12月19日(土)20:00~予定です。
TwitterやFacebookでも発信していますので、
要チェックお願いします。
たくさんのご参加をお待ちしています。
仲間を増やし、動きをつくり、日本のバレーボールの成長にみなさんで参加していけることが願いです。


(2020年)

2020年5月3日日曜日

ポーランド滞在記雑感

勢いで、バレーボールを観るために数日間ポーランドに飛び込んでみました。

 私の課題、テーマは、「育成」やその「システム」において、日本にはないものがポーランドにあるかもしれないということ。そしてもう一つは、ともすると、日本のバレーボールの低迷の中にあって、何でもかんでも日本はダメ、海外が素晴らしいという偏った見方ではない、日本のバレーボール界がもつ、潜在的な可能性や良さを見出せないかというものでした。


日本の良さ・・・
 やはり、施設、環境面は圧倒的に恵まれた環境にあると思います。学校をベースに、どの体育館にもバレーボールコートは作れますしボールもあります。学校が中心に少年団や部活動としてチームが存在し、しかも施設使用料や月謝みたいなものはほぼなし。コーチングスタッフも無償でやっている場合が多いです。競技人口も圧倒的に日本の方が多いですし、子供からママさん、年配の方まで、いろんな形のバレーボールスタイルで練習やゲームをしている環境が日本にはあります。またアリーナの設備も圧倒的に日本の方が整っているのは間違いないでしょう。

 日本で提供されるコーチング(指導)は、個々の指導者のバレーボールに注がれる熱意からくる、研究熱心さによるものが大きいです。さほどコーチングを学んだりアップデートできる公の機会が多くない中で、それぞれが自分の経験や人脈を駆使した研究によって、無償に近い中で提供されています。ですから受益者である選手や保護者にとっては、比較低いコストでコーチングを受けることができると思います。


ポーランドを訪問してみて・・・

 たびたび述べさせてもらっているとおり、1970年までは日本とポーランドの男子バレーはともに肩を並べて世界のトップを争いながらも、80年代~2000年代初頭はなかなか世界の頂点には立てていなかった中、ポーランドは近年、世界のトップに返り咲いています。そして日本は低迷を続けてきました。
 ですから、ポーランド国内でのバレーボールに何か日本にはないものがあるのではないか?というのが個人的な関心と仮説的なテーマだったわけです。

・国民的人気スポーツの確立とプロモート

・プロリーグの活性化と改善

・代表強化につなげるための育成

・トップから系統的に構築するアンダーカテゴリの指導システム

・コーチ(指導者)の資格、評価

・競技経験者だけじゃなく、教育、メディカル、運動学・・・多角的な分野との連携

・連盟(協会)の弛まない向上心と改善マインド

・青少年年代への配慮とモチベートの工夫

・他国の情報収集、他国指導者間のセミナーなどでの情報交流

 やはり、長期的な視点に立った、スケールの大きいビジョンと構想、そしてそれを実現すべく大きなくくりで人々を結び付け巻き込んでいく・・・そういったアクションを組織が率先して行う。組織は、代表監督やリーグ指導者の意見を取り入れながら、より良いものを追究していく。こういったものが原動力になっていることを肌で感じることができました。

 ポーランドにおける今やっている育成プログラムやシステムが動き出したのが2000年代に入ってからとのこと。偶然のようで、やはり代表強化のタイミングにも重なるような気もするのです。

 日本は、バレーボールができる空間もあり、バレーボールをやっているプレーヤーも多い。そして選手たちを導こうとするコーチング(指導)をやっている人も多い。

 しかし、残念なことに(批判的になってしまうのが本意ではないが)、個々の熱意や研究心、モチベーションは高いが、そのベクトルや目指すゴールがあまりにもバラバラであり、日本のバレーボールというものが一枚岩になっていないのは明らかな気がします。

 指導内容も体系化されたものがあるわけでもなく、全国でシェアされているシステムがあるわけでもない。個々の指導者、それぞれの学校やチーム、それぞれの都道府県・・・思惑も指導理論も、目指すバリューやビジョンもばらばら。その中で、得てして対立や摩擦を生むことも多い。各カテゴリの間が分断されており、それぞれのカテゴリが独自の進化?迷走を続けている状況が続いているように思えるのです。

 競技(愛好者)人口が多い割には、代表チームやリーグへの関心も高いわけではなく、そこに対する組織のビジョンや熱意もいまいち見えてきにくい。

 こうやって記述していくと、あれもないこれもないという無い物ねだりだったり、ああしろこうしろという他力本願的な中身になってしまうのですが、でも個々の環境でがんばるだけでは、海外には追いつけない状況になっているんじゃないかと思うわけです。

 日本には、他国に比べても、潜在的なアドバンテージや資源や条件がまだまだ残されていると思うわけです。足りないのは、それらをどのように生かし結び付け、コーディネートし組織化するか。ミクロな部分で個別にバラバラ取り組むのではなく、十分研究され練られた構想を同時多発的に日本全国で展開できるか。
 今回のポーランド訪問にあたり、何人かの海外でのプレーでがんばる選手の方とも連絡を取りました。我々が思う以上に、海外でプレーをがんばる、がんばろうとしている日本人が多いのです。そして近年では、日本国内のVリーグにも、海外選手やコーチたちが多くやってきています。
 そういったものを良き資源とし、生かし、積極的に吸収しそれを日本全国に拡散させていく必要性が、組織や指導者、愛好家やファンの中から生まれてくることを期待して止みません。

(2020年)

2020年3月22日日曜日

ポーランドへ行ってみた③

2020年2月のポーランド訪問記③

 前日は、首都ワルシャワで活動する、U18のクラブチーム様子を見学し、いわゆるアンダーカテゴリー、育成年代の練習やコーチングの一端を観ることができました。

 ポーランドのバレーボールに関して、予てから私が関心を寄せていたことは、国際的な中での強化の成功と、日本との対比についてです。
ポーランドと日本は、男子バレーにおいて、1970年代に世界のトップを走っていました。ところが1980年代以降、旧ソ連の他に、アメリカやキューバが躍進し、その後イタリアに続いてオランダやユーゴスラビアなどのヨーロッパ勢が台頭します。2000年代はみなさんご存知の通り、ブラジル代表によって現代のバレーボールシステムが確立され世界を牽引してきました。
 ポーランド男子は、そのような情勢の中で2010年前後から世界のトップに返り咲いてきました。
 残念ながらその間、1970年代にはポーランドとともに世界の頂点を争い頂点に立った日本は現在もなお世界に溝を開けられています。ここにはどのような違いがあるのか?そして私の仮説は、特にアンダーカテゴリ、育成年代といわれるような青少年への普及や育成のシステムに、ポーランドと日本に違いあることをこの目で見たかったわけです。

(スパワにあるオリンピックセンターのバレーコート)

ポーランドバレーボールのトレーニングと開発のシステムは、その基礎・土台ともなっているる「スクールバレーボールセンター(SOS)プログラム」と、ポーランドバレーボール連盟が運営するバレーボール専門の「スポーツマスタリースクール」によって支えられているようです。

「SOSプログラム」におけるトレーニングは、地元のクラブで若者をトレーニングするコーチによって運営される、小学校のスポーツクラスに基づいているようです。

 
(「SOSプログラム」に関する資料)

「スポーツマスタリースクール」というのは、いわゆる高校生にあたる年代の、国内からセレクションされた選手が集まり、寮生活をともなった学校生活をしてバレーボールのより専門的な指導を受けるものです。男子はワルシャワの南西にあるスパワで、女子はクラクフの南西にあるシュチルクにある、ナショナルオリンピックセンターで専門スタッフの指導を受けています。そして彼らは、ポーランドリーグの2部に参戦をしています。その中からプロクラブやナショナルチームへの道にもつながります。



 ここに来ると、ポーランドの男子バレーボールの歴史が凝縮されています。多くの選手たちがこの地でトレーニングをしコーチングを受けてきているのがわかります。ここからも、長期的な展望にたって、計画的に選手を育成し、組織的なコーチングをしていることがうかがえます。


 この日の練習は、リーグ戦前日の調整のためのものだったようです。
  ・体力トレーニングをともなったウォーミングアップ
  ・シングルハンド限定のミニゲーム
  ・2対2のフロントコートでのミニゲーム
  ・6対6による、レセプションからのゲーム練習


 ポーランド国内からセレクションされた生徒たちだけあって、メンバーはすべて長身選手。フィジカルもしっかりトレーニングを受けていることがうかがえます。
 バレーボールスキルは、日本の高校生と比較してそれほど驚くようなスキルの高さが顕著というわけではないものの、全員がしっかり基本スキルを身につけています。日本でしばしば見受けられる、長身なのに動きが散漫で守備ができないなどといったことはあまりないようです。


 注目したことが、ゲームにおけるプレースタイルみたいなものに、系統性を感じたということです。前日見てきたクラブチームでやっていたこととも共通性があり、その後見てきたプロチームのプレーにもつながっているようです。これらは、単なるトレンドや指導者の思い付きでやっていることではない、系統的な取組を感じます。実際前日のクラブチームでのプレーよりも、スパワのセレクションチームの方が完成度も高さパワーにも磨きがかかっていました。
・シー アンド リアクト をベースにした組織的なブロック
・センターからのバックアタックが組み込まれいる
・センターからのバックアタックは、アプローチや打つ位置にバリエーションがある
・いわゆるBクイック的なセッターから距離のあるファーストテンポが軸
・オポジットのライトからのバックアタック

このあたりは、意図的なコーチングがされているように思いました。

 練習の最後に、ヘッドコーチから質問をたずねられ、恥ずかしいことに質問に困ってしまい、慌てて「選手の思考力」についてたずねてみました。そうすると、「何を今さら当然だろ!」みたいな返答されてしまいました。
 ゲームにおいて、選手が主体的に自ら考えをもってプレーをすることは当然のことであり、それをここでは教えることではない、というような返答でした。
 むしろ、高度な展開とやろうとする戦術を各々が理解し、その達成のために、場面で瞬時に最適な判断とパフォーマンスの発揮を行うこと、そのための果敢なチャレンジやトライから逃げないこと・・・そういったあたりへの要求があったように思います。
 コーチは、静かに見守ることが多い中、消極的なプレーや原則に反するプレーには即座に強い言葉がけをしていることもあります。それは感情的に怒るといったものではなく、しかしそれでもかなり緊迫感のある場面もあったりしました。
 こういったあたりも、日本での話題や議論がまだまだ未成熟なところもあるように思います。


 お邪魔したスパワのオリンピックセンターは、ワルシャワから車(高速道路)で1時間ちょっとの小さな町の中にあり、スパワの帰りからワルシャワに入った郊外にある、ポーランド連盟のオフィスに幸運なことにお邪魔することができました。


 今回お世話になった連盟のスタッフの方とお話していると、とにかく「ポーランドはまだまだ」、「ポーランドはこのままではいけない」といった言葉がよく聞かれ、現状に満足してはいけないという気概を感じます。
 ポーランドリーグの活性化や国際大会の開催などを通して、ポーランドは成長を遂げつつ、ここ10年間は育成プログラムの整備にも着手しました。2000年代当初活躍した選手たちの多くが指導者となり活躍しているようです。また、データーソフトの自国開発にも挑戦しています。また、海外との交流も大事にしており、そこでの情報交換やノウハウの交流も成功の一因につながっているようです。
 特にヨーロッパでは、各国・各地で、コーチたちのクリニックやレクチャーなどが多く開かれているようで、それらを通した交流や切磋琢磨も成長の大きな要因になっているようです。

 ポーランド連盟のオフィスに入って驚いた光景に出くわしました。オフィス内のドアに何やら、漢字の張り紙があったのです。そこには「改善」と書かれていました。


 これは、なんと、ポーランド代表監督のヘイネンが、ポーランドでものすごく強調している言葉なのだそうです。この「改善」という言葉は、世界の中で自動車生産のリードする日本の企業理念、組織理念の考え方が、世界中に広まっているなかで、ヘイネンも大事にしている言葉なのだそうです。
 最後には、ポーランドバレーボールの会長室にも入れてもらい、会長と面会もできました。会長室には、東京オリンピック出場権を得た試合後の際に使われた、ダルマが飾られていました。


 日本のバレーボールが、ポーランドをはじめ、他国から謙虚に学ぶべきことはたくさんありそうです。(連盟のHPでしょうかいしてもらえました)



(2020年)

2020年3月8日日曜日

ポーランドに行ってみた➁


2020年2月のポーランド訪問記➁
とにかく観光よりもバレーボールを観たくて。
しかも、プロ選手よりも、育成の実際を知りたくて。
この日は、ポーランドの首都ワルシャワにある、U18に相当するクラブチーム2つを紹介してもらい、午前・午後に分けて練習を見学してきました。いずれも翌日に大きな大会があるということで、調整練習でしたが、いい刺激をもらえた気がします。

この日の午前は、
KS METRO WARSZAWA というクラブチーム。
比較的最近できたチームらしいですが、現在はこのカテゴリではトップの位置にある強さをもっているようです。

・ボールなしでの体力トレーニング
・ボールを用いたウォーミングアップ
・サーブとレセプション
・レセプションからの攻撃パターンプラクティス
・ゲーム練習(テストマッチ)

といった内容で2時間程度、という内容でした。


特に重点を置いていたように見えたのは、
・ブロック練習
・レセプションからの攻撃パターン
 →セッターから距離のある1stテンポ+レフト+ライトのバックアタック
・3~4人でセッターを回している
というあたりでした。


この日の午後は、
MOS WOLA WARSZAWA というクラブチーム。
こちらは歴史が長いようで、
長年ポーランドのスポーツ、特にバレーボールの選手育成に貢献してきたクラブのようです。多くの代表クラスの選手やコーチも輩出しているようです。


練習の見学の前には、クラブの責任者の方から熱心な説明を受けました。
ポーランドでは、学校単位でやっているバレーボールプログラムがあるようで、日本で言う部活みたいな感じなんでしょうが、それが競技システムの中心ではないようです。
それとは別に、クラブチームがあり、そのクラブチームの中にも、バレーボールに重点を置いた「センター」的な役割をするチームがあるようです。


今回の訪問時期は、ちょうど学校が冬休みに入るのと重なったため、あまり通常のアクティビティを見学できませんでしたが、それでも午後の前半はU18の女子が数名参加し、個人練習をしていました。コーチとの関係もフレンドリーで、楽しく練習を開始するも、後半はスパイクのスイング動作やブロックのステップ練習など、個人練習に特化したクローズドスキルの練習がメインでした。


午後の後半は、U18の男子チームの練習。
こちらは午前のクラブチーム同様の大会直前の調整のためのチームのようで、たくさんの選手が集まって練習をしていました。
 ・ウォーミングアップ
 ・サーブ練習
 ・スパイク練習
 ・レセプションからの攻撃パターンプラティクス
 ・ゲーム練習(テストマッチ)
といった内容でした。

この日の午前と午後で見学できたクラブチームは、ポーランドの中でも強豪チームみたいでしたので、集まって構成している選手たちは、みんな高身長なメンバーでした。
また、セッターは複数人練習しており、ゲームにおけるバックアタックは当たり前のように組み入れています。特にセンターからと、オポジットによるライトからのバックアタックは標準的に行っている印象を受けました。


日本との比較において、
教育システムも違うし文化も違う。スポーツやバレーボールの環境や組織運営も違うので、アンダーカテゴリーやU18などのバレーボールについて、日本とポーランドを比較し、一概に優劣をジャッジはできないかもしれません。
しかし、トップカテゴリからアンダーカテゴリまでの系統性や連携が感じられます。
短時間のお話の中だけでの情報でも、スポーツクラブ、学校スポーツ、それらの中核となるセンタークラブ・・・U18の年代に用意されているバレーボールの場には、それぞれの担う役割とすみ分けがなされているようです。
日本で言う小学生年代U12までは、2人制によるミニバレーをやらせているそうで、6人制でのゲームはやらさていないようです。その代わり2人制のミニバレーは、全国大会もあるそうです。
日本で言う中学生年代になってからは6人制バレーボールへの移行していくみたいで、日本みたいに地区予選や全国大会、選抜大会みたいなものもあるそうです。
ただ、「部活」が競技の主要を占める日本のバレーボールの制度とは違うので、この日の取材だけでは、ポーランドの育成年代の取組の全体像は把握しきれませんでした。
ですが、ポーランドでもいわゆる「勝利至上主義」の弊害や、「保護者のヒートアップ」、「指導者の暴走」は、念頭にあるらしく、それらへの手当ても組織としてのプログラムとして構想に組み込まれているようです。

(続く)



(2020年)

2019年12月31日火曜日

「育成」とは何かを問いかけ(2019年をしめくくる)

 2019年が終わります。みなさんにとってどのような1年となったでしょうか?
私もとある方から「どのような1年でしたか?」と問いかけられた時、「バレーボールでは・・・」と正直言葉がつまってしまいました。お恥ずかしい限り、その時は周囲に自慢できる成果などないなと考えてしまいた。
 でも、バレーボール以外での仕事では自分はたくさんのチャレンジや成果があって充実していたし、バレーボールでも決して周囲からは見てもらえない小さな学びや自信となった経験もあったし、人との出会いもありました。
 そんなことを、言ったら「それが大事。小さな幸せを誇れることが一番」と言われました。さて、みなさんの2019年はいかがでしたでしょうか?
2019年のバレーボールでは、個人的には
 ① 日本代表男子チームの活躍と希望ある展望
 ➁ Vリーグの各カテゴリの盛り上がり
 ③ バレーボールファンの多様なつながりや交流
 ④ メディアが発信するバレーボール情報の進化
などが、これまでにない変化がみられたような気がします。

私は、このブログでも平成が終わり令和という新しい時代を迎えるにあたり、日本のバレーボールでももう一度「育成」を見つめなおそうというのが、今年のスタートにあたってのテーマでした。しかし、残念ながら、①~④で取り上げたような材料に比べると、あまり大きな変容を感じられなかったというのが正直な感想です。

 新年2020年はオリンピック・イヤー。しかも私たちの国日本で開催されます。来年の東京五輪での成果も大事ですが、それ以上に五輪後どのように発展させていくかの方が重要だとも言われていますし、海外ではもうそこに着手している国もあるようです。そこでバレーボールを考えるブログとして2019年の締めくくりは、「育成」をもう一度みなさんと考えてみたいわけです。



「育成」を考えるうえで、

「バレーボールでみんながハッピーになる」

というのが大事だと思うわけです。
する・みる・支える・・・大人も子供もどの地域やカテゴリも・・・
みんながバレーボールでハッピーな気持ちになれるかどうか。
それが「育成」の成否の根本として重要なのではないかと思った1年でした。

勝利や成功で得られる喜びや幸せがある。
タイトルやステージアップで得られる喜びや幸せがある。
人との出会いの喜びがある。
新しいことを知った学んだ喜びがある。
いろいろあろうかと思います。
でも、そのような喜びは幸せは、「すべての人」にもたらされなければならないと思います。
 高みを極めた一部の人々だけが幸せになり、それ以外の人々は幸福な気持ちになれないようではいけないと思うわけです。でも勝ち負けはスポーツや競技をやる以上は生じてくるわけですから、「すべての人がハッピーになる」というのは、別のコンセプトや価値観が必要になるんだと思います。
 よく指導現場では、対戦相手を敵と呼んだり、目標設定を相手を倒すなどという表現をするのをみかけます。そんなコンセプトでは「バレーボールですべての人が幸せになる」という状態はいつまでも達成できないんだと思います。
 ファンの間では、戦術、選手個人の為人、国内・海外・・・など、人々の志向の違いが話題になることもあり、時には意見が対立することも見受けられてきました。
 対立というのはゼロにはできませんが、それでも共存やコラボレーション、相互理解などで、すべての人がハッピーになる余地というのは、まだまだたくさんあると思うわけです。



バレーボールにおける「育成」に話を戻します。

「育成」という言葉が使われる場合にもそのニュアンスや定義には様々な違いあると思っています。例えば代表チームや国内リーグなどにおける選手の「育成」は、ある程度セレクトされたスキルや経験のある一定レベル以上の人々を対象としています。私はこれは、「強化的育成」と呼ぶか、育成とは呼ばない方がいいのではないかと考えます。

 私がここで言うところの「育成」とは、子どもたち・・・つまりは学齢期(高校生くらいまで)をターゲットとして、しかも「彼らのすべて」を指す概念として考えています。
 先ほど申し上げた通り、2019年の日本のバレーボールでは「育成」の議論やイノベーションは不十分だったと感じています。率直に言えばあまり変容や進歩は感じられませんでした。

「楽しむ」・「尊重」・「探究」

この辺りが、バレーボールにおける「育成」の取りかかりとなる要素になってくると思います。そこに「すべての子どもたち」を掛け合わせていきますと・・・。やるべきことや取り組む余地は膨大なものになるのではないでしょうか?
 
 日本では、これからの教育の大きなテーマの中に、「主体的・対話的で深い学び」というものが掲げられています。
 このテーマは、実は日本のバレーボールの指導現場にも通じる課題なのではないかと思います。
 「主体的」、「対話」、「深い学び」・・・どの言葉もその解釈や理解は一言では説明しきれないものだとは思います。
 子どもたちの「主体性」はどうやって生まれてくるのか?
 一見、自立し統率されているようなチームでも、その根元は指導者や保護者の意向や思惑によって仕向けられていることが多く、それは「やっている」より、「やらされている」側面が強いわけです。一生懸命やっているようで、実は一生懸命やらされているわけです。これでは主体性があるとは言い難いわけです。
 子どもたちにとっての「対話」とは何か?
 対話には、「他者との対話」と「自己との対話」があります。
 他者との対話では、相手への敬意や相手から吸収しようという姿勢が重要です。いくら礼儀正しくとも、相手の考えを理解できない思考力の浅さや、建設的なディスカッション能力ができなければ、他者との対話は成立しません。
 「対話」で見落としがちになりやすいのが「自己との対話」だと思っています。自分のことを振り返って、思考や感情を整えたり、自分へフィードバックをして学習を促進させたりなど、試行錯誤や工夫という作業を成立させるためには不可欠な要素です。
 「深い学び」とは何をもって達成されるのか?
 それは新しい気づきや発見はもちろん、仮に新しい成果や知見がもてなくても、自分自身で仮説や検証をし、一定の方向性を見出す「プロセスを経験する」ことで学びを深めることになるんだろうと思います。

「育成」において、
「すべての人々(子どもたち)がハッピーになる」
ことを実現させる。
試合で勝った者たちだけが幸福感を得て、そうでない者たちは幸せになれない。
選ばれた者だけが幸せになり、選ばれない者たちはハッピーになれない。
キャリアやステータスを得たものが幸せで、そうでない者は不遇を味わう。
これが根深い日本のバレーボール界の育成における課題なんだと思っています。

「楽しむ」・「尊重」・「探究」

ここに、「主体的」・「対話」・「深い学び」が結びつくと思います。

同じことをやっていても、夢中でどんどんチャレンジし続ける人もいれば、必死に苦しみながらやらされている人もいる。
自分の中に起こるイノベーションを求め、貪欲に吸収しようとスクラップ&ビルドを重ね試行錯誤の中から最適解を探る人もいれば、絶対解を信じ他の可能性を排除しながら突き進む人もいる。
(成長欲求という)自分のためにチャレンジし続ける人もいれば、自分の承認的存在意義を守るため他者を標的にしてマウントをしてくる人もいる。

でも、普遍的なのは、他人の幸福を誰かが奪うことがあってはならないことです。そして人のチャンスや可能性を潰していいということにはならないということです。
 今一度、日本のバレーボールにおける「育成」をみなさんと考え、イノベーションを起こしたいというのが夢です。
 すべての子どもたちが、大きな夢や目標に向かって、生き生きとバレーボールを生活の一部にすることができる。そこに線引きも選別もなく共有されるべき、コンセプトやビジョン、フィロソフィーやバリューがあるはずです。



 お恥ずかしい話、私は、友人とボーリングやカラオケ、ゲームセンターに行くのが昔から好きじゃありませんでした。なぜなら、「下手な自分」に対するコンプレックスが強く、楽しめなかったからです。でも、周囲はそんな上手下手に関係なくみんな「楽しむ」ことを目的としていますよね。

 バレーボールのプレーや結果というのは、因果関係が複雑に絡み合って形成されます。そしてミスが起こって当たり前のスポーツ。プレー中はミスをしたあとに、いかにして素早く次のプレーの意識を切り替えるかが重要。そのあとで、なぜミスをしたか、どうすれば同じミスを繰り返さないかを振り返り考えることを怠らないことで、次へのモチベーションへとつなげます。これはバレーボールに限らず、どのスポーツに限らず、人間生活の作業として必要な営みですよね。

 (大人への)お茶出しやあいさつで気が利く選手は試合中のプレーにも生きると言われて指導(教育)されていることも多い(自分もやらせていた時代がある)ですが、そもそもバレーボールというゲームの中の「気づき」を生み出すためには、バレーボールの中の情報や知識がないと気づきにならないわけです。だから、バレーボールの試行錯誤や主体的な工夫をしないまま、他の生活場面での気づきばかりを求めても、バレーボール選手としてのレベルアップには限界がくる。

 すべての子どもたちが、またはすべての大人たちが、
「バレーボールと出会ってよかった」、「バレーボールをやってよかった」
 そうなるために、
 それぞれの「今」やっているプロセスが「夢中」で「楽しい」状態であること。自分が考えていることを表現しても非難されて評価を下げられず自分の立場が脅かされない心理的安全があること。いいものをつくりあげていくために、膨大な時間をかけて試行錯誤を確保でき失敗が許される安心してチャレンジできること。
 こういったことを、バレーボールを通して経験していくことで、ある者はアスリートとして、ある者はコーチやティーチャーとして、ある者はマネジメントやビジネスとして、ある者は親として・・・とにかくあらゆる社会や人生のステージで、生かされていく。これが、「すべての人々がハッピーになる」ということに通ずるんだと思います。

 何かの試練を乗り越え生き残った者たち、勝ち続け成功のレールだけを進んできた者たち、過去のキャリアやステータスを得た者たち・・・一部の人間だけのための幸福だけではなく、「すべての人々・すべての子どもたちに」にバレーボールは何ができるか?
 これが「育成」だと思います。

 いよいよ来年は東京五輪があります。日本代表男女の活躍はもちろん、私たちが住む国で、世界のバレーボールの「ガチ勝負」を観ることができることへの期待感をもちながら、同時に日本のバレーボールのさらなる発展やイノベーションの元年となる1年になればいいなと願います。

 みなさん、今年も1年間お付き合いいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。

Thank you very much for your personal relationship that you extended to me throughout 2020.


(2019年)

2019年11月4日月曜日

「バレーボール」の手前にある大事な物(ヴォレアス北海道)

2019/11/02~ バレーボール「Vリーグ」(DIVISION2)

 ヴォレアス北海道の開幕戦そしてホームゲームとなる試合を旭川に行って2日間観戦してきました。札幌からは高速道路を車で走らせること2時間くらいかかる距離です。
チーム設立までの変遷やチーム設立後の過程など、同じ北海道に居て知っていることもありましたが、直に眼にはしてこなかったので、思い切って行ってみようと思いました。
正直、いろんな意味で感服、感動することが多く、大いに楽しめる空間を過ごすことができました。
【公式】VOREAS HOKKAIDO(ヴォレアス北海道)OFFICIAL WEBSITE
https://voreas.co.jp/

ヴォレアス北海道公式ツイッター
https://twitter.com/voreas_official

 自分が勝手に観て思ったことなので、ひょっとしたらチーム関係者の思いや意図するところとは外れているかも知れませんが、今回の現地旭川でのヴォレアス北海道のホームゲームから感じたことを記録しておくことが、これからの日本のバレーボールにはいろいろ有益になるだろうと考えます。

「バレーボールの普及と発展」、「バレーボールファンの拡大」、「バレーボールの面白さを知ってもらう」・・・。そして、「くくり」、「ファン層」、「○○推し」、「○○ヲタ」・・・。
 そういったバレーボールに関する様々なテーマや、人々の区分などを超えた何かが、そういったものを超えた人々を巻き込んでいく工夫や努力がいろいろ北海道旭川のヴォレアス北海道にはあるんだと思いました。

 何といえばよいのか・・・思考の転換、発想の転換みたいなものを個人的には感じたのです。問題指向型アプローチなマネジメントではなく、目標指向型アプローチ的なマネジメントとでも言ったらよいのか。それとも減点法的プランではなく、加点加算的プランニングというか。
つまりは、日本のバレーボール界は、組織も各チームでも、これまでもそれなりに、競技人口の減少やファンの減少、競技成績の低迷などに危機感をもち、アクションを起こそうとはしたのです。しかしそれらの多くはことごとく頓挫してきています。その多くの事例は、あれは無理だの、これは合わないだの、お金がないだの、チャレンジをさせる間もなく、「できない理由」ばかりを論じてきたのが大きな要因の一つだと思っています。

 ファンが少ないから増やしたい、バレーボールへの関心が弱いから関心を高めたい・・・。そういった問題指向的なアプローチではなく、地域にバレーボールというものを広めようとする中で、まずはダイレクトにバレーボールにつながる効果を考える前に、バレーボールというものを「きっかけ」または「媒体」として、いろんな立場の人々を、一つの空間に集め、そして繋ぎとめる・・・。「バレーボールの手前にある」人々のつながりを模索する中で、バレーボールがそのシナプス(つなぎとめるもの)となって、結果、バレーボールという空間や世界を人々がシェアしていくという発想を感じ取れたわけです。どうやったらバレーボールやチームに関心を寄せてもらうか?の前に、バレーボールという空間で、「あんなこともできるのでは」、「こんなこともやってみたい」・・・そういうものの積み重ねの上に、結果的にバレーボールが人々によって盛り上げられる、目標指向的なアプローチによる発想や、「まずはやれることからやってやる」という加点加算的なチャレンジが、ホームゲーム会場の随所に見られたわけです。


会場のレイアウトは、チームカラーや選手を大々的に表現されていて、否応なしにホームゲームの雰囲気ができあがっています。


グッズも買いたくなるようなデザインに凝ったものが多く、生産側とのタイアップやコラボレーションも考えられていて、商業的にもwin-winの構築を模索しているように見えます。グッズ以外にも飲食店ブースもあって、バレーボールの試合を食べ飲みしながら楽しめるようになっています。これらの購入には、キャッシュレス化を取り入れており、かなり先進的なものを感じます。


子供たちの活躍も印象的です。ダンスとバレーボールを融合して、子供たちがダンスを通して、バレーボールの世界やヴォレアスというチームの魅力にも引き込んでいるのがわかりました。子供たちの活躍は、彼らを見守る多くの大人にも波及していきます。こうして気付けば子供から大人まで、商業関係者からスポーツ関係者までが、バレーボールの空間に集うようになっています。


DJ、MCの軽快なアナウンスは、しつこ過ぎず、しかもバレーボールや選手ファースト。あくまでもバレーボールの醍醐味を伝えるという基本線をはずさない演出が、安心してバレーボールの試合観戦を楽しめる雰囲気になっています。BGMも老若男女みんながカッコいいと思える曲をチョイスし、会場の一体感とホームの特別感を演出しています。
場内にはスクリーンが設置され、選手達が出演する観戦案内や、カッコいい選手紹介、そして試合の実況映像や、会場のファンを映し出す演出など、国際大会顔負けの演出がありました。



もちろん、チームの方も見どころ満載の魅力十分。
 研究心半端ないエドHCをはじめ、トルコや台湾から海外選手を招へいしているだけでなく、道産子選手の活躍も目覚ましい。
ここが個人的には一番感慨深くて、これまでの北海道のバレーボール界は、北の大地で育んだバレーボール選手たちが、結局最後は活躍の場が故郷にはなく、故郷を離れた所で選手生命を終えなければならない寂しさが、きっと選手本人にも、そしてバレーボール好きが多い北海道民にとってもずっとあったのだと思います。それを打ち破っているのが今見せているヴォレアスの活躍なのではないでしょうか?
 チームは、見事に開幕ホームゲーム2連勝。会場にいた多くの人々が歓喜に包まれていました。個人的には、若くして台湾からヴォレアスに入団した張育陞(チャン・ユー・シェン)選手を観たくて来ました。若さに溢れた躍動感ある動きと、キレのあるサーブやスパイクは目を引くものがりました。かつては日本代表で活躍した古田選手の得点力も健在で、こうやって北海道で、しかも地方都市で、いいものを観れるのはしあわせなことです。



 アイドルやタレントによる観客集めをしなくても、自分たちの創意工夫とともに、自分たちの手でつくり、自分たちの足をかせいで、しかも「バレーボールファースト」を外さず、地元の人々を巻き込むことで、これまで長年日本のバレーボール界が頓挫してきた壁を打ち破ろうとしているのではないでしょうか?現役選手やスタッフのみならず、元選手やOBも盛り上げ役になっているのも印象的でした。
 きっと、私には見えていない、様々な障害や厳しい展望とも戦いながら、マネジメントとプロデュースをしていると思いますが、これからもヴォレアス北海道の取組には注目したいものがありますし、日本のバレーボール界に様々なものを投げかけるインフルエンサーとなってもらいたいと期待しています。(上から目線すみません)

 北海道に住む者として最後に・・・私たち地方遠隔地にいる者としては、東京や名古屋、大坂などの大都市圏に行かないと得られないいろんなものにあこがれてきたことがたくさんあります。見たくても見れない、会いたくても会えない・・・。
 どうか、これからは、北海道外のみなさんが、バレーボールを求めて北海道に足を運んでもらえたら嬉しいです。


(2019年)

2019年7月30日火曜日

とってもすごいビッグニュース

 7月12日(金)から21日(日)までレオン、アグアスカリエンテス(メキシコ)で開催されていた『第20回女子U20(ジュニア)世界選手権大会』で、女子U20日本代表は、決勝戦でイタリアと対戦し、2セットダウンから逆転勝利を収め、世界一に輝きました!
 来年に迫った2020東京オリンピックを前に、日本のバレーボール界では喜ぶべきすごいニュースだと思います。


JVA(日本バレーボール協会)HPトピック

YAHOO!JAPANニュースより

朝日新聞デジタルより

olympic channel より

 U18となるユースよりも、よりシニア近いカテゴリのU20ジュニアでの世界一は、日本のバレーボールの近未来世代の活躍も期待できる明るい材料になるのではないでしょうか?

 ところが・・・テレビでも新聞でも「世界一」があまり大々的には取り上げられていません。今回活躍した選手たちは、高校生時代に「春高バレー」で活躍し注目された選手もいるだろうに、この報道のなさに残念な気持ちがしちゃいます。

 どうしても日本のバレーボールを話題にすると、課題や問題ばかりが話題になってしまいがちな中、U20が世界一をとったという偉業が達成されたことは、暗い話題を吹き飛ばすものになってもおかしくないと思います。
 しかし、世の中の注目度やメディアと日本のバレーボール界の距離感などにも、暗い影を落としているのでしょうか?
 人気低迷とかマイナー化という表現では済まされない大きな問題を抱えていると思います。日本バレーボール界は、組織を挙げてでもこの世界一の偉業を称え、これからの発展の起爆剤にするべく発信や取組をお願いしたいものです。

 選手のみなさん、スタッフのみなさん、本当におめでとうございます。


(2019年)

2018年12月30日日曜日

2019年を「バレーボール育成元年」に。「育成の世界標準」の議論を。

 2010年の世界バレーで、日本代表女子チームが32年ぶりの銅メダルを獲得したあとから、日本のバレーボールの中でも技術や戦術の「世界標準とは何か?」という議論が起こるようになりました。
 当時から、世界のバレーボールをリードしてきた、ブラジル男子のバレーボール戦術をアップデート例として、セッターからのバックアタックのバリエーションやブロック戦術、そしてその中で果たすべきセッターやリベロの機能など・・・日本ではそれらを「世界標準」として考えられるようになってきました。
 2000年代に入ってからは、そのようなシステムはブラジルの専売特許のようにしばらくはブラジル男子が世界の先頭を走ってきたわけですが、やはり次第に他の台頭国の出現がみられるようになります。アメリカ男子やロシア男子・・・近年ではポーランド男子なども力をつけており、どの国も2000年代初頭のブラジルがやっていたゲームのエッセンスを標準装備し、戦っているのがわかります。
   
 日本でなれるようになった「世界標準」というテーマのもとでの議論は、80年代、90年代、2000年代初頭にわたる、日本のバレーボールの戦術のガラパゴス化ともいえる、世界の戦術の変遷やアップデートに追いていない状況とそれに比例するように国際的成績の低迷の中で、ようやく小さな一歩を生み出したのだと思います。その間、バックアタックというものが積極的行われるようになりパイプ攻撃もみられるようになってきました。クイック攻撃は時短的なセットアップ(はやいひくい)よりも、スパイカーのパフォーマンスの最大発揮を重視したものへと変わりつつあり、ブロックもようやく「リード・ブロック」を取り入れようとしている状況になっています。また、ブロック戦術に対抗するために、攻撃枚数の確保が必要となり、セッターへの返球であるファーストタッチも高くゆったりしたものが多くなってきました。

 しかし、その「一歩」というは、海外のそれと比較すれば、極めて小さすぎる一歩と言えるし、次の一歩またその先の一歩とはなかなか進みにくい、スピード感のなさも感じられます。「世界標準」という看板は、それ自体掲げている時点で遅れ感がにじみ出ているのですが、残念ながら、海外はもはや「標準」と言わなくても実践している「当たり前化」した状況になっています。情報技術はこの20年間で劇的に変わり、世界中どこでもリアルタイムでしかも映像での情報を入手することができます。バレーボールでも「データ」や「動作解析」などをコンピューターの力で処理できるようになってきます。
 ですから、国際的な、「情報戦」は激しくなる一方で、それは戦術のスカウティングにとどまらず、指導法や教授法、トレーニング方法まで、情報の発信も入手も解析もグローバルなものとなっているわけです。ですからブラジルのバレーが世界に吸収されるのも短時間である一方で、日本のこの「遅れ感」は由々しき状況ではないでしょうか?この状況や意識の差をなんとか埋められないかと思うわけです。
 その「遅れ感」を埋めるためにも、今一度「育成の在り方」を考えるべきだと思うのです。そしてただ考えるのではなく、積極的に「海外の育成」から広く情報を集め、吸収できる部分は吸収すべきだと思うわけです。



 このブログでは、日本のバレーボールの課題を「育成」、つまり小中高校生の子どもたちへのコーチングやトレーニングの在り方に大きな要因があると考え、さまざまな角度から話題を提供してきました。
 その「要因」というのは、一言ではまとめることのできない、大変複雑かつ根深い問題もはらんでいると考えています。
しかしながら、
・プレーヤーである子供ファーストになっていない指導者や保護者の欲求
・育成カテゴリであるはずなのに、熾烈な日本一争いに終始している
・選手の指導者や環境への依存と他律
・勝利至上主義と勝利最短主義
・固定化されたポジションなど大会での勝負を理由に一部分のスキルの完成だけ求める。
・指導者の学ぶ姿勢と学ぶ機会のなさ
・初心者に「カタチ」から入る指導
・指導者の試行錯誤なき安易な結果獲得欲求
・世界のバレーボール情報を受け付けない閉鎖性
・カテゴリ間の断絶
などなど、
日本のバレーボールがつまずいている育成の課題のその要因たるや、挙げだしたらきりがないくらい、課題山積なんだと思うのですが、遅々として議論も生まれなければ、変革も生まれないのはなぜでしょうか?

 まさに、「当事者意識の欠如」が深刻なんだと思います。
 カテゴリ間の連携も薄く、しかも責任の転嫁や課題の先送りが染みついてしまっています。

 2020年の東京五輪が迫ってきました。バレーボールの日本代表がより良い結果を出せるかももちろん注目すべき大切なことだとは思いますが、日本のバレーボールと「育成」を考える時、もはや2020年をどうするかよりも、2020年の東京五輪をいかにして良いターニングポイントにできるかが重要なんだと思っています。
 となると、その準備はもう時間がない。前年となる2019年に議論だけじゃなく、いろんなムーブメントが起こってほしいもんだと思うのです。

 そんな思いが芽生えつつある中奇しくも、2019年は「平成」という一つの時代が終わり、日本の新しい時代が始まります。
 私がバレーボールのコーチングに関わって十数年。こうして記事を書き出して10年余りが経過し、この間私なりに感じていることは、日本のバレーボールの課題や問題があれこれ表面化しつつも、なかなか改善や改革に着手できなかったことが多かったのではないかと思います。昭和の日本のバレーボールの財産だけでやってきた限界が表面化してきたのだと思います。
 ですから、新しい時代を迎えるにあたり、もう一度土台から考え直す、「育成の改革」が必要なんだと思います。
 そしてそのためには、まずは日本の独自路線を求めることよりも、海外の世界の主流を知り、実践し、そこから長短を洗い出す作業が必要なんだと思います。「日本の育成」は、そこから取捨選択することでなされていくと思うのです。





 私は、日本のバレーボールの育成現場における、主に指導内容の課題として挙げておきたいのが、

(1)技術をともなった判断、判断をともなった技術の練習プログラム
 一連のプレー動作をわざわざ細部まで分解するような誤ったスモールステップの考え方や試行錯誤なき型ハメ練習、さらには指導者から与えられたワンパターンな戦術の遂行などで育成された選手が、上のカテゴリに行くほど、世界との差が開いています。
 ネットを挟んだラリーの中から、連続的かつ瞬間的に最適な判断を積み重ねていくスキルを訓練しなければなりません。
 従来のクローズドスキル練習で終始する練習から、オープンスキルやゲームライクを取り入れ、同時にクローズドスキルのフィードバックを入れていくような、スパイラル的なスキルアップを目指す練習スタイルが、日本でも当たり前になっていかねばならないと思います。

(2)「システム化」から生み出す対応力と柔軟性(何となくからの脱却)
 とにかくプレーの型ハメ、戦術のワンパターン化からなかなか抜け出せていません。
 バレーボールは、「選手自身が」ネットの向こうの相手とボールを「見て」、「判断し」、「動く」という基本があるのに、指導者の理論武装に選手が巻き込まれる状況が多く見受けられます。
 では、どうやったら、本来あるべき、選手自身の主体的かつ能動的な思考判断と対応力を伴ったプレーを導き出せるのでしょうか?
 そこで必要なのは、「システム化」の再確認だと思います。
 スパイクにおけるテンポがあります。ブロックの配置や反応方法の違いがあります。サーブの狙い方と戦術的意図があります。レセプションシフトの変化があります。各ポジションの状況に応じた動線があります。
 このように、ボールと選手の状況から生み出されてくる、テンポ、ポジショニング、ボールの位置情報、選手の動線・・・これらは、ワンパターンなものであるはずがありません。そのためには、まずはいくつかの選択肢を与えそこから状況に応じて選択させる「システム化」があってもいいのではないかと思います。

(3)「試行錯誤」とコーチング
 「考えろ!」と選手に言っておきながら、考える方法や材料を教えていない。「工夫しろ!」と選手に言っておきながら、ミスやエラーを許さず時間的にも待ってくれない指導をしている。これでは、選手の自立だけでなく、思考判断力も育つわけがありません。
 「育成には時間をかけろ」これは、否定のしようのない事実だと思います。時間をかけるとは、2年3年では短いのです。数年十年かけて醸成していくのが育成だと思うのです。
 選手自らが課題を見つけ、次なる目標や欲求を持ち、そこに向けてトライ&エラーを積み重ねていく。そういった「試行錯誤」を選手ができるように、指導者はどうアプローチするのか。そこが「コーチング」だと思います。
 毎月、毎年、大会で結果を出すことを求める中では絶対に実現できないでしょう。

(4) オールラウンダー性、トータル性の重視
 このブログでも、日本のセッターの大型化が進まない問題、ミドルブロッカーの得点力不足の問題、日本のブロック力の低さの問題、ハイセット能力の低さやレセプション能力の低さ・・・こういった課題は、小学生バレーから始まる、「偏ったスキル指導」、「偏ったプレー経験」からくるものだと主張してきました。
 「育成」から「オールラウンド」という要素を外して考えることはできないと思います。必然的にオールラウンドを求める以上、やはり時間が必要となります。そして様々な機会や環境が必要となります。
 指導内容や戦術の分析も、データやエビデンスを踏まえ、局所的な正解ではない、マクロでトータルな考察も必要だと思います。
 このように長期スパンに立った、トータルでの育成の成功を目指す必要があるのではないでしょうか?



 こういったバレーボールの育成に関わるヒントが世界にはあるのを知っています。公開されている資料や文献だけでも十分知ることができるのです。日本の国際的な競技力向上を考える時、「育成の世界標準」を議論していくことは無視できないと思うのです。
 指導者個々人に育成の理念を期待するには限界があります。どうしても勝利の追及と効率化を求めてしまうからです。だから「育成」については、組織がある程度制度化しなければならないと考えます。
 2019年からはじまる日本の新しい時代、是非とも日本のバレーボールも「新時代」とも言える変化を、「育成」から生み出したいものです。そして組織的な取り組みを模索しなければいけないと思うのですがいかがでしょうか?


(2018年)

2018年10月6日土曜日

女子バレーボールでのトータリティ(世界バレー2018)

FIVB volleyball women’s world championship 2018 Japan Sapporo

1次ラウンド PoolB 9/29~10/4 札幌 北海きたえーる

 世界バレー女子大会が、当地北海道札幌で開催され、東京や大阪から離れた日本の遠隔地にいて、なかなか国際大会を間近に観ることができない私たちにとって、大変貴重で有意義な経験となりました。今回の札幌大会では、イタリア、中国、トルコ、ブルガリア、カナダ、キューバによる1次リーグの試合となりました。

 何といっても世界ランク1位、郎平監督が率いる、シュテイやエンシンゲツといった名高い選手を擁する中国は注目大でした。
 イタリアはすべてのすべての選手の個人スキルが高い印象があり安定した試合運びをしていましたし、トルコも選手起用の妙があり試合展開の運び方が大変参考になります。ブルガリアはチームとして一戦一戦に対する目的が明確でしたし、カナダは組織的なバレーにトライしているようで、キューバは露骨に8年後を見据えた強化をしているのがわかりました。

 こうして数年に一度バレーボールの国際大会を会場で観ることができているのですが、テレビ中継だけでは感じることのできない、いろんな空気を感じることができます。
 やはり、それぞれのチームが、この大会、この一戦にどのような目的や意識を共有して臨んでいるのか、それが日本とは違うような気がします。
おそらく「戦略」という言葉があてはまるのでしょうか?
 もちろん、どの試合にも手を抜くとか負けて良いという感じはないのですが、試合ごとに同じチームでもチームの雰囲気や起用方法が違っていて、面白いなと思います。


 さて、今の世界の女子バレーボールを実際に観てみると、やはりサーブはどのチームも戦術化が進んでいて、しっかりとゾーンを狙ったサーブがほとんどでした。ジャンプサーブもどのチームでも見られました。
 攻撃面では、バックアタックは、まだ男子ほど頻度は多くないし、パイプ攻撃などようなテンポの攻めも少ないものの、旧来の消極的バックアタック・・・つまりフリーボールするよりはマシという意味合いのバックアタックではなく、より積極的にバックアタックを攻撃オプションにしているのもわかりました。


 「ブロック」では、中国やトルコなどが積極的に3枚ブロックを仕掛ける場面が見られ、少しずつ男子バレーの組織的な戦いに近づいているのが感じられます。
 しかし、一方で女子バレーではまだまだ、ゲームにおける「ブロック」の位置づけが、男子とは同じとは言えない印象です。それは、3枚ブロックをやったかどうかではなく、ミドルブロッカーの動きや、相手の中央攻撃に対するブロックの配置などをみていると、女子バレーにおいては、ブロックの戦術化をさらに整備していくことで、チーム力を高め他チームに差をつけることができるのかなと思います。ですから、日本代表女子も世界と戦えるヒントは、ブロックのスキルや戦術を強化していくことが、世界との溝を埋めることにつながるのではないかと思います。
 相手の中央からのクイックやバックアタックなどの攻撃に対して、ブロックが1枚になるチーム、または中央攻撃が絡んだ中からサイド攻撃に切り替わった時にミドルがブロックに行けないチーム・・・こういったチームは今や勝利をつかむのは難しいという印象です。
 確かに「リードブロック」というものを標準スキルとすることが大事だという議論になりますが、必ずしもリードブロックをやりさえすればいいというものではなく、そこはサーブ戦術とのリンクや、配置における対応力、相手の配球傾向の分析・・・など、様々なスキルや情報が必要になってくるような気がします。

 世界の女子バレーでは、ブロックの戦術化のさらなる向上、個人のブロックスキルの向上、そしてコート上6人の個人スキルがさらにオールラウンド性を求め攻撃オプションをより多く確保することができることが、世界の上位進出のカギになってくるんだと思いました。日本代表女子も、世界の上位に入り込む強化はできるんじゃないかと、感じます。


(2018年)

2014年8月9日土曜日

バレーボールDVDレビュー(感想・雑感など)


バレーボールに関するDVDを手に入れました。
20代のころ、わけもわからず、VHSの教材ビデオを
購入して以来のことでした。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

まずは、バレーボールに携わっているコーチや選手の
一人でも多くの方々にぜひ一度観ていただきたいと思いました。
そしてただ一人で観て終わるだけじゃなく、
観た人同士でディスカッションや実践的なセッションを
してもらうと、より価値が増すんじゃないかと思います。
「そこまで難しく考える必要なんてないよ」
「ふだんあまり深く考えてやらないし、やらなくていいし」
という人ほど、ぜひ一回観ていただきたい内容だなと思います。

これまでのバレーボールでのコーチングとか練習では、
指導者のいわゆる「指導力」という名のもとでの
強力なリーダーシップや求心性によって行われていることが
多いんじゃないかと思います。
それがいつしか選手たちは、コーチに対する依存度が強まり、
自ら思考したり、試行錯誤をしたり、工夫をしたり
することが薄れていっているんじゃないかということを
このDVDを観て感じられるのではないかと思います。

また、コーチングにおいては、
コーチ自らの経験(プレー経験)に基づいた感覚的な指導
がなされることが多く、
その感覚上、経験上において、「させたくはない」ことに
焦点化されることで、本来目指すべきプレーや戦術が
見失われてきた側面も露呈してくると思います。

例えば、ブロックではいわゆる「吸い込み」を嫌います。
そして2枚~3枚の不揃いを嫌います。
そうすると、練習ではそれらををしないよう、
ネットに近づき、その場で相手に正対して揃えてから
垂直的にジャンプするようなフロントしてハンズアップからの
ブロックが当たり前となり、
スイングブロックというものが広がりませんでした。
スイングブロックという概念がないので、
当然「リード・ブロック」というものへの理解も
浸透しにくくなった側面もあると考えられます。

このように、「練習」が「~しないように」という、
局所的な問題をなくしていく「問題指向型アプローチ」
でなされるようになっていったのです。
ブロックとは、
本来は強力な相手スパイクに対するものであって、
「吸い込みしない競争」
「きれいに揃っているコンテスト」
ではありません。

こういった例を挙げれば、
DVDを観ていくとどんどん出すことができるんじゃないか
と思います。

例えば、「はやい」攻撃というのは、
日本人はフィジカル面で劣るという理屈が土台となって、
求められてきました。
その結果、ゲームの局面の至る所で、「はやさ追求」に
なってしまい、その他の大事なポイントが犠牲になってきた
ことも見えてきます。
しかも、その流れは、世界のバレーボールの戦術の変遷とは
リンクしていない「ガラパゴス化」したものであり、
どうやらオリンピックなどでの結果の低迷にそれが
結びついているように思えます。
「はやい攻撃」をすべしが前提になり、
 ・Aパス至上主義
 ・セット(トス)がネットに近い
 ・セッターへの返球が低くはやい
 ・セッター位置がネットに近い
 ・スパイクの最大の効果(最高打点フルパワー)
  が犠牲になった
 ・ブロック戦術の低迷
 ・バックアタックの標準化の遅れ

など、
あらゆる方向性にその影響が蔓延してしまったのだと
気づかされます。

DVDの内容は、ちょっと実践から離れた概念的な
レクチャーが多いので、
なかなかとっつきにくく思える人もいるかもしれません。
でも、個人的にはみなさんでこの内容をシェアし、
ディスカッションするには大切な内容だと思うし、
これからの日本のバレーのプレーやコーチングの
「当たり前」を変えるきっかけになると思います。
私は、この内容をエッセンスとした、
より実践的な取り組みや伝達をこれからも
模索していこうと思います。
それが次なる課題だと思っております。

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DVDの中身の目次は以下の通りです。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

【第1巻 ~なぜ、今「 スロット 」と「 テンポ 」なのか?~】

■イントロダクション
■アイスブレイキング "ヘリウムフープ"
■問題指向型アプローチと目標指向型アプローチ
  *《問題1》コーヒー好きなあなたが、紅茶好きの彼(彼女)とうまく付き合うにはどうすればよいか?
  *《問題2》従業員のゴーグル着用率を100%にするために、経営者としてするべきことはいったい何か?
■Evidence-based Volleyball(EBV)
  *《問題3》サーブ・レシーブ成功率とアタック決定率との関係は?
■【スロット】の概念
■【スロット】の概念を用いたクイック練習《オンコート実践》
■【テンポ】の概念
■和井田剛史選手(東京ヴェルディ)インタビュー

【第2巻 ~コンビ ・ バレーはもう古い!
 最もシンプルで相手に効果的な " 同時多発位置差攻撃 "~】

■「2対2」ビーチバレー形式の練習《オンコート実践》
  *両チームの "作戦" を振り返る
 ■ブロック側とアタック側の "かけひき" によるバレーボールの戦術変遷
  *1960年代【コミット・ブロック】対【ファースト・テンポ】
  *1970年代【コミット・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
  *1990年代【リード・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
 ■【リード・ブロック】に効果的なアタック戦術とは?
  *《問題4》俊敏な動きができない長身選手にクイックを打たせるには?
 ■ファースト・テンポの本質 "頂の景色(いただきのけしき)"
 ■【リード・ブロック】に効果的な〝はやさ〟とは?
  *選択反応時間を体感《アクティビティ》
  *ヒックの法則
  *2000年代【リード・ブロック】対【同時多発位置差攻撃】
 ■【シンクロ助走】を体感《オンコート実践》
 ■まとめ&振返り
  *《2011年全日本インカレ女子準決勝》「東海大学 対 嘉悦大学」のプレー解説

【第3巻 ~世界標準を指導する上で知っておくべき考え方および " 定石 ( セオリー )"~】

■オープン・スキルとクローズド・スキル

  *《問題5》初心者がいるチームでどうやって勝ち進むか?

  *初心者段階から導入すべきクローズド・スキル

 ■練習の組み立て方および考え方(ディープ・プラクティス)

 ■ルール上の前提知識

  *【ラインナップ】と【ポジショナル・フォールト】

  *【フロント・オーダー】と【バック・オーダー】

 ■エビデンスに基づいたサーブ戦術の "定石(セオリー)"

  *《問題6》威力のあるサーブを打てないあなたが、格上チーム相手にサーブでなすべきことは何か?

 ■セルジオ選手(ブラジル男子)に学ぶ、リベロの "あたりまえ"

 ■太田有紀選手・白川雅貴選手(兵庫デルフィーノ)インタビュー

【第4巻 ~" トス " を上げずに " セット " する‼ 世界標準を達成するために必要な " あたりまえ " とは? ~】

■【トータル・ディフェンス】におけるブロック戦術の考え方
■セッターに要求される "あたりまえ" のプレー①:「お膳立て」
  *スロット5の位置にテニスボールをどのように届けるか?《アクティビティ》
  *【ダイレクト・デリバリー】と【インダイレクト・デリバリー】
  *2010年代のトレンド: "コミットしても止まらない11"
■【インダイレクト・デリバリー】セット&スパイク練習《オンコート実践》
■ セッターに要求される "あたりまえ" のプレー②:
  「セットする瞬間まで、どこにセットするかの手がかりを与えないプレー動作」
■【サイド・セット】《オンコート実践》
■まとめ&振り返り
■組織論 ~うまくいかない時に考えるべき視点~
  *世界標準を達成するために必要な "信頼" とは?

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)


(2014年)

DVDの「世界標準」って何?~その⑦

5月にジャパンライムという所から発売されるという、バレーボールに関するDVDについて、内容が従来にない切り口である点が注目で、しかもその一端が見えるPR動画もあったことから、みなさんで議論が広がってほしいという思いで、記事を連載しています。その7(最終)です。
これでアップされていたPR動画もすべてです。

ほんのちょっとの動画を介してでも、これまでだけでも、論じることのできる話題や視点がたくさんあることがわかりますね。
また、短い動画ではあるものの、どうやら従来のプレーの感覚や練習の考え方とは、大きく違った新鮮なものであるような気もします。
少し考えさせられたことは、このDVDが発信するターゲットは、どんな人たちなんだろう?ということです。選手にとっても大事だろうし、指導者にとっても大事だろうし。中学生にも観させたい気もするし、でも少々中学生には難しい気もするし。
個人的には立場やカテゴリ、経験値を問わず、バレーボールに携わる人ならみんな観て、ああだこうだを話し合ってみるのがイチバンだと思います。
ただ、間違いなく言えることは、内容的には、
「このメニューがおすすめ」
「このドリルをすれば上手くなる」
「これさえあれば勝てる」
などといった、ハウツーものではないということです。
それを期待して観てしまうことは避けた方がいいかもしれません。
むしろ、「内容がよくわからない」といった疑問の意見は貴重だと思います。
でもただ単に「わからん」で一蹴するのではなく、
わからないのはどこで、みんなどう思っているのか?
と挙げていただくとDVDの価値は出てくると思います。





立場やカテゴリを超えて観た方がいい・・・
ということは、小中学生バレーの指導現場にも深くコミットする課題が見えてきそうです。
このDVDが出てきたきっかけは、長年低迷してきた日本のバレーボールが、
もう一度世界の舞台で活躍するためにあらゆる視点でものごとを見つめ直そうという
課題を投げかけているのだと思います。
ですから、実は小中高校のジュニア世代の指導の影響が大きく、
従来の子どもへの指導として行われてきた、当たり前の話や練習方法、理屈を、もう一度見直し、これからあるべきプレー観や練習アプローチ、選手の指導、育成、強化・・・をみんなで再構築することが求められているのだろうと思います。
最後の動画では、そういった練習のアプローチに対する疑問が投げかけられていると思います。
ブロックという一連の目指すスキルがあったとして、
指導者は、その全体像や完成形をある程度イメージしています。
ですから、部分的な要素を習得させて、
最終的に選手がスキル習得ができるように、
「段階」を踏んだ練習をしようとします。
「スモールステップ」というものがそれです。
ただ、これが弊害を生んでいる側面もあると思われます。
つまり、人間の運動を、そう簡単にパーツ化したり、
細分化してつなげて、運動が成立するかという問題です。
座って手の練習をして、
立ち膝で上腕から手の練習をして、
立って練習をして、
動きの中で練習をして・・・
一つのスキルの練習にこれほど膨大な時間を費やすべきなのでしょうか?
加えて、座ってできていても、立ち上がった瞬間に前の練習ができなくなる。
そんな運動の移行もきわめて弱い点も指摘しておかねばなりません。
「スモールステップ」というのは、指導者寄りの視点で、選手主体の視点に立っていません。
つまり若干余計なお世話が入っていると思います。
多少失敗や雑な所があっても、子どもたちは、運動やプレーの全体像を試しながら、
自分自身と語り合い、自己分析してスキルアップをしていくと思います。
そんな練習アプローチにも、話題が及んでいそうです。

ぜひ、このDVDを共通の話題にして、
全国でバレーボールの議論が広がることを期待しています。
(連載 了)


(2014年)

「世界標準」って何?DVDで議論を(サーブ)~その⑥


発売される「世界標準」なるDVDはどうなのか?その6です。

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どんなことにも、
「inside and outside」「two‐faced」などといった表裏の関係、
さらにはどんなことにも、因果関係やリンクが存在します。
バレーボールだってまさにネットを挟み、
相手と自分たちのそういった状態にあるわけで、
どちらか一方だけからの視点では解決しないことが
ほとんどなんだろうと思います。 
このPR動画では、サーブの意図について触れられているようです。
これだけを見ても、身の回りで言われている、
サーブの考え方が、いかに部分的なものであるかを、伝えたいのだと思います。



サーブでは、相手の弱点を狙うということはよく思いつきます。
でも「弱点」を狙って、どうしたいのか?となると、
またいろんな考えが出てきそうです。
サービスエースを獲りたいのか、
セッターのセットを妨害したいのか、
相手の特定の攻撃を封じたいのか・・・。
そういった部分まで考えてゲームを行うことって、
ひょっとしたらあまりなかったのかもしれませんね。
さらに考えを巡らせていくと、
セッターを妨害するってどういう状況をつくればいいのか、
相手の攻撃を封じるためにはどういう状況を生み出せばいいのか、
さらにセッターや攻撃を妨害したら、
次に自分たちがやるべきこと、打つべき手は何か?・・・
そうやって考えていくと、
8秒の間に打たねばならないサーブというのも簡単ではないなと
思っちゃますね。だから練習はもっと練らなきゃいけないのだと思います。
ちょっとクローズドスキル的な話になっちゃいますが、
サーブ練習の性質ひとつを考えても、
対象物(人)を狙ってサーブを打つ、
対象物(人)に動きの負荷を与えるサーブを打つ、
対象物(人)がいないスペースを狙ってサーブを打つ、
というのは、ちょっと感覚的な違いがあって、
どれか一つできたからといって、すべてが狙えるというものでは
ないように思えます。
だから、サーブ練習もいろんな意味で大事ですね。

このDVDがどこまで触れられているかは、
このPR動画だけではすべては分かりませんが、
個人的には、サーブの練習方法のこれからの在り方や、
「サーブ&ブロック」戦術の必要性、さらには、サーブを考えることで、
自分たちのレセプションのシフトの在り方を見直す・・・
そういったことにも思考が及んだらいいなと思っています。
先ほど書いたように、「表と裏」の関係があるのですから。


(2014年)

「世界標準」って何?DVDでみんなの議論を⑤ ~概念の違いかなぁ


DVD「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
の5月連休明け以降の発売をきっかけに、
バレーボールへの議論が、いろんな形で盛り上がればいいなと思い、
この話題がきっかけになればいいなと記事を書いてのその5。
今回のPR動画から垣間見れることは何でしょうか?

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私は、練習において、プレーの精度を上げる目標の練習は、
必要だと思いますし、どのコーチもそういう練習を考えておられると思います。
その最たる例が、レセプション(サーブレシーブ)や
ディグ(パスやレシーブ)というものを、
セッターが待っている定位置に確実に返球できるかどうかというターゲットです。
これを、ちまたでは「Aパス」とか「Aカット」と言うそうです。
セッターがあまり動かない位置に返球できればA、
セッターが一歩か二歩、または1~2Mの範囲であればB、
セッターがアウト・オブ・タイム状態になればCといった
ところでしょうか?
ですから、ファーストタッチ(セッターへの返球)の精度を上げるとなれば、
自らのコントロールによって、「Aパス」を目指そうということにつながるわけです。

ここまでは何ら疑問点はないかもしれません。
ですが、問題は「Aパス」を要求しすぎたことによって、
本来あるべき状態を見失ってきたんじゃないの?
ということをこの動画で説明しているんだと思います。
つまり、「Aパス」を目指そう
    「Aパス」じゃなきゃいけない
    「Aパス」じゃないとセットできない
    「Aパス」じゃないと攻撃が成り立たない
    「Aパス」じゃないと勝てない
と、どんどん視点が脱線して、
頑張るべきものを見失ってきたんだと思います。



「頑張るべきもの」とは何か?
それは、ボールを床に落とさないことと、
何でもいいからスパイクヒットにつなげ、そこからできるベストな攻撃を生み出すこと
じゃないかなと思います。
よく「トスが乱れる」という言葉がありますが、
それにも実は許容範囲の幅が随分違うのだと思います。
「Aパスじゃなきゃいけない」と練習してるチームは、
その分要求ハードルが上がりますから、
「トスが乱れる」場面が増えます。
でも、Aパス以外からの攻撃オプションを備えたチームは、
仮にAパスじゃなくても、積極的攻撃を繰り出せますから、
「トスが乱れる」場面は少なくなります。
これらの課題のキーとなってくるのが「バックアタックの標準化」です。

ここまで話が進んでくると、
もはやバレーボールのスキルというのは、
Aパスがどうのとか、言ってられないと思います。
・バックアタックの標準化
・脱はやいひくい信仰
・脱Aパス強迫観念
・ファーストタッチの返球の在り方
・攻撃の主導権はセッターではなくアタッカーである
などなど、
「スキルチェーン」でのマクロな発想が、
これまで以上に求められるのだと思います。

「Aパス~%以上を目指そう」
限りなくパーセンテージの高い選手はやはり有能なんだと思います。
でもパーセンテージが高くても、
その後の展開や、Aパスじゃなかった時に何もできなければ、
そのスキルも無駄になってしまいます。
また、常に「Aパス」を意識しすぎるがために
起こる現象もあろうかと思います。
それは、相手からダイレクトをやられたり、
セッターに返球しようとしたボールが相手のブロックのえじきになったり、
セッターのタッチネットやペネトレーションフォルトになったり。
そういったものにも影響があるということに、
もっと視野を広げないといけないのかもしれませんね。


(2014年)

DVDについてその④~「ジブンタチノバレー」 と 「はやいひくい」

「セカイヒョウジュン」なるタイトルで、
従来の日本のバレーボールに一石を投じようとして発売されるDVD
「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
これに関心を寄せつつ記事はその4となっていますが、
このDVDの特徴は、従来の「ハウツー」ものでもなく、「こうすれば勝てる」ものでもない、
みんなで考える、議論できる構成になっていることは、その1で書きました。
個人的には関心があるだけじゃなく期待を持っています。
そして、選手の思考力にフォーカスした視点や、「ジブンタチノバレー」症候群?について書きました。
しかしPR動画を見ると、より具体的なスキルの話題にも触れられているようです。

今回の記事はスパイクについてです。
日本は海外に比べて高さとパワーに劣る。
それはもはやどうにもできないことであって、
その差を埋めるためには別の要素で対抗しないと勝てない。
と、みんな言っていますが、本当でしょうか?
そして高さとパワーに対抗しうるものが、「はやさ」「スピード」だというのです。
私は、この点にはずっと疑問を持っていました。
そもそもナショナルチームのパワーや高さにおいて、
そんなに「絶望的な差」が日本と海外にあるのでしょうか?
次に、「高さとパワー」VS「はやさ、スピード」
というものが対立軸になりうるのでしょうか?
身の回りでは、さも、「はやい攻撃」が難易度の高い必殺技のようにもてはやされていますが、果たしてどうでしょうか?
よくよく観ていると、「はやいバレー」を標榜しているのに、スパイクが合わずに打ちきれなかったり、簡単に相手ブロックに触られて、スパイク決定できていなく、無駄に長いラリーをして消耗していることが少なくありません。
これが小中高校から一般まで繰り広げられています。
確かにはやい攻撃や複雑なコンビは、「攻め手側」からすると難易度は高いですが、
それが同時に「相手」にとって防御が難しいかと言えば・・・?
言いきれないと思います。
ブロックシステムが構築されブロックの選手に思考力があれば怖くありません。
それ以前にサーブなどで戦術を確かなものにすれば封じることだってできます。
ですから、従来の「はやい攻撃」を見直すことが必要です。
自分は、「何が正しいか」という唯一無二的な発想ではなく、
選択肢を一つでも増やすこと、そこから選択判断できること、
これが、相手にとっては一番嫌であり、
「はやさ」というのは、こちら側(攻め手)の計測的な「はやさ」ではなく、
結果的に相手ブロッカーが感じる「はやさ」、
つまりは相手ブロッカーの選択判断を遅らせるような状態をつくること
で生れる「相対的なはやさ」がそうなんだろうと考えます。





今回のPR動画では、
このDVDが「考え方」のアップデートからはじまり、より具体的なスキルや戦術にも言及していて、
それが「スパイク」の「はやさ」からもよくわかるということなのだろうと思います。

スパイクはなぜ攻撃手段の決定的な姿となりうるのか。
たまにこう言う指導者に出会います。
フェイントもプッシュも1点は1点。
だから打てなくてもはやい攻撃で攻めることを目指そうと。
ですが、そのようなチームの顛末はだいたい、
ここ一番ではプレッシャーがかかったり、崩されて、目指すはやいバレーができずにいます。
それに指導者は「単調になって負けた」と振り返る。
そんなことが今までずっと続いてきました。
これも「ジブンタチノバレー症候群」だと感じています。
ですが、「はやさ」についての考えを見直してみると、
それまでの疑問がクリアになってくることも出てきます。
そうすると、いくら得点差がもつれた場面であっても、
いわゆる「Aパス」じゃない状況でも、
積極的に「はやい攻撃」を用いることができるようになります。
スパイクが攻撃手段の最たるものになっているのは、
スパイカーの最高打点が確保でき、十分に打ちこむことができるからです。
だからそのための十分な助走とジャンプ、
そして空中で打ち切れ、打ち分けられる状況が必要なんです。

そういった従来のコンセプトである、
「はやいバレー信仰」とそれしか目指せない「ジブンタチノバレー」
に対し、より具体的なスキル論に立っても、
説明されているのかな?という気がします。
実は、毎週日曜日夕方からTV放映されている、アニメ「ハイキュー!!」
先週の第4話のタイトルは、「頂の景色」。
PR動画と同じタイトルですね。
先週の第4話は、この話題がわかりやすく見事に表現されていると
思いながら自分は観ていました。
「ハイキュー!!」とDVDの内容のリンクにも注目していくと面白いかもしれませんね^^


(2014年)