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2020年12月20日日曜日

第2回TETSUミーティング202012019 ~日本のバレーボールと技術

【TETSUミーティング】

と題し、
日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。
 今回はその第2回目の話題です。


第2回目のテーマは、
「日本バレーボールの技術指導のこれからを考える」 という設定で、約30名弱の学生プレーヤーから各カテゴリの指導者、
さらには戦術系ライターやアナリスト、
レフリー(審判)、学者や教員にいたるまで 多岐の領域関わる方々に参加していただきました。

今回のミーティングのイントロダクションとして
私から、日本のバレーボールにおける従来から行われている技術指導について
プレゼンテーションいたしました。

当ブログの過去の記事の内容をもとにした
プレゼンテーションをイントロダクションとし
ディスカッションを始めていきました。
↓ ↓ ↓


それをしなくてもできること


前回、第1回目のミーティングでは、
日本のバレーボールの従来言われてきたところの
技術指導やチーム作りを見直し
近年再検討されてきた知見やグローバルスタンダードに近づく要素
による実践報告をもとにディスカッションしました。

それを受けての第2回目は、従来の日本の技術指導をどう見直すか、
こらからどうあるべき方向に向かわせるかというテーマ設定です。

・オーバーハンドパスは手首を柔らかく使って
・ハンドリングは、キャッチ&リリースの速度を速めて
・スパイクの打点は肘を下げてはならない肘を先に挙げて
・スパイクのジャンプ力を上げるため深く沈みこんで
・セッターは右軸で
・高く飛ぶためにスパイクは真上に跳べ
・とにかく「正面」でボールをとれ(ディグやレセプション)

こんなことを私も指導者駆け出しのころ
さも当たり前のようにようにレクチャー受けましたし
プレーされた方も多くの人は言われたのではないでしょうか?


それで・・・
ディスカッションを始めたのですが、
予定されていた2時間の設定の時間のほとんどは、

「オーバーハンドパス(セット)」についてで終わってしまいました。

それだけ、日本のバレーボール指導において
オーバーハンドパスやセットについては多くの課題があるだけでなく、
オーバーハンドパスの指導論を象徴として
従来の日本のバレーボール指導自体に多くの課題があることが明らかです。

乱暴になっちゃいますが、結論的なことを申し上げると、


この本をみんなちゃんと読んだか?(しっかり読めよ)
ということです。


オーバーハンドによるパスやセットの原理は、

「キャッチ→リリース」の手首のスナップ速度を速めたものではない

「手の形」を同じようにする必要もない



こういった情報だけでも、
ここ昭和から平成にかけて行われてきた
従来の日本のバレーボール指導がいかにアップデートされていないか
明白なはずです。
しかし、実態は、まだまだ従来の指導法が何の根拠や検証もなく
ただ、自分が教わってきた、自分が練習してできたという
経験とその感覚に頼った指導がなされているわけです。

ですから、日本のバレーボール選手そして子供たちは、
オーバーハンドパスが飛びません。キャッチ癖が抜けません。
柔らかい?美しい?オーバーパスができても
ヘイコウトスやクイックのセットができても
いつまでもオープントスやハイセットができない選手が多いです。

そしてこれは指導方法の問題にとどまりません。
日本のレフリー(審判)の判定の考え方やあり方
さらにはその判定に対する日本の指導者の態度
オーバーハンドパスのハンドリングに対する取扱いにおける矛盾
など
問題が複雑に絡み合っているという点にも議論がおよびます。

ハンドリングの反則(キャッチ)に対し
・判断に幅があるグレーゾーンなものなのか?
・グレーゾーンであれば反則に挑戦するようなことを指導していいのか。
・そもそもキャッチと言う反則をジャッジした審判を子どもの前で否定していいのか
・教育的配慮という名のもと、キャッチの反則を見逃していいのか

こういった風土が、技術指導に深刻な影響が与えます。

「オーバーパスは手首の柔らかなスナップで飛ばす」
「そのためのオーバーのハンドリングには筋力が必要」
「小さい子は筋力がないからオーバーは飛ばせない」
「うちのセッターはまだキャッチ気味だから反則とったら試合にならない」
「試合中反則取られ続けてその子が泣いてしまう」
「審判の判定が厳しすぎると文句を言う」
「気を遣って判定を緩める」

こんなことが、日本国中あちこちで発生しているなんて
異常なことだと思います。
そんなことで、日本代表がオリンピックでメダルと獲る日が来るのでしょうか?
(絶対くるはずがない)


 この動画をみて、日本のバレーボール指導に携わる方々は何を思うでしょうか?
 オーバーハンドのハンドリングを持つ持たないと文句言うだけで、
 研究で得られた知見をおさえることなく、誰かが言う謎理論を信じるだけで、
 いっこうにキャッチ癖が残って9M~10M~とハイセットできない選手を量産している間に、日本以外の海外の選手たちはどんどんスキルを上げているわけです。
 レフリーのみなさん、キョウイクテキハイリョという名のもと、ベンチにいる傲慢な指導者に忖度するのは終わりにしましょう。
 そして指導者は、スポーツであるバレーボールを指導する以上、「ルール」や「スポーツマンシップ」、「フェアプレイ精神」を順守すべきです。レフリーがキャッチと判定すればそれがキャッチという反則です。ダメなものはさせない、反則はさせないという「モラル」が欠如しています。
 バレーボール指導者は、よく、教育だの子どもを育てるだの言います。ところがそんな子供の前でハンドリングの判定に文句言ったり、キャッチの反則にわざわざ挑戦するようなことを教えることのどこがキョウイクなのでしょうか?

 一方でレフリーは、その試合がいわゆる「荒れる」ことへの問題意識や対策など目先のことを考えるだけではなく、例えばハンドリングのキャッチの反則に配慮や忖度をすることで、日本の選手たちがどんどん世界の中で遅れをとっていくということこそに「問題意識」をもってもらえたらと思います。
 だから、海外では小中学生などのアンダーカテゴリーでは6人制の全国大会をもたない、またはさほど重視していないわけです。むしろミニバレーや異種目のクロススポーツをさせる中で、時間をかけてバレーボールのスキルアップがより確実になるようにプログラム化しているのです。

 もう、答えは出ているはずです。

・力学などの知見による動作原理(実際何が起こっているのか)
・動作原理が達成されている場合の状態(外からどう見えるのか)
・プレーヤーの手ごたえ・実感(本人はどういう感覚なのか)

これらは、しっかり精査する必要があり
それぞれを互いに検証し合う作業がとても大事なのだと思います。

もう、~先生が言っているから、~高校がやっているから
それをそのまま鵜呑みにしたりコピーする「学び方」から
脱却しなければいけません。
私はそれは学んでいるとは思いません。指導者の怠慢です。

学びの材料はいまや、無料でインターネットからでも収集できます。
そしてディスカッションも誰でもできます。
みなさんでこれからも一緒に学んでいきましょう。
オーバーハンドパスの話題で盛り上がった第2回TETSUミーティング。
ご参加ありがとうございました。
この他にも、
・スパイクとスパイクジャンプについての見方・考え方
・ディフェンス時における構えの影響とあり方
なども話題になり
2次会も深夜までおよびました。

前回の第1回、今回の第2回のミーティングを通して
やはり私が課題意識をもっていたとおりのテーマが明らかになりました

●日本のバレーボール指導者
●何事も「世界」、「グローバル」への意識をもって
●知識理解のアップデート
●日本バレーボールのアンダーカテゴリ

これが、日本のバレーボールの発展における大きな課題です。

今後、月1回を目標に先着20名の募集で
ミーティングを行っていきます。
第3回目は1月の中旬~下旬に行う予定です。
TwitterやFacebookでも発信していますので、
要チェックお願いします。
たくさんのご参加をお待ちしています。
仲間を増やし、動きをつくり、日本のバレーボールの成長にみなさんで参加していけることが願いです。


(2020年)

2020年5月3日日曜日

ポーランド滞在記雑感

勢いで、バレーボールを観るために数日間ポーランドに飛び込んでみました。

 私の課題、テーマは、「育成」やその「システム」において、日本にはないものがポーランドにあるかもしれないということ。そしてもう一つは、ともすると、日本のバレーボールの低迷の中にあって、何でもかんでも日本はダメ、海外が素晴らしいという偏った見方ではない、日本のバレーボール界がもつ、潜在的な可能性や良さを見出せないかというものでした。


日本の良さ・・・
 やはり、施設、環境面は圧倒的に恵まれた環境にあると思います。学校をベースに、どの体育館にもバレーボールコートは作れますしボールもあります。学校が中心に少年団や部活動としてチームが存在し、しかも施設使用料や月謝みたいなものはほぼなし。コーチングスタッフも無償でやっている場合が多いです。競技人口も圧倒的に日本の方が多いですし、子供からママさん、年配の方まで、いろんな形のバレーボールスタイルで練習やゲームをしている環境が日本にはあります。またアリーナの設備も圧倒的に日本の方が整っているのは間違いないでしょう。

 日本で提供されるコーチング(指導)は、個々の指導者のバレーボールに注がれる熱意からくる、研究熱心さによるものが大きいです。さほどコーチングを学んだりアップデートできる公の機会が多くない中で、それぞれが自分の経験や人脈を駆使した研究によって、無償に近い中で提供されています。ですから受益者である選手や保護者にとっては、比較低いコストでコーチングを受けることができると思います。


ポーランドを訪問してみて・・・

 たびたび述べさせてもらっているとおり、1970年までは日本とポーランドの男子バレーはともに肩を並べて世界のトップを争いながらも、80年代~2000年代初頭はなかなか世界の頂点には立てていなかった中、ポーランドは近年、世界のトップに返り咲いています。そして日本は低迷を続けてきました。
 ですから、ポーランド国内でのバレーボールに何か日本にはないものがあるのではないか?というのが個人的な関心と仮説的なテーマだったわけです。

・国民的人気スポーツの確立とプロモート

・プロリーグの活性化と改善

・代表強化につなげるための育成

・トップから系統的に構築するアンダーカテゴリの指導システム

・コーチ(指導者)の資格、評価

・競技経験者だけじゃなく、教育、メディカル、運動学・・・多角的な分野との連携

・連盟(協会)の弛まない向上心と改善マインド

・青少年年代への配慮とモチベートの工夫

・他国の情報収集、他国指導者間のセミナーなどでの情報交流

 やはり、長期的な視点に立った、スケールの大きいビジョンと構想、そしてそれを実現すべく大きなくくりで人々を結び付け巻き込んでいく・・・そういったアクションを組織が率先して行う。組織は、代表監督やリーグ指導者の意見を取り入れながら、より良いものを追究していく。こういったものが原動力になっていることを肌で感じることができました。

 ポーランドにおける今やっている育成プログラムやシステムが動き出したのが2000年代に入ってからとのこと。偶然のようで、やはり代表強化のタイミングにも重なるような気もするのです。

 日本は、バレーボールができる空間もあり、バレーボールをやっているプレーヤーも多い。そして選手たちを導こうとするコーチング(指導)をやっている人も多い。

 しかし、残念なことに(批判的になってしまうのが本意ではないが)、個々の熱意や研究心、モチベーションは高いが、そのベクトルや目指すゴールがあまりにもバラバラであり、日本のバレーボールというものが一枚岩になっていないのは明らかな気がします。

 指導内容も体系化されたものがあるわけでもなく、全国でシェアされているシステムがあるわけでもない。個々の指導者、それぞれの学校やチーム、それぞれの都道府県・・・思惑も指導理論も、目指すバリューやビジョンもばらばら。その中で、得てして対立や摩擦を生むことも多い。各カテゴリの間が分断されており、それぞれのカテゴリが独自の進化?迷走を続けている状況が続いているように思えるのです。

 競技(愛好者)人口が多い割には、代表チームやリーグへの関心も高いわけではなく、そこに対する組織のビジョンや熱意もいまいち見えてきにくい。

 こうやって記述していくと、あれもないこれもないという無い物ねだりだったり、ああしろこうしろという他力本願的な中身になってしまうのですが、でも個々の環境でがんばるだけでは、海外には追いつけない状況になっているんじゃないかと思うわけです。

 日本には、他国に比べても、潜在的なアドバンテージや資源や条件がまだまだ残されていると思うわけです。足りないのは、それらをどのように生かし結び付け、コーディネートし組織化するか。ミクロな部分で個別にバラバラ取り組むのではなく、十分研究され練られた構想を同時多発的に日本全国で展開できるか。
 今回のポーランド訪問にあたり、何人かの海外でのプレーでがんばる選手の方とも連絡を取りました。我々が思う以上に、海外でプレーをがんばる、がんばろうとしている日本人が多いのです。そして近年では、日本国内のVリーグにも、海外選手やコーチたちが多くやってきています。
 そういったものを良き資源とし、生かし、積極的に吸収しそれを日本全国に拡散させていく必要性が、組織や指導者、愛好家やファンの中から生まれてくることを期待して止みません。

(2020年)

2020年4月4日土曜日

ポーランドへ行ってみた④

2020年2月のポーランド訪問記③

 今回の滞在の仕上げはポーランドのプロリーグ、プルス・リーガの試合観戦。
 スケジュールの関係で滞在先のワルシャワでの試合はなく、この日は首都ワルシャワからバスで2時間弱走ったところにある、地方都市ラドムでの試合。ホームとなるラドムの対戦相手にリーグ首位でアナスタシ監督率いるワルシャワの対戦でした。

 自分なりの滞在のストーリーは、アンダーカテゴリのチームの練習→U18強化の現場の練習→そしてシニアのトップチームの試合・・・という流れで見学することができる中で、何か系統性や取組の方向性を見出せたらと思っていました。
 ポーランドでは、サッカー、バレーボール、スキージャンプの3つが国民的人気スポーツだとか。その中でやはりサッカーの人気が強く、国内の大きい都市にサッカークラブのホーム、バレーボールクラブはサッカーに比べ地方にある比較的小中規模の都市をホームにしてある種の共存を図っているとか。実際、今回行けたラドムという都市も、かつて州の統合以前は州都で栄えていたそうですが、現在は州統合の影響もあり少しさみしい地方都市となっていました。アリーナも日本の小さな町村でも珍しくない普通の体育館でした。ですが、試合は地元ファンを含め、ほぼ満員状態。熱気あふれるサポーターの応援がありました。



(ヨーロッパの街並みを味わいながら少し散策)

さて、試合観戦。やはり老若男女、幅広い年齢層の人々が試合観戦をしていました。
小さなアリーナとはいえ、地方都市での試合でこれくらいお客さんが入るというのは、日本国内のリーグでもそうそうないんじゃないかなと思います。人々は、オラが地元のチームの応援を楽しみにしている空気を感じます。


この日の試合は、①25-19、➁22-25、③25-21、④25-23でセットカウント3-1で、ホームのラドムが勝利。しかも、もつれた展開が多い接戦の中、アウェーのワルシャワの方がリードすることが多い中、ホームチームのラドムが我慢の展開の中から、粘っての逆転勝利。ホームのお客さんも大喜びで、私も近くのおじさんやおばさんとハイタッチやハグを求められちゃいました。
ここでの応援の熱気はなかなか日本では味わえない空気。日本もこうなってほしいなと願うばかりです。


 注目していたゲーム内容ですが、戦い方でいうと、オリジナリティーの対決というかチーム独自の戦術対別の戦術というよりも、双方とも戦い方はどっぷり四つ。というのもブロックシステムも、攻撃のオプションも両チームともむしろ標準化されたものを駆使して、それをいかに組み合わせ発揮させるかの戦いに見えました。
 そして、育成年代の練習で見てきたようなものの延長上、完成形とも言えるようなもので試合が戦われていました。おそらくトップから系統的にアンダーカテゴリに育成や強化策が下ろされているのではないかと推察されます。


 日本では、何とか先生の何とか理論とか、何とか高校何とか大学の何だかシステムと揶揄されることが多いですが、ポーランドに来て見た限りにおいては、そんな極端なゲームやプレーのスタイルはみられないように思います。もちろんここで見られたゲームの内容や駆使されているスタイルは、国際大会でも見られる、今の世界で取り入れられているものを自然に行っている印象です。
 今回は、時間に余裕がなく、短期の滞在でしたが、日本との比較において海外の試合、練習や育成の現場を観ることは大変有意義な財産となります。


(2020年)

2020年3月22日日曜日

ポーランドへ行ってみた③

2020年2月のポーランド訪問記③

 前日は、首都ワルシャワで活動する、U18のクラブチーム様子を見学し、いわゆるアンダーカテゴリー、育成年代の練習やコーチングの一端を観ることができました。

 ポーランドのバレーボールに関して、予てから私が関心を寄せていたことは、国際的な中での強化の成功と、日本との対比についてです。
ポーランドと日本は、男子バレーにおいて、1970年代に世界のトップを走っていました。ところが1980年代以降、旧ソ連の他に、アメリカやキューバが躍進し、その後イタリアに続いてオランダやユーゴスラビアなどのヨーロッパ勢が台頭します。2000年代はみなさんご存知の通り、ブラジル代表によって現代のバレーボールシステムが確立され世界を牽引してきました。
 ポーランド男子は、そのような情勢の中で2010年前後から世界のトップに返り咲いてきました。
 残念ながらその間、1970年代にはポーランドとともに世界の頂点を争い頂点に立った日本は現在もなお世界に溝を開けられています。ここにはどのような違いがあるのか?そして私の仮説は、特にアンダーカテゴリ、育成年代といわれるような青少年への普及や育成のシステムに、ポーランドと日本に違いあることをこの目で見たかったわけです。

(スパワにあるオリンピックセンターのバレーコート)

ポーランドバレーボールのトレーニングと開発のシステムは、その基礎・土台ともなっているる「スクールバレーボールセンター(SOS)プログラム」と、ポーランドバレーボール連盟が運営するバレーボール専門の「スポーツマスタリースクール」によって支えられているようです。

「SOSプログラム」におけるトレーニングは、地元のクラブで若者をトレーニングするコーチによって運営される、小学校のスポーツクラスに基づいているようです。

 
(「SOSプログラム」に関する資料)

「スポーツマスタリースクール」というのは、いわゆる高校生にあたる年代の、国内からセレクションされた選手が集まり、寮生活をともなった学校生活をしてバレーボールのより専門的な指導を受けるものです。男子はワルシャワの南西にあるスパワで、女子はクラクフの南西にあるシュチルクにある、ナショナルオリンピックセンターで専門スタッフの指導を受けています。そして彼らは、ポーランドリーグの2部に参戦をしています。その中からプロクラブやナショナルチームへの道にもつながります。



 ここに来ると、ポーランドの男子バレーボールの歴史が凝縮されています。多くの選手たちがこの地でトレーニングをしコーチングを受けてきているのがわかります。ここからも、長期的な展望にたって、計画的に選手を育成し、組織的なコーチングをしていることがうかがえます。


 この日の練習は、リーグ戦前日の調整のためのものだったようです。
  ・体力トレーニングをともなったウォーミングアップ
  ・シングルハンド限定のミニゲーム
  ・2対2のフロントコートでのミニゲーム
  ・6対6による、レセプションからのゲーム練習


 ポーランド国内からセレクションされた生徒たちだけあって、メンバーはすべて長身選手。フィジカルもしっかりトレーニングを受けていることがうかがえます。
 バレーボールスキルは、日本の高校生と比較してそれほど驚くようなスキルの高さが顕著というわけではないものの、全員がしっかり基本スキルを身につけています。日本でしばしば見受けられる、長身なのに動きが散漫で守備ができないなどといったことはあまりないようです。


 注目したことが、ゲームにおけるプレースタイルみたいなものに、系統性を感じたということです。前日見てきたクラブチームでやっていたこととも共通性があり、その後見てきたプロチームのプレーにもつながっているようです。これらは、単なるトレンドや指導者の思い付きでやっていることではない、系統的な取組を感じます。実際前日のクラブチームでのプレーよりも、スパワのセレクションチームの方が完成度も高さパワーにも磨きがかかっていました。
・シー アンド リアクト をベースにした組織的なブロック
・センターからのバックアタックが組み込まれいる
・センターからのバックアタックは、アプローチや打つ位置にバリエーションがある
・いわゆるBクイック的なセッターから距離のあるファーストテンポが軸
・オポジットのライトからのバックアタック

このあたりは、意図的なコーチングがされているように思いました。

 練習の最後に、ヘッドコーチから質問をたずねられ、恥ずかしいことに質問に困ってしまい、慌てて「選手の思考力」についてたずねてみました。そうすると、「何を今さら当然だろ!」みたいな返答されてしまいました。
 ゲームにおいて、選手が主体的に自ら考えをもってプレーをすることは当然のことであり、それをここでは教えることではない、というような返答でした。
 むしろ、高度な展開とやろうとする戦術を各々が理解し、その達成のために、場面で瞬時に最適な判断とパフォーマンスの発揮を行うこと、そのための果敢なチャレンジやトライから逃げないこと・・・そういったあたりへの要求があったように思います。
 コーチは、静かに見守ることが多い中、消極的なプレーや原則に反するプレーには即座に強い言葉がけをしていることもあります。それは感情的に怒るといったものではなく、しかしそれでもかなり緊迫感のある場面もあったりしました。
 こういったあたりも、日本での話題や議論がまだまだ未成熟なところもあるように思います。


 お邪魔したスパワのオリンピックセンターは、ワルシャワから車(高速道路)で1時間ちょっとの小さな町の中にあり、スパワの帰りからワルシャワに入った郊外にある、ポーランド連盟のオフィスに幸運なことにお邪魔することができました。


 今回お世話になった連盟のスタッフの方とお話していると、とにかく「ポーランドはまだまだ」、「ポーランドはこのままではいけない」といった言葉がよく聞かれ、現状に満足してはいけないという気概を感じます。
 ポーランドリーグの活性化や国際大会の開催などを通して、ポーランドは成長を遂げつつ、ここ10年間は育成プログラムの整備にも着手しました。2000年代当初活躍した選手たちの多くが指導者となり活躍しているようです。また、データーソフトの自国開発にも挑戦しています。また、海外との交流も大事にしており、そこでの情報交換やノウハウの交流も成功の一因につながっているようです。
 特にヨーロッパでは、各国・各地で、コーチたちのクリニックやレクチャーなどが多く開かれているようで、それらを通した交流や切磋琢磨も成長の大きな要因になっているようです。

 ポーランド連盟のオフィスに入って驚いた光景に出くわしました。オフィス内のドアに何やら、漢字の張り紙があったのです。そこには「改善」と書かれていました。


 これは、なんと、ポーランド代表監督のヘイネンが、ポーランドでものすごく強調している言葉なのだそうです。この「改善」という言葉は、世界の中で自動車生産のリードする日本の企業理念、組織理念の考え方が、世界中に広まっているなかで、ヘイネンも大事にしている言葉なのだそうです。
 最後には、ポーランドバレーボールの会長室にも入れてもらい、会長と面会もできました。会長室には、東京オリンピック出場権を得た試合後の際に使われた、ダルマが飾られていました。


 日本のバレーボールが、ポーランドをはじめ、他国から謙虚に学ぶべきことはたくさんありそうです。(連盟のHPでしょうかいしてもらえました)



(2020年)

2018年12月30日日曜日

2019年を「バレーボール育成元年」に。「育成の世界標準」の議論を。

 2010年の世界バレーで、日本代表女子チームが32年ぶりの銅メダルを獲得したあとから、日本のバレーボールの中でも技術や戦術の「世界標準とは何か?」という議論が起こるようになりました。
 当時から、世界のバレーボールをリードしてきた、ブラジル男子のバレーボール戦術をアップデート例として、セッターからのバックアタックのバリエーションやブロック戦術、そしてその中で果たすべきセッターやリベロの機能など・・・日本ではそれらを「世界標準」として考えられるようになってきました。
 2000年代に入ってからは、そのようなシステムはブラジルの専売特許のようにしばらくはブラジル男子が世界の先頭を走ってきたわけですが、やはり次第に他の台頭国の出現がみられるようになります。アメリカ男子やロシア男子・・・近年ではポーランド男子なども力をつけており、どの国も2000年代初頭のブラジルがやっていたゲームのエッセンスを標準装備し、戦っているのがわかります。
   
 日本でなれるようになった「世界標準」というテーマのもとでの議論は、80年代、90年代、2000年代初頭にわたる、日本のバレーボールの戦術のガラパゴス化ともいえる、世界の戦術の変遷やアップデートに追いていない状況とそれに比例するように国際的成績の低迷の中で、ようやく小さな一歩を生み出したのだと思います。その間、バックアタックというものが積極的行われるようになりパイプ攻撃もみられるようになってきました。クイック攻撃は時短的なセットアップ(はやいひくい)よりも、スパイカーのパフォーマンスの最大発揮を重視したものへと変わりつつあり、ブロックもようやく「リード・ブロック」を取り入れようとしている状況になっています。また、ブロック戦術に対抗するために、攻撃枚数の確保が必要となり、セッターへの返球であるファーストタッチも高くゆったりしたものが多くなってきました。

 しかし、その「一歩」というは、海外のそれと比較すれば、極めて小さすぎる一歩と言えるし、次の一歩またその先の一歩とはなかなか進みにくい、スピード感のなさも感じられます。「世界標準」という看板は、それ自体掲げている時点で遅れ感がにじみ出ているのですが、残念ながら、海外はもはや「標準」と言わなくても実践している「当たり前化」した状況になっています。情報技術はこの20年間で劇的に変わり、世界中どこでもリアルタイムでしかも映像での情報を入手することができます。バレーボールでも「データ」や「動作解析」などをコンピューターの力で処理できるようになってきます。
 ですから、国際的な、「情報戦」は激しくなる一方で、それは戦術のスカウティングにとどまらず、指導法や教授法、トレーニング方法まで、情報の発信も入手も解析もグローバルなものとなっているわけです。ですからブラジルのバレーが世界に吸収されるのも短時間である一方で、日本のこの「遅れ感」は由々しき状況ではないでしょうか?この状況や意識の差をなんとか埋められないかと思うわけです。
 その「遅れ感」を埋めるためにも、今一度「育成の在り方」を考えるべきだと思うのです。そしてただ考えるのではなく、積極的に「海外の育成」から広く情報を集め、吸収できる部分は吸収すべきだと思うわけです。



 このブログでは、日本のバレーボールの課題を「育成」、つまり小中高校生の子どもたちへのコーチングやトレーニングの在り方に大きな要因があると考え、さまざまな角度から話題を提供してきました。
 その「要因」というのは、一言ではまとめることのできない、大変複雑かつ根深い問題もはらんでいると考えています。
しかしながら、
・プレーヤーである子供ファーストになっていない指導者や保護者の欲求
・育成カテゴリであるはずなのに、熾烈な日本一争いに終始している
・選手の指導者や環境への依存と他律
・勝利至上主義と勝利最短主義
・固定化されたポジションなど大会での勝負を理由に一部分のスキルの完成だけ求める。
・指導者の学ぶ姿勢と学ぶ機会のなさ
・初心者に「カタチ」から入る指導
・指導者の試行錯誤なき安易な結果獲得欲求
・世界のバレーボール情報を受け付けない閉鎖性
・カテゴリ間の断絶
などなど、
日本のバレーボールがつまずいている育成の課題のその要因たるや、挙げだしたらきりがないくらい、課題山積なんだと思うのですが、遅々として議論も生まれなければ、変革も生まれないのはなぜでしょうか?

 まさに、「当事者意識の欠如」が深刻なんだと思います。
 カテゴリ間の連携も薄く、しかも責任の転嫁や課題の先送りが染みついてしまっています。

 2020年の東京五輪が迫ってきました。バレーボールの日本代表がより良い結果を出せるかももちろん注目すべき大切なことだとは思いますが、日本のバレーボールと「育成」を考える時、もはや2020年をどうするかよりも、2020年の東京五輪をいかにして良いターニングポイントにできるかが重要なんだと思っています。
 となると、その準備はもう時間がない。前年となる2019年に議論だけじゃなく、いろんなムーブメントが起こってほしいもんだと思うのです。

 そんな思いが芽生えつつある中奇しくも、2019年は「平成」という一つの時代が終わり、日本の新しい時代が始まります。
 私がバレーボールのコーチングに関わって十数年。こうして記事を書き出して10年余りが経過し、この間私なりに感じていることは、日本のバレーボールの課題や問題があれこれ表面化しつつも、なかなか改善や改革に着手できなかったことが多かったのではないかと思います。昭和の日本のバレーボールの財産だけでやってきた限界が表面化してきたのだと思います。
 ですから、新しい時代を迎えるにあたり、もう一度土台から考え直す、「育成の改革」が必要なんだと思います。
 そしてそのためには、まずは日本の独自路線を求めることよりも、海外の世界の主流を知り、実践し、そこから長短を洗い出す作業が必要なんだと思います。「日本の育成」は、そこから取捨選択することでなされていくと思うのです。





 私は、日本のバレーボールの育成現場における、主に指導内容の課題として挙げておきたいのが、

(1)技術をともなった判断、判断をともなった技術の練習プログラム
 一連のプレー動作をわざわざ細部まで分解するような誤ったスモールステップの考え方や試行錯誤なき型ハメ練習、さらには指導者から与えられたワンパターンな戦術の遂行などで育成された選手が、上のカテゴリに行くほど、世界との差が開いています。
 ネットを挟んだラリーの中から、連続的かつ瞬間的に最適な判断を積み重ねていくスキルを訓練しなければなりません。
 従来のクローズドスキル練習で終始する練習から、オープンスキルやゲームライクを取り入れ、同時にクローズドスキルのフィードバックを入れていくような、スパイラル的なスキルアップを目指す練習スタイルが、日本でも当たり前になっていかねばならないと思います。

(2)「システム化」から生み出す対応力と柔軟性(何となくからの脱却)
 とにかくプレーの型ハメ、戦術のワンパターン化からなかなか抜け出せていません。
 バレーボールは、「選手自身が」ネットの向こうの相手とボールを「見て」、「判断し」、「動く」という基本があるのに、指導者の理論武装に選手が巻き込まれる状況が多く見受けられます。
 では、どうやったら、本来あるべき、選手自身の主体的かつ能動的な思考判断と対応力を伴ったプレーを導き出せるのでしょうか?
 そこで必要なのは、「システム化」の再確認だと思います。
 スパイクにおけるテンポがあります。ブロックの配置や反応方法の違いがあります。サーブの狙い方と戦術的意図があります。レセプションシフトの変化があります。各ポジションの状況に応じた動線があります。
 このように、ボールと選手の状況から生み出されてくる、テンポ、ポジショニング、ボールの位置情報、選手の動線・・・これらは、ワンパターンなものであるはずがありません。そのためには、まずはいくつかの選択肢を与えそこから状況に応じて選択させる「システム化」があってもいいのではないかと思います。

(3)「試行錯誤」とコーチング
 「考えろ!」と選手に言っておきながら、考える方法や材料を教えていない。「工夫しろ!」と選手に言っておきながら、ミスやエラーを許さず時間的にも待ってくれない指導をしている。これでは、選手の自立だけでなく、思考判断力も育つわけがありません。
 「育成には時間をかけろ」これは、否定のしようのない事実だと思います。時間をかけるとは、2年3年では短いのです。数年十年かけて醸成していくのが育成だと思うのです。
 選手自らが課題を見つけ、次なる目標や欲求を持ち、そこに向けてトライ&エラーを積み重ねていく。そういった「試行錯誤」を選手ができるように、指導者はどうアプローチするのか。そこが「コーチング」だと思います。
 毎月、毎年、大会で結果を出すことを求める中では絶対に実現できないでしょう。

(4) オールラウンダー性、トータル性の重視
 このブログでも、日本のセッターの大型化が進まない問題、ミドルブロッカーの得点力不足の問題、日本のブロック力の低さの問題、ハイセット能力の低さやレセプション能力の低さ・・・こういった課題は、小学生バレーから始まる、「偏ったスキル指導」、「偏ったプレー経験」からくるものだと主張してきました。
 「育成」から「オールラウンド」という要素を外して考えることはできないと思います。必然的にオールラウンドを求める以上、やはり時間が必要となります。そして様々な機会や環境が必要となります。
 指導内容や戦術の分析も、データやエビデンスを踏まえ、局所的な正解ではない、マクロでトータルな考察も必要だと思います。
 このように長期スパンに立った、トータルでの育成の成功を目指す必要があるのではないでしょうか?



 こういったバレーボールの育成に関わるヒントが世界にはあるのを知っています。公開されている資料や文献だけでも十分知ることができるのです。日本の国際的な競技力向上を考える時、「育成の世界標準」を議論していくことは無視できないと思うのです。
 指導者個々人に育成の理念を期待するには限界があります。どうしても勝利の追及と効率化を求めてしまうからです。だから「育成」については、組織がある程度制度化しなければならないと考えます。
 2019年からはじまる日本の新しい時代、是非とも日本のバレーボールも「新時代」とも言える変化を、「育成」から生み出したいものです。そして組織的な取り組みを模索しなければいけないと思うのですがいかがでしょうか?


(2018年)

2018年10月6日土曜日

女子バレーボールでのトータリティ(世界バレー2018)

FIVB volleyball women’s world championship 2018 Japan Sapporo

1次ラウンド PoolB 9/29~10/4 札幌 北海きたえーる

 世界バレー女子大会が、当地北海道札幌で開催され、東京や大阪から離れた日本の遠隔地にいて、なかなか国際大会を間近に観ることができない私たちにとって、大変貴重で有意義な経験となりました。今回の札幌大会では、イタリア、中国、トルコ、ブルガリア、カナダ、キューバによる1次リーグの試合となりました。

 何といっても世界ランク1位、郎平監督が率いる、シュテイやエンシンゲツといった名高い選手を擁する中国は注目大でした。
 イタリアはすべてのすべての選手の個人スキルが高い印象があり安定した試合運びをしていましたし、トルコも選手起用の妙があり試合展開の運び方が大変参考になります。ブルガリアはチームとして一戦一戦に対する目的が明確でしたし、カナダは組織的なバレーにトライしているようで、キューバは露骨に8年後を見据えた強化をしているのがわかりました。

 こうして数年に一度バレーボールの国際大会を会場で観ることができているのですが、テレビ中継だけでは感じることのできない、いろんな空気を感じることができます。
 やはり、それぞれのチームが、この大会、この一戦にどのような目的や意識を共有して臨んでいるのか、それが日本とは違うような気がします。
おそらく「戦略」という言葉があてはまるのでしょうか?
 もちろん、どの試合にも手を抜くとか負けて良いという感じはないのですが、試合ごとに同じチームでもチームの雰囲気や起用方法が違っていて、面白いなと思います。


 さて、今の世界の女子バレーボールを実際に観てみると、やはりサーブはどのチームも戦術化が進んでいて、しっかりとゾーンを狙ったサーブがほとんどでした。ジャンプサーブもどのチームでも見られました。
 攻撃面では、バックアタックは、まだ男子ほど頻度は多くないし、パイプ攻撃などようなテンポの攻めも少ないものの、旧来の消極的バックアタック・・・つまりフリーボールするよりはマシという意味合いのバックアタックではなく、より積極的にバックアタックを攻撃オプションにしているのもわかりました。


 「ブロック」では、中国やトルコなどが積極的に3枚ブロックを仕掛ける場面が見られ、少しずつ男子バレーの組織的な戦いに近づいているのが感じられます。
 しかし、一方で女子バレーではまだまだ、ゲームにおける「ブロック」の位置づけが、男子とは同じとは言えない印象です。それは、3枚ブロックをやったかどうかではなく、ミドルブロッカーの動きや、相手の中央攻撃に対するブロックの配置などをみていると、女子バレーにおいては、ブロックの戦術化をさらに整備していくことで、チーム力を高め他チームに差をつけることができるのかなと思います。ですから、日本代表女子も世界と戦えるヒントは、ブロックのスキルや戦術を強化していくことが、世界との溝を埋めることにつながるのではないかと思います。
 相手の中央からのクイックやバックアタックなどの攻撃に対して、ブロックが1枚になるチーム、または中央攻撃が絡んだ中からサイド攻撃に切り替わった時にミドルがブロックに行けないチーム・・・こういったチームは今や勝利をつかむのは難しいという印象です。
 確かに「リードブロック」というものを標準スキルとすることが大事だという議論になりますが、必ずしもリードブロックをやりさえすればいいというものではなく、そこはサーブ戦術とのリンクや、配置における対応力、相手の配球傾向の分析・・・など、様々なスキルや情報が必要になってくるような気がします。

 世界の女子バレーでは、ブロックの戦術化のさらなる向上、個人のブロックスキルの向上、そしてコート上6人の個人スキルがさらにオールラウンド性を求め攻撃オプションをより多く確保することができることが、世界の上位進出のカギになってくるんだと思いました。日本代表女子も、世界の上位に入り込む強化はできるんじゃないかと、感じます。


(2018年)

2014年8月9日土曜日

バレーボールDVDレビュー(感想・雑感など)


バレーボールに関するDVDを手に入れました。
20代のころ、わけもわからず、VHSの教材ビデオを
購入して以来のことでした。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

まずは、バレーボールに携わっているコーチや選手の
一人でも多くの方々にぜひ一度観ていただきたいと思いました。
そしてただ一人で観て終わるだけじゃなく、
観た人同士でディスカッションや実践的なセッションを
してもらうと、より価値が増すんじゃないかと思います。
「そこまで難しく考える必要なんてないよ」
「ふだんあまり深く考えてやらないし、やらなくていいし」
という人ほど、ぜひ一回観ていただきたい内容だなと思います。

これまでのバレーボールでのコーチングとか練習では、
指導者のいわゆる「指導力」という名のもとでの
強力なリーダーシップや求心性によって行われていることが
多いんじゃないかと思います。
それがいつしか選手たちは、コーチに対する依存度が強まり、
自ら思考したり、試行錯誤をしたり、工夫をしたり
することが薄れていっているんじゃないかということを
このDVDを観て感じられるのではないかと思います。

また、コーチングにおいては、
コーチ自らの経験(プレー経験)に基づいた感覚的な指導
がなされることが多く、
その感覚上、経験上において、「させたくはない」ことに
焦点化されることで、本来目指すべきプレーや戦術が
見失われてきた側面も露呈してくると思います。

例えば、ブロックではいわゆる「吸い込み」を嫌います。
そして2枚~3枚の不揃いを嫌います。
そうすると、練習ではそれらををしないよう、
ネットに近づき、その場で相手に正対して揃えてから
垂直的にジャンプするようなフロントしてハンズアップからの
ブロックが当たり前となり、
スイングブロックというものが広がりませんでした。
スイングブロックという概念がないので、
当然「リード・ブロック」というものへの理解も
浸透しにくくなった側面もあると考えられます。

このように、「練習」が「~しないように」という、
局所的な問題をなくしていく「問題指向型アプローチ」
でなされるようになっていったのです。
ブロックとは、
本来は強力な相手スパイクに対するものであって、
「吸い込みしない競争」
「きれいに揃っているコンテスト」
ではありません。

こういった例を挙げれば、
DVDを観ていくとどんどん出すことができるんじゃないか
と思います。

例えば、「はやい」攻撃というのは、
日本人はフィジカル面で劣るという理屈が土台となって、
求められてきました。
その結果、ゲームの局面の至る所で、「はやさ追求」に
なってしまい、その他の大事なポイントが犠牲になってきた
ことも見えてきます。
しかも、その流れは、世界のバレーボールの戦術の変遷とは
リンクしていない「ガラパゴス化」したものであり、
どうやらオリンピックなどでの結果の低迷にそれが
結びついているように思えます。
「はやい攻撃」をすべしが前提になり、
 ・Aパス至上主義
 ・セット(トス)がネットに近い
 ・セッターへの返球が低くはやい
 ・セッター位置がネットに近い
 ・スパイクの最大の効果(最高打点フルパワー)
  が犠牲になった
 ・ブロック戦術の低迷
 ・バックアタックの標準化の遅れ

など、
あらゆる方向性にその影響が蔓延してしまったのだと
気づかされます。

DVDの内容は、ちょっと実践から離れた概念的な
レクチャーが多いので、
なかなかとっつきにくく思える人もいるかもしれません。
でも、個人的にはみなさんでこの内容をシェアし、
ディスカッションするには大切な内容だと思うし、
これからの日本のバレーのプレーやコーチングの
「当たり前」を変えるきっかけになると思います。
私は、この内容をエッセンスとした、
より実践的な取り組みや伝達をこれからも
模索していこうと思います。
それが次なる課題だと思っております。

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DVDの中身の目次は以下の通りです。

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)

【第1巻 ~なぜ、今「 スロット 」と「 テンポ 」なのか?~】

■イントロダクション
■アイスブレイキング "ヘリウムフープ"
■問題指向型アプローチと目標指向型アプローチ
  *《問題1》コーヒー好きなあなたが、紅茶好きの彼(彼女)とうまく付き合うにはどうすればよいか?
  *《問題2》従業員のゴーグル着用率を100%にするために、経営者としてするべきことはいったい何か?
■Evidence-based Volleyball(EBV)
  *《問題3》サーブ・レシーブ成功率とアタック決定率との関係は?
■【スロット】の概念
■【スロット】の概念を用いたクイック練習《オンコート実践》
■【テンポ】の概念
■和井田剛史選手(東京ヴェルディ)インタビュー

【第2巻 ~コンビ ・ バレーはもう古い!
 最もシンプルで相手に効果的な " 同時多発位置差攻撃 "~】

■「2対2」ビーチバレー形式の練習《オンコート実践》
  *両チームの "作戦" を振り返る
 ■ブロック側とアタック側の "かけひき" によるバレーボールの戦術変遷
  *1960年代【コミット・ブロック】対【ファースト・テンポ】
  *1970年代【コミット・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
  *1990年代【リード・ブロック】対〝コンビ・バレー〟
 ■【リード・ブロック】に効果的なアタック戦術とは?
  *《問題4》俊敏な動きができない長身選手にクイックを打たせるには?
 ■ファースト・テンポの本質 "頂の景色(いただきのけしき)"
 ■【リード・ブロック】に効果的な〝はやさ〟とは?
  *選択反応時間を体感《アクティビティ》
  *ヒックの法則
  *2000年代【リード・ブロック】対【同時多発位置差攻撃】
 ■【シンクロ助走】を体感《オンコート実践》
 ■まとめ&振返り
  *《2011年全日本インカレ女子準決勝》「東海大学 対 嘉悦大学」のプレー解説

【第3巻 ~世界標準を指導する上で知っておくべき考え方および " 定石 ( セオリー )"~】

■オープン・スキルとクローズド・スキル

  *《問題5》初心者がいるチームでどうやって勝ち進むか?

  *初心者段階から導入すべきクローズド・スキル

 ■練習の組み立て方および考え方(ディープ・プラクティス)

 ■ルール上の前提知識

  *【ラインナップ】と【ポジショナル・フォールト】

  *【フロント・オーダー】と【バック・オーダー】

 ■エビデンスに基づいたサーブ戦術の "定石(セオリー)"

  *《問題6》威力のあるサーブを打てないあなたが、格上チーム相手にサーブでなすべきことは何か?

 ■セルジオ選手(ブラジル男子)に学ぶ、リベロの "あたりまえ"

 ■太田有紀選手・白川雅貴選手(兵庫デルフィーノ)インタビュー

【第4巻 ~" トス " を上げずに " セット " する‼ 世界標準を達成するために必要な " あたりまえ " とは? ~】

■【トータル・ディフェンス】におけるブロック戦術の考え方
■セッターに要求される "あたりまえ" のプレー①:「お膳立て」
  *スロット5の位置にテニスボールをどのように届けるか?《アクティビティ》
  *【ダイレクト・デリバリー】と【インダイレクト・デリバリー】
  *2010年代のトレンド: "コミットしても止まらない11"
■【インダイレクト・デリバリー】セット&スパイク練習《オンコート実践》
■ セッターに要求される "あたりまえ" のプレー②:
  「セットする瞬間まで、どこにセットするかの手がかりを与えないプレー動作」
■【サイド・セット】《オンコート実践》
■まとめ&振り返り
■組織論 ~うまくいかない時に考えるべき視点~
  *世界標準を達成するために必要な "信頼" とは?

ジャパンライムHPより(「テンポ」を理解すれば、誰にでも簡単に実戦できる!!世界標準のバレーボール 全4枚)


(2014年)

DVDの「世界標準」って何?~その⑦

5月にジャパンライムという所から発売されるという、バレーボールに関するDVDについて、内容が従来にない切り口である点が注目で、しかもその一端が見えるPR動画もあったことから、みなさんで議論が広がってほしいという思いで、記事を連載しています。その7(最終)です。
これでアップされていたPR動画もすべてです。

ほんのちょっとの動画を介してでも、これまでだけでも、論じることのできる話題や視点がたくさんあることがわかりますね。
また、短い動画ではあるものの、どうやら従来のプレーの感覚や練習の考え方とは、大きく違った新鮮なものであるような気もします。
少し考えさせられたことは、このDVDが発信するターゲットは、どんな人たちなんだろう?ということです。選手にとっても大事だろうし、指導者にとっても大事だろうし。中学生にも観させたい気もするし、でも少々中学生には難しい気もするし。
個人的には立場やカテゴリ、経験値を問わず、バレーボールに携わる人ならみんな観て、ああだこうだを話し合ってみるのがイチバンだと思います。
ただ、間違いなく言えることは、内容的には、
「このメニューがおすすめ」
「このドリルをすれば上手くなる」
「これさえあれば勝てる」
などといった、ハウツーものではないということです。
それを期待して観てしまうことは避けた方がいいかもしれません。
むしろ、「内容がよくわからない」といった疑問の意見は貴重だと思います。
でもただ単に「わからん」で一蹴するのではなく、
わからないのはどこで、みんなどう思っているのか?
と挙げていただくとDVDの価値は出てくると思います。





立場やカテゴリを超えて観た方がいい・・・
ということは、小中学生バレーの指導現場にも深くコミットする課題が見えてきそうです。
このDVDが出てきたきっかけは、長年低迷してきた日本のバレーボールが、
もう一度世界の舞台で活躍するためにあらゆる視点でものごとを見つめ直そうという
課題を投げかけているのだと思います。
ですから、実は小中高校のジュニア世代の指導の影響が大きく、
従来の子どもへの指導として行われてきた、当たり前の話や練習方法、理屈を、もう一度見直し、これからあるべきプレー観や練習アプローチ、選手の指導、育成、強化・・・をみんなで再構築することが求められているのだろうと思います。
最後の動画では、そういった練習のアプローチに対する疑問が投げかけられていると思います。
ブロックという一連の目指すスキルがあったとして、
指導者は、その全体像や完成形をある程度イメージしています。
ですから、部分的な要素を習得させて、
最終的に選手がスキル習得ができるように、
「段階」を踏んだ練習をしようとします。
「スモールステップ」というものがそれです。
ただ、これが弊害を生んでいる側面もあると思われます。
つまり、人間の運動を、そう簡単にパーツ化したり、
細分化してつなげて、運動が成立するかという問題です。
座って手の練習をして、
立ち膝で上腕から手の練習をして、
立って練習をして、
動きの中で練習をして・・・
一つのスキルの練習にこれほど膨大な時間を費やすべきなのでしょうか?
加えて、座ってできていても、立ち上がった瞬間に前の練習ができなくなる。
そんな運動の移行もきわめて弱い点も指摘しておかねばなりません。
「スモールステップ」というのは、指導者寄りの視点で、選手主体の視点に立っていません。
つまり若干余計なお世話が入っていると思います。
多少失敗や雑な所があっても、子どもたちは、運動やプレーの全体像を試しながら、
自分自身と語り合い、自己分析してスキルアップをしていくと思います。
そんな練習アプローチにも、話題が及んでいそうです。

ぜひ、このDVDを共通の話題にして、
全国でバレーボールの議論が広がることを期待しています。
(連載 了)


(2014年)

「世界標準」って何?DVDで議論を(サーブ)~その⑥


発売される「世界標準」なるDVDはどうなのか?その6です。

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どんなことにも、
「inside and outside」「two‐faced」などといった表裏の関係、
さらにはどんなことにも、因果関係やリンクが存在します。
バレーボールだってまさにネットを挟み、
相手と自分たちのそういった状態にあるわけで、
どちらか一方だけからの視点では解決しないことが
ほとんどなんだろうと思います。 
このPR動画では、サーブの意図について触れられているようです。
これだけを見ても、身の回りで言われている、
サーブの考え方が、いかに部分的なものであるかを、伝えたいのだと思います。



サーブでは、相手の弱点を狙うということはよく思いつきます。
でも「弱点」を狙って、どうしたいのか?となると、
またいろんな考えが出てきそうです。
サービスエースを獲りたいのか、
セッターのセットを妨害したいのか、
相手の特定の攻撃を封じたいのか・・・。
そういった部分まで考えてゲームを行うことって、
ひょっとしたらあまりなかったのかもしれませんね。
さらに考えを巡らせていくと、
セッターを妨害するってどういう状況をつくればいいのか、
相手の攻撃を封じるためにはどういう状況を生み出せばいいのか、
さらにセッターや攻撃を妨害したら、
次に自分たちがやるべきこと、打つべき手は何か?・・・
そうやって考えていくと、
8秒の間に打たねばならないサーブというのも簡単ではないなと
思っちゃますね。だから練習はもっと練らなきゃいけないのだと思います。
ちょっとクローズドスキル的な話になっちゃいますが、
サーブ練習の性質ひとつを考えても、
対象物(人)を狙ってサーブを打つ、
対象物(人)に動きの負荷を与えるサーブを打つ、
対象物(人)がいないスペースを狙ってサーブを打つ、
というのは、ちょっと感覚的な違いがあって、
どれか一つできたからといって、すべてが狙えるというものでは
ないように思えます。
だから、サーブ練習もいろんな意味で大事ですね。

このDVDがどこまで触れられているかは、
このPR動画だけではすべては分かりませんが、
個人的には、サーブの練習方法のこれからの在り方や、
「サーブ&ブロック」戦術の必要性、さらには、サーブを考えることで、
自分たちのレセプションのシフトの在り方を見直す・・・
そういったことにも思考が及んだらいいなと思っています。
先ほど書いたように、「表と裏」の関係があるのですから。


(2014年)

「世界標準」って何?DVDでみんなの議論を⑤ ~概念の違いかなぁ


DVD「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
の5月連休明け以降の発売をきっかけに、
バレーボールへの議論が、いろんな形で盛り上がればいいなと思い、
この話題がきっかけになればいいなと記事を書いてのその5。
今回のPR動画から垣間見れることは何でしょうか?

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私は、練習において、プレーの精度を上げる目標の練習は、
必要だと思いますし、どのコーチもそういう練習を考えておられると思います。
その最たる例が、レセプション(サーブレシーブ)や
ディグ(パスやレシーブ)というものを、
セッターが待っている定位置に確実に返球できるかどうかというターゲットです。
これを、ちまたでは「Aパス」とか「Aカット」と言うそうです。
セッターがあまり動かない位置に返球できればA、
セッターが一歩か二歩、または1~2Mの範囲であればB、
セッターがアウト・オブ・タイム状態になればCといった
ところでしょうか?
ですから、ファーストタッチ(セッターへの返球)の精度を上げるとなれば、
自らのコントロールによって、「Aパス」を目指そうということにつながるわけです。

ここまでは何ら疑問点はないかもしれません。
ですが、問題は「Aパス」を要求しすぎたことによって、
本来あるべき状態を見失ってきたんじゃないの?
ということをこの動画で説明しているんだと思います。
つまり、「Aパス」を目指そう
    「Aパス」じゃなきゃいけない
    「Aパス」じゃないとセットできない
    「Aパス」じゃないと攻撃が成り立たない
    「Aパス」じゃないと勝てない
と、どんどん視点が脱線して、
頑張るべきものを見失ってきたんだと思います。



「頑張るべきもの」とは何か?
それは、ボールを床に落とさないことと、
何でもいいからスパイクヒットにつなげ、そこからできるベストな攻撃を生み出すこと
じゃないかなと思います。
よく「トスが乱れる」という言葉がありますが、
それにも実は許容範囲の幅が随分違うのだと思います。
「Aパスじゃなきゃいけない」と練習してるチームは、
その分要求ハードルが上がりますから、
「トスが乱れる」場面が増えます。
でも、Aパス以外からの攻撃オプションを備えたチームは、
仮にAパスじゃなくても、積極的攻撃を繰り出せますから、
「トスが乱れる」場面は少なくなります。
これらの課題のキーとなってくるのが「バックアタックの標準化」です。

ここまで話が進んでくると、
もはやバレーボールのスキルというのは、
Aパスがどうのとか、言ってられないと思います。
・バックアタックの標準化
・脱はやいひくい信仰
・脱Aパス強迫観念
・ファーストタッチの返球の在り方
・攻撃の主導権はセッターではなくアタッカーである
などなど、
「スキルチェーン」でのマクロな発想が、
これまで以上に求められるのだと思います。

「Aパス~%以上を目指そう」
限りなくパーセンテージの高い選手はやはり有能なんだと思います。
でもパーセンテージが高くても、
その後の展開や、Aパスじゃなかった時に何もできなければ、
そのスキルも無駄になってしまいます。
また、常に「Aパス」を意識しすぎるがために
起こる現象もあろうかと思います。
それは、相手からダイレクトをやられたり、
セッターに返球しようとしたボールが相手のブロックのえじきになったり、
セッターのタッチネットやペネトレーションフォルトになったり。
そういったものにも影響があるということに、
もっと視野を広げないといけないのかもしれませんね。


(2014年)

DVDについてその④~「ジブンタチノバレー」 と 「はやいひくい」

「セカイヒョウジュン」なるタイトルで、
従来の日本のバレーボールに一石を投じようとして発売されるDVD
「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
これに関心を寄せつつ記事はその4となっていますが、
このDVDの特徴は、従来の「ハウツー」ものでもなく、「こうすれば勝てる」ものでもない、
みんなで考える、議論できる構成になっていることは、その1で書きました。
個人的には関心があるだけじゃなく期待を持っています。
そして、選手の思考力にフォーカスした視点や、「ジブンタチノバレー」症候群?について書きました。
しかしPR動画を見ると、より具体的なスキルの話題にも触れられているようです。

今回の記事はスパイクについてです。
日本は海外に比べて高さとパワーに劣る。
それはもはやどうにもできないことであって、
その差を埋めるためには別の要素で対抗しないと勝てない。
と、みんな言っていますが、本当でしょうか?
そして高さとパワーに対抗しうるものが、「はやさ」「スピード」だというのです。
私は、この点にはずっと疑問を持っていました。
そもそもナショナルチームのパワーや高さにおいて、
そんなに「絶望的な差」が日本と海外にあるのでしょうか?
次に、「高さとパワー」VS「はやさ、スピード」
というものが対立軸になりうるのでしょうか?
身の回りでは、さも、「はやい攻撃」が難易度の高い必殺技のようにもてはやされていますが、果たしてどうでしょうか?
よくよく観ていると、「はやいバレー」を標榜しているのに、スパイクが合わずに打ちきれなかったり、簡単に相手ブロックに触られて、スパイク決定できていなく、無駄に長いラリーをして消耗していることが少なくありません。
これが小中高校から一般まで繰り広げられています。
確かにはやい攻撃や複雑なコンビは、「攻め手側」からすると難易度は高いですが、
それが同時に「相手」にとって防御が難しいかと言えば・・・?
言いきれないと思います。
ブロックシステムが構築されブロックの選手に思考力があれば怖くありません。
それ以前にサーブなどで戦術を確かなものにすれば封じることだってできます。
ですから、従来の「はやい攻撃」を見直すことが必要です。
自分は、「何が正しいか」という唯一無二的な発想ではなく、
選択肢を一つでも増やすこと、そこから選択判断できること、
これが、相手にとっては一番嫌であり、
「はやさ」というのは、こちら側(攻め手)の計測的な「はやさ」ではなく、
結果的に相手ブロッカーが感じる「はやさ」、
つまりは相手ブロッカーの選択判断を遅らせるような状態をつくること
で生れる「相対的なはやさ」がそうなんだろうと考えます。





今回のPR動画では、
このDVDが「考え方」のアップデートからはじまり、より具体的なスキルや戦術にも言及していて、
それが「スパイク」の「はやさ」からもよくわかるということなのだろうと思います。

スパイクはなぜ攻撃手段の決定的な姿となりうるのか。
たまにこう言う指導者に出会います。
フェイントもプッシュも1点は1点。
だから打てなくてもはやい攻撃で攻めることを目指そうと。
ですが、そのようなチームの顛末はだいたい、
ここ一番ではプレッシャーがかかったり、崩されて、目指すはやいバレーができずにいます。
それに指導者は「単調になって負けた」と振り返る。
そんなことが今までずっと続いてきました。
これも「ジブンタチノバレー症候群」だと感じています。
ですが、「はやさ」についての考えを見直してみると、
それまでの疑問がクリアになってくることも出てきます。
そうすると、いくら得点差がもつれた場面であっても、
いわゆる「Aパス」じゃない状況でも、
積極的に「はやい攻撃」を用いることができるようになります。
スパイクが攻撃手段の最たるものになっているのは、
スパイカーの最高打点が確保でき、十分に打ちこむことができるからです。
だからそのための十分な助走とジャンプ、
そして空中で打ち切れ、打ち分けられる状況が必要なんです。

そういった従来のコンセプトである、
「はやいバレー信仰」とそれしか目指せない「ジブンタチノバレー」
に対し、より具体的なスキル論に立っても、
説明されているのかな?という気がします。
実は、毎週日曜日夕方からTV放映されている、アニメ「ハイキュー!!」
先週の第4話のタイトルは、「頂の景色」。
PR動画と同じタイトルですね。
先週の第4話は、この話題がわかりやすく見事に表現されていると
思いながら自分は観ていました。
「ハイキュー!!」とDVDの内容のリンクにも注目していくと面白いかもしれませんね^^


(2014年)

「世界標準」って何?みなさんの疑問・意見を出してみよう③


DVD「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!!世界標準のバレーボール」
をきっかけに議論をしてみましょう、というテーマの記事のその3です。

短期間で確実に成功できるダイエット方法は?
効率よく習得できる英語学習方法は?
ピアノって短期間でマスターできるの?
どうやたらお金がたまるの?
どうやったらテストの点数が上がりますか?
成績を上げる方法は何ですか?

こういったことは、いい年になった大人になってからもしばしば考えちゃうことです。
でも、考えてみると、正解があるわけではありません。いろんな人に相談しても、方法は様々。
ダイエット方法なんて面白いですよね。毎年毎年、実に次から次へといろんな方法が出てきて、もはやそれは流行の域となっていること・・・りんごダイエット、トマトダイエット、何とかキャンプ、ロングブレス、炭水化物制限・・・まあまあ無数にありますよね。でも、今もまた新しいダイエット商品が宣伝されているわけです。
私たちって、何か成功が保障されるようなものを、求める傾向が強いのだろうと思います。
そりゃ当然で、成功するか損失を生むかわからないものより、これをやれば、確実に成果を得ることができるとわかれば、安心して取り組めますからね。
でも、私たちは気づくべきだと思います。
唯一無二、無二無三なものなど、そうそうはないということです。
だったらコロコロとダイエット方法は出てこないわけです。
それが運動スキルの習得となればなおさらです。

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ところが、スポーツの指導をしていても、何かいい方法は?を求めるあまり、
思考を伴わない、表面上の「ハウツー」ばかりを選ぶようになり、
そこから「これさえやれば上手くなる」「これをやらせれば勝てる」
という思考になっていきます。
そういった指導を毎日受けている選手たちも、
当然そのように思いこんでいくことになり、
自分の感覚や感性、疑問や思考錯誤といった過程を介さない、
練習や試合経験となっていきます。
ですから、やっていることの根底にある、
自分の意志、判断、決断は、自分の外から与えられたものになっちゃう
ということも言えてくるのだろうと思います。

よく選手やコーチたちは、
「自分たちのバレーをすれば勝てる」とか、
「自分たちのバレーができなかったから負けた」とか、
言うことを耳にします。
それは、実力を上手く発揮できなかった、メンタル的に自分らしさを維持できなかった、
という意味での振り返りであると理解したいですが、
一方で懸念されるのが、
「ジブンタチノバレー」というのが、
指導者から与えられたものをただ遂行し、それがどんな局面や情勢の変化にあっても、
気づかず対応や小さな変化もしようともせず、盲目的に外から言われていることを再生しようとする、練習形態やプレースタイルといったものが、結びついているんじゃないかということです。
相手がライトからの攻撃の気配がないのに、ブロックが一枚ライト寄りに立っていたり、
常時コミットブロックを跳ばせるようなワンパターンなブロックシステムだったり、
レセプションのシフトが、どんなローテやどんな試合でも5W型をとっていたり、
守備ができないミドルブロッカーだったり、
相手のブロックが動きもせず待ち構えている所に時間差をかけて攻撃してきたり、
味方のスパイカーが打ちにくく決まっていないのに、はやくて低いトスで、見方も相手も振りまわすトスを上げていたり。
こういうのは、とても残念な現象であり。
これはそういう思考にさせてしまっている現状が
あるということだと思います。





じゃあ、アナタの「ジブンタチノバレー」って何ですか?
と訊かれたら、そういった選手や指導者はどう答えるのでしょうか?
守りのチーム?高さとパワーのチーム?
速攻バレー?コンビバレー?粘りのバレー?
はたまた心のバレー?
そういった「局所的」な答え、または漠然としたものが多くなるだろうと思います。
だからこれって、結局「いいダイエット方法は?」というのと同じレベルになるということです。
粘りって何でそうなんでしょうか?
レシーブさえがんばって練習すればいいのでしょうか?
拾えたって、攻撃をもぎ取れなければどうなるのでしょうか?
さらには「気合い」「精神力」だけで成果が出るのでしょうか?
その時点で、「ジブンタチノバレー」というのは、
日常の練習アプローチからはじまり、選手の思考レベル、
そしてゲームの質などに大きく関与しているのだと思います。
選手一人ひとりの思考やモティベーションなどの内面から生み出されたプレー観ではなく、あくまでも、「そう教わったから」「それをすれば勝てると思う」といった、ハウツー指向的な考え、空気が、いろんな課題となって表面化しているように思えます。
これから求められるのは、
戦い方や戦術、プレーの選択決断は、選手自身の内面から生み出され、創りだされるものであって、それをさせるためには、思考を育むような練習をしていかねばならないと思います。
「だから!~しろって言ったでしょ!」
こういったものから離れて、時間が多少はかかっても、本当の「ゲーム」をさせてやるように仕向けることが必要かもしれませんね。
みんなに惜しまれ解任された、ゲーリー・サトウ元全日本男子バレー監督は、「Grow the Game」と言ってたわけです。
それって「ジブンタチノバレー」に対するアンチテーゼだったんじゃないでしょうか?


(2014年)

「世界標準」って何?みなさんの疑問・意見を出してみよう②

「セカイヒョウジュン」なるDVDの話題をもう少し続けます。
ジャパンライムという所から発売されるようです。
PR映像には、より内容に迫るものがいくつかありました。
少しずつ触れていこうと思います。

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このDVDの内容の特徴は、「ハウツー」とか「勝つ方法」というより、
「模索していくべき"考え方"」についてサゼスチョンされている点です。
しかもその「考え方」というのは、
スキル習得や戦術面、さらには指導のアプローチに至るまで、
幅広い内容になっているようです。
今回記事にしたのは、
選手の思考力・・・思考・判断・決断の力をどのように位置づけ、
その大切さと指導や育成の方向性に提言があるようです。
パッと見、一見すると何だか適当にバレーで遊んでいて、
「練習」としてはゆるーい感じをする人もいるかもしれません。
ですが、その違和感にこそ私たちが課題意識を持たねばならない
ポイントがあるのかもしれません。





選手はロボットではありません。
プレーやゲームの主体であり、主役です。
しかし、ともすると指導者は、あたかもロボットやラジコンを操作するかのような
思考になっていはいないでしょうか?
「指導」「指示」が「命令」化し、
「指導」「指示」によって、選手の考える余地をなくし、
結果、選手は言われたことしかできない状態になってはいないか、
そういった点に迫る内容が、今回の動画にあると思います。
また、指導現場ではよく選手に向かって「考えろ!」と
大きな声で指導する場面も見受けられますが、
「何を」考えるのか、「どのように」考えるか、
そういったものが学習されていない、思考が真っ白な選手に対し、
「考えろ」と言われても、材料もツールもないわけですから、
本末転倒になってしまいます。
このように、私たちの身の回りで繰り広げられている
指導現場の光景が、ちょっと違和感をもって見えることも
出てくるんじゃないかと思います。

DVDの情報を見るに、
選手のスキルが飛躍的に向上したり、チームが試合で勝てるか、
といった視点で考えるとどうかな?という部分があります。
でも伝達される趣旨は、そうではないところにあると、
個人的には解釈、理解しているところです。
みなさんはどうお考えですか?
できれば、こういったことを材料に、
北海道や北海道の外で集まって、議論したいなと思ったりしています。


(2014年)

「世界標準」って何?みなさんの疑問・意見を出してみよう①


ここ2,3年の間で「世界標準」という言葉で、これからの日本のバレーで取り入れるべきプレーや練習の視点が議論されています。
私は個人的には「世界標準」という言葉はあまり使っていませんが、ここでの議論で言われている内容は、確かに日本のバレーボールの指導理論や選手のプレー観の、従来のものには不足していた、取り入れた方がいい内容があるように思えます。
そんな「世界標準」とわかりやすいタイトルで議論されてきた内容が、レクチャーと実演を交えたDVDが発売されるようです。
「『テンポ』を理解すれば、誰でも簡単に実践できる!! 世界標準のバレーボール」
というタイトルです。
私も個人的には注目しています。

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・日本バレーのこれまでの固定概念を変える視点があること
・確かに「今、世界で行われているバレー」に符合することが多いこと
・従来のDVDの「ハウツー論型」ではない、新たなアプローチであること
・選手、指導者を問わず、みんなでバレーを考え話し合う
 きっかけになりそうなものであること。

こういった理由で、今回はみなさんにもこの話題を知ってもらいたいと思いました。
発売は5月になってからになるそうです。
そこで、今回のDVDの一端がわかる映像がありましたので、ご紹介いたします。







個人的には、「世界標準」という言葉で表現をしなくても、
目指そうとするコンセプトが、プレーや戦術、指導の在り方のなかで
当たり前になっていけばいいのかなと思ったりします。
だから、はじめのうちは「世界標準」という表現に違和感を覚える人も多いかもしれません。
今回記事にしてみたのは、賛否を問わず、このようなDVDをきっかけに、みんなでもう一度
バレーのプレーや戦術、指導の在り方を考えたり、話しあったり、どこかで集まって研修を深めたり、そういった機会になってほしいなという願いがあります。
それから、加えて言及したいのは、この情報は、「ハウツーもの」ではないということです。
「これをやったら勝てるのか?」という次元で観ては、情報の価値が大幅に落ちると思います。
ですので、賛否を問わず、この「世界標準」なるこれまでのバレーの話題にはないテーマを、
みなさんで議論なさってみてはいかがでしょうか?


(2014年)

2014年8月6日水曜日

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から④

「アスリートの魂」

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レゼンデ監督が受け継いだ〝猫田魂〟

✓ 〝(猫田さんに)常に言われたのは
  「全力で跳べ」ということ。
  トスを見たり、高いところを見定めて助走を開始すると
  ワンテンポ遅れてしまう。
  そうではなくて、
  「とにかく、お前がいい時に入ってこい、それに合わせるから」
  と言ってくださいました。
  そしてその言葉通り、きっちりトスが来たものです〟
  (青山 信夫)

✓ 「基礎的なものをすべて日本から学んだ」
  と語るレゼンデ監督が、
  日本のバレー界から忠実に受け継いだものは、
  紛れもなくこの〝猫田魂〟そのものだったのです。

(『JTサンダーズ・80周年記念誌』より)


戦術の変遷から見た、セッターに要求されるプレー

✓ 組織的リード・ブロック戦術が世界標準となって以降、
 「セッターが放り上げる〝トス〟にアタッカーが合わせて打つ」
  というセッター起点の
 【セカンド・テンポ】のコンセプトでは、
  ブロック側有利の構図が切り崩せなくなりました。

✓ 再びアタック側有利の構図を生み出すには、
  セッターが攻撃の主導権をアタッカーに譲り、
   アタッカーの持ち味を最大限に活かす
  「お膳立て( = 〝セット〟)」に専念する
という  【ファースト・テンポ】のコンセプトが、
   理にかなっていたのです。



今こそ〝トス〟から〝セット〟へ!

✓ セット動作を専門にするプレーヤーを
   かつて「トサー(tosser)」と呼んでいた
   日本のバレー界ですが、
   現在では「セッター(setter)」という用語が
   すっかり定着しました。
   その一方で、「セット」という用語は浸透せず、
  「〝セッター〟が〝トス〟を上げる」という、
   ある意味矛盾した表現が一般化してしまっています。

✓ 「攻撃の起点であり主導権を握るのはセッターである」
    という固定観念が幅を利かせる日本のバレー界では、
    アタッカーのための〝お膳立て〟をするという
    意味の「セット」という用語が、
    浸透しなかったのではないでしょうか?

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ブロッカーが振られる本当の理由は?

✓ 今のの動画から、ブロッカーが振られるかどうかは
   セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間
   とは無関係である
、   という真実がおわかり頂けるかと思います。

✓ リードで対応しているはずのブロッカーが、
   どうしてこのように見事に振られるのか?
   を理解するには、
  リードで対応するブロッカーがどのようにして、
   相手のセッターの出方やボールの行方に反応しているのか?
   を理解しておく必要があります。

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トム・ローガン選手は、なぜネットから離れたのか?

✓ ディグされたボールが高く上がったため、
   倒れ込んでいた江畑選手含め他のアタッカー陣も、
   時間的余裕が十分にありますが、
   自分自身にセットされることを意識して
  プレーしているアタッカーは木村沙織選手しかいません。

✓ これは、アタッカー全員が佐野選手のアンダーハンド・パス
   によるセット動作を見て、誰にセットされるのかを
   セット・アップ前に無意識に感じ取っているから
です。   そのアタッカーの動きや佐野選手のセット動作を観察し、
   トム・ローガン選手はボールがセットされるよりも前に、
   自身が反応すべき選択肢を減らすことが可能だった
のです。
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セット動作における〝あたりまえ〟のプレーとは?

✓ セッターは、自身に要求される「正確さ」を損うことなく、
   セット・アップの瞬間ギリギリまで、
   セットできるアタッカーの選択肢を複数確保することが
   可能
だからこそ、   オーバーハンド・パスを用いてセット動作を行うのです。

✓ セッターがオーバーハンド・パスを用いて
   セット動作を行うのはなぜか?・・・
   その理由を紐解いていけば、
   レゼンデ監督が要求する
  「手や体の動きからトスを相手に読まれないように」
   というセット動作
が、  セッターに要求される〝あたりまえ〟のプレー
   であるのは明らかでしょう。







【シンクロ攻撃】は高度なアタック戦術なのか?!

✓ 現在の世界標準である、組織的リード・ブロック戦術に対して
   最も効果的な【シンクロ攻撃】でさえも、
   アタッカーならびにセッターのプレーを
   一つ一つ紐解いてみれば、
   各自に要求される〝あたりまえ〟のプレーを
   行っているに過ぎません
。
✓ ですから、その本質さえ理解していれば、
   特別な身体能力が備わっていない女子中学生であっても
   〝あたりまえ〟のように【シンクロ攻撃】を繰り出すことが
   可能です。
   ましてや、身体能力に優れた選手ならば、
   バレーボールの経験年数が少なかろうとも、
   簡単に達成できるはずです。


【シンクロ攻撃】=【〝同時多発〟位置差攻撃】

✓ 【シンクロ攻撃】に代表される、
   現在の世界標準のアタック戦術の本質は、
   セット・アップからボール・ヒットまでの
   〝経過時間の短さ〟ではありません。

✓ 4人のアタッカーが主導権を握って、
   セット・アップ前にスパイクを打つ気満々で助走し、
   実際に誰がスパイクを打つのか、
   ボールを打つ瞬間までアタッカーすらもわからないような
  〝同時多発性〟を作り出すことで、
   相手のブロッカーの選択反応時間を長くすることが本質なのです。

✓ 【シンクロ攻撃】に対してブロッカーが対応できないのは、
   〝不意打ちのように〟
   繰り出されるスパイクだから
であり、   その本質は〝速いバレー〟や〝高速バレー〟
   という言葉で表現できるようなものではないのです。


資 料 提 供・協 力
本日の講演内容に、資料提供や図案作成などに関して、
ご協力頂いた皆様(敬称略)をご紹介します。
@ayanami2015, @P_206RC, @taknuno55, @PFH38th,
@ux3blust, @corapiston, @chochobibi, @toruvoov,
@hatsuharuya, @tamtam_twtr
その他、#vabotter(ハッシュタグ・ばぼったー)
で発言されてらっしゃる、大勢の皆様に感謝申し上げます。
・・・これからバレー界に必要とされる情報戦という
のは、ツイッターなどのSNSをいかに上手く有効活用で
きるかどうかを意味しています!!!

(資料紹介おわり)


(2012年)

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から②

三島の2012 バレーボール ミーティングでの資料の続きです。一部、割愛させてもらっている部分がありますが、ご了承ください。ライブでの講義を聞いてなくても、たくさん勉強になるところがありますね。














ファースト・テンポの踏み切り動作に潜む〝ある特徴〟

✓ セット・アップのタイミングを目安に行う
  踏み切り動作(=狭義の【ファースト・テンポ】)は、
  「セッターに合わせてアタッカーが助走する」という、
   セッター起点の〝コンビ・バレー〟のコンセプトでは、
   達成することができません
。
✓ アタッカーが先に助走し、
   それにセッターが合わせるという〝コンビ・バレー〟以前の
   コンセプトに立ち返らない限り、
   リード・ブロックに効果を発揮する踏み切り動作は
   達成できないのです。

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『バレーペディア改訂版 Ver 1.2』 で提示した
【ファースト・テンポ】【セカンド・テンポ】の定義

✓ 【ファースト・テンポ】
    アタッカーが先に助走動作を行い、
    それにセット軌道を合わせる
ことで打たせるアタック          → 1960年代の〝個人技勝負〟のコンセプト)

✓ 【セカンド・テンポ】
    セット軌道に合わせて
    アタッカーが助走することで繰り出すアタック
        ( → 1970年代のセッター起点の〝コンビ・バレー〟のコンセプト)

→ 相手のブロック戦術にどう対抗するのか?
    に関する両者のコンセプトの違いを明記しました


『バレーペディア改訂版 Ver 1.2』において
【テンポ】の定義を大幅に見直した理由

✓ 初版の『バレーペディア』(2010/05) では、
  【テンポ】 を
  「セット・アップからボール・ヒットまでの時間の長さ」
   と定義したため、各【テンポ】の違いが
  「時間の長さ」の違いでしかない、かのような誤解を招きました。

✓ セット・アップ後のプレー動作に要する経過時間さえ短縮できれば
  【ファースト・テンポ】が繰り出せる、という誤解が蔓延し、
   アタッカーの個人技で相手のブロッカーと勝負するという、
  【ファースト・テンポ】が持つ本来のコンセプトが忘れ去られる
   結果に陥ったのです。


〝1秒の壁〟〝1.1秒〟〝0.8秒〟

✓ セッター起点の〝コンビ・バレー〟の意識が根強い
   日本のバレー界では、
   セッターのトスにアタッカーが合わせる
  【セカンド・テンポ】のコンセプトから抜け出せず、
  「セッターが上げる〝速いトス〟をアタッカーが打つ」という、
   いわゆる〝はやい攻撃〟のコンセプトが生まれました。

✓ 〝1秒の壁〟〝1.1秒〟〝0.8秒〟
   という言葉に象徴されるように、
  セット・アップから何秒で打つという行為自体が〝目的化〟し、
   アタックの目的が何だったのか? が忘れ去られる事態に陥りました。

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〝はやい攻撃〟のコンセプトが招いた〝悲劇〟(その1)

✓ 助走動作を削れば、アタッカーは
   全力でジャンプすることができなくなります。
   そうやって自身の打点高を犠牲にしても、
   リード・ブロックに効果的な踏み切り動作を達成できないため、
  「得点を奪う」というアタックの目的そのものを
   叶えることができません。

✓ そのため、助走動作を削っても
   自身の持ち味を最大限近く発揮できる〝特殊な能力〟
   を持った選手
でなければ、   リード・ブロックに効果を発揮するスパイクが
   打てない状況に陥っています。




〝はやい攻撃〟のコンセプトが招いた〝悲劇〟(その2)

✓ 日本の長身選手は
  俊敏な動作を苦手とする選手が多く、
   〝はやい攻撃〟のコンセプトでは、
   助走動作に要する時間をうまく短縮できません。
   そのため、日本のバレー界では
  「長身選手は〝はやい攻撃〟が苦手である」という
   〝神話〟が生まれ、
   そのせいで過去に何人もの有望な長身選手が、
   活躍の機会を失いました。

✓ 真実は、助走動作に時間を要するなら
  それに見合うだけ助走動作を開始するタイミングを
   早くすればいい
のであって、   決して助走動作を削る必要はないのです。


〝はやさ〟とは「誰にとっての〝はやさ〟」なのか?

✓ リード・ブロックに効果的なスパイクとは、
  ブロッカーが〝速い〟と感じる攻撃のことであって、
  本当に必要とされる〝はやさ〟は、
  アタッカーにとっての〝はやさ〟ではなく、
  相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟なのです。

✓ 相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟
  を達成するには、
  ブロッカーがセット・アップを確認してから
  でないと動き出せないことを逆手にとって、
  セット・アップ前に十分に時間をかけて
  助走動作を行う
方が理にかなっています。
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アタッカーに要求される条件とは?

✓ いわゆる〝ブロックが完成する前に打つ〟とは
   ブロッカーが届かない高い位置からボールをヒットする状態
   を意味しており、
   アタッカーには、セット・アップよりも前に
   十分な助走距離を確保して全力でジャンプし、
   自身の最高到達点でボールをヒットすることが要求されます。

✓ リード・ブロックに効果を発揮するファースト・テンポを
   繰り出すためにアタッカーに要求されるのは、
   特殊な能力を持った選手しかできないプレーではなく、
   しっかり助走して全力でスパイクを打つという、
   誰もが達成可能な〝あたりまえ〟のプレーなのです。


ファースト・テンポと〝はやい攻撃〟は
全く別のコンセプトのアタック戦術である
という真実を、実感頂けたでしょうか?

(③へつづく)


(2012年)