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ラベル 指導普及・育成・強化とか の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2021年1月17日日曜日

第3回TETSUミーティング20210116 ~今年のみなさんにとってのバレーボールは?

 【TETSUミーティング】

と題し、
日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。
 今回は、新年2021年になって最初、第3回目の話題です。



第3回目のテーマは、
「2021年のみんなの思い」

という設定で、約15名の主に各カテゴリのコーチングに携わる方々でミーティングできました。今回は、参加者お一人お一人のお顔とお考えや気持ちが見えやすいように、定員20名という形で行い、結果的にコーチ(指導者)中心で、かつ広く各カテゴリで活動されている方々が集まることができたので、井戸端会議的なミーティングができました。今後もこのようなスタイルの他に、定員なしのプレゼン中心のミーティング等も設定していきますので、これからもリピーター、ご新規参加問わず、よろしくお願いします。


さて、新年一発目のミーティングということで、少し遅くはなりましたが、一人一人のバレーボールに対する今年にかける思い・・・決意、抱負、目標やビジョンなどを語り合うことから始まりました。さまざまなカテゴリ、レベル、実情の中にあるコーチのみなさんのお話は、バレーボールという共通のものを、いろんな目で多角的に見ることができ、自分にはない視点や新たな気づきも多く得られたのはないかなと思いました。

十数名の参加者の、アツい思いあるスピーチを通して、それぞれが今、これから、かかわる選手(主に青少年)たちをよりよい成長や目標達成に導きたいという願いが共通してありました。指導する以上は当たり前のことかもしれませんが、それらは単に「~まで勝つ」といった到達目標だけではない、バレーボールを通した活動の目的やその先にある将来像までを見据えたい。ただ従来の仕組みやスタイルではそれが難しく、試行錯誤しながら新たなチャレンジや取組をスタートさせたいという声が多かったです。
 
ミーティングでは、みなさんが発言しやすいよう、私が進行・ファシリテーター的な役周りで進めているのですが、みなさんのスピーチから、「短期」・「中期」・「長期」の3つの視点がバランスよく話題になっていたようなので、テーマをそれぞれに絞って、ディスカッションに進みました。
「短期」・・・今年1年を通して、選手たちが定める目標をいかにして達成させるか

「中期」・・・新たな組織やクラブチームの立ち上げを通して、バレー人口の拡大やバレーボールの楽しさや魅力を知ってもらう活動をしたい

「長期」・・・今の日本のバレーボール界が抱えるさまざまな課題や弊害・・・技術論や戦術論、フィジカル面やモラルにおける課題や問題を解消し、最終的には日本代表がメダルを獲って喜びを分かち合うべく、「アンダーカテゴリー」の仕組み、体系、文化を改革できないか。

こういった視点が参加者からまとめられた議題となってきました。
・指導者が抱えるチームでの指導期間で完結しない長期育成の仕組み
・発刊された「コーチングバレーボール」の普及と、続編となる実践編を出せないか
・現状の競技システムの中で、強豪伝統校チームで結果を出すための必要な心構えと見失ってはいけないこと
・バレーボールのゲームモデルの提案と、情報共有のポータブルサイトの実現
・指導者の欲求とメンタル、エゴに対する自問自答
・育成に意義のある、異種目経験
・ママさんバレーボールとバレーボール普及の重要性
・ビーチバレーから学べることの多さ
・バレーボールクラブにおける「遊び」の模索
・諸外国における育成プログラムに匹敵する日本版プログラムをつくれないか
・バレーボール以外の種目とのコラボ、タイアップ、協力の重要性

あっという間の2時間のミーティング、そして深夜に及ぶ2次会となりました。
2次会では春高バレー男女決勝をみなさんで実況・解説しながら技術や戦術を語りました。

ミーティングの詳細は、TwitterやFacebookで、
ダイジェスト版として動画配信を期間限定で行う予定です。ご覧ください。

参加された方はわかっていただけたと思いますが、
何も堅苦しくもない、みんなが話しやすい雰囲気で行われています。
知識がない、経験がない、わからないことだらけ・・・
それで参加をためらっている方・・・心配ご無用です。
むしろ温かく相談してくださる専門家もたくさんいますので、
ぜひミーティングにご参加ください。お知り合いの方もお誘いください。

次回は2月中旬~月曜を予定しています。
次回の設定は、20人「以上」(無制限)で募集し、
プレゼンやパネルディスカッション的形式から
みなさんで意見交流をしたいと思います。
具体的なテーマは、決まり次第SNS上でご案内します。

※ポーランドは下から上までのカテゴリの育成プログラムを確立し、そのゴールとしてナショナルチームを「私たちのチーム」として盛り上げています。


※カナダでは、バレーボールに限らずスポーツの横のつながりにおいて、アスリートのあるべき育成と成長を考えたプログラムが普及、機能しています。


日本でも、このようなコンセプトやシステム、組織ができないものか。そうしたら代表チームがもう一度世界の頂点で戦うことができるのではないかという願いと、その実現にできることはないかを模索する・・・それが私が投げかけたテーマであり、参加者かからも賛同を得ることができたことです。みなさん「この指とまれ!」お願いします!


(2021年)

2021年1月15日金曜日

春の高校バレー2021女子~むしろ洗練されたゲームだとも

ジャパネット杯 春の高校バレー2021 
第73回全日本バレーボール高等学校選手権大会

今年の女子は、どこが勝ってもおかしくないような、どの試合も熱戦が繰り広げられました。決勝は、就実(岡山)と大阪国際滝井の対戦となりました。

就実は、特に深澤姉妹の攻撃力が素晴らしく、OHの深澤めぐみ選手がレフトから打ちまくり、MBの深澤つぐみ選手も多彩なスパイクを放ち、チームの得点源になっていました。
国際滝井のOH中本選手を中心にダイナミックにスパイクを打ち込んで応戦していました。


 就実と国際滝井との女子決勝では、いわゆるエースバレー、レフトからのスパイクの打ち合い、パワフルなスパイクの応酬が中心となる試合展開でした。
 高校女子バレーは従来、セッターに正確な返球をし、いわゆる「スピード重視の展開」を作るべく、ニアネット傾向から速く低めのセット(トス)による、「はやい攻撃バレー」を志向する戦い方が目立っていたように思います。
 ところが近年は、例えば東京の下北沢成徳高校が、選手のフィジカルをしっかり鍛え、戦術以前の個人のパフォーマンスや強度、しっかり跳んでしっかり打つ、しっかり上げる・・・というチームが勝つなど、少し変化も見られてきました。
 そんな中、今年の春高バレーの女子の上位チームの試合を観ても、特に決勝は、はやいバレーとか高速バレーなどというネーミングがつくような戦術やコンセプト先行の戦い方ではなく、ゲームのラリーの中で、スパイカーがその選手のもつパフォーマンスをしっかり発揮できるような展開、不必要なスピード重視によるはやい低いセットによる攻撃とコンビネーションに固執しないオフェンスシステムが中心となった展開だったと思います


ともすると、エースバレーとか単調なオープンバレーという見方をする人もいるでしょうが、私は個人的には、高校生カテゴリは、競技における強化のゴールではなく育成途上であってほしいしあるべきだと思うので、今年の春高バレーの上位チームのバレーは、個人のパフォーマンスを犠牲にした戦術ありきの展開よりも、個人のパフォーマンスをしっかり発揮しようとする場面が多いゲームに、あるべき姿を見たような気がしています。右利きのOHがレフトからスパイクを打つとき、特にオープンやハイセットなどでは、かつてはストレート方向に打ったりブロックアウトでしのぐことが多かったのに対し、しっかりクロス方向に打ちぬく選手も増えたなと思います。

果たして、今年の結果は、コロナの影響による練習時間の確保やトレーニング不足などのために、本当は複雑なコンビネーションを要するような理想のバレーボールが間に合わなかった結果だったのでしょうか?完成するはずのゲームモデルが仕上がらなかったのでしょうか?

正直、一観戦者としては判断できかねますが、私はそう考えません。

むしろ、女子決勝の就実高校、国際滝井高校がみせたバレーボールは、まだまだ成長途中にある高校生プレーヤーたちに、限られた期間の中で限定的な戦術を用いたり、それによる限定的な技術だけを要求したりせず、しっかり守ってしっかり打つ、より高くより強くなどのような、当たり前・基本を追求したのではないかと考えました。


高校女子でもバックアタックやジャンプサーブも見られるようになってきました。概して女子バレーは、男子バレーの戦術や技術の後追い的に発展していくわけですが、それにしても高校バレーでは、女子のアップデートの余地はまだまだ大きいと思っています。

「女子は筋力がない」・・・などという考え方が女子的な女子固有の戦術として生み出されたり、そのことで先行した男子のゲームやプレーの考え方やモデルが女子に浸透していきにくい要因になっていると考えています。しかし、筋力がないというのは、「男子に比べて」というだけでのことであって、女子というカテゴリ内でのゲームにおいて、男子の戦術が不可能を意味しているとは言えません。
 例えば、バックアタックや、センター付近からの攻撃に対してブロックが1枚になるという状況はなかなか女子バレーでは解消されません。バックアタック自体も特定の選手しか繰り出しておらずその発生率もまだまだ低いです。オーバーハンドによるセット(トス)はキャッチ気味なハンドリングに依存しており、ハイセット場面はアンダーハンドになることも多いです。OP(オポジット)の選手の育成も遅れていると感じています。
 今年の就実や国際滝井による決勝戦から、いろんな戦術の取り方があれども、まずは選手個々のフィジカルやスキルのハイパフォーマンスを追求するという基本に立ち返ることで、アップデートが始まっていくのではないかと思います。

(※2000年シドニー五輪の女子決勝キューバが五輪3連覇)

動画は、もう20年前のものであり、プレースタイルも古く、一見懐かしさを覚えるゲーム展開です。バックアタックもまだまだ見られません(どうしてもロシアのカルポリ監督に注意が向いちゃう笑)。
 ですが、ここで見せているキューバ女子のリベロを入れていないツーセッターシステム(6-2システム)などによるゲームのスタイルは、中学バレーや高校女子バレーの育成の在り方という観点からは参考になるのではないかと、個人的には考えています。個々の選手がしっかり跳び、しっかり打ち、より強くより高くを追究、鍛えられているのがわかります。ここから20年の間、女子でも、バックアタックやバンチ・リードブロックシステム、オポジットの育成強化の採用などと進化が続いています。
 今後の高校女子のバレーボールスタイルのアップデートに注目していきたいです。

(2021年)

2021年1月14日木曜日

春の高校バレー2021男子~育成カテゴリと戦い方

ジャパネット杯 春の高校バレー2021
 第73回全日本バレーボール高等学校選手権大会

新型コロナウイルス感染症の影響で、練習時間の不足どころか、インターハイや国体など例年行われる全国大会が軒並み中止となり、この大会の開催自体も危惧されていた中で、残念ながら男子の前回優勝校の棄権がありましたが、決勝まで行いました。

近年は、野球の甲子園に限らず、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、高校生チームスポーツの全国大会がものすごく注目され盛り上がりを見せるようになりました。バレーボールも過去は3月に行われていた春高バレーも1月の大会として定着してきました。そして今年はコロナの影響で練習、遠征、そして大会とさまざまな制約・制限を受けてきた特に高校3年生にとっての集大成の大会となっています。ですから、社会的にはいろんな意見はあるでしょうが、こうして春高バレーが開催できたのはよかったですね。

さて毎年のことながら、春高バレーの試合を観ていると(といっても全ては観れていないが)、日本のバレーボールの特にアンダーカテゴリー(小・中・高校バレー)の現状や成果や課題を読み取れるのではと思いながら、注目しています。特に今年は、多くの示唆があったのではないかと考えています。

良し悪しや是非はさておき、
日本では世界の中でも小学生から競技スポーツとしてのバレーボールがさかん(熾烈な競争)で、アンダーカテゴリの技術やチーム力は高いと言われています。そういった中での集大成、ゴールとなっているのが高校生スポーツであり、花形となっている春高バレーに集約されているのかもしれません。

男子は、東福岡が優勝しました。1枚の得点力あるエースにボールを集め、そのために様々なフォローやお膳立てを緻密に行う練習をしてきたのかなと思いました。エースも聞けば、様々な課題を努力して克服しながらのエースとしての機能を果たしてきたようです。

決勝戦で対した駿台学園は、セッターのセット(トス)が縦横無尽で、アタッカー陣も多彩な攻撃を繰り出す。ブロックも組織的に行おうとする様子がみられ、チームビルディングを思考錯誤して行ってきたのかなと感じてみていました。また試合を通してポジションを変更するなど、アンダーカテゴリでありがちな、分業固定のワンパターン編成ではないところへの対応も良いなと思いました。
 準決勝で東福岡と対戦した清風も善戦、チャレンジングなチーム作りだったと思いました。また、東福岡の柳北くん(192cm)、高松工芸の牧くん(210cm)など、これまでにない大型、長身選手が、MBでブロックやクイックだけの限定的なプレーでとどまらず、バックアタックやディフェンスにも参加しているあたりも、過去には見られなかった近年の良い傾向であり、バレーボール指導者の選手の育成に対する意識も、従来のものから脱却し、将来性を伸ばす大きく育てる指導ビジョンが芽生えてきているように感じます。


高校バレーにおける戦い方のトレンドとは?

 東福岡のバレー、駿台学園のバレー、清風のバレー・・・いろんな戦い方やスタイルに違いあります。チーム戦で競い合う以上、打ちだす策やシステムに違いがあるのは当然なことでもあります。
 中学や高校バレーではしばしば、どの策がどの戦術がふさわしいのかなどと禅問答的な議論みたいのがあって、例えばエースバレーなどのように1枚か特定の選手のスパイクに依存したスタイルが、他の選手の育成を置き去りにしているかもしれない、戦術的な思考の成長を止めているかもしれないという疑問や、特定の選手にかかる負担やオーバーワークによる将来性が狭まる懸念。
 逆に、トップカテゴリへつなげる将来性を見据え、積極的にブロックシステムやオフェンスシステムを構築構築して、思考力を高めることの大切さがある。一方でそれが勝敗のアドバンテージになるかといえば、そういう確実性を担保するものではなく、シンプル(シンプルに戦うために緻密に作られたチーム)に敗れることもよくあるわけです。
 チェーンブロック、スタックブロック、サーカスバレー、立体バレー・・・様々なネーミングのもとで、毎年勝っているチームのスタイルにはかなり違いが見られます。ですから逆に言えば、その目まぐるしく変わるスタイルというのは、トレンドとまでは至らない状況であるものであって、この高校生カテゴリでは、まだまだ育成段階の一通過点だからこそ、スタイルが何かに収束・精錬されていくことがないのではないだろうかと考えるわけです。育成途上だからこそ、それぞれの地域やチームに、チームの勝敗を左右する「変数」的な要素(人・数・能力・環境・戦術・・・)が多くあり過ぎて、何を目指せばよいか・・・という絶対的正解が見いだせない、エースバレーで勝つかも知れないし、個人に依存したシステムで勝つかもしれないし、組織や戦術の構築で勝つかも知れない、複雑な攻撃パターンで勝つかも知れないし、ディフェンシブな戦いで勝つかもしれない。
 ですから、特に小中高校バレーの指導者は、春高バレーから参考になることはたくさんあるけれども、その年の勝ったチームの、見た目のスタイルやカタチだけに注目せず、いろんな人と議論をしながら、それらの基盤にある重要性をみんなで探していくことが重要です。

選手たちのゴールについて

 春高バレーが、小中高校と頑張ってきたプロセスの大きな目標や夢の舞台、大学やVリーグや代表に向けたスタートや登竜門・・・いろんな位置づけがあってもいいのだと考えます。
 ですが、個人的に考えているのは、春高バレーがある種の最終ゴール化することで、チームの中で主力・控えの区分けが発生し、そこに経験値の差が広がり育成や成長に差が発生したり、その後バレーの道を続ける者と続けない者との差、特に高校以後バレーの道が閉ざされてしまう選手の方が多いという現状があるのではないかということです。
 指導者や保護者、メディア・・・高校生スポーツを見守る大人の問題かも知れません。バレーボールを始めて練習やプレーを頑張っている大変多くの子供たち選手層のピラミッドの頂点ばかりに目がいきがちです。とはいっても、先ほど述べたように長身選手をしっかりオールラウンドなスキル育成をさせようという機運も生まれてきていますが、それも一握りのタレントが対象になっているに過ぎないです。
 ゴールにもいろんなゴールがあっていい、でもふるい落とすようなゴールではなく、自分が目指したい方向で目指したい人は広く多く目指せるようにしてあげる環境やシステムを作らねばいけないのではないでしょうか?少なくとも、日本以外の国ではそういった取り組みがなされ、何年かかけて代表チームの成果につなげていると思います。

アンダーカテゴリやらねばならないこと

 現状、小中学バレーの指導現場の実態は、すべてではないものの、いかに指導した選手がチーム出身の選手が、春高バレーで活躍する強豪校に選手を送ったか・・・というのが、一つの実績かのように考えられており、高校としても少しでも選手の獲得のためには求めている関係性となっていると思います。
 先に述べたように、春高バレーという素晴らしい舞台のレベルであっても、まだまだ育成の発展途上であり、戦術等には普遍的な集約や定着がなされにくい。だとすれば、まずもって求められるビジョンは、「個の育成」、バレーボールのトレーニング(練習)を積む子供たちには、広く全員にオールラウンドかつ、ボールコントロールスキルだけではない、認知や判断能力、セルフマネジメントとしてのスキルアップがなされることではないでしょうか?
 何年に一度巡り合うか合わないかの大型選手や高い身体能力をもった選手を見つけた時だけオールラウンドな育成に着手するのではなく、アンダーカテゴリの重要なコンセプトの一つに、しっかりと「オールラウンドな個の育成をすべての子供たちに」を位置づけるべきだと思います。
 そうすれば、190㎝、200㎝越えの高校生がレセプションやバックアタックをしても何の驚きにもならない時代になると思うし、実際海外ではそうなっています。もはや小柄な選手は動きが機敏で巧い、大型選手は高さはあるが守れない・・・そういう時代はとっくに終わっているのです。

(217㎝のムセルスキーが難しい体勢からのナイスセット)


(リベロは子供の時から守備専門をするわけではなく・・・)


(リベロはセッターの役割も・・・ゆえにオーバーハンドのスキルも)


(バレー選手である以上スパイクはみんなできるようになってこそ・・・)


今年の春高バレーの男子高校生たちは素晴らしいバレーを随所に見せてくれましたし、新しい現代バレーに戦術や選手育成の面でチャレンジをしている指導者の方に敬意を表したいです。さらなるチャレンジと本気の育成が日本全国に広がることを願っています。


(2021年)

2020年11月29日日曜日

第1回TETSUミーティング20201127 ~日本バレーのアンダーカテゴリと育成を考える

 【TETSUミーティング】

と題し、

日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。

 今回はその記念すべき初回、第1回目の話題です。

第1回目のテーマ・話題は、

「日本のバレーボールのアンダーカテゴリと育成」を考える

です。

初回なぜこのようなテーマにしたかというと、
多くの人が願う日本のバレーボールのさらなる発展における
課題や問題点となっている多くが、
小中高校生年代のアンダーカテゴリーにあるのではないかという
仮説とある程度の確信があるからです。

そこで、当ブログの過去の記事の内容をもとにした

プレゼンテーションをイントロダクションとし
ディスカッションを始めていきました。

↓ ↓ ↓

もしもゼロからチームをつくってみたら(2年半の総括)

(バレーボール学会)育成世代におけるこれからのあるべき指導考察


プレゼンテーションでは、従来の日本的なバレーボール指導スタイルから
可能な限りアップデートした長期スパンでの実践例を通して、
それでも確実に子ども(選手)は確実に育つ
ということに共感をいただけたと思います。

また、日本と世界との関係や比較にも話題が及び、
ポーランドの育成システムの実際やカナダの育成プログラムなどが
例として挙がり、日本では行われてないことの中に
日本のアンダーカテゴリの課題解決のヒントになることが
たくさんあることも見えてきた気がします。

●子供たちに何を経験させるのか

 ・バレーボール(スポーツ)を楽しむこと

 ・学び方を学ぶこと

 ・楽しさから学ぶこと

 ・目標やチャレンジに向かう試行錯誤


●楽しませる「有能さ」「関係性」「自律性」

 ・カナダの育成「FUNdamenntal」というビジョン

 ・ケニア女子代表の選手たちのバレーボールへの姿勢

 ・仲間がいる、人から認められる「楽しさ」

 ・上手くなった、できた時の喜びがある「楽しさ」

 ・自分(たち)で決めて主体的にトライする「楽しさ」


●日本に足りない底辺の拡大

 ・競争と選抜強化による選手のふるい落としの現実

 ・アンダーカテゴリで普及していない「リーグ制」の有用性
  (北海道釧路市の中学女子バレー「丹頂リーグ」の実践紹介)

 ・6人制にとらわれない、フレキシブルなアンダーカテゴリーのルールづくり

 ・2on2、3on3(ミニバレー等)などの有用性

 ・「システム」(4-2システムにとらわれない)発達段階の設定


●日本の技術指導への疑問

 ・ディグやレセプションの「正面指導」

 ・オーバーハンドパス、セットの「柔らかいハンドリング指導」

 ・若い年代では世界でも強いが、トップにいくほど世界に勝てない理由

 ・海外のジュニアチームのチャンピオンシップなどではオーバーハンドのキャッチぐせのセットさせることなくアンダーでセットしている


(↓動画はディスカッションになった話題に関係しそうなものを掲載)




 30名を超える参加者による、
 大変濃密なディスカッションや意見交流で、2時間あまりの時間があっという間に過ぎ去りました。ありがとうございました。
 「2次会」も引き続き設定され、深夜までバレーボールを語り合える場となったようです。

 第1回目のTETSUミーティングでは、
 やはり考えていた通りの仮説、
つまり日本のバレーボールの現状か抱える課題や問題の多くが
アンダーカテゴリーの環境や指導風土に起因していること、
そして薄々ではあっても、年々その閉塞感に気付き始めている人が
増えているということも実感できました。
「勝つ喜び」ということがよく言われているわけですが、
極端な話、些細な場面でも
例えばジャンケンで勝っても、トランプのババ抜きで勝っても、
みんな喜べるわけです。
そう考えると、楽しさや喜びはもっともっとたくさん
バレーボールのアンダーカテゴリに提供されなければいけないと思います。

楽しいからやろうとする、やろうとするから学びたいと思う、

学んでいくからスキルアップや成長をしていく

そしてその先に目標達成や勝利という何らかの結果が出る。

日本のバレーボール、特にアンダーカテゴリでは、
指導の「目的」と「目標」の混同や混乱、
「目的」のなさ、「目的」の脆弱さ、
によって、いろんな指導体質となって表出しているのだと思います。


そんな話題にまで至った第1回TETSUミーティング。
ご参加ありがとうございました。
今後、月1回を目標に先着20名の募集で
ミーティングを行っていきます。
第2回目は12月19日(土)20:00~予定です。
TwitterやFacebookでも発信していますので、
要チェックお願いします。
たくさんのご参加をお待ちしています。
仲間を増やし、動きをつくり、日本のバレーボールの成長にみなさんで参加していけることが願いです。


(2020年)

2020年5月3日日曜日

ポーランド滞在記雑感

勢いで、バレーボールを観るために数日間ポーランドに飛び込んでみました。

 私の課題、テーマは、「育成」やその「システム」において、日本にはないものがポーランドにあるかもしれないということ。そしてもう一つは、ともすると、日本のバレーボールの低迷の中にあって、何でもかんでも日本はダメ、海外が素晴らしいという偏った見方ではない、日本のバレーボール界がもつ、潜在的な可能性や良さを見出せないかというものでした。


日本の良さ・・・
 やはり、施設、環境面は圧倒的に恵まれた環境にあると思います。学校をベースに、どの体育館にもバレーボールコートは作れますしボールもあります。学校が中心に少年団や部活動としてチームが存在し、しかも施設使用料や月謝みたいなものはほぼなし。コーチングスタッフも無償でやっている場合が多いです。競技人口も圧倒的に日本の方が多いですし、子供からママさん、年配の方まで、いろんな形のバレーボールスタイルで練習やゲームをしている環境が日本にはあります。またアリーナの設備も圧倒的に日本の方が整っているのは間違いないでしょう。

 日本で提供されるコーチング(指導)は、個々の指導者のバレーボールに注がれる熱意からくる、研究熱心さによるものが大きいです。さほどコーチングを学んだりアップデートできる公の機会が多くない中で、それぞれが自分の経験や人脈を駆使した研究によって、無償に近い中で提供されています。ですから受益者である選手や保護者にとっては、比較低いコストでコーチングを受けることができると思います。


ポーランドを訪問してみて・・・

 たびたび述べさせてもらっているとおり、1970年までは日本とポーランドの男子バレーはともに肩を並べて世界のトップを争いながらも、80年代~2000年代初頭はなかなか世界の頂点には立てていなかった中、ポーランドは近年、世界のトップに返り咲いています。そして日本は低迷を続けてきました。
 ですから、ポーランド国内でのバレーボールに何か日本にはないものがあるのではないか?というのが個人的な関心と仮説的なテーマだったわけです。

・国民的人気スポーツの確立とプロモート

・プロリーグの活性化と改善

・代表強化につなげるための育成

・トップから系統的に構築するアンダーカテゴリの指導システム

・コーチ(指導者)の資格、評価

・競技経験者だけじゃなく、教育、メディカル、運動学・・・多角的な分野との連携

・連盟(協会)の弛まない向上心と改善マインド

・青少年年代への配慮とモチベートの工夫

・他国の情報収集、他国指導者間のセミナーなどでの情報交流

 やはり、長期的な視点に立った、スケールの大きいビジョンと構想、そしてそれを実現すべく大きなくくりで人々を結び付け巻き込んでいく・・・そういったアクションを組織が率先して行う。組織は、代表監督やリーグ指導者の意見を取り入れながら、より良いものを追究していく。こういったものが原動力になっていることを肌で感じることができました。

 ポーランドにおける今やっている育成プログラムやシステムが動き出したのが2000年代に入ってからとのこと。偶然のようで、やはり代表強化のタイミングにも重なるような気もするのです。

 日本は、バレーボールができる空間もあり、バレーボールをやっているプレーヤーも多い。そして選手たちを導こうとするコーチング(指導)をやっている人も多い。

 しかし、残念なことに(批判的になってしまうのが本意ではないが)、個々の熱意や研究心、モチベーションは高いが、そのベクトルや目指すゴールがあまりにもバラバラであり、日本のバレーボールというものが一枚岩になっていないのは明らかな気がします。

 指導内容も体系化されたものがあるわけでもなく、全国でシェアされているシステムがあるわけでもない。個々の指導者、それぞれの学校やチーム、それぞれの都道府県・・・思惑も指導理論も、目指すバリューやビジョンもばらばら。その中で、得てして対立や摩擦を生むことも多い。各カテゴリの間が分断されており、それぞれのカテゴリが独自の進化?迷走を続けている状況が続いているように思えるのです。

 競技(愛好者)人口が多い割には、代表チームやリーグへの関心も高いわけではなく、そこに対する組織のビジョンや熱意もいまいち見えてきにくい。

 こうやって記述していくと、あれもないこれもないという無い物ねだりだったり、ああしろこうしろという他力本願的な中身になってしまうのですが、でも個々の環境でがんばるだけでは、海外には追いつけない状況になっているんじゃないかと思うわけです。

 日本には、他国に比べても、潜在的なアドバンテージや資源や条件がまだまだ残されていると思うわけです。足りないのは、それらをどのように生かし結び付け、コーディネートし組織化するか。ミクロな部分で個別にバラバラ取り組むのではなく、十分研究され練られた構想を同時多発的に日本全国で展開できるか。
 今回のポーランド訪問にあたり、何人かの海外でのプレーでがんばる選手の方とも連絡を取りました。我々が思う以上に、海外でプレーをがんばる、がんばろうとしている日本人が多いのです。そして近年では、日本国内のVリーグにも、海外選手やコーチたちが多くやってきています。
 そういったものを良き資源とし、生かし、積極的に吸収しそれを日本全国に拡散させていく必要性が、組織や指導者、愛好家やファンの中から生まれてくることを期待して止みません。

(2020年)

2019年12月31日火曜日

「育成」とは何かを問いかけ(2019年をしめくくる)

 2019年が終わります。みなさんにとってどのような1年となったでしょうか?
私もとある方から「どのような1年でしたか?」と問いかけられた時、「バレーボールでは・・・」と正直言葉がつまってしまいました。お恥ずかしい限り、その時は周囲に自慢できる成果などないなと考えてしまいた。
 でも、バレーボール以外での仕事では自分はたくさんのチャレンジや成果があって充実していたし、バレーボールでも決して周囲からは見てもらえない小さな学びや自信となった経験もあったし、人との出会いもありました。
 そんなことを、言ったら「それが大事。小さな幸せを誇れることが一番」と言われました。さて、みなさんの2019年はいかがでしたでしょうか?
2019年のバレーボールでは、個人的には
 ① 日本代表男子チームの活躍と希望ある展望
 ➁ Vリーグの各カテゴリの盛り上がり
 ③ バレーボールファンの多様なつながりや交流
 ④ メディアが発信するバレーボール情報の進化
などが、これまでにない変化がみられたような気がします。

私は、このブログでも平成が終わり令和という新しい時代を迎えるにあたり、日本のバレーボールでももう一度「育成」を見つめなおそうというのが、今年のスタートにあたってのテーマでした。しかし、残念ながら、①~④で取り上げたような材料に比べると、あまり大きな変容を感じられなかったというのが正直な感想です。

 新年2020年はオリンピック・イヤー。しかも私たちの国日本で開催されます。来年の東京五輪での成果も大事ですが、それ以上に五輪後どのように発展させていくかの方が重要だとも言われていますし、海外ではもうそこに着手している国もあるようです。そこでバレーボールを考えるブログとして2019年の締めくくりは、「育成」をもう一度みなさんと考えてみたいわけです。



「育成」を考えるうえで、

「バレーボールでみんながハッピーになる」

というのが大事だと思うわけです。
する・みる・支える・・・大人も子供もどの地域やカテゴリも・・・
みんながバレーボールでハッピーな気持ちになれるかどうか。
それが「育成」の成否の根本として重要なのではないかと思った1年でした。

勝利や成功で得られる喜びや幸せがある。
タイトルやステージアップで得られる喜びや幸せがある。
人との出会いの喜びがある。
新しいことを知った学んだ喜びがある。
いろいろあろうかと思います。
でも、そのような喜びは幸せは、「すべての人」にもたらされなければならないと思います。
 高みを極めた一部の人々だけが幸せになり、それ以外の人々は幸福な気持ちになれないようではいけないと思うわけです。でも勝ち負けはスポーツや競技をやる以上は生じてくるわけですから、「すべての人がハッピーになる」というのは、別のコンセプトや価値観が必要になるんだと思います。
 よく指導現場では、対戦相手を敵と呼んだり、目標設定を相手を倒すなどという表現をするのをみかけます。そんなコンセプトでは「バレーボールですべての人が幸せになる」という状態はいつまでも達成できないんだと思います。
 ファンの間では、戦術、選手個人の為人、国内・海外・・・など、人々の志向の違いが話題になることもあり、時には意見が対立することも見受けられてきました。
 対立というのはゼロにはできませんが、それでも共存やコラボレーション、相互理解などで、すべての人がハッピーになる余地というのは、まだまだたくさんあると思うわけです。



バレーボールにおける「育成」に話を戻します。

「育成」という言葉が使われる場合にもそのニュアンスや定義には様々な違いあると思っています。例えば代表チームや国内リーグなどにおける選手の「育成」は、ある程度セレクトされたスキルや経験のある一定レベル以上の人々を対象としています。私はこれは、「強化的育成」と呼ぶか、育成とは呼ばない方がいいのではないかと考えます。

 私がここで言うところの「育成」とは、子どもたち・・・つまりは学齢期(高校生くらいまで)をターゲットとして、しかも「彼らのすべて」を指す概念として考えています。
 先ほど申し上げた通り、2019年の日本のバレーボールでは「育成」の議論やイノベーションは不十分だったと感じています。率直に言えばあまり変容や進歩は感じられませんでした。

「楽しむ」・「尊重」・「探究」

この辺りが、バレーボールにおける「育成」の取りかかりとなる要素になってくると思います。そこに「すべての子どもたち」を掛け合わせていきますと・・・。やるべきことや取り組む余地は膨大なものになるのではないでしょうか?
 
 日本では、これからの教育の大きなテーマの中に、「主体的・対話的で深い学び」というものが掲げられています。
 このテーマは、実は日本のバレーボールの指導現場にも通じる課題なのではないかと思います。
 「主体的」、「対話」、「深い学び」・・・どの言葉もその解釈や理解は一言では説明しきれないものだとは思います。
 子どもたちの「主体性」はどうやって生まれてくるのか?
 一見、自立し統率されているようなチームでも、その根元は指導者や保護者の意向や思惑によって仕向けられていることが多く、それは「やっている」より、「やらされている」側面が強いわけです。一生懸命やっているようで、実は一生懸命やらされているわけです。これでは主体性があるとは言い難いわけです。
 子どもたちにとっての「対話」とは何か?
 対話には、「他者との対話」と「自己との対話」があります。
 他者との対話では、相手への敬意や相手から吸収しようという姿勢が重要です。いくら礼儀正しくとも、相手の考えを理解できない思考力の浅さや、建設的なディスカッション能力ができなければ、他者との対話は成立しません。
 「対話」で見落としがちになりやすいのが「自己との対話」だと思っています。自分のことを振り返って、思考や感情を整えたり、自分へフィードバックをして学習を促進させたりなど、試行錯誤や工夫という作業を成立させるためには不可欠な要素です。
 「深い学び」とは何をもって達成されるのか?
 それは新しい気づきや発見はもちろん、仮に新しい成果や知見がもてなくても、自分自身で仮説や検証をし、一定の方向性を見出す「プロセスを経験する」ことで学びを深めることになるんだろうと思います。

「育成」において、
「すべての人々(子どもたち)がハッピーになる」
ことを実現させる。
試合で勝った者たちだけが幸福感を得て、そうでない者たちは幸せになれない。
選ばれた者だけが幸せになり、選ばれない者たちはハッピーになれない。
キャリアやステータスを得たものが幸せで、そうでない者は不遇を味わう。
これが根深い日本のバレーボール界の育成における課題なんだと思っています。

「楽しむ」・「尊重」・「探究」

ここに、「主体的」・「対話」・「深い学び」が結びつくと思います。

同じことをやっていても、夢中でどんどんチャレンジし続ける人もいれば、必死に苦しみながらやらされている人もいる。
自分の中に起こるイノベーションを求め、貪欲に吸収しようとスクラップ&ビルドを重ね試行錯誤の中から最適解を探る人もいれば、絶対解を信じ他の可能性を排除しながら突き進む人もいる。
(成長欲求という)自分のためにチャレンジし続ける人もいれば、自分の承認的存在意義を守るため他者を標的にしてマウントをしてくる人もいる。

でも、普遍的なのは、他人の幸福を誰かが奪うことがあってはならないことです。そして人のチャンスや可能性を潰していいということにはならないということです。
 今一度、日本のバレーボールにおける「育成」をみなさんと考え、イノベーションを起こしたいというのが夢です。
 すべての子どもたちが、大きな夢や目標に向かって、生き生きとバレーボールを生活の一部にすることができる。そこに線引きも選別もなく共有されるべき、コンセプトやビジョン、フィロソフィーやバリューがあるはずです。



 お恥ずかしい話、私は、友人とボーリングやカラオケ、ゲームセンターに行くのが昔から好きじゃありませんでした。なぜなら、「下手な自分」に対するコンプレックスが強く、楽しめなかったからです。でも、周囲はそんな上手下手に関係なくみんな「楽しむ」ことを目的としていますよね。

 バレーボールのプレーや結果というのは、因果関係が複雑に絡み合って形成されます。そしてミスが起こって当たり前のスポーツ。プレー中はミスをしたあとに、いかにして素早く次のプレーの意識を切り替えるかが重要。そのあとで、なぜミスをしたか、どうすれば同じミスを繰り返さないかを振り返り考えることを怠らないことで、次へのモチベーションへとつなげます。これはバレーボールに限らず、どのスポーツに限らず、人間生活の作業として必要な営みですよね。

 (大人への)お茶出しやあいさつで気が利く選手は試合中のプレーにも生きると言われて指導(教育)されていることも多い(自分もやらせていた時代がある)ですが、そもそもバレーボールというゲームの中の「気づき」を生み出すためには、バレーボールの中の情報や知識がないと気づきにならないわけです。だから、バレーボールの試行錯誤や主体的な工夫をしないまま、他の生活場面での気づきばかりを求めても、バレーボール選手としてのレベルアップには限界がくる。

 すべての子どもたちが、またはすべての大人たちが、
「バレーボールと出会ってよかった」、「バレーボールをやってよかった」
 そうなるために、
 それぞれの「今」やっているプロセスが「夢中」で「楽しい」状態であること。自分が考えていることを表現しても非難されて評価を下げられず自分の立場が脅かされない心理的安全があること。いいものをつくりあげていくために、膨大な時間をかけて試行錯誤を確保でき失敗が許される安心してチャレンジできること。
 こういったことを、バレーボールを通して経験していくことで、ある者はアスリートとして、ある者はコーチやティーチャーとして、ある者はマネジメントやビジネスとして、ある者は親として・・・とにかくあらゆる社会や人生のステージで、生かされていく。これが、「すべての人々がハッピーになる」ということに通ずるんだと思います。

 何かの試練を乗り越え生き残った者たち、勝ち続け成功のレールだけを進んできた者たち、過去のキャリアやステータスを得た者たち・・・一部の人間だけのための幸福だけではなく、「すべての人々・すべての子どもたちに」にバレーボールは何ができるか?
 これが「育成」だと思います。

 いよいよ来年は東京五輪があります。日本代表男女の活躍はもちろん、私たちが住む国で、世界のバレーボールの「ガチ勝負」を観ることができることへの期待感をもちながら、同時に日本のバレーボールのさらなる発展やイノベーションの元年となる1年になればいいなと願います。

 みなさん、今年も1年間お付き合いいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。

Thank you very much for your personal relationship that you extended to me throughout 2020.


(2019年)

2018年12月30日日曜日

2019年を「バレーボール育成元年」に。「育成の世界標準」の議論を。

 2010年の世界バレーで、日本代表女子チームが32年ぶりの銅メダルを獲得したあとから、日本のバレーボールの中でも技術や戦術の「世界標準とは何か?」という議論が起こるようになりました。
 当時から、世界のバレーボールをリードしてきた、ブラジル男子のバレーボール戦術をアップデート例として、セッターからのバックアタックのバリエーションやブロック戦術、そしてその中で果たすべきセッターやリベロの機能など・・・日本ではそれらを「世界標準」として考えられるようになってきました。
 2000年代に入ってからは、そのようなシステムはブラジルの専売特許のようにしばらくはブラジル男子が世界の先頭を走ってきたわけですが、やはり次第に他の台頭国の出現がみられるようになります。アメリカ男子やロシア男子・・・近年ではポーランド男子なども力をつけており、どの国も2000年代初頭のブラジルがやっていたゲームのエッセンスを標準装備し、戦っているのがわかります。
   
 日本でなれるようになった「世界標準」というテーマのもとでの議論は、80年代、90年代、2000年代初頭にわたる、日本のバレーボールの戦術のガラパゴス化ともいえる、世界の戦術の変遷やアップデートに追いていない状況とそれに比例するように国際的成績の低迷の中で、ようやく小さな一歩を生み出したのだと思います。その間、バックアタックというものが積極的行われるようになりパイプ攻撃もみられるようになってきました。クイック攻撃は時短的なセットアップ(はやいひくい)よりも、スパイカーのパフォーマンスの最大発揮を重視したものへと変わりつつあり、ブロックもようやく「リード・ブロック」を取り入れようとしている状況になっています。また、ブロック戦術に対抗するために、攻撃枚数の確保が必要となり、セッターへの返球であるファーストタッチも高くゆったりしたものが多くなってきました。

 しかし、その「一歩」というは、海外のそれと比較すれば、極めて小さすぎる一歩と言えるし、次の一歩またその先の一歩とはなかなか進みにくい、スピード感のなさも感じられます。「世界標準」という看板は、それ自体掲げている時点で遅れ感がにじみ出ているのですが、残念ながら、海外はもはや「標準」と言わなくても実践している「当たり前化」した状況になっています。情報技術はこの20年間で劇的に変わり、世界中どこでもリアルタイムでしかも映像での情報を入手することができます。バレーボールでも「データ」や「動作解析」などをコンピューターの力で処理できるようになってきます。
 ですから、国際的な、「情報戦」は激しくなる一方で、それは戦術のスカウティングにとどまらず、指導法や教授法、トレーニング方法まで、情報の発信も入手も解析もグローバルなものとなっているわけです。ですからブラジルのバレーが世界に吸収されるのも短時間である一方で、日本のこの「遅れ感」は由々しき状況ではないでしょうか?この状況や意識の差をなんとか埋められないかと思うわけです。
 その「遅れ感」を埋めるためにも、今一度「育成の在り方」を考えるべきだと思うのです。そしてただ考えるのではなく、積極的に「海外の育成」から広く情報を集め、吸収できる部分は吸収すべきだと思うわけです。



 このブログでは、日本のバレーボールの課題を「育成」、つまり小中高校生の子どもたちへのコーチングやトレーニングの在り方に大きな要因があると考え、さまざまな角度から話題を提供してきました。
 その「要因」というのは、一言ではまとめることのできない、大変複雑かつ根深い問題もはらんでいると考えています。
しかしながら、
・プレーヤーである子供ファーストになっていない指導者や保護者の欲求
・育成カテゴリであるはずなのに、熾烈な日本一争いに終始している
・選手の指導者や環境への依存と他律
・勝利至上主義と勝利最短主義
・固定化されたポジションなど大会での勝負を理由に一部分のスキルの完成だけ求める。
・指導者の学ぶ姿勢と学ぶ機会のなさ
・初心者に「カタチ」から入る指導
・指導者の試行錯誤なき安易な結果獲得欲求
・世界のバレーボール情報を受け付けない閉鎖性
・カテゴリ間の断絶
などなど、
日本のバレーボールがつまずいている育成の課題のその要因たるや、挙げだしたらきりがないくらい、課題山積なんだと思うのですが、遅々として議論も生まれなければ、変革も生まれないのはなぜでしょうか?

 まさに、「当事者意識の欠如」が深刻なんだと思います。
 カテゴリ間の連携も薄く、しかも責任の転嫁や課題の先送りが染みついてしまっています。

 2020年の東京五輪が迫ってきました。バレーボールの日本代表がより良い結果を出せるかももちろん注目すべき大切なことだとは思いますが、日本のバレーボールと「育成」を考える時、もはや2020年をどうするかよりも、2020年の東京五輪をいかにして良いターニングポイントにできるかが重要なんだと思っています。
 となると、その準備はもう時間がない。前年となる2019年に議論だけじゃなく、いろんなムーブメントが起こってほしいもんだと思うのです。

 そんな思いが芽生えつつある中奇しくも、2019年は「平成」という一つの時代が終わり、日本の新しい時代が始まります。
 私がバレーボールのコーチングに関わって十数年。こうして記事を書き出して10年余りが経過し、この間私なりに感じていることは、日本のバレーボールの課題や問題があれこれ表面化しつつも、なかなか改善や改革に着手できなかったことが多かったのではないかと思います。昭和の日本のバレーボールの財産だけでやってきた限界が表面化してきたのだと思います。
 ですから、新しい時代を迎えるにあたり、もう一度土台から考え直す、「育成の改革」が必要なんだと思います。
 そしてそのためには、まずは日本の独自路線を求めることよりも、海外の世界の主流を知り、実践し、そこから長短を洗い出す作業が必要なんだと思います。「日本の育成」は、そこから取捨選択することでなされていくと思うのです。





 私は、日本のバレーボールの育成現場における、主に指導内容の課題として挙げておきたいのが、

(1)技術をともなった判断、判断をともなった技術の練習プログラム
 一連のプレー動作をわざわざ細部まで分解するような誤ったスモールステップの考え方や試行錯誤なき型ハメ練習、さらには指導者から与えられたワンパターンな戦術の遂行などで育成された選手が、上のカテゴリに行くほど、世界との差が開いています。
 ネットを挟んだラリーの中から、連続的かつ瞬間的に最適な判断を積み重ねていくスキルを訓練しなければなりません。
 従来のクローズドスキル練習で終始する練習から、オープンスキルやゲームライクを取り入れ、同時にクローズドスキルのフィードバックを入れていくような、スパイラル的なスキルアップを目指す練習スタイルが、日本でも当たり前になっていかねばならないと思います。

(2)「システム化」から生み出す対応力と柔軟性(何となくからの脱却)
 とにかくプレーの型ハメ、戦術のワンパターン化からなかなか抜け出せていません。
 バレーボールは、「選手自身が」ネットの向こうの相手とボールを「見て」、「判断し」、「動く」という基本があるのに、指導者の理論武装に選手が巻き込まれる状況が多く見受けられます。
 では、どうやったら、本来あるべき、選手自身の主体的かつ能動的な思考判断と対応力を伴ったプレーを導き出せるのでしょうか?
 そこで必要なのは、「システム化」の再確認だと思います。
 スパイクにおけるテンポがあります。ブロックの配置や反応方法の違いがあります。サーブの狙い方と戦術的意図があります。レセプションシフトの変化があります。各ポジションの状況に応じた動線があります。
 このように、ボールと選手の状況から生み出されてくる、テンポ、ポジショニング、ボールの位置情報、選手の動線・・・これらは、ワンパターンなものであるはずがありません。そのためには、まずはいくつかの選択肢を与えそこから状況に応じて選択させる「システム化」があってもいいのではないかと思います。

(3)「試行錯誤」とコーチング
 「考えろ!」と選手に言っておきながら、考える方法や材料を教えていない。「工夫しろ!」と選手に言っておきながら、ミスやエラーを許さず時間的にも待ってくれない指導をしている。これでは、選手の自立だけでなく、思考判断力も育つわけがありません。
 「育成には時間をかけろ」これは、否定のしようのない事実だと思います。時間をかけるとは、2年3年では短いのです。数年十年かけて醸成していくのが育成だと思うのです。
 選手自らが課題を見つけ、次なる目標や欲求を持ち、そこに向けてトライ&エラーを積み重ねていく。そういった「試行錯誤」を選手ができるように、指導者はどうアプローチするのか。そこが「コーチング」だと思います。
 毎月、毎年、大会で結果を出すことを求める中では絶対に実現できないでしょう。

(4) オールラウンダー性、トータル性の重視
 このブログでも、日本のセッターの大型化が進まない問題、ミドルブロッカーの得点力不足の問題、日本のブロック力の低さの問題、ハイセット能力の低さやレセプション能力の低さ・・・こういった課題は、小学生バレーから始まる、「偏ったスキル指導」、「偏ったプレー経験」からくるものだと主張してきました。
 「育成」から「オールラウンド」という要素を外して考えることはできないと思います。必然的にオールラウンドを求める以上、やはり時間が必要となります。そして様々な機会や環境が必要となります。
 指導内容や戦術の分析も、データやエビデンスを踏まえ、局所的な正解ではない、マクロでトータルな考察も必要だと思います。
 このように長期スパンに立った、トータルでの育成の成功を目指す必要があるのではないでしょうか?



 こういったバレーボールの育成に関わるヒントが世界にはあるのを知っています。公開されている資料や文献だけでも十分知ることができるのです。日本の国際的な競技力向上を考える時、「育成の世界標準」を議論していくことは無視できないと思うのです。
 指導者個々人に育成の理念を期待するには限界があります。どうしても勝利の追及と効率化を求めてしまうからです。だから「育成」については、組織がある程度制度化しなければならないと考えます。
 2019年からはじまる日本の新しい時代、是非とも日本のバレーボールも「新時代」とも言える変化を、「育成」から生み出したいものです。そして組織的な取り組みを模索しなければいけないと思うのですがいかがでしょうか?


(2018年)

2018年1月1日月曜日

(コーチ向け記事)バレーボールのコーチング再考

Let me express the greetings of the season.
I wish you a Happy New Year 2018!
We love volleyball.

2018年、新年あけましておめでとうございます。
 
 昨年もコーチやプレーヤー、ファンの方々にたくさん支えられました。ありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 実は2017年年末にと東南アジアの国に行ってU15世代のチームと交流することができした。
 そこでは、決定的な指導アプローチに違いを感じました。そして、中学生のアティテュードにも明かな違いを感じました。
 ただ、「感じた」「見えた」というのが、あくまでも主観的な要素が多いし、それが何によって生み出されているのかが分からないままなので、日本の子たちに何をどうしたらよいかははっきり言えないのですが、ただ漠然と日本でのバレーボール指導は、これからもう一段も二段もステップアップさせていかないと、ますます世界の中で遅れをとるのではないかという、直感的な危機感におそわれたのでした。
 その国のトップレベルのU15チームと交流、対戦しました。ボールコントロールなどは、日本で言われるところの「美しさ」があるというより、外見上の粗さがあるようにも見えるのですが、ゲームにおいてまずボールが落ちません。ブロックは1枚になることはあまりなく、サーブも明らかに訓練されていました。特にセッターの通り道とクイック封じのコントロールサーブ、そしてサイドラインターゲットなどは訓練されていました。セッターとリベロも上手かったです。
 個々のボールさばきには個性が多少あっても、チームとしてはかなり組織化されていて、ポジショニングの正確さも見事でした。
コーチたちは、妥協しないところは妥協せず指導し、練習やゲームが終わったあとは、徹底的にミーティングしています。「ベーシック」という言葉をしきりに私たちにも言っていましたが、基本という概念も日本とは違うような気がします。「ボールを落とさない」、「自分の周辺ボールは落とさない」、「アタックは積極果敢に」、「ポジショニングを考えろ」・・・何か要求ゾーンには幅がありながらも当たり前なことを徹底させているような気がします。
 選手は日本の中学生と比べると、かなり大人びていて自立している印象を受けます。彼らの立ち振る舞いや練習態度から感じたことです。そして選手はみんな、自分がバレーボールが好きだからという気持ちがにじみ出ているのも印象的でした。

 日本のバレーボールの指導が、これからますますアップデートをしていかないと、いけないような気がします。
 バレーボールの歴史は、時代とルールの変遷によって、大きく変化していました。トレーニング方法も変わってきています。ところが日本のバレーボールの指導内容やアプローチ、指導観は、世界の変化に比べて、アップデートが鈍いです。
 よくナショナルチームレベルで、戦術論やプレー論が比較考察され、議論が展開されていますが、私は育成世代で世界で何が行われているのか?どんなタクティスやツールを用いてコーチングされているのか?それがトップカテゴリにどのような影響を与えているのか?それこそが学びたい内容であるし、日本のバレー界の閉塞感を動かす力の一つになると確信しています。



 実は、私、大学を卒業して随分たったこの歳になってから、英語を学びたいと思い始め、ちょっとだけ勉強を続けています。これがなかなか上手くならず困っています。
 そんな中、外国語学習について、専門家の友人から興味深い話を聞きました。言語の学習にもトレンドが時代とともにあり、変遷してきたというものです。当たり前のことですが、その時代のトレンドもいつか短所が明らかになると批判され、新たなトレンドが構築されていく。そのプロセスが、実は言語学習のみならず、バレーボールの指導にも当てはまる、私が考えていた日本のバレーボール指導のあり方にも符合するものです。

外国語教授法

このサイトに書かれている内容で、
以下、外国語教授法にある文章の一部をバレーボールに置き換えながら
引用しておくと
> それぞれの外国語(バレーボール)教授理論あるいは教授法は、それぞれの特徴を持っているが、やはり数ある外国語(バレーボール)学習法と同じように、善悪や優劣を決められるようなものではないだろう。
> 先に書いたことと重複してしまうが、英語(バレーボール)の学習法に関して言えば、それぞれの個人に合った学習法は、その人の英語(バレーボール)を学ぶ目的や既習レベル、性格や信念、好み等々によって変わってくる。
> 同じ目的を持って英語(バレーボール)を学習する人たちの中でも、適性や好みによって、各個人にフィットする学習法は大きく違ってくる。
> さらには、英語(バレーボール)学習を始める年齢や既習レベルの違いによっても、適した学習法は変わってくるものなのである。
> それぞれの教授法がそれぞれの特徴を持っているので、学習者にとって、‘自分に合っている’と感じられる教授法は個人個人で違ってくるはずである。
> 外国語(バレーボール)を指導している現場の教師たちの間でも、いろいろな教授法の要素を取り合わせた‘折衷法’が一番いい、という意見がもっとも多いようだ。
> もちろん、その‘折衷’的なやり方においても、学習者の適性などによって、柔軟に指導の仕方も変化させる必要があると思うが…。
> あるやり方がある学習者たちに効果的だったからといって、そのやり方がいつでもどんな学習者に対しても効果的であるとは限らないからだ。
> 教師(コーチ)の指導法の理想を言えば、教師(コーチ)はいくつもの教授法に熟達し、学習者の条件に応じて臨機応変に適当な教授法を使うようにするのが望ましい、ということになる。
> 常にどんな学習者に対しても効果的であり、最も正しい教授法、というのも存在しないと思う。

 個人的に考察しているのは、日本のバレーボール指導は、言語学習の変遷で言えば、1960年代~1970年代の教授法が根強く残っていると思います。オーディオ・リンガル・メソッドなどといった教授法が、日本のバレー指導スタイルに近いんじゃないかと思うわけです。
 その特徴は、
 ・型のインプットと反復トレーニング
 ・型の再現力
 ・ティーチング要素が強い
 ・正確さが要求される
 ・失敗は避けるべきもの
 ・指導者(コーチ)中心、主導
 ・項目を順を追って組織的に教える

 昨年2017年、バレーボール界の一部では、指導における「プレーヤーズ・ファースト」の概念や「試行錯誤」の重要性が話題になったような気がします。
 私は、いずれも「プレーヤーズ・ファーストだ」、「試行錯誤しろ」と指導者が言うものではなく、「そうなるべきもの」だと考えます。
 私たちバレーボール指導者は、いかに効率よく勝てるか?いかに効率よく確実にスキルアップできるか?何かいい特効薬はないのか?ばかりを追い求めてきたと思いませんか?要するに、「楽をしてきた」のだと思います。思考停止をしているのは、選手以上に指導者がそうなっているのだと思います。指導者は選手に「考えろ!」という前に、まずは自分自身が「深く考える」ことが必要だと思います。だから短いスパンの一時期で成果が出ない選手(子どもたち)は、バーンアウトしたりリタイヤしたり、発掘のまな板から落とされてしまってきたのです。
 言語学習では、指導者からの一方向的な指導だけでは限界があることから、コミュニカティブ・アプローチに軸足が移行していきました。
 その特徴は、
 ・状況への柔軟な対応
 ・実践力→(言語:コミュニケーション、バレーボール:ゲームセンス)
 ・学習者からのアウトプット
 ・個に応じたコーチング
 ・失敗は習得に不可欠なもの、貴重な教材
 ・学習者(選手)中心
 ・「インフォメーションギャップ」「自由な選択があるか」「フィードバック」の3要素を把握、設定する

というポイントがあろうかと思います。これ、言語学習だけじゃなく、バレーボール指導にもまったく符合することだと思います。

 強調したいのは、どの指導アプローチが正解かではないということ。
 パターン練習とランダム練習
 クーロズドスキル練習とオープンスキル練習
 スコアリングスキル練習とノンスコアリングスキル練習
 分習法と全習法
 
 適宜、どこでどの場面で取り入れるかがコーチの手腕。
 そこを日本のバレー指導者が考え方を変えないと、ますます世界に取り残されると断言できます。
 小中学生のバレーボールコーチは、もちろんシニアやナショナルチームのバレーボールにも知見を持たねばならないし、コーチングできなければいけないと思っています。逆にトップレベルのコーチやトップカテゴリのコーチは、育成世代の子どもたちや初心者にもより良い指導を提供できなければならないと考えています。
 でも、日本では世界の中でもさかんにバレーボールが行われているにもかかわらず、指導者は自分のカテゴリに安住してあぐらをかいているのではないでしょうか?もっと指導の在り方やメソッドの内容を掘り下げて学び、さまざまな場面でさまざまな対象者に常に良いコーチングを提供できなければいけないと思うのです。

 2018年は、今まで以上に、日本のバレーボールの「指導者」や「コーチング」に焦点があたることを期待しています。
 本年もよろしくお願いいたします。
 ああ、英語が話せるようになりたいです(笑)


(2018年)



2017年6月4日日曜日

世界のバレーを観なきゃ損(FIVB World League 2017)

 ワールドリーグ2017が開幕しました。今回は、FIVBからYoutubeにてライブ配信されており、いつでも海外勢同士の試合を観ることができるようになっています。


 昔は、と言っても今から20年30年前と比べての話ですが、日本国内ではめっきりバレーボールの国際大会のテレビ中継が減っていき、無くなっていき・・・。世界の日本のバレーボールのいろいろが大きく溝を開けられ、遅れをとっている中、本来はもっと世界のバレーボールをみんなで観て、参考にしていきたいのにそれができない時代が続いてきました。

 でも今は、こうして日本チーム以外の試合を簡単に観ることができます。
 残念なことに、例えば中学生や高校生、大学生などで日夜必死にバレーボールの練習に打ち込んでいる選手や指導者の中の多くの人が、海外のチーム、選手や指導者のことを知らないことが多いです。きっと練習や指導が忙しくて、試合を観るゆとりがないのかもしれませんが、今回のワールドリーグのように、ネットでライブ発信しているとなれば、誰でも今まで以上に試合を観ることが容易になるはずです。
 ぜひ多くの人に試合を観てほしいですし、特にバレーボールに携わる方々は観るべきだと思います。


 常々感じていることですが、日本国内でバレーボールに携わっている方たちが、世界のバレーボールを話題にしたとき、それが自分がかかわっているバレーとは次元が違うとかであまり関心を示さない人も少なくありません。
 別に自分のチームの練習や指導に生かすために観てほしいとまでは言いません。そうじゃなく、単純にもっとみんなで世界のバレーボールの試合やプレーを観て楽しんで欲しいということを言いたいのです。
 日本のバレーボールの復活とか、発展とか、強化とか・・・そんな難しい課題がいろいろあるわけですが、まず第一歩は、日本のバレーボーラーが、もっと「世界のバレーボールを観て楽しむ」という風土が生まれてくることが、小さなことでも大きな一歩なんじゃないかなと思います。

 カッコいい選手や、美しい選手もたくさんいます。巧みでテクニシャンな選手がたくさんいます。知将がいて、情熱的なコーチがいます。日本では感じられない試合会場の雰囲気も観れます。もちろん、プレーや戦術の参考にもなります。
 今回のワールドリーグ。選手もさることながら、ヘッドコーチの顔ぶれだけでも私は十分楽しいです。

ブラジル :レナン・ダルゾット
イタリア :ジャンロレンツォ・ブレンジーニ
ポーランド:デ・ジョルジ・フェルディナンド
アメリカ :ジョン・スパロウ
カナダ  :ステファン・アンティガ
アルゼンチン:ジュリオ・ベラスコ
フランス :ロラン・ティリ
セルビア :ニコラ・グルビッチ
オーストラリア : マーク・レベノフ
ドイツ : アンドレア・ジャーニ
中国  :ラウル・ロザノ

 いろんな楽しみ方でいいです。とにかく、今、私が必要だと思っているのは、みんなで世界のバレーボールを観たらいいのに・・・ということです。テレビ中継に依存する時代ではなくなってきたのだと思います。テレビ中継が減ったからマイナーだと引け目に思う必要もないのだと思います。ネットで簡単の試合を観ることができるのですから、これからの時代は、視聴者側がいかに積極的にアクセスするか。特にバレーボールに関わる人々の積極的なアクセスが、これからのバレーボールを突き動かす原動力になると思っています。練習が終わった後でも家で観ることができます!朝起きて目覚まし代わりにちょっと観ることもできます!移動途中に乗り物の中で観ることもできます!日本のバレーボール改革の入り口は、みんなで世界のバレーボールを観て楽しむことから。

(2017)

2017年1月6日金曜日

「育成の実現」とは?

 近年、どの競技でも「育成」の大切さが言われるようになってきました。重要な国際大会で頂点に立った国や競技の成功の要因のひとつに、「育成」現場の改革が挙げられる例も珍しくはありません。
 一言に、育成とか選手を育てると言っても、その中身には幅があって、例えば所属するチーム内でのスパンなのか、カテゴリを超えたスパンなのか。特定の選手を対象とするのか、幅広くプログラムを提供するのか。「育成」という言葉を使っている場合、どのようなものとして捉えているのかは、注意しなければならない点だと思います。

 さて、日本のバレーボール界において言われているところの「育成」とは、どんな意味合いで用いられているのだろうかと思う時があります。そこに、どの程度関係者の本気度があるのだろうか?ということも併せて考えちゃいます。
 みなさんご存じの通り、日本のバレーボールの現状は、いろいろと大変な状況になっています。というのも今に始まったことではなく、もうすでに20年、30年前から始まっているわけですが、近年は本当に大変です。
 そんな中、言われる「育成」ですが、
  
  ① 細く長く型、細長いピラミッド型の育成
  
  ② 太く長く型、山脈型の育成
 
とがあると思っています。

 ①は、有能な選手を絞り込み、絞り込まれた特定の選手に対し、指導環境を提供すること。

 ②は、とにかく幅広い人を対象にプログラムを提供し、それぞれの自身の判断で自らの道を選択できること。

 本来は、②であるべきだと思っています。ところが、日本のバレーボール界で言われている「育成」は①となっていると思います。

 個人的には、①は狭い意味での育成だと思います。小学バレーで活躍した選手が中学に集まり、中学で活躍した選手が高校に集まり・・・そうやってリクルートされながら、上のカテゴリまで残ったエリート型の選手を輩出することを育成と言われていることが多いです。
 しかし、これは同時に、その時点でリクルートの対象にされなかった大勢の選手たちがいるわけで、ではその選手たちが能動的積極的に自分の望む環境を選べたかといえば、選ぶこともできず、その後に遅咲きの成長をしても、もはやレールから外れてしまっては見出してもらえるチャンスは狭められてしまうわけです。
 ①は、どちらかというと、「育成」というより、「選抜」なのだと思います。

 小中学生の育成世代とも言える子どもたちのスキルアップの方向性にいろいろ試行錯誤されている方はたくさんいるかと思います。小学生のうちから休日返上でびっちり練習するところもあれば、週2~3回程度にのんびりやるところもあろうかと思います。それぞれのチームの方向性や目標も違っているので、様々な活動のカタチがあるのだろうと思います。









 

例えば、習得させたいスキル一つ一つをコップに見立てます。
そしてコップの大きさや容量、形を選手一人一人の個性、能力の個人差だと考えます。
そのコップに水を注ぐ作業が、練習だったり、学習、経験だと考えます。
コップが水で満たされたら、目標とするスキルの習得がなされるとイメージします。
与えられる水の量は一定です。つまり私たちに与えられた時間であり身体です。

そう考えると、子どもたちへのコーチングの見方に新しい感覚は出てこないでしょうか?

 1つのコップに集中して水を注ぐということは、1つのスキルに絞って練習をさせていくということです。レシーブだけ、とか、スパイクだけ。または特定のポジションの動き・・・そういった考え方になろうかと思います。

 一方で、いくつか用意されているコップに均等に水を注ごうとします。コップの水は均等に水が入りますが、当然、コップが水で満たされるまでには時間がかかります。

 ここで気をつけたいのは、コップは、一人一人の個性と考えますから、コップの大きさも形も人によって違います。しかも、それらの形状は自分はおろか、誰かが見ようとしても見えない、姿の見えないコップなわけです。どのくらいの量を注げば水が満たされるのかは、わかりません。また注げる水自体も眼に見えるものではありません。

 こう考えていくと、子どもたちに、バレーボールの練習をさせていく時、どのようなアプローチがいいものだろうかと考えさせられます。
 個人のスキルアップを、水の分配でイメージしてみたわけですが、もう一つ考えなければならないのは、チーププレーとしての視点です。
ディグのコップは水満杯だけど、ブロックのコップには水ゼロ。
スパイクのコップは水満杯だけど、レセプションのコップはゼロ。
そういった長短はっきりしている子どもたちが明確な分業のもとでゲームを成り立たせる場合があります。
 一方で、どのメンバーも平均的に各コップに水が注がれているも、いずれのコップも水は半ばくらいまでしか注がれていません。全員がそこそこのスキルをもって、トータル的にゲームにあたる場合もあります。実際は、それでも各々の特性や長短を考慮するわけですが・・・。

 どれが正解か?ということではなく、「育成」をしなければならない時期に、どのように練習や指導を考えたらいいのでしょうか?ということをたまに立ち止まって考えなければいけないのではないかと思うわけです。
 水をたくさん注ぎたければ、水道の蛇口を開き続けなければなりません。つまりは練習をし続ける、いかに練習量を稼ぐかということになるのでしょうか?でも365日朝から晩まで子どもたちに練習を強いるのは賛同できません。



「育成の実現」って「早期の完成」と同義ではないと思います。

どんなカテゴリにおいても、いい選手に出会う確率を上げること。
 早熟の選手だけが、エリート的な狭いレールに乗るだけじゃなく、後から能力を開花した選手も、活躍できるようにしなければなりません。選手の発掘は、宝探しとは違うと思います。「探す」なんていう他力本願な発想ではなく、「育てる」ことで、いい選手に出会う確率を上げたらいいのだと思います。
 そのためには、バレーボールに出会ったすべての人が、その後のモチベーションを維持し、「やりたい!続けたい!」と思わせることが大事です。
 指導者は、1年や2年での短期スパンでの完成を求めていれば、上手くいかないことも多くなります。早熟出来ない選手は切り捨てられていきます。ですから、育成においては、個人の地道なスキルアップを評価できるようにしなければなりません。
練習では、指導者の頭ごなしな指導や強制的な訓練ではなく、「そうなるように」、「一緒に」、「試していく」ようなドリルを見守ることが重要です。オールラウンドな練習も当たり前にしておきたいです。スパイクやブロックはできても、ディフェンスやセット(トス)ができない。逆に身長が低いからと言ってスパイクやブロックをやらせてもらえず、ディフェンスばかり教え込まれる・・・。偏ったスキルのまま上のカテゴリに進んでいけば、上のカテゴリでの強化のタイムロスになっていきます。
 チームフォーメーションでも、いきなり選手を固定したりポジションを専門家するのではなく、6-6システムを導入に、柔軟に複数のポジションに対応できるよう、段階的に編成していくべきです。 
 小学生に複雑なコンビネーションを伴う攻撃を教え込む必要があるでしょうか?それを優先することによって、早熟じゃない選手は「できない」レッテルを貼られてしまいます。その結果様々なスキルのプレー経験を奪われます。できる一部の子をセッターとしスパイカーに固定していく現象が進んでいきます。
 何も、ブラジル男子がやっているような、シンクロ攻撃を小中高校生でやることが必要不可欠なわけではないと思います。その前に各カテゴリでは、「できる選手」だけを優遇するのではなく、全員がトレーニングを受け、全員が習得を目指すようなプログラムや内容があるべきです。少なくとも中学生カテゴリまでは、「オールラウンドな育成」は絶対必要だと思います。極端に言えば、誰もが高校カテゴリ以上でセッターやリベロを務められるようにしておくことが理想だと思っています。

 世界的なトップレベルのバレーの推移をみても、戦術の発展に伴い、現在は個人のプレーのオールラウンド化が求められ、勝敗に影響を与えているような気がします。セッターは、ブロック力も求められるようになっているし、リベロはセカンドセッターとしてのセット能力が求められてきています。ミドルはブロック要因だけじゃなく、バックアタックやリベロを不要とするディグやセット能力が当たり前のように求められています。日本の育成現場もかなり遅れをとっているようです。

 クリニックなどの機会で、例えば大学の指導者が中学生を指導したり、中学の指導者が小学生を指導したり、異カテゴリ間の練習場面の機会をみていると面白いです。実に「のんびり」「丁寧に」指導されていることが多いです。ところが、自分のチームになると、苛立ちを覚えたり選手に高圧的になったりすることも珍しくありません。指導者と選手間の距離感や、ニーズの切迫感が違うからだと思います。面白いもんです。だったら、自分の選手にも、丁寧にじっくり接することは可能だと思います。「勝ちたい」「実績を出す」「指導力の有無」・・・結局は指導者のエゴの論理で動いていることが多いのだと思います。

 世界に通用するバレーボール選手の育成の実現にはまだまだ険しい道のりがありそうです。


(2017)

2016年11月26日土曜日

バレーボール指導者に勧めたい最近読んだ本

 最近は、バレーボール関連書籍以外の本で、指導の向上につながるものを探して読んでいます。どうしても、売られているバレーボール関連の書籍は、ハウツーものが多くて、それらを模倣するだけでは、なかなか自分の指導が変わっていかないのを感じています。

 著者、出版等はリンクをクリックするとわかると思います。ご参考までに。
















(2016年)

2014年8月3日日曜日

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』 90号

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』
90号(今月号)の特集「東京五輪までにやるべきこと」に、
ちょっとした記事を書く機会を与えていただきました。

コーチング&プレイングバレーボール(以下CPV)は、
バレーボール・アンリミテッドが奇数月1日に発行している隔月刊誌です。
年間6回発行されます。CPVは書店での取り扱いはなく、
インターネットでの販売がメインとなっています。

バレーボール・アンリミテッド WEB SHOP

PDF版ですとより安く、すぐ読むことができますので、
ぜひこの機会にご覧になってください。

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目次

【特集】東京五輪までにやるべきこと

●五輪招致とバレーボールにとってのチャンス/荒木田裕子 2
●東京オリンピック・パラリンピックに向けて新しい時代にふさわしいコーチングを/森岡裕策 6
●スポーツ界をリードする日本のバレーボール/永井洋一 8
●基礎体力・基礎運動能力の再認識/小川良樹 11
●バレーボールの魅力再構築/佐藤直司 14
●CPVからみた日本の課題/河部誠一 16
●東京五輪までにやるべきこと 21

●データから見るバレーボール/佐藤 文彦 30
第6回 個人成績を評価する

●バレーボールの基礎トレーニング/大石 博暁 34
第22回 バレーボール選手のウォーミングアップ

●新・スポーツ栄養学/杉山 明美(すぎやま あけみ)氏 38
〜ストレスを抱えた選手への栄養改善アプローチ〜

●脳神経科学をバレーボールに活用するヒント/野 淳司 40
第15回 「サボり」を脳から見てみると

●ジュニアバレーボールの指導と実践/工藤 憲 42
第21回 リードアップコンテスト

●インフォメーション 46


(2014年)