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2021年1月17日日曜日

第3回TETSUミーティング20210116 ~今年のみなさんにとってのバレーボールは?

 【TETSUミーティング】

と題し、
日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。
 今回は、新年2021年になって最初、第3回目の話題です。



第3回目のテーマは、
「2021年のみんなの思い」

という設定で、約15名の主に各カテゴリのコーチングに携わる方々でミーティングできました。今回は、参加者お一人お一人のお顔とお考えや気持ちが見えやすいように、定員20名という形で行い、結果的にコーチ(指導者)中心で、かつ広く各カテゴリで活動されている方々が集まることができたので、井戸端会議的なミーティングができました。今後もこのようなスタイルの他に、定員なしのプレゼン中心のミーティング等も設定していきますので、これからもリピーター、ご新規参加問わず、よろしくお願いします。


さて、新年一発目のミーティングということで、少し遅くはなりましたが、一人一人のバレーボールに対する今年にかける思い・・・決意、抱負、目標やビジョンなどを語り合うことから始まりました。さまざまなカテゴリ、レベル、実情の中にあるコーチのみなさんのお話は、バレーボールという共通のものを、いろんな目で多角的に見ることができ、自分にはない視点や新たな気づきも多く得られたのはないかなと思いました。

十数名の参加者の、アツい思いあるスピーチを通して、それぞれが今、これから、かかわる選手(主に青少年)たちをよりよい成長や目標達成に導きたいという願いが共通してありました。指導する以上は当たり前のことかもしれませんが、それらは単に「~まで勝つ」といった到達目標だけではない、バレーボールを通した活動の目的やその先にある将来像までを見据えたい。ただ従来の仕組みやスタイルではそれが難しく、試行錯誤しながら新たなチャレンジや取組をスタートさせたいという声が多かったです。
 
ミーティングでは、みなさんが発言しやすいよう、私が進行・ファシリテーター的な役周りで進めているのですが、みなさんのスピーチから、「短期」・「中期」・「長期」の3つの視点がバランスよく話題になっていたようなので、テーマをそれぞれに絞って、ディスカッションに進みました。
「短期」・・・今年1年を通して、選手たちが定める目標をいかにして達成させるか

「中期」・・・新たな組織やクラブチームの立ち上げを通して、バレー人口の拡大やバレーボールの楽しさや魅力を知ってもらう活動をしたい

「長期」・・・今の日本のバレーボール界が抱えるさまざまな課題や弊害・・・技術論や戦術論、フィジカル面やモラルにおける課題や問題を解消し、最終的には日本代表がメダルを獲って喜びを分かち合うべく、「アンダーカテゴリー」の仕組み、体系、文化を改革できないか。

こういった視点が参加者からまとめられた議題となってきました。
・指導者が抱えるチームでの指導期間で完結しない長期育成の仕組み
・発刊された「コーチングバレーボール」の普及と、続編となる実践編を出せないか
・現状の競技システムの中で、強豪伝統校チームで結果を出すための必要な心構えと見失ってはいけないこと
・バレーボールのゲームモデルの提案と、情報共有のポータブルサイトの実現
・指導者の欲求とメンタル、エゴに対する自問自答
・育成に意義のある、異種目経験
・ママさんバレーボールとバレーボール普及の重要性
・ビーチバレーから学べることの多さ
・バレーボールクラブにおける「遊び」の模索
・諸外国における育成プログラムに匹敵する日本版プログラムをつくれないか
・バレーボール以外の種目とのコラボ、タイアップ、協力の重要性

あっという間の2時間のミーティング、そして深夜に及ぶ2次会となりました。
2次会では春高バレー男女決勝をみなさんで実況・解説しながら技術や戦術を語りました。

ミーティングの詳細は、TwitterやFacebookで、
ダイジェスト版として動画配信を期間限定で行う予定です。ご覧ください。

参加された方はわかっていただけたと思いますが、
何も堅苦しくもない、みんなが話しやすい雰囲気で行われています。
知識がない、経験がない、わからないことだらけ・・・
それで参加をためらっている方・・・心配ご無用です。
むしろ温かく相談してくださる専門家もたくさんいますので、
ぜひミーティングにご参加ください。お知り合いの方もお誘いください。

次回は2月中旬~月曜を予定しています。
次回の設定は、20人「以上」(無制限)で募集し、
プレゼンやパネルディスカッション的形式から
みなさんで意見交流をしたいと思います。
具体的なテーマは、決まり次第SNS上でご案内します。

※ポーランドは下から上までのカテゴリの育成プログラムを確立し、そのゴールとしてナショナルチームを「私たちのチーム」として盛り上げています。


※カナダでは、バレーボールに限らずスポーツの横のつながりにおいて、アスリートのあるべき育成と成長を考えたプログラムが普及、機能しています。


日本でも、このようなコンセプトやシステム、組織ができないものか。そうしたら代表チームがもう一度世界の頂点で戦うことができるのではないかという願いと、その実現にできることはないかを模索する・・・それが私が投げかけたテーマであり、参加者かからも賛同を得ることができたことです。みなさん「この指とまれ!」お願いします!


(2021年)

2021年1月15日金曜日

春の高校バレー2021女子~むしろ洗練されたゲームだとも

ジャパネット杯 春の高校バレー2021 
第73回全日本バレーボール高等学校選手権大会

今年の女子は、どこが勝ってもおかしくないような、どの試合も熱戦が繰り広げられました。決勝は、就実(岡山)と大阪国際滝井の対戦となりました。

就実は、特に深澤姉妹の攻撃力が素晴らしく、OHの深澤めぐみ選手がレフトから打ちまくり、MBの深澤つぐみ選手も多彩なスパイクを放ち、チームの得点源になっていました。
国際滝井のOH中本選手を中心にダイナミックにスパイクを打ち込んで応戦していました。


 就実と国際滝井との女子決勝では、いわゆるエースバレー、レフトからのスパイクの打ち合い、パワフルなスパイクの応酬が中心となる試合展開でした。
 高校女子バレーは従来、セッターに正確な返球をし、いわゆる「スピード重視の展開」を作るべく、ニアネット傾向から速く低めのセット(トス)による、「はやい攻撃バレー」を志向する戦い方が目立っていたように思います。
 ところが近年は、例えば東京の下北沢成徳高校が、選手のフィジカルをしっかり鍛え、戦術以前の個人のパフォーマンスや強度、しっかり跳んでしっかり打つ、しっかり上げる・・・というチームが勝つなど、少し変化も見られてきました。
 そんな中、今年の春高バレーの女子の上位チームの試合を観ても、特に決勝は、はやいバレーとか高速バレーなどというネーミングがつくような戦術やコンセプト先行の戦い方ではなく、ゲームのラリーの中で、スパイカーがその選手のもつパフォーマンスをしっかり発揮できるような展開、不必要なスピード重視によるはやい低いセットによる攻撃とコンビネーションに固執しないオフェンスシステムが中心となった展開だったと思います


ともすると、エースバレーとか単調なオープンバレーという見方をする人もいるでしょうが、私は個人的には、高校生カテゴリは、競技における強化のゴールではなく育成途上であってほしいしあるべきだと思うので、今年の春高バレーの上位チームのバレーは、個人のパフォーマンスを犠牲にした戦術ありきの展開よりも、個人のパフォーマンスをしっかり発揮しようとする場面が多いゲームに、あるべき姿を見たような気がしています。右利きのOHがレフトからスパイクを打つとき、特にオープンやハイセットなどでは、かつてはストレート方向に打ったりブロックアウトでしのぐことが多かったのに対し、しっかりクロス方向に打ちぬく選手も増えたなと思います。

果たして、今年の結果は、コロナの影響による練習時間の確保やトレーニング不足などのために、本当は複雑なコンビネーションを要するような理想のバレーボールが間に合わなかった結果だったのでしょうか?完成するはずのゲームモデルが仕上がらなかったのでしょうか?

正直、一観戦者としては判断できかねますが、私はそう考えません。

むしろ、女子決勝の就実高校、国際滝井高校がみせたバレーボールは、まだまだ成長途中にある高校生プレーヤーたちに、限られた期間の中で限定的な戦術を用いたり、それによる限定的な技術だけを要求したりせず、しっかり守ってしっかり打つ、より高くより強くなどのような、当たり前・基本を追求したのではないかと考えました。


高校女子でもバックアタックやジャンプサーブも見られるようになってきました。概して女子バレーは、男子バレーの戦術や技術の後追い的に発展していくわけですが、それにしても高校バレーでは、女子のアップデートの余地はまだまだ大きいと思っています。

「女子は筋力がない」・・・などという考え方が女子的な女子固有の戦術として生み出されたり、そのことで先行した男子のゲームやプレーの考え方やモデルが女子に浸透していきにくい要因になっていると考えています。しかし、筋力がないというのは、「男子に比べて」というだけでのことであって、女子というカテゴリ内でのゲームにおいて、男子の戦術が不可能を意味しているとは言えません。
 例えば、バックアタックや、センター付近からの攻撃に対してブロックが1枚になるという状況はなかなか女子バレーでは解消されません。バックアタック自体も特定の選手しか繰り出しておらずその発生率もまだまだ低いです。オーバーハンドによるセット(トス)はキャッチ気味なハンドリングに依存しており、ハイセット場面はアンダーハンドになることも多いです。OP(オポジット)の選手の育成も遅れていると感じています。
 今年の就実や国際滝井による決勝戦から、いろんな戦術の取り方があれども、まずは選手個々のフィジカルやスキルのハイパフォーマンスを追求するという基本に立ち返ることで、アップデートが始まっていくのではないかと思います。

(※2000年シドニー五輪の女子決勝キューバが五輪3連覇)

動画は、もう20年前のものであり、プレースタイルも古く、一見懐かしさを覚えるゲーム展開です。バックアタックもまだまだ見られません(どうしてもロシアのカルポリ監督に注意が向いちゃう笑)。
 ですが、ここで見せているキューバ女子のリベロを入れていないツーセッターシステム(6-2システム)などによるゲームのスタイルは、中学バレーや高校女子バレーの育成の在り方という観点からは参考になるのではないかと、個人的には考えています。個々の選手がしっかり跳び、しっかり打ち、より強くより高くを追究、鍛えられているのがわかります。ここから20年の間、女子でも、バックアタックやバンチ・リードブロックシステム、オポジットの育成強化の採用などと進化が続いています。
 今後の高校女子のバレーボールスタイルのアップデートに注目していきたいです。

(2021年)

2020年12月20日日曜日

第2回TETSUミーティング202012019 ~日本のバレーボールと技術

【TETSUミーティング】

と題し、
日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。
 今回はその第2回目の話題です。


第2回目のテーマは、
「日本バレーボールの技術指導のこれからを考える」 という設定で、約30名弱の学生プレーヤーから各カテゴリの指導者、
さらには戦術系ライターやアナリスト、
レフリー(審判)、学者や教員にいたるまで 多岐の領域関わる方々に参加していただきました。

今回のミーティングのイントロダクションとして
私から、日本のバレーボールにおける従来から行われている技術指導について
プレゼンテーションいたしました。

当ブログの過去の記事の内容をもとにした
プレゼンテーションをイントロダクションとし
ディスカッションを始めていきました。
↓ ↓ ↓


それをしなくてもできること


前回、第1回目のミーティングでは、
日本のバレーボールの従来言われてきたところの
技術指導やチーム作りを見直し
近年再検討されてきた知見やグローバルスタンダードに近づく要素
による実践報告をもとにディスカッションしました。

それを受けての第2回目は、従来の日本の技術指導をどう見直すか、
こらからどうあるべき方向に向かわせるかというテーマ設定です。

・オーバーハンドパスは手首を柔らかく使って
・ハンドリングは、キャッチ&リリースの速度を速めて
・スパイクの打点は肘を下げてはならない肘を先に挙げて
・スパイクのジャンプ力を上げるため深く沈みこんで
・セッターは右軸で
・高く飛ぶためにスパイクは真上に跳べ
・とにかく「正面」でボールをとれ(ディグやレセプション)

こんなことを私も指導者駆け出しのころ
さも当たり前のようにようにレクチャー受けましたし
プレーされた方も多くの人は言われたのではないでしょうか?


それで・・・
ディスカッションを始めたのですが、
予定されていた2時間の設定の時間のほとんどは、

「オーバーハンドパス(セット)」についてで終わってしまいました。

それだけ、日本のバレーボール指導において
オーバーハンドパスやセットについては多くの課題があるだけでなく、
オーバーハンドパスの指導論を象徴として
従来の日本のバレーボール指導自体に多くの課題があることが明らかです。

乱暴になっちゃいますが、結論的なことを申し上げると、


この本をみんなちゃんと読んだか?(しっかり読めよ)
ということです。


オーバーハンドによるパスやセットの原理は、

「キャッチ→リリース」の手首のスナップ速度を速めたものではない

「手の形」を同じようにする必要もない



こういった情報だけでも、
ここ昭和から平成にかけて行われてきた
従来の日本のバレーボール指導がいかにアップデートされていないか
明白なはずです。
しかし、実態は、まだまだ従来の指導法が何の根拠や検証もなく
ただ、自分が教わってきた、自分が練習してできたという
経験とその感覚に頼った指導がなされているわけです。

ですから、日本のバレーボール選手そして子供たちは、
オーバーハンドパスが飛びません。キャッチ癖が抜けません。
柔らかい?美しい?オーバーパスができても
ヘイコウトスやクイックのセットができても
いつまでもオープントスやハイセットができない選手が多いです。

そしてこれは指導方法の問題にとどまりません。
日本のレフリー(審判)の判定の考え方やあり方
さらにはその判定に対する日本の指導者の態度
オーバーハンドパスのハンドリングに対する取扱いにおける矛盾
など
問題が複雑に絡み合っているという点にも議論がおよびます。

ハンドリングの反則(キャッチ)に対し
・判断に幅があるグレーゾーンなものなのか?
・グレーゾーンであれば反則に挑戦するようなことを指導していいのか。
・そもそもキャッチと言う反則をジャッジした審判を子どもの前で否定していいのか
・教育的配慮という名のもと、キャッチの反則を見逃していいのか

こういった風土が、技術指導に深刻な影響が与えます。

「オーバーパスは手首の柔らかなスナップで飛ばす」
「そのためのオーバーのハンドリングには筋力が必要」
「小さい子は筋力がないからオーバーは飛ばせない」
「うちのセッターはまだキャッチ気味だから反則とったら試合にならない」
「試合中反則取られ続けてその子が泣いてしまう」
「審判の判定が厳しすぎると文句を言う」
「気を遣って判定を緩める」

こんなことが、日本国中あちこちで発生しているなんて
異常なことだと思います。
そんなことで、日本代表がオリンピックでメダルと獲る日が来るのでしょうか?
(絶対くるはずがない)


 この動画をみて、日本のバレーボール指導に携わる方々は何を思うでしょうか?
 オーバーハンドのハンドリングを持つ持たないと文句言うだけで、
 研究で得られた知見をおさえることなく、誰かが言う謎理論を信じるだけで、
 いっこうにキャッチ癖が残って9M~10M~とハイセットできない選手を量産している間に、日本以外の海外の選手たちはどんどんスキルを上げているわけです。
 レフリーのみなさん、キョウイクテキハイリョという名のもと、ベンチにいる傲慢な指導者に忖度するのは終わりにしましょう。
 そして指導者は、スポーツであるバレーボールを指導する以上、「ルール」や「スポーツマンシップ」、「フェアプレイ精神」を順守すべきです。レフリーがキャッチと判定すればそれがキャッチという反則です。ダメなものはさせない、反則はさせないという「モラル」が欠如しています。
 バレーボール指導者は、よく、教育だの子どもを育てるだの言います。ところがそんな子供の前でハンドリングの判定に文句言ったり、キャッチの反則にわざわざ挑戦するようなことを教えることのどこがキョウイクなのでしょうか?

 一方でレフリーは、その試合がいわゆる「荒れる」ことへの問題意識や対策など目先のことを考えるだけではなく、例えばハンドリングのキャッチの反則に配慮や忖度をすることで、日本の選手たちがどんどん世界の中で遅れをとっていくということこそに「問題意識」をもってもらえたらと思います。
 だから、海外では小中学生などのアンダーカテゴリーでは6人制の全国大会をもたない、またはさほど重視していないわけです。むしろミニバレーや異種目のクロススポーツをさせる中で、時間をかけてバレーボールのスキルアップがより確実になるようにプログラム化しているのです。

 もう、答えは出ているはずです。

・力学などの知見による動作原理(実際何が起こっているのか)
・動作原理が達成されている場合の状態(外からどう見えるのか)
・プレーヤーの手ごたえ・実感(本人はどういう感覚なのか)

これらは、しっかり精査する必要があり
それぞれを互いに検証し合う作業がとても大事なのだと思います。

もう、~先生が言っているから、~高校がやっているから
それをそのまま鵜呑みにしたりコピーする「学び方」から
脱却しなければいけません。
私はそれは学んでいるとは思いません。指導者の怠慢です。

学びの材料はいまや、無料でインターネットからでも収集できます。
そしてディスカッションも誰でもできます。
みなさんでこれからも一緒に学んでいきましょう。
オーバーハンドパスの話題で盛り上がった第2回TETSUミーティング。
ご参加ありがとうございました。
この他にも、
・スパイクとスパイクジャンプについての見方・考え方
・ディフェンス時における構えの影響とあり方
なども話題になり
2次会も深夜までおよびました。

前回の第1回、今回の第2回のミーティングを通して
やはり私が課題意識をもっていたとおりのテーマが明らかになりました

●日本のバレーボール指導者
●何事も「世界」、「グローバル」への意識をもって
●知識理解のアップデート
●日本バレーボールのアンダーカテゴリ

これが、日本のバレーボールの発展における大きな課題です。

今後、月1回を目標に先着20名の募集で
ミーティングを行っていきます。
第3回目は1月の中旬~下旬に行う予定です。
TwitterやFacebookでも発信していますので、
要チェックお願いします。
たくさんのご参加をお待ちしています。
仲間を増やし、動きをつくり、日本のバレーボールの成長にみなさんで参加していけることが願いです。


(2020年)

2020年11月29日日曜日

第1回TETSUミーティング20201127 ~日本バレーのアンダーカテゴリと育成を考える

 【TETSUミーティング】

と題し、

日本バレーボールの未来への探求と挑戦をみんなで語り合うオンライン・ミーティングを開催してみました。

 今回はその記念すべき初回、第1回目の話題です。

第1回目のテーマ・話題は、

「日本のバレーボールのアンダーカテゴリと育成」を考える

です。

初回なぜこのようなテーマにしたかというと、
多くの人が願う日本のバレーボールのさらなる発展における
課題や問題点となっている多くが、
小中高校生年代のアンダーカテゴリーにあるのではないかという
仮説とある程度の確信があるからです。

そこで、当ブログの過去の記事の内容をもとにした

プレゼンテーションをイントロダクションとし
ディスカッションを始めていきました。

↓ ↓ ↓

もしもゼロからチームをつくってみたら(2年半の総括)

(バレーボール学会)育成世代におけるこれからのあるべき指導考察


プレゼンテーションでは、従来の日本的なバレーボール指導スタイルから
可能な限りアップデートした長期スパンでの実践例を通して、
それでも確実に子ども(選手)は確実に育つ
ということに共感をいただけたと思います。

また、日本と世界との関係や比較にも話題が及び、
ポーランドの育成システムの実際やカナダの育成プログラムなどが
例として挙がり、日本では行われてないことの中に
日本のアンダーカテゴリの課題解決のヒントになることが
たくさんあることも見えてきた気がします。

●子供たちに何を経験させるのか

 ・バレーボール(スポーツ)を楽しむこと

 ・学び方を学ぶこと

 ・楽しさから学ぶこと

 ・目標やチャレンジに向かう試行錯誤


●楽しませる「有能さ」「関係性」「自律性」

 ・カナダの育成「FUNdamenntal」というビジョン

 ・ケニア女子代表の選手たちのバレーボールへの姿勢

 ・仲間がいる、人から認められる「楽しさ」

 ・上手くなった、できた時の喜びがある「楽しさ」

 ・自分(たち)で決めて主体的にトライする「楽しさ」


●日本に足りない底辺の拡大

 ・競争と選抜強化による選手のふるい落としの現実

 ・アンダーカテゴリで普及していない「リーグ制」の有用性
  (北海道釧路市の中学女子バレー「丹頂リーグ」の実践紹介)

 ・6人制にとらわれない、フレキシブルなアンダーカテゴリーのルールづくり

 ・2on2、3on3(ミニバレー等)などの有用性

 ・「システム」(4-2システムにとらわれない)発達段階の設定


●日本の技術指導への疑問

 ・ディグやレセプションの「正面指導」

 ・オーバーハンドパス、セットの「柔らかいハンドリング指導」

 ・若い年代では世界でも強いが、トップにいくほど世界に勝てない理由

 ・海外のジュニアチームのチャンピオンシップなどではオーバーハンドのキャッチぐせのセットさせることなくアンダーでセットしている


(↓動画はディスカッションになった話題に関係しそうなものを掲載)




 30名を超える参加者による、
 大変濃密なディスカッションや意見交流で、2時間あまりの時間があっという間に過ぎ去りました。ありがとうございました。
 「2次会」も引き続き設定され、深夜までバレーボールを語り合える場となったようです。

 第1回目のTETSUミーティングでは、
 やはり考えていた通りの仮説、
つまり日本のバレーボールの現状か抱える課題や問題の多くが
アンダーカテゴリーの環境や指導風土に起因していること、
そして薄々ではあっても、年々その閉塞感に気付き始めている人が
増えているということも実感できました。
「勝つ喜び」ということがよく言われているわけですが、
極端な話、些細な場面でも
例えばジャンケンで勝っても、トランプのババ抜きで勝っても、
みんな喜べるわけです。
そう考えると、楽しさや喜びはもっともっとたくさん
バレーボールのアンダーカテゴリに提供されなければいけないと思います。

楽しいからやろうとする、やろうとするから学びたいと思う、

学んでいくからスキルアップや成長をしていく

そしてその先に目標達成や勝利という何らかの結果が出る。

日本のバレーボール、特にアンダーカテゴリでは、
指導の「目的」と「目標」の混同や混乱、
「目的」のなさ、「目的」の脆弱さ、
によって、いろんな指導体質となって表出しているのだと思います。


そんな話題にまで至った第1回TETSUミーティング。
ご参加ありがとうございました。
今後、月1回を目標に先着20名の募集で
ミーティングを行っていきます。
第2回目は12月19日(土)20:00~予定です。
TwitterやFacebookでも発信していますので、
要チェックお願いします。
たくさんのご参加をお待ちしています。
仲間を増やし、動きをつくり、日本のバレーボールの成長にみなさんで参加していけることが願いです。


(2020年)

2020年3月22日日曜日

ポーランドへ行ってみた③

2020年2月のポーランド訪問記③

 前日は、首都ワルシャワで活動する、U18のクラブチーム様子を見学し、いわゆるアンダーカテゴリー、育成年代の練習やコーチングの一端を観ることができました。

 ポーランドのバレーボールに関して、予てから私が関心を寄せていたことは、国際的な中での強化の成功と、日本との対比についてです。
ポーランドと日本は、男子バレーにおいて、1970年代に世界のトップを走っていました。ところが1980年代以降、旧ソ連の他に、アメリカやキューバが躍進し、その後イタリアに続いてオランダやユーゴスラビアなどのヨーロッパ勢が台頭します。2000年代はみなさんご存知の通り、ブラジル代表によって現代のバレーボールシステムが確立され世界を牽引してきました。
 ポーランド男子は、そのような情勢の中で2010年前後から世界のトップに返り咲いてきました。
 残念ながらその間、1970年代にはポーランドとともに世界の頂点を争い頂点に立った日本は現在もなお世界に溝を開けられています。ここにはどのような違いがあるのか?そして私の仮説は、特にアンダーカテゴリ、育成年代といわれるような青少年への普及や育成のシステムに、ポーランドと日本に違いあることをこの目で見たかったわけです。

(スパワにあるオリンピックセンターのバレーコート)

ポーランドバレーボールのトレーニングと開発のシステムは、その基礎・土台ともなっているる「スクールバレーボールセンター(SOS)プログラム」と、ポーランドバレーボール連盟が運営するバレーボール専門の「スポーツマスタリースクール」によって支えられているようです。

「SOSプログラム」におけるトレーニングは、地元のクラブで若者をトレーニングするコーチによって運営される、小学校のスポーツクラスに基づいているようです。

 
(「SOSプログラム」に関する資料)

「スポーツマスタリースクール」というのは、いわゆる高校生にあたる年代の、国内からセレクションされた選手が集まり、寮生活をともなった学校生活をしてバレーボールのより専門的な指導を受けるものです。男子はワルシャワの南西にあるスパワで、女子はクラクフの南西にあるシュチルクにある、ナショナルオリンピックセンターで専門スタッフの指導を受けています。そして彼らは、ポーランドリーグの2部に参戦をしています。その中からプロクラブやナショナルチームへの道にもつながります。



 ここに来ると、ポーランドの男子バレーボールの歴史が凝縮されています。多くの選手たちがこの地でトレーニングをしコーチングを受けてきているのがわかります。ここからも、長期的な展望にたって、計画的に選手を育成し、組織的なコーチングをしていることがうかがえます。


 この日の練習は、リーグ戦前日の調整のためのものだったようです。
  ・体力トレーニングをともなったウォーミングアップ
  ・シングルハンド限定のミニゲーム
  ・2対2のフロントコートでのミニゲーム
  ・6対6による、レセプションからのゲーム練習


 ポーランド国内からセレクションされた生徒たちだけあって、メンバーはすべて長身選手。フィジカルもしっかりトレーニングを受けていることがうかがえます。
 バレーボールスキルは、日本の高校生と比較してそれほど驚くようなスキルの高さが顕著というわけではないものの、全員がしっかり基本スキルを身につけています。日本でしばしば見受けられる、長身なのに動きが散漫で守備ができないなどといったことはあまりないようです。


 注目したことが、ゲームにおけるプレースタイルみたいなものに、系統性を感じたということです。前日見てきたクラブチームでやっていたこととも共通性があり、その後見てきたプロチームのプレーにもつながっているようです。これらは、単なるトレンドや指導者の思い付きでやっていることではない、系統的な取組を感じます。実際前日のクラブチームでのプレーよりも、スパワのセレクションチームの方が完成度も高さパワーにも磨きがかかっていました。
・シー アンド リアクト をベースにした組織的なブロック
・センターからのバックアタックが組み込まれいる
・センターからのバックアタックは、アプローチや打つ位置にバリエーションがある
・いわゆるBクイック的なセッターから距離のあるファーストテンポが軸
・オポジットのライトからのバックアタック

このあたりは、意図的なコーチングがされているように思いました。

 練習の最後に、ヘッドコーチから質問をたずねられ、恥ずかしいことに質問に困ってしまい、慌てて「選手の思考力」についてたずねてみました。そうすると、「何を今さら当然だろ!」みたいな返答されてしまいました。
 ゲームにおいて、選手が主体的に自ら考えをもってプレーをすることは当然のことであり、それをここでは教えることではない、というような返答でした。
 むしろ、高度な展開とやろうとする戦術を各々が理解し、その達成のために、場面で瞬時に最適な判断とパフォーマンスの発揮を行うこと、そのための果敢なチャレンジやトライから逃げないこと・・・そういったあたりへの要求があったように思います。
 コーチは、静かに見守ることが多い中、消極的なプレーや原則に反するプレーには即座に強い言葉がけをしていることもあります。それは感情的に怒るといったものではなく、しかしそれでもかなり緊迫感のある場面もあったりしました。
 こういったあたりも、日本での話題や議論がまだまだ未成熟なところもあるように思います。


 お邪魔したスパワのオリンピックセンターは、ワルシャワから車(高速道路)で1時間ちょっとの小さな町の中にあり、スパワの帰りからワルシャワに入った郊外にある、ポーランド連盟のオフィスに幸運なことにお邪魔することができました。


 今回お世話になった連盟のスタッフの方とお話していると、とにかく「ポーランドはまだまだ」、「ポーランドはこのままではいけない」といった言葉がよく聞かれ、現状に満足してはいけないという気概を感じます。
 ポーランドリーグの活性化や国際大会の開催などを通して、ポーランドは成長を遂げつつ、ここ10年間は育成プログラムの整備にも着手しました。2000年代当初活躍した選手たちの多くが指導者となり活躍しているようです。また、データーソフトの自国開発にも挑戦しています。また、海外との交流も大事にしており、そこでの情報交換やノウハウの交流も成功の一因につながっているようです。
 特にヨーロッパでは、各国・各地で、コーチたちのクリニックやレクチャーなどが多く開かれているようで、それらを通した交流や切磋琢磨も成長の大きな要因になっているようです。

 ポーランド連盟のオフィスに入って驚いた光景に出くわしました。オフィス内のドアに何やら、漢字の張り紙があったのです。そこには「改善」と書かれていました。


 これは、なんと、ポーランド代表監督のヘイネンが、ポーランドでものすごく強調している言葉なのだそうです。この「改善」という言葉は、世界の中で自動車生産のリードする日本の企業理念、組織理念の考え方が、世界中に広まっているなかで、ヘイネンも大事にしている言葉なのだそうです。
 最後には、ポーランドバレーボールの会長室にも入れてもらい、会長と面会もできました。会長室には、東京オリンピック出場権を得た試合後の際に使われた、ダルマが飾られていました。


 日本のバレーボールが、ポーランドをはじめ、他国から謙虚に学ぶべきことはたくさんありそうです。(連盟のHPでしょうかいしてもらえました)



(2020年)

2019年12月31日火曜日

「育成」とは何かを問いかけ(2019年をしめくくる)

 2019年が終わります。みなさんにとってどのような1年となったでしょうか?
私もとある方から「どのような1年でしたか?」と問いかけられた時、「バレーボールでは・・・」と正直言葉がつまってしまいました。お恥ずかしい限り、その時は周囲に自慢できる成果などないなと考えてしまいた。
 でも、バレーボール以外での仕事では自分はたくさんのチャレンジや成果があって充実していたし、バレーボールでも決して周囲からは見てもらえない小さな学びや自信となった経験もあったし、人との出会いもありました。
 そんなことを、言ったら「それが大事。小さな幸せを誇れることが一番」と言われました。さて、みなさんの2019年はいかがでしたでしょうか?
2019年のバレーボールでは、個人的には
 ① 日本代表男子チームの活躍と希望ある展望
 ➁ Vリーグの各カテゴリの盛り上がり
 ③ バレーボールファンの多様なつながりや交流
 ④ メディアが発信するバレーボール情報の進化
などが、これまでにない変化がみられたような気がします。

私は、このブログでも平成が終わり令和という新しい時代を迎えるにあたり、日本のバレーボールでももう一度「育成」を見つめなおそうというのが、今年のスタートにあたってのテーマでした。しかし、残念ながら、①~④で取り上げたような材料に比べると、あまり大きな変容を感じられなかったというのが正直な感想です。

 新年2020年はオリンピック・イヤー。しかも私たちの国日本で開催されます。来年の東京五輪での成果も大事ですが、それ以上に五輪後どのように発展させていくかの方が重要だとも言われていますし、海外ではもうそこに着手している国もあるようです。そこでバレーボールを考えるブログとして2019年の締めくくりは、「育成」をもう一度みなさんと考えてみたいわけです。



「育成」を考えるうえで、

「バレーボールでみんながハッピーになる」

というのが大事だと思うわけです。
する・みる・支える・・・大人も子供もどの地域やカテゴリも・・・
みんながバレーボールでハッピーな気持ちになれるかどうか。
それが「育成」の成否の根本として重要なのではないかと思った1年でした。

勝利や成功で得られる喜びや幸せがある。
タイトルやステージアップで得られる喜びや幸せがある。
人との出会いの喜びがある。
新しいことを知った学んだ喜びがある。
いろいろあろうかと思います。
でも、そのような喜びは幸せは、「すべての人」にもたらされなければならないと思います。
 高みを極めた一部の人々だけが幸せになり、それ以外の人々は幸福な気持ちになれないようではいけないと思うわけです。でも勝ち負けはスポーツや競技をやる以上は生じてくるわけですから、「すべての人がハッピーになる」というのは、別のコンセプトや価値観が必要になるんだと思います。
 よく指導現場では、対戦相手を敵と呼んだり、目標設定を相手を倒すなどという表現をするのをみかけます。そんなコンセプトでは「バレーボールですべての人が幸せになる」という状態はいつまでも達成できないんだと思います。
 ファンの間では、戦術、選手個人の為人、国内・海外・・・など、人々の志向の違いが話題になることもあり、時には意見が対立することも見受けられてきました。
 対立というのはゼロにはできませんが、それでも共存やコラボレーション、相互理解などで、すべての人がハッピーになる余地というのは、まだまだたくさんあると思うわけです。



バレーボールにおける「育成」に話を戻します。

「育成」という言葉が使われる場合にもそのニュアンスや定義には様々な違いあると思っています。例えば代表チームや国内リーグなどにおける選手の「育成」は、ある程度セレクトされたスキルや経験のある一定レベル以上の人々を対象としています。私はこれは、「強化的育成」と呼ぶか、育成とは呼ばない方がいいのではないかと考えます。

 私がここで言うところの「育成」とは、子どもたち・・・つまりは学齢期(高校生くらいまで)をターゲットとして、しかも「彼らのすべて」を指す概念として考えています。
 先ほど申し上げた通り、2019年の日本のバレーボールでは「育成」の議論やイノベーションは不十分だったと感じています。率直に言えばあまり変容や進歩は感じられませんでした。

「楽しむ」・「尊重」・「探究」

この辺りが、バレーボールにおける「育成」の取りかかりとなる要素になってくると思います。そこに「すべての子どもたち」を掛け合わせていきますと・・・。やるべきことや取り組む余地は膨大なものになるのではないでしょうか?
 
 日本では、これからの教育の大きなテーマの中に、「主体的・対話的で深い学び」というものが掲げられています。
 このテーマは、実は日本のバレーボールの指導現場にも通じる課題なのではないかと思います。
 「主体的」、「対話」、「深い学び」・・・どの言葉もその解釈や理解は一言では説明しきれないものだとは思います。
 子どもたちの「主体性」はどうやって生まれてくるのか?
 一見、自立し統率されているようなチームでも、その根元は指導者や保護者の意向や思惑によって仕向けられていることが多く、それは「やっている」より、「やらされている」側面が強いわけです。一生懸命やっているようで、実は一生懸命やらされているわけです。これでは主体性があるとは言い難いわけです。
 子どもたちにとっての「対話」とは何か?
 対話には、「他者との対話」と「自己との対話」があります。
 他者との対話では、相手への敬意や相手から吸収しようという姿勢が重要です。いくら礼儀正しくとも、相手の考えを理解できない思考力の浅さや、建設的なディスカッション能力ができなければ、他者との対話は成立しません。
 「対話」で見落としがちになりやすいのが「自己との対話」だと思っています。自分のことを振り返って、思考や感情を整えたり、自分へフィードバックをして学習を促進させたりなど、試行錯誤や工夫という作業を成立させるためには不可欠な要素です。
 「深い学び」とは何をもって達成されるのか?
 それは新しい気づきや発見はもちろん、仮に新しい成果や知見がもてなくても、自分自身で仮説や検証をし、一定の方向性を見出す「プロセスを経験する」ことで学びを深めることになるんだろうと思います。

「育成」において、
「すべての人々(子どもたち)がハッピーになる」
ことを実現させる。
試合で勝った者たちだけが幸福感を得て、そうでない者たちは幸せになれない。
選ばれた者だけが幸せになり、選ばれない者たちはハッピーになれない。
キャリアやステータスを得たものが幸せで、そうでない者は不遇を味わう。
これが根深い日本のバレーボール界の育成における課題なんだと思っています。

「楽しむ」・「尊重」・「探究」

ここに、「主体的」・「対話」・「深い学び」が結びつくと思います。

同じことをやっていても、夢中でどんどんチャレンジし続ける人もいれば、必死に苦しみながらやらされている人もいる。
自分の中に起こるイノベーションを求め、貪欲に吸収しようとスクラップ&ビルドを重ね試行錯誤の中から最適解を探る人もいれば、絶対解を信じ他の可能性を排除しながら突き進む人もいる。
(成長欲求という)自分のためにチャレンジし続ける人もいれば、自分の承認的存在意義を守るため他者を標的にしてマウントをしてくる人もいる。

でも、普遍的なのは、他人の幸福を誰かが奪うことがあってはならないことです。そして人のチャンスや可能性を潰していいということにはならないということです。
 今一度、日本のバレーボールにおける「育成」をみなさんと考え、イノベーションを起こしたいというのが夢です。
 すべての子どもたちが、大きな夢や目標に向かって、生き生きとバレーボールを生活の一部にすることができる。そこに線引きも選別もなく共有されるべき、コンセプトやビジョン、フィロソフィーやバリューがあるはずです。



 お恥ずかしい話、私は、友人とボーリングやカラオケ、ゲームセンターに行くのが昔から好きじゃありませんでした。なぜなら、「下手な自分」に対するコンプレックスが強く、楽しめなかったからです。でも、周囲はそんな上手下手に関係なくみんな「楽しむ」ことを目的としていますよね。

 バレーボールのプレーや結果というのは、因果関係が複雑に絡み合って形成されます。そしてミスが起こって当たり前のスポーツ。プレー中はミスをしたあとに、いかにして素早く次のプレーの意識を切り替えるかが重要。そのあとで、なぜミスをしたか、どうすれば同じミスを繰り返さないかを振り返り考えることを怠らないことで、次へのモチベーションへとつなげます。これはバレーボールに限らず、どのスポーツに限らず、人間生活の作業として必要な営みですよね。

 (大人への)お茶出しやあいさつで気が利く選手は試合中のプレーにも生きると言われて指導(教育)されていることも多い(自分もやらせていた時代がある)ですが、そもそもバレーボールというゲームの中の「気づき」を生み出すためには、バレーボールの中の情報や知識がないと気づきにならないわけです。だから、バレーボールの試行錯誤や主体的な工夫をしないまま、他の生活場面での気づきばかりを求めても、バレーボール選手としてのレベルアップには限界がくる。

 すべての子どもたちが、またはすべての大人たちが、
「バレーボールと出会ってよかった」、「バレーボールをやってよかった」
 そうなるために、
 それぞれの「今」やっているプロセスが「夢中」で「楽しい」状態であること。自分が考えていることを表現しても非難されて評価を下げられず自分の立場が脅かされない心理的安全があること。いいものをつくりあげていくために、膨大な時間をかけて試行錯誤を確保でき失敗が許される安心してチャレンジできること。
 こういったことを、バレーボールを通して経験していくことで、ある者はアスリートとして、ある者はコーチやティーチャーとして、ある者はマネジメントやビジネスとして、ある者は親として・・・とにかくあらゆる社会や人生のステージで、生かされていく。これが、「すべての人々がハッピーになる」ということに通ずるんだと思います。

 何かの試練を乗り越え生き残った者たち、勝ち続け成功のレールだけを進んできた者たち、過去のキャリアやステータスを得た者たち・・・一部の人間だけのための幸福だけではなく、「すべての人々・すべての子どもたちに」にバレーボールは何ができるか?
 これが「育成」だと思います。

 いよいよ来年は東京五輪があります。日本代表男女の活躍はもちろん、私たちが住む国で、世界のバレーボールの「ガチ勝負」を観ることができることへの期待感をもちながら、同時に日本のバレーボールのさらなる発展やイノベーションの元年となる1年になればいいなと願います。

 みなさん、今年も1年間お付き合いいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。

Thank you very much for your personal relationship that you extended to me throughout 2020.


(2019年)

2018年12月30日日曜日

2019年を「バレーボール育成元年」に。「育成の世界標準」の議論を。

 2010年の世界バレーで、日本代表女子チームが32年ぶりの銅メダルを獲得したあとから、日本のバレーボールの中でも技術や戦術の「世界標準とは何か?」という議論が起こるようになりました。
 当時から、世界のバレーボールをリードしてきた、ブラジル男子のバレーボール戦術をアップデート例として、セッターからのバックアタックのバリエーションやブロック戦術、そしてその中で果たすべきセッターやリベロの機能など・・・日本ではそれらを「世界標準」として考えられるようになってきました。
 2000年代に入ってからは、そのようなシステムはブラジルの専売特許のようにしばらくはブラジル男子が世界の先頭を走ってきたわけですが、やはり次第に他の台頭国の出現がみられるようになります。アメリカ男子やロシア男子・・・近年ではポーランド男子なども力をつけており、どの国も2000年代初頭のブラジルがやっていたゲームのエッセンスを標準装備し、戦っているのがわかります。
   
 日本でなれるようになった「世界標準」というテーマのもとでの議論は、80年代、90年代、2000年代初頭にわたる、日本のバレーボールの戦術のガラパゴス化ともいえる、世界の戦術の変遷やアップデートに追いていない状況とそれに比例するように国際的成績の低迷の中で、ようやく小さな一歩を生み出したのだと思います。その間、バックアタックというものが積極的行われるようになりパイプ攻撃もみられるようになってきました。クイック攻撃は時短的なセットアップ(はやいひくい)よりも、スパイカーのパフォーマンスの最大発揮を重視したものへと変わりつつあり、ブロックもようやく「リード・ブロック」を取り入れようとしている状況になっています。また、ブロック戦術に対抗するために、攻撃枚数の確保が必要となり、セッターへの返球であるファーストタッチも高くゆったりしたものが多くなってきました。

 しかし、その「一歩」というは、海外のそれと比較すれば、極めて小さすぎる一歩と言えるし、次の一歩またその先の一歩とはなかなか進みにくい、スピード感のなさも感じられます。「世界標準」という看板は、それ自体掲げている時点で遅れ感がにじみ出ているのですが、残念ながら、海外はもはや「標準」と言わなくても実践している「当たり前化」した状況になっています。情報技術はこの20年間で劇的に変わり、世界中どこでもリアルタイムでしかも映像での情報を入手することができます。バレーボールでも「データ」や「動作解析」などをコンピューターの力で処理できるようになってきます。
 ですから、国際的な、「情報戦」は激しくなる一方で、それは戦術のスカウティングにとどまらず、指導法や教授法、トレーニング方法まで、情報の発信も入手も解析もグローバルなものとなっているわけです。ですからブラジルのバレーが世界に吸収されるのも短時間である一方で、日本のこの「遅れ感」は由々しき状況ではないでしょうか?この状況や意識の差をなんとか埋められないかと思うわけです。
 その「遅れ感」を埋めるためにも、今一度「育成の在り方」を考えるべきだと思うのです。そしてただ考えるのではなく、積極的に「海外の育成」から広く情報を集め、吸収できる部分は吸収すべきだと思うわけです。



 このブログでは、日本のバレーボールの課題を「育成」、つまり小中高校生の子どもたちへのコーチングやトレーニングの在り方に大きな要因があると考え、さまざまな角度から話題を提供してきました。
 その「要因」というのは、一言ではまとめることのできない、大変複雑かつ根深い問題もはらんでいると考えています。
しかしながら、
・プレーヤーである子供ファーストになっていない指導者や保護者の欲求
・育成カテゴリであるはずなのに、熾烈な日本一争いに終始している
・選手の指導者や環境への依存と他律
・勝利至上主義と勝利最短主義
・固定化されたポジションなど大会での勝負を理由に一部分のスキルの完成だけ求める。
・指導者の学ぶ姿勢と学ぶ機会のなさ
・初心者に「カタチ」から入る指導
・指導者の試行錯誤なき安易な結果獲得欲求
・世界のバレーボール情報を受け付けない閉鎖性
・カテゴリ間の断絶
などなど、
日本のバレーボールがつまずいている育成の課題のその要因たるや、挙げだしたらきりがないくらい、課題山積なんだと思うのですが、遅々として議論も生まれなければ、変革も生まれないのはなぜでしょうか?

 まさに、「当事者意識の欠如」が深刻なんだと思います。
 カテゴリ間の連携も薄く、しかも責任の転嫁や課題の先送りが染みついてしまっています。

 2020年の東京五輪が迫ってきました。バレーボールの日本代表がより良い結果を出せるかももちろん注目すべき大切なことだとは思いますが、日本のバレーボールと「育成」を考える時、もはや2020年をどうするかよりも、2020年の東京五輪をいかにして良いターニングポイントにできるかが重要なんだと思っています。
 となると、その準備はもう時間がない。前年となる2019年に議論だけじゃなく、いろんなムーブメントが起こってほしいもんだと思うのです。

 そんな思いが芽生えつつある中奇しくも、2019年は「平成」という一つの時代が終わり、日本の新しい時代が始まります。
 私がバレーボールのコーチングに関わって十数年。こうして記事を書き出して10年余りが経過し、この間私なりに感じていることは、日本のバレーボールの課題や問題があれこれ表面化しつつも、なかなか改善や改革に着手できなかったことが多かったのではないかと思います。昭和の日本のバレーボールの財産だけでやってきた限界が表面化してきたのだと思います。
 ですから、新しい時代を迎えるにあたり、もう一度土台から考え直す、「育成の改革」が必要なんだと思います。
 そしてそのためには、まずは日本の独自路線を求めることよりも、海外の世界の主流を知り、実践し、そこから長短を洗い出す作業が必要なんだと思います。「日本の育成」は、そこから取捨選択することでなされていくと思うのです。





 私は、日本のバレーボールの育成現場における、主に指導内容の課題として挙げておきたいのが、

(1)技術をともなった判断、判断をともなった技術の練習プログラム
 一連のプレー動作をわざわざ細部まで分解するような誤ったスモールステップの考え方や試行錯誤なき型ハメ練習、さらには指導者から与えられたワンパターンな戦術の遂行などで育成された選手が、上のカテゴリに行くほど、世界との差が開いています。
 ネットを挟んだラリーの中から、連続的かつ瞬間的に最適な判断を積み重ねていくスキルを訓練しなければなりません。
 従来のクローズドスキル練習で終始する練習から、オープンスキルやゲームライクを取り入れ、同時にクローズドスキルのフィードバックを入れていくような、スパイラル的なスキルアップを目指す練習スタイルが、日本でも当たり前になっていかねばならないと思います。

(2)「システム化」から生み出す対応力と柔軟性(何となくからの脱却)
 とにかくプレーの型ハメ、戦術のワンパターン化からなかなか抜け出せていません。
 バレーボールは、「選手自身が」ネットの向こうの相手とボールを「見て」、「判断し」、「動く」という基本があるのに、指導者の理論武装に選手が巻き込まれる状況が多く見受けられます。
 では、どうやったら、本来あるべき、選手自身の主体的かつ能動的な思考判断と対応力を伴ったプレーを導き出せるのでしょうか?
 そこで必要なのは、「システム化」の再確認だと思います。
 スパイクにおけるテンポがあります。ブロックの配置や反応方法の違いがあります。サーブの狙い方と戦術的意図があります。レセプションシフトの変化があります。各ポジションの状況に応じた動線があります。
 このように、ボールと選手の状況から生み出されてくる、テンポ、ポジショニング、ボールの位置情報、選手の動線・・・これらは、ワンパターンなものであるはずがありません。そのためには、まずはいくつかの選択肢を与えそこから状況に応じて選択させる「システム化」があってもいいのではないかと思います。

(3)「試行錯誤」とコーチング
 「考えろ!」と選手に言っておきながら、考える方法や材料を教えていない。「工夫しろ!」と選手に言っておきながら、ミスやエラーを許さず時間的にも待ってくれない指導をしている。これでは、選手の自立だけでなく、思考判断力も育つわけがありません。
 「育成には時間をかけろ」これは、否定のしようのない事実だと思います。時間をかけるとは、2年3年では短いのです。数年十年かけて醸成していくのが育成だと思うのです。
 選手自らが課題を見つけ、次なる目標や欲求を持ち、そこに向けてトライ&エラーを積み重ねていく。そういった「試行錯誤」を選手ができるように、指導者はどうアプローチするのか。そこが「コーチング」だと思います。
 毎月、毎年、大会で結果を出すことを求める中では絶対に実現できないでしょう。

(4) オールラウンダー性、トータル性の重視
 このブログでも、日本のセッターの大型化が進まない問題、ミドルブロッカーの得点力不足の問題、日本のブロック力の低さの問題、ハイセット能力の低さやレセプション能力の低さ・・・こういった課題は、小学生バレーから始まる、「偏ったスキル指導」、「偏ったプレー経験」からくるものだと主張してきました。
 「育成」から「オールラウンド」という要素を外して考えることはできないと思います。必然的にオールラウンドを求める以上、やはり時間が必要となります。そして様々な機会や環境が必要となります。
 指導内容や戦術の分析も、データやエビデンスを踏まえ、局所的な正解ではない、マクロでトータルな考察も必要だと思います。
 このように長期スパンに立った、トータルでの育成の成功を目指す必要があるのではないでしょうか?



 こういったバレーボールの育成に関わるヒントが世界にはあるのを知っています。公開されている資料や文献だけでも十分知ることができるのです。日本の国際的な競技力向上を考える時、「育成の世界標準」を議論していくことは無視できないと思うのです。
 指導者個々人に育成の理念を期待するには限界があります。どうしても勝利の追及と効率化を求めてしまうからです。だから「育成」については、組織がある程度制度化しなければならないと考えます。
 2019年からはじまる日本の新しい時代、是非とも日本のバレーボールも「新時代」とも言える変化を、「育成」から生み出したいものです。そして組織的な取り組みを模索しなければいけないと思うのですがいかがでしょうか?


(2018年)

2018年10月6日土曜日

女子バレーボールでのトータリティ(世界バレー2018)

FIVB volleyball women’s world championship 2018 Japan Sapporo

1次ラウンド PoolB 9/29~10/4 札幌 北海きたえーる

 世界バレー女子大会が、当地北海道札幌で開催され、東京や大阪から離れた日本の遠隔地にいて、なかなか国際大会を間近に観ることができない私たちにとって、大変貴重で有意義な経験となりました。今回の札幌大会では、イタリア、中国、トルコ、ブルガリア、カナダ、キューバによる1次リーグの試合となりました。

 何といっても世界ランク1位、郎平監督が率いる、シュテイやエンシンゲツといった名高い選手を擁する中国は注目大でした。
 イタリアはすべてのすべての選手の個人スキルが高い印象があり安定した試合運びをしていましたし、トルコも選手起用の妙があり試合展開の運び方が大変参考になります。ブルガリアはチームとして一戦一戦に対する目的が明確でしたし、カナダは組織的なバレーにトライしているようで、キューバは露骨に8年後を見据えた強化をしているのがわかりました。

 こうして数年に一度バレーボールの国際大会を会場で観ることができているのですが、テレビ中継だけでは感じることのできない、いろんな空気を感じることができます。
 やはり、それぞれのチームが、この大会、この一戦にどのような目的や意識を共有して臨んでいるのか、それが日本とは違うような気がします。
おそらく「戦略」という言葉があてはまるのでしょうか?
 もちろん、どの試合にも手を抜くとか負けて良いという感じはないのですが、試合ごとに同じチームでもチームの雰囲気や起用方法が違っていて、面白いなと思います。


 さて、今の世界の女子バレーボールを実際に観てみると、やはりサーブはどのチームも戦術化が進んでいて、しっかりとゾーンを狙ったサーブがほとんどでした。ジャンプサーブもどのチームでも見られました。
 攻撃面では、バックアタックは、まだ男子ほど頻度は多くないし、パイプ攻撃などようなテンポの攻めも少ないものの、旧来の消極的バックアタック・・・つまりフリーボールするよりはマシという意味合いのバックアタックではなく、より積極的にバックアタックを攻撃オプションにしているのもわかりました。


 「ブロック」では、中国やトルコなどが積極的に3枚ブロックを仕掛ける場面が見られ、少しずつ男子バレーの組織的な戦いに近づいているのが感じられます。
 しかし、一方で女子バレーではまだまだ、ゲームにおける「ブロック」の位置づけが、男子とは同じとは言えない印象です。それは、3枚ブロックをやったかどうかではなく、ミドルブロッカーの動きや、相手の中央攻撃に対するブロックの配置などをみていると、女子バレーにおいては、ブロックの戦術化をさらに整備していくことで、チーム力を高め他チームに差をつけることができるのかなと思います。ですから、日本代表女子も世界と戦えるヒントは、ブロックのスキルや戦術を強化していくことが、世界との溝を埋めることにつながるのではないかと思います。
 相手の中央からのクイックやバックアタックなどの攻撃に対して、ブロックが1枚になるチーム、または中央攻撃が絡んだ中からサイド攻撃に切り替わった時にミドルがブロックに行けないチーム・・・こういったチームは今や勝利をつかむのは難しいという印象です。
 確かに「リードブロック」というものを標準スキルとすることが大事だという議論になりますが、必ずしもリードブロックをやりさえすればいいというものではなく、そこはサーブ戦術とのリンクや、配置における対応力、相手の配球傾向の分析・・・など、様々なスキルや情報が必要になってくるような気がします。

 世界の女子バレーでは、ブロックの戦術化のさらなる向上、個人のブロックスキルの向上、そしてコート上6人の個人スキルがさらにオールラウンド性を求め攻撃オプションをより多く確保することができることが、世界の上位進出のカギになってくるんだと思いました。日本代表女子も、世界の上位に入り込む強化はできるんじゃないかと、感じます。


(2018年)

2018年1月1日月曜日

(コーチ向け記事)バレーボールのコーチング再考

Let me express the greetings of the season.
I wish you a Happy New Year 2018!
We love volleyball.

2018年、新年あけましておめでとうございます。
 
 昨年もコーチやプレーヤー、ファンの方々にたくさん支えられました。ありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 実は2017年年末にと東南アジアの国に行ってU15世代のチームと交流することができした。
 そこでは、決定的な指導アプローチに違いを感じました。そして、中学生のアティテュードにも明かな違いを感じました。
 ただ、「感じた」「見えた」というのが、あくまでも主観的な要素が多いし、それが何によって生み出されているのかが分からないままなので、日本の子たちに何をどうしたらよいかははっきり言えないのですが、ただ漠然と日本でのバレーボール指導は、これからもう一段も二段もステップアップさせていかないと、ますます世界の中で遅れをとるのではないかという、直感的な危機感におそわれたのでした。
 その国のトップレベルのU15チームと交流、対戦しました。ボールコントロールなどは、日本で言われるところの「美しさ」があるというより、外見上の粗さがあるようにも見えるのですが、ゲームにおいてまずボールが落ちません。ブロックは1枚になることはあまりなく、サーブも明らかに訓練されていました。特にセッターの通り道とクイック封じのコントロールサーブ、そしてサイドラインターゲットなどは訓練されていました。セッターとリベロも上手かったです。
 個々のボールさばきには個性が多少あっても、チームとしてはかなり組織化されていて、ポジショニングの正確さも見事でした。
コーチたちは、妥協しないところは妥協せず指導し、練習やゲームが終わったあとは、徹底的にミーティングしています。「ベーシック」という言葉をしきりに私たちにも言っていましたが、基本という概念も日本とは違うような気がします。「ボールを落とさない」、「自分の周辺ボールは落とさない」、「アタックは積極果敢に」、「ポジショニングを考えろ」・・・何か要求ゾーンには幅がありながらも当たり前なことを徹底させているような気がします。
 選手は日本の中学生と比べると、かなり大人びていて自立している印象を受けます。彼らの立ち振る舞いや練習態度から感じたことです。そして選手はみんな、自分がバレーボールが好きだからという気持ちがにじみ出ているのも印象的でした。

 日本のバレーボールの指導が、これからますますアップデートをしていかないと、いけないような気がします。
 バレーボールの歴史は、時代とルールの変遷によって、大きく変化していました。トレーニング方法も変わってきています。ところが日本のバレーボールの指導内容やアプローチ、指導観は、世界の変化に比べて、アップデートが鈍いです。
 よくナショナルチームレベルで、戦術論やプレー論が比較考察され、議論が展開されていますが、私は育成世代で世界で何が行われているのか?どんなタクティスやツールを用いてコーチングされているのか?それがトップカテゴリにどのような影響を与えているのか?それこそが学びたい内容であるし、日本のバレー界の閉塞感を動かす力の一つになると確信しています。



 実は、私、大学を卒業して随分たったこの歳になってから、英語を学びたいと思い始め、ちょっとだけ勉強を続けています。これがなかなか上手くならず困っています。
 そんな中、外国語学習について、専門家の友人から興味深い話を聞きました。言語の学習にもトレンドが時代とともにあり、変遷してきたというものです。当たり前のことですが、その時代のトレンドもいつか短所が明らかになると批判され、新たなトレンドが構築されていく。そのプロセスが、実は言語学習のみならず、バレーボールの指導にも当てはまる、私が考えていた日本のバレーボール指導のあり方にも符合するものです。

外国語教授法

このサイトに書かれている内容で、
以下、外国語教授法にある文章の一部をバレーボールに置き換えながら
引用しておくと
> それぞれの外国語(バレーボール)教授理論あるいは教授法は、それぞれの特徴を持っているが、やはり数ある外国語(バレーボール)学習法と同じように、善悪や優劣を決められるようなものではないだろう。
> 先に書いたことと重複してしまうが、英語(バレーボール)の学習法に関して言えば、それぞれの個人に合った学習法は、その人の英語(バレーボール)を学ぶ目的や既習レベル、性格や信念、好み等々によって変わってくる。
> 同じ目的を持って英語(バレーボール)を学習する人たちの中でも、適性や好みによって、各個人にフィットする学習法は大きく違ってくる。
> さらには、英語(バレーボール)学習を始める年齢や既習レベルの違いによっても、適した学習法は変わってくるものなのである。
> それぞれの教授法がそれぞれの特徴を持っているので、学習者にとって、‘自分に合っている’と感じられる教授法は個人個人で違ってくるはずである。
> 外国語(バレーボール)を指導している現場の教師たちの間でも、いろいろな教授法の要素を取り合わせた‘折衷法’が一番いい、という意見がもっとも多いようだ。
> もちろん、その‘折衷’的なやり方においても、学習者の適性などによって、柔軟に指導の仕方も変化させる必要があると思うが…。
> あるやり方がある学習者たちに効果的だったからといって、そのやり方がいつでもどんな学習者に対しても効果的であるとは限らないからだ。
> 教師(コーチ)の指導法の理想を言えば、教師(コーチ)はいくつもの教授法に熟達し、学習者の条件に応じて臨機応変に適当な教授法を使うようにするのが望ましい、ということになる。
> 常にどんな学習者に対しても効果的であり、最も正しい教授法、というのも存在しないと思う。

 個人的に考察しているのは、日本のバレーボール指導は、言語学習の変遷で言えば、1960年代~1970年代の教授法が根強く残っていると思います。オーディオ・リンガル・メソッドなどといった教授法が、日本のバレー指導スタイルに近いんじゃないかと思うわけです。
 その特徴は、
 ・型のインプットと反復トレーニング
 ・型の再現力
 ・ティーチング要素が強い
 ・正確さが要求される
 ・失敗は避けるべきもの
 ・指導者(コーチ)中心、主導
 ・項目を順を追って組織的に教える

 昨年2017年、バレーボール界の一部では、指導における「プレーヤーズ・ファースト」の概念や「試行錯誤」の重要性が話題になったような気がします。
 私は、いずれも「プレーヤーズ・ファーストだ」、「試行錯誤しろ」と指導者が言うものではなく、「そうなるべきもの」だと考えます。
 私たちバレーボール指導者は、いかに効率よく勝てるか?いかに効率よく確実にスキルアップできるか?何かいい特効薬はないのか?ばかりを追い求めてきたと思いませんか?要するに、「楽をしてきた」のだと思います。思考停止をしているのは、選手以上に指導者がそうなっているのだと思います。指導者は選手に「考えろ!」という前に、まずは自分自身が「深く考える」ことが必要だと思います。だから短いスパンの一時期で成果が出ない選手(子どもたち)は、バーンアウトしたりリタイヤしたり、発掘のまな板から落とされてしまってきたのです。
 言語学習では、指導者からの一方向的な指導だけでは限界があることから、コミュニカティブ・アプローチに軸足が移行していきました。
 その特徴は、
 ・状況への柔軟な対応
 ・実践力→(言語:コミュニケーション、バレーボール:ゲームセンス)
 ・学習者からのアウトプット
 ・個に応じたコーチング
 ・失敗は習得に不可欠なもの、貴重な教材
 ・学習者(選手)中心
 ・「インフォメーションギャップ」「自由な選択があるか」「フィードバック」の3要素を把握、設定する

というポイントがあろうかと思います。これ、言語学習だけじゃなく、バレーボール指導にもまったく符合することだと思います。

 強調したいのは、どの指導アプローチが正解かではないということ。
 パターン練習とランダム練習
 クーロズドスキル練習とオープンスキル練習
 スコアリングスキル練習とノンスコアリングスキル練習
 分習法と全習法
 
 適宜、どこでどの場面で取り入れるかがコーチの手腕。
 そこを日本のバレー指導者が考え方を変えないと、ますます世界に取り残されると断言できます。
 小中学生のバレーボールコーチは、もちろんシニアやナショナルチームのバレーボールにも知見を持たねばならないし、コーチングできなければいけないと思っています。逆にトップレベルのコーチやトップカテゴリのコーチは、育成世代の子どもたちや初心者にもより良い指導を提供できなければならないと考えています。
 でも、日本では世界の中でもさかんにバレーボールが行われているにもかかわらず、指導者は自分のカテゴリに安住してあぐらをかいているのではないでしょうか?もっと指導の在り方やメソッドの内容を掘り下げて学び、さまざまな場面でさまざまな対象者に常に良いコーチングを提供できなければいけないと思うのです。

 2018年は、今まで以上に、日本のバレーボールの「指導者」や「コーチング」に焦点があたることを期待しています。
 本年もよろしくお願いいたします。
 ああ、英語が話せるようになりたいです(笑)


(2018年)



2017年1月6日金曜日

「育成の実現」とは?

 近年、どの競技でも「育成」の大切さが言われるようになってきました。重要な国際大会で頂点に立った国や競技の成功の要因のひとつに、「育成」現場の改革が挙げられる例も珍しくはありません。
 一言に、育成とか選手を育てると言っても、その中身には幅があって、例えば所属するチーム内でのスパンなのか、カテゴリを超えたスパンなのか。特定の選手を対象とするのか、幅広くプログラムを提供するのか。「育成」という言葉を使っている場合、どのようなものとして捉えているのかは、注意しなければならない点だと思います。

 さて、日本のバレーボール界において言われているところの「育成」とは、どんな意味合いで用いられているのだろうかと思う時があります。そこに、どの程度関係者の本気度があるのだろうか?ということも併せて考えちゃいます。
 みなさんご存じの通り、日本のバレーボールの現状は、いろいろと大変な状況になっています。というのも今に始まったことではなく、もうすでに20年、30年前から始まっているわけですが、近年は本当に大変です。
 そんな中、言われる「育成」ですが、
  
  ① 細く長く型、細長いピラミッド型の育成
  
  ② 太く長く型、山脈型の育成
 
とがあると思っています。

 ①は、有能な選手を絞り込み、絞り込まれた特定の選手に対し、指導環境を提供すること。

 ②は、とにかく幅広い人を対象にプログラムを提供し、それぞれの自身の判断で自らの道を選択できること。

 本来は、②であるべきだと思っています。ところが、日本のバレーボール界で言われている「育成」は①となっていると思います。

 個人的には、①は狭い意味での育成だと思います。小学バレーで活躍した選手が中学に集まり、中学で活躍した選手が高校に集まり・・・そうやってリクルートされながら、上のカテゴリまで残ったエリート型の選手を輩出することを育成と言われていることが多いです。
 しかし、これは同時に、その時点でリクルートの対象にされなかった大勢の選手たちがいるわけで、ではその選手たちが能動的積極的に自分の望む環境を選べたかといえば、選ぶこともできず、その後に遅咲きの成長をしても、もはやレールから外れてしまっては見出してもらえるチャンスは狭められてしまうわけです。
 ①は、どちらかというと、「育成」というより、「選抜」なのだと思います。

 小中学生の育成世代とも言える子どもたちのスキルアップの方向性にいろいろ試行錯誤されている方はたくさんいるかと思います。小学生のうちから休日返上でびっちり練習するところもあれば、週2~3回程度にのんびりやるところもあろうかと思います。それぞれのチームの方向性や目標も違っているので、様々な活動のカタチがあるのだろうと思います。









 

例えば、習得させたいスキル一つ一つをコップに見立てます。
そしてコップの大きさや容量、形を選手一人一人の個性、能力の個人差だと考えます。
そのコップに水を注ぐ作業が、練習だったり、学習、経験だと考えます。
コップが水で満たされたら、目標とするスキルの習得がなされるとイメージします。
与えられる水の量は一定です。つまり私たちに与えられた時間であり身体です。

そう考えると、子どもたちへのコーチングの見方に新しい感覚は出てこないでしょうか?

 1つのコップに集中して水を注ぐということは、1つのスキルに絞って練習をさせていくということです。レシーブだけ、とか、スパイクだけ。または特定のポジションの動き・・・そういった考え方になろうかと思います。

 一方で、いくつか用意されているコップに均等に水を注ごうとします。コップの水は均等に水が入りますが、当然、コップが水で満たされるまでには時間がかかります。

 ここで気をつけたいのは、コップは、一人一人の個性と考えますから、コップの大きさも形も人によって違います。しかも、それらの形状は自分はおろか、誰かが見ようとしても見えない、姿の見えないコップなわけです。どのくらいの量を注げば水が満たされるのかは、わかりません。また注げる水自体も眼に見えるものではありません。

 こう考えていくと、子どもたちに、バレーボールの練習をさせていく時、どのようなアプローチがいいものだろうかと考えさせられます。
 個人のスキルアップを、水の分配でイメージしてみたわけですが、もう一つ考えなければならないのは、チーププレーとしての視点です。
ディグのコップは水満杯だけど、ブロックのコップには水ゼロ。
スパイクのコップは水満杯だけど、レセプションのコップはゼロ。
そういった長短はっきりしている子どもたちが明確な分業のもとでゲームを成り立たせる場合があります。
 一方で、どのメンバーも平均的に各コップに水が注がれているも、いずれのコップも水は半ばくらいまでしか注がれていません。全員がそこそこのスキルをもって、トータル的にゲームにあたる場合もあります。実際は、それでも各々の特性や長短を考慮するわけですが・・・。

 どれが正解か?ということではなく、「育成」をしなければならない時期に、どのように練習や指導を考えたらいいのでしょうか?ということをたまに立ち止まって考えなければいけないのではないかと思うわけです。
 水をたくさん注ぎたければ、水道の蛇口を開き続けなければなりません。つまりは練習をし続ける、いかに練習量を稼ぐかということになるのでしょうか?でも365日朝から晩まで子どもたちに練習を強いるのは賛同できません。



「育成の実現」って「早期の完成」と同義ではないと思います。

どんなカテゴリにおいても、いい選手に出会う確率を上げること。
 早熟の選手だけが、エリート的な狭いレールに乗るだけじゃなく、後から能力を開花した選手も、活躍できるようにしなければなりません。選手の発掘は、宝探しとは違うと思います。「探す」なんていう他力本願な発想ではなく、「育てる」ことで、いい選手に出会う確率を上げたらいいのだと思います。
 そのためには、バレーボールに出会ったすべての人が、その後のモチベーションを維持し、「やりたい!続けたい!」と思わせることが大事です。
 指導者は、1年や2年での短期スパンでの完成を求めていれば、上手くいかないことも多くなります。早熟出来ない選手は切り捨てられていきます。ですから、育成においては、個人の地道なスキルアップを評価できるようにしなければなりません。
練習では、指導者の頭ごなしな指導や強制的な訓練ではなく、「そうなるように」、「一緒に」、「試していく」ようなドリルを見守ることが重要です。オールラウンドな練習も当たり前にしておきたいです。スパイクやブロックはできても、ディフェンスやセット(トス)ができない。逆に身長が低いからと言ってスパイクやブロックをやらせてもらえず、ディフェンスばかり教え込まれる・・・。偏ったスキルのまま上のカテゴリに進んでいけば、上のカテゴリでの強化のタイムロスになっていきます。
 チームフォーメーションでも、いきなり選手を固定したりポジションを専門家するのではなく、6-6システムを導入に、柔軟に複数のポジションに対応できるよう、段階的に編成していくべきです。 
 小学生に複雑なコンビネーションを伴う攻撃を教え込む必要があるでしょうか?それを優先することによって、早熟じゃない選手は「できない」レッテルを貼られてしまいます。その結果様々なスキルのプレー経験を奪われます。できる一部の子をセッターとしスパイカーに固定していく現象が進んでいきます。
 何も、ブラジル男子がやっているような、シンクロ攻撃を小中高校生でやることが必要不可欠なわけではないと思います。その前に各カテゴリでは、「できる選手」だけを優遇するのではなく、全員がトレーニングを受け、全員が習得を目指すようなプログラムや内容があるべきです。少なくとも中学生カテゴリまでは、「オールラウンドな育成」は絶対必要だと思います。極端に言えば、誰もが高校カテゴリ以上でセッターやリベロを務められるようにしておくことが理想だと思っています。

 世界的なトップレベルのバレーの推移をみても、戦術の発展に伴い、現在は個人のプレーのオールラウンド化が求められ、勝敗に影響を与えているような気がします。セッターは、ブロック力も求められるようになっているし、リベロはセカンドセッターとしてのセット能力が求められてきています。ミドルはブロック要因だけじゃなく、バックアタックやリベロを不要とするディグやセット能力が当たり前のように求められています。日本の育成現場もかなり遅れをとっているようです。

 クリニックなどの機会で、例えば大学の指導者が中学生を指導したり、中学の指導者が小学生を指導したり、異カテゴリ間の練習場面の機会をみていると面白いです。実に「のんびり」「丁寧に」指導されていることが多いです。ところが、自分のチームになると、苛立ちを覚えたり選手に高圧的になったりすることも珍しくありません。指導者と選手間の距離感や、ニーズの切迫感が違うからだと思います。面白いもんです。だったら、自分の選手にも、丁寧にじっくり接することは可能だと思います。「勝ちたい」「実績を出す」「指導力の有無」・・・結局は指導者のエゴの論理で動いていることが多いのだと思います。

 世界に通用するバレーボール選手の育成の実現にはまだまだ険しい道のりがありそうです。


(2017)

2014年8月6日水曜日

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から④

「アスリートの魂」

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レゼンデ監督が受け継いだ〝猫田魂〟

✓ 〝(猫田さんに)常に言われたのは
  「全力で跳べ」ということ。
  トスを見たり、高いところを見定めて助走を開始すると
  ワンテンポ遅れてしまう。
  そうではなくて、
  「とにかく、お前がいい時に入ってこい、それに合わせるから」
  と言ってくださいました。
  そしてその言葉通り、きっちりトスが来たものです〟
  (青山 信夫)

✓ 「基礎的なものをすべて日本から学んだ」
  と語るレゼンデ監督が、
  日本のバレー界から忠実に受け継いだものは、
  紛れもなくこの〝猫田魂〟そのものだったのです。

(『JTサンダーズ・80周年記念誌』より)


戦術の変遷から見た、セッターに要求されるプレー

✓ 組織的リード・ブロック戦術が世界標準となって以降、
 「セッターが放り上げる〝トス〟にアタッカーが合わせて打つ」
  というセッター起点の
 【セカンド・テンポ】のコンセプトでは、
  ブロック側有利の構図が切り崩せなくなりました。

✓ 再びアタック側有利の構図を生み出すには、
  セッターが攻撃の主導権をアタッカーに譲り、
   アタッカーの持ち味を最大限に活かす
  「お膳立て( = 〝セット〟)」に専念する
という  【ファースト・テンポ】のコンセプトが、
   理にかなっていたのです。



今こそ〝トス〟から〝セット〟へ!

✓ セット動作を専門にするプレーヤーを
   かつて「トサー(tosser)」と呼んでいた
   日本のバレー界ですが、
   現在では「セッター(setter)」という用語が
   すっかり定着しました。
   その一方で、「セット」という用語は浸透せず、
  「〝セッター〟が〝トス〟を上げる」という、
   ある意味矛盾した表現が一般化してしまっています。

✓ 「攻撃の起点であり主導権を握るのはセッターである」
    という固定観念が幅を利かせる日本のバレー界では、
    アタッカーのための〝お膳立て〟をするという
    意味の「セット」という用語が、
    浸透しなかったのではないでしょうか?

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ブロッカーが振られる本当の理由は?

✓ 今のの動画から、ブロッカーが振られるかどうかは
   セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間
   とは無関係である
、   という真実がおわかり頂けるかと思います。

✓ リードで対応しているはずのブロッカーが、
   どうしてこのように見事に振られるのか?
   を理解するには、
  リードで対応するブロッカーがどのようにして、
   相手のセッターの出方やボールの行方に反応しているのか?
   を理解しておく必要があります。

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トム・ローガン選手は、なぜネットから離れたのか?

✓ ディグされたボールが高く上がったため、
   倒れ込んでいた江畑選手含め他のアタッカー陣も、
   時間的余裕が十分にありますが、
   自分自身にセットされることを意識して
  プレーしているアタッカーは木村沙織選手しかいません。

✓ これは、アタッカー全員が佐野選手のアンダーハンド・パス
   によるセット動作を見て、誰にセットされるのかを
   セット・アップ前に無意識に感じ取っているから
です。   そのアタッカーの動きや佐野選手のセット動作を観察し、
   トム・ローガン選手はボールがセットされるよりも前に、
   自身が反応すべき選択肢を減らすことが可能だった
のです。
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セット動作における〝あたりまえ〟のプレーとは?

✓ セッターは、自身に要求される「正確さ」を損うことなく、
   セット・アップの瞬間ギリギリまで、
   セットできるアタッカーの選択肢を複数確保することが
   可能
だからこそ、   オーバーハンド・パスを用いてセット動作を行うのです。

✓ セッターがオーバーハンド・パスを用いて
   セット動作を行うのはなぜか?・・・
   その理由を紐解いていけば、
   レゼンデ監督が要求する
  「手や体の動きからトスを相手に読まれないように」
   というセット動作
が、  セッターに要求される〝あたりまえ〟のプレー
   であるのは明らかでしょう。







【シンクロ攻撃】は高度なアタック戦術なのか?!

✓ 現在の世界標準である、組織的リード・ブロック戦術に対して
   最も効果的な【シンクロ攻撃】でさえも、
   アタッカーならびにセッターのプレーを
   一つ一つ紐解いてみれば、
   各自に要求される〝あたりまえ〟のプレーを
   行っているに過ぎません
。
✓ ですから、その本質さえ理解していれば、
   特別な身体能力が備わっていない女子中学生であっても
   〝あたりまえ〟のように【シンクロ攻撃】を繰り出すことが
   可能です。
   ましてや、身体能力に優れた選手ならば、
   バレーボールの経験年数が少なかろうとも、
   簡単に達成できるはずです。


【シンクロ攻撃】=【〝同時多発〟位置差攻撃】

✓ 【シンクロ攻撃】に代表される、
   現在の世界標準のアタック戦術の本質は、
   セット・アップからボール・ヒットまでの
   〝経過時間の短さ〟ではありません。

✓ 4人のアタッカーが主導権を握って、
   セット・アップ前にスパイクを打つ気満々で助走し、
   実際に誰がスパイクを打つのか、
   ボールを打つ瞬間までアタッカーすらもわからないような
  〝同時多発性〟を作り出すことで、
   相手のブロッカーの選択反応時間を長くすることが本質なのです。

✓ 【シンクロ攻撃】に対してブロッカーが対応できないのは、
   〝不意打ちのように〟
   繰り出されるスパイクだから
であり、   その本質は〝速いバレー〟や〝高速バレー〟
   という言葉で表現できるようなものではないのです。


資 料 提 供・協 力
本日の講演内容に、資料提供や図案作成などに関して、
ご協力頂いた皆様(敬称略)をご紹介します。
@ayanami2015, @P_206RC, @taknuno55, @PFH38th,
@ux3blust, @corapiston, @chochobibi, @toruvoov,
@hatsuharuya, @tamtam_twtr
その他、#vabotter(ハッシュタグ・ばぼったー)
で発言されてらっしゃる、大勢の皆様に感謝申し上げます。
・・・これからバレー界に必要とされる情報戦という
のは、ツイッターなどのSNSをいかに上手く有効活用で
きるかどうかを意味しています!!!

(資料紹介おわり)


(2012年)

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から③

セッターは、個々のスパイカーの持ち味、高さを生かし、引き出すことが大切ですね。
攻撃の主導権は、スパイカーにあって、スパイカーが、相手ブロッカーと勝負する。
もちろんセッターも相手ブロックの把握やかけ引きは重要ですが、味方スパイカーと、対戦する相手ブロッカーとの間に合って、味方スパイカーの勝負をコーディネートする役割もあるのかなと思います。

以下、資料の続きです。

セッターに要求される条件とは?

✓ ファースト・テンポは、アタッカーの持ち味を
  最大限に活かして
相手のブロックに打ち克ついう、   個人技勝負のコンセプトで繰り出すアタック戦術です。
   それを叶えるため、アタッカーは十分な助走距離を確保して
   全力でスパイクを打ちます。

✓ アタッカーが
   セット軌道に合わせて助走する必要がないかわりに、
   セッターが
   先に助走するアタッカーの最高到達点に向けて、
   ボールを〝正確に〟供給することが必要不可欠です。

ブラジル男子ナショナル・チームの
レゼンデ監督がセッターに求めるプレー

「ブラジルは基礎的なものをすべて日本から学びました」

と語るブラジル男子ナショナル・チームのレゼンデ監督は、
セッターに求める条件として、このように述べています。

〝最初はとにかく正確さを求め、
  その正確なトスを常に平均的に
  上げられるようにします〟

『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』
(米虫紀子著・東邦出版)

〝正確さ〟の意味を、
  ボールを〝ピンポイントで〟供給するイメージで
  とらえてしまうと、
  セッターに非常に高度なプレーが要求されるように
  感じられませんか・・・?

・・・これが 【ダイレクト・デリバリー】です。



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setkido①
(写真提供:日本文化出版)
setkido②
(写真提供:日本文化出版)
setkido③
(写真提供:日本文化出版)
setkido④
(写真提供:日本文化出版)

セッターに要求される〝正確さ〟とは?

✓ ファースト・テンポにおいては、
   セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間は
   アタッカーが踏み切り動作を行う時点で決まります。
   ですから、セッターがボールのスピードや軌道を
   どう工夫しようとも、その時間がさらに短縮することはありません。

✓ アタッカーがしっかり助走して
   セット・アップのタイミングを目安に踏み切るという、
   自身に課せられた役割をきちんと果たせば、
   セッターはアタッカーが自身の最高到達点付近で
   確実にボールをヒットできるように
、   丁寧なセット動作に専念するだけでよいのです。

✓ セッターに要求される〝正確さ〟とは、
   アタッカーが持ち味を最大限に発揮できるような
   「お膳立て」をするという、
  セッターに本来要求されるはずの
   〝あたりまえ〟のプレーを意味している
に過ぎないのです。
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〝はやさ〟≒ ブロック反応時間の長さ

✓ アタッカーの打点高を殺してしまうと、
  アタッカーの持ち味を活かせない上に、
   リードで対応する相手のブロッカーの反応時間が短くなるため、
   相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟が保証できなくなります。

✓ アタッカーの打点高が高いほど、
   相手のブロッカーの反応時間が長くなります。
   アタッカーが自身の最高到達点付近で
   確実にボール・ヒットできるよう「お膳立て」すること
自体が、   相手のブロッカーにとっては〝はやさ〟に直結するのです。

(第2部の後半へつづく)


(2012年)

2012年バレーボールミーティング(静岡県三島)の資料から②

三島の2012 バレーボール ミーティングでの資料の続きです。一部、割愛させてもらっている部分がありますが、ご了承ください。ライブでの講義を聞いてなくても、たくさん勉強になるところがありますね。














ファースト・テンポの踏み切り動作に潜む〝ある特徴〟

✓ セット・アップのタイミングを目安に行う
  踏み切り動作(=狭義の【ファースト・テンポ】)は、
  「セッターに合わせてアタッカーが助走する」という、
   セッター起点の〝コンビ・バレー〟のコンセプトでは、
   達成することができません
。
✓ アタッカーが先に助走し、
   それにセッターが合わせるという〝コンビ・バレー〟以前の
   コンセプトに立ち返らない限り、
   リード・ブロックに効果を発揮する踏み切り動作は
   達成できないのです。

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『バレーペディア改訂版 Ver 1.2』 で提示した
【ファースト・テンポ】【セカンド・テンポ】の定義

✓ 【ファースト・テンポ】
    アタッカーが先に助走動作を行い、
    それにセット軌道を合わせる
ことで打たせるアタック          → 1960年代の〝個人技勝負〟のコンセプト)

✓ 【セカンド・テンポ】
    セット軌道に合わせて
    アタッカーが助走することで繰り出すアタック
        ( → 1970年代のセッター起点の〝コンビ・バレー〟のコンセプト)

→ 相手のブロック戦術にどう対抗するのか?
    に関する両者のコンセプトの違いを明記しました


『バレーペディア改訂版 Ver 1.2』において
【テンポ】の定義を大幅に見直した理由

✓ 初版の『バレーペディア』(2010/05) では、
  【テンポ】 を
  「セット・アップからボール・ヒットまでの時間の長さ」
   と定義したため、各【テンポ】の違いが
  「時間の長さ」の違いでしかない、かのような誤解を招きました。

✓ セット・アップ後のプレー動作に要する経過時間さえ短縮できれば
  【ファースト・テンポ】が繰り出せる、という誤解が蔓延し、
   アタッカーの個人技で相手のブロッカーと勝負するという、
  【ファースト・テンポ】が持つ本来のコンセプトが忘れ去られる
   結果に陥ったのです。


〝1秒の壁〟〝1.1秒〟〝0.8秒〟

✓ セッター起点の〝コンビ・バレー〟の意識が根強い
   日本のバレー界では、
   セッターのトスにアタッカーが合わせる
  【セカンド・テンポ】のコンセプトから抜け出せず、
  「セッターが上げる〝速いトス〟をアタッカーが打つ」という、
   いわゆる〝はやい攻撃〟のコンセプトが生まれました。

✓ 〝1秒の壁〟〝1.1秒〟〝0.8秒〟
   という言葉に象徴されるように、
  セット・アップから何秒で打つという行為自体が〝目的化〟し、
   アタックの目的が何だったのか? が忘れ去られる事態に陥りました。

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〝はやい攻撃〟のコンセプトが招いた〝悲劇〟(その1)

✓ 助走動作を削れば、アタッカーは
   全力でジャンプすることができなくなります。
   そうやって自身の打点高を犠牲にしても、
   リード・ブロックに効果的な踏み切り動作を達成できないため、
  「得点を奪う」というアタックの目的そのものを
   叶えることができません。

✓ そのため、助走動作を削っても
   自身の持ち味を最大限近く発揮できる〝特殊な能力〟
   を持った選手
でなければ、   リード・ブロックに効果を発揮するスパイクが
   打てない状況に陥っています。




〝はやい攻撃〟のコンセプトが招いた〝悲劇〟(その2)

✓ 日本の長身選手は
  俊敏な動作を苦手とする選手が多く、
   〝はやい攻撃〟のコンセプトでは、
   助走動作に要する時間をうまく短縮できません。
   そのため、日本のバレー界では
  「長身選手は〝はやい攻撃〟が苦手である」という
   〝神話〟が生まれ、
   そのせいで過去に何人もの有望な長身選手が、
   活躍の機会を失いました。

✓ 真実は、助走動作に時間を要するなら
  それに見合うだけ助走動作を開始するタイミングを
   早くすればいい
のであって、   決して助走動作を削る必要はないのです。


〝はやさ〟とは「誰にとっての〝はやさ〟」なのか?

✓ リード・ブロックに効果的なスパイクとは、
  ブロッカーが〝速い〟と感じる攻撃のことであって、
  本当に必要とされる〝はやさ〟は、
  アタッカーにとっての〝はやさ〟ではなく、
  相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟なのです。

✓ 相手のブロッカーにとっての〝はやさ〟
  を達成するには、
  ブロッカーがセット・アップを確認してから
  でないと動き出せないことを逆手にとって、
  セット・アップ前に十分に時間をかけて
  助走動作を行う
方が理にかなっています。
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アタッカーに要求される条件とは?

✓ いわゆる〝ブロックが完成する前に打つ〟とは
   ブロッカーが届かない高い位置からボールをヒットする状態
   を意味しており、
   アタッカーには、セット・アップよりも前に
   十分な助走距離を確保して全力でジャンプし、
   自身の最高到達点でボールをヒットすることが要求されます。

✓ リード・ブロックに効果を発揮するファースト・テンポを
   繰り出すためにアタッカーに要求されるのは、
   特殊な能力を持った選手しかできないプレーではなく、
   しっかり助走して全力でスパイクを打つという、
   誰もが達成可能な〝あたりまえ〟のプレーなのです。


ファースト・テンポと〝はやい攻撃〟は
全く別のコンセプトのアタック戦術である
という真実を、実感頂けたでしょうか?

(③へつづく)


(2012年)

2014年8月3日日曜日

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』 90号

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』
90号(今月号)の特集「東京五輪までにやるべきこと」に、
ちょっとした記事を書く機会を与えていただきました。

コーチング&プレイングバレーボール(以下CPV)は、
バレーボール・アンリミテッドが奇数月1日に発行している隔月刊誌です。
年間6回発行されます。CPVは書店での取り扱いはなく、
インターネットでの販売がメインとなっています。

バレーボール・アンリミテッド WEB SHOP

PDF版ですとより安く、すぐ読むことができますので、
ぜひこの機会にご覧になってください。

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目次

【特集】東京五輪までにやるべきこと

●五輪招致とバレーボールにとってのチャンス/荒木田裕子 2
●東京オリンピック・パラリンピックに向けて新しい時代にふさわしいコーチングを/森岡裕策 6
●スポーツ界をリードする日本のバレーボール/永井洋一 8
●基礎体力・基礎運動能力の再認識/小川良樹 11
●バレーボールの魅力再構築/佐藤直司 14
●CPVからみた日本の課題/河部誠一 16
●東京五輪までにやるべきこと 21

●データから見るバレーボール/佐藤 文彦 30
第6回 個人成績を評価する

●バレーボールの基礎トレーニング/大石 博暁 34
第22回 バレーボール選手のウォーミングアップ

●新・スポーツ栄養学/杉山 明美(すぎやま あけみ)氏 38
〜ストレスを抱えた選手への栄養改善アプローチ〜

●脳神経科学をバレーボールに活用するヒント/野 淳司 40
第15回 「サボり」を脳から見てみると

●ジュニアバレーボールの指導と実践/工藤 憲 42
第21回 リードアップコンテスト

●インフォメーション 46


(2014年)